(性欲が)増しろ最高のバクマン   作:チームメイト

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真城最高の性欲が増した結果、キャラ崩壊しています。
寝取り要素もありますので、ご注意ください。


本編
自己嫌悪と正直な気持ち


「俺、これからは1人でマンガ描く」

 

 高1 9月1日 新学期。

 

 真城最高。漫画家見習い。

 

 僕が作画を担当し、同級生のシュージン(高木秋人)が原作を担当。

 2人でコンビを組んで、亜城木夢叶としてジャンプでの連載を目指していた。

 

 だけど、シュージンは、約束をしていた夏休みが終わるまでに、ネームを完成させることができなかった。

 マンガ家にとって、締切は大事だ。

 守れなかったというのは、重い。

 色々考えた結果、1年以上一緒にやってきたシュージンとのコンビを解散することにした。

 シュージンも納得して、仕事場のカギは自主的に返してきた。

 

 1人になっても、マンガ家を目指すという気持ちに変わりはない。

 僕には夢があるからだ。

 僕の書いたマンガがアニメ化して、ヒロインを亜豆美保に演じてもらう。

 その夢が叶った時に、僕と亜豆は結婚する。

 

 それまでは何が何でもがむしゃらに努力をする。

 こうして、波乱万丈の2学期が始まった。

 

 

 

   ◇◇◇

 

 

 

 9月中旬。

 

 夢に向けて、シュージンの代わりに、僕が自分で話を考えている。

 

「って話ってどうやって作ったらいいんだ」

 

 今日でもう1人で始めて2週間が経つ。

 まだ1本もネームが描けていない。

 

 使いたいキャラクターは決まっている。小学生の頃に考えた犯人を騙す探偵だ。

 あとはそのキャラをどうやってかっこよくみせるのか。

 

 それだけなのに、一向に話が出てこない。

 授業中にノートを開いて練ってみたけど、ノートは真っ白のままだ。

 

 ネームってどうやって描けばいいんだろう。

 離れてみて、シュージンの凄さが分かった。

 シュージンは授業が終わるたびに、アイデアの種を出してきたのに。

 

 難しく考えすぎか。もっと簡単に動かしてみたらいいのかな。

 

 

「…………」

 

 昼休み。午前の授業中もずっと考えていたけど、断片的な言葉でノートを汚しただけだ。

 それも服部さんから説明された言葉を復習しただけで、目新しいものはない。

 

「だめだ。教室に居ても詰まったままだ」

 

 シュージンがノートに何か描き込んでいるのが見えて、それもプレッシャーになった。

 逃げ出すように屋上に向かう。

 

 9月とはいえ暑さがまだまだ厳しい季節だ。

 わざわざ屋上に足を運ぶ生徒は少ないらしく、誰も居なかった。

 

 しばらくは独占できそうだ。

 

「……参ったな」

 

 解放された空間に出て、少しは気分が楽になったけど、話作りが進んでいない現実は変わらない。

 

 話作りが進んでいないのは、まだいい。

 自分で簡単に話が作れるのなら、最初から僕1人でやっていたはずだ。

 今までシュージンに任せていた部分を自分でやるんだから、苦労することは想定の範囲内だ。

 

 問題は、2つだ。

 

「夏休み明けてから、全然絵の勉強が進んでない」

 

 夏休みは、朝から晩まで絵を描きまくることができた。夏休み前に描いたものと見比べても上達をはっきりと実感できた。

 中井さんっていう絵の達人が描いてるのを見ることができたのも大きい。

 

 でも、そこで止まってしまっている。

 

 話が思いつかないから絵の勉強をすればいいんだけど、話を作らなきゃいけないってのが気になって集中できずにいた。

 まだ、1枚1枚、この絵をどうすればいいのかを考えながら描いて、学んでいる最中だ。

 絵を描くにも頭を使わなければいけない。

 

 その事は分かっているのに、どうしても話の方が脳裏に浮かんでしまって、絵の方もおざなりになってしまっている。

 

 これは想定外で、絵の事だけに集中できていた今までが、どれだけ恵まれていたのかが分かった。

 

 それともう1つだ。

 

「勉強……さすがにシュージンには、頼れないよな」

 

 1学期の成績は、平均より上をキープすることができた。

 そのおかげで、夏休みにおじさんの仕事場に入り浸ることを母さんが許可してくれたくらいだ。

 

 これは、ほとんどシュージンのおかげでといっていい。

 テスト前にシュージンからポイントを教わることで、授業中に絵の練習をしまくっても、テストで結果を出すことができていた。

 

 シュージンも、ほとんど授業を聞いていなかったはずなのに、しっかりと学年上位の成績を取って僕のケアまでしてくれていた。

 

 2学期が始まったけど、授業は進まないネーム作りで、ほとんど聞いていない。

 このまま来月の中間テストに入るのは、やばい。

 分かっているけど、マンガ以外のことはしたくない。

 

 シュージンには偉そうな事いっておきながら、僕がどれだけシュージンを頼っていたのか。

 

「……シュージンって凄いな」

 

 器用な方だとは思っていたけど、僕の認識が甘かったのかもしれない。

 

 話を作るのが上手い。

 授業中ずっと話を考えていたはずなのに、難易度が上がった高校の勉強にもしっかりついていっている。それで、僕の勉強の面倒まで受け持ってくれていた。

 何よりも、恋人である見吉とも上手く付き合っているようだ。

 亜豆のことが好きだけど、好きすぎて他の事が疎かになってしまうから、夢の為に我慢してる僕とは全然違う。

 

「本当に誤解だったのかよ……」

 

 夏休みの間、シュージンは見吉と一緒に居ることが多かったから、それで話作りが疎かになって締切を破ったと思い込んでいたけど、シュージンが言うには、それは僕の勘違いだったらしい。

 あとはシュージンの言葉を信じるのかどうかだ。

 

 実際に自分で話を作ろうとしたから分かる。

 シュージンが締切に間に合わなかったのも、仕方なかったのかもしれない。

 

 シュージンは、王道よりも邪道の方が向いている。

 編集の服部さんも認めるところだ。

 

 でも、邪道じゃ王道には勝てないから、王道作品を描きたかった。

 2人で決めた事とはいえ、亜城木夢叶の次の作品を王道にするって主導したのは僕だ。

 

 向いていない王道作品で話を頼んだのが、間に合わなかった理由なんじゃないか。

 

 だとしたら、悪いのはシュージンじゃない、僕だ。

 

 大体、シュージンに強く当たってしまったのも、見吉と一緒に居ることに嫉妬した気持ちがないといえば、噓になる。

 僕は亜豆と一緒に居られないのに、シュージンは見吉と一緒に居る。

 そのことに、何も思わなかったわけじゃない。

 

 自分で決めた事で、勝手に嫉妬する。

 

「最低だな、僕って……」

 

 とんだ最低野郎だ。

 

「はぁ……」

 

 シュージンへの嫉妬を自覚したせいで、教室に戻りにくいな。

 コンビではなくなったけど、友達なのは変わらず、別に仲違いしたわけじゃないのに。

 

 このまま午後の授業をサボるか。

 

 いや、ただでさえ授業についていけてるか怪しいのに、それはまずい。

 昼休み中に、なんとか気持ちを切り替えよう。

 

 

「真城、いたーーー」

 

 昼休みの残りが半分くらいになったところで、扉が開いて屋上の独占は打ち破られた。

 

「探したわよ。こんなところで何やってんの」

「別にどこに居たって見吉には関係ないだろ」

 

 見吉は何も悪くないのに、冷たくしてしまった。

 心がささくれ立っているのが分かる。

 タイミングが悪い。今は見吉の顔も見たくなかった。

 

「か、関係なくなんかないわよ。やっぱりおかしいよ、2人が別々に行動してるの」

「……俺とシュージンの問題だろ」

「そうだけど、そうじゃないっていうか……」

 

 目に見えて見吉が一歩引いた。

 露骨な部外者扱いに傷ついたみたいだ。

 

「いいから、あんた達仲直りしなさいよ」

「別にシュージンと喧嘩してるわけじゃないし」

 

 同じ目標に向かって一緒に頑張る仕事仲間じゃなくなっただけだ。

 シュージンの事を嫌いになったわけではない。

 一緒に登校する事も多い。

 自分の駄目さ加減を自覚した今は、ちょっと気まずいけど、昨日までは普通に話せてもいた。

 

「だったらコンビでやりなさいよ」

 

 見吉の一言が心に刺さる。

 それができれば話は早いし、楽だ。

 

 でも、解散を言い出しておきながら、やっぱり一緒にやろうなんて、簡単にはできない。

 

「ごめん……俺は、1人で大丈夫だから」

「あたしがやれっつってんの」

「……それこそ見吉には、関係ないだろ」

 

 見吉が強引に背中を押してくれるのは、ありがたい。

 ありがたいけど、ありがた迷惑だ。

 落ち着いていた時なら、また違ったのかもしれないけど、今このタイミングで背中を押されても無理だ。

 

「関係ないって……えーん」

「み、見吉!?」

 

 突き放すように見吉に背中を向けたら、背後から泣き声が聞こえてきた。

 慌てて振り返ると、見吉が盛大に泣いていた。

 

「私のせいなんでしょ。私が夏休みずっと高木を引っ張り回したりしたから」

「……それは……」

「やっぱり否定しないんだ」

 

 違うって言いたかったが、否定しきれなかった。

 シュージンと見吉の関係に嫉妬していたのも理由の1つだからだ。

 

 見吉は何も悪くないのに、身勝手で見吉を泣かせてしまっている。

 

「ましろーー、高木と仲直りしてよ、私が悪かったから、もう高木を束縛したりしないから」

「違う、違うだろ、見吉。そんなのおかしいよ。会ったりしない俺と亜豆がおかしいだけで、見吉と高木が普通だ」

「でも……」

「俺……とシュージンの問題だから、見吉は気にしなくていいから」

 

 どちらかといえば俺の問題なのに、こんな時でも俺とシュージンの問題と言ってしまう自分が嫌になりそうだ。

 

「そんな事言われても気にするでしょ!!」

「み、見吉、苦しい……」

「ご、ごめん」

 

 さっきまで泣いていた見吉に今度は胸倉を掴まれた。

 強く首が締まって慌ててタップして、何とか解放される。

 

 深い呼吸を繰り返して酸素を取り込む。

 よし、少し落ち着けた。

 

 見吉には、せめて正直な気持ちを話そう。

 下手に取り繕うよりも、その方が見吉に伝わるはずだ。

 

 最低な僕でも、それくらいならできるはずだ。

 

「と、ともかく、本当に見吉は気にしなくていいから。見吉が関係ないって言ったのは謝る。でも、これは俺とシュージンでどうにかしないといけない事だと思うから」

「あたし、本当に2人がこのままなのが嫌なの」

「そう言われても……見吉に言われて再結成は、違うと思う」

 

 見吉に言われたから、はいコンビ再開とはならない。

 

「お願い真城。もう1回高木と組んで」

「…………」

 

 見吉に頼まれたから再結成というのは無理だけど、もう1度シュージンと話し合ってみるか。

 それくらいなら、できるはずだ。

 

 よし、結成は約束できないけど、シュージンと話し合う事を見吉に伝えよう。

 そこから先は、自分の気持ちと向き合うだけだ。

 

 僕がどうしたいのか。今、見吉に伝えように、感じたままにシュージンにも正直な気持ちをぶつければいい。

 

「あたし、そのためならなんでもするから、だから……」

「!?……なんでも?」

「うん。あたしにできる事ならなんでもする」 

 

 僕の正直な気持ち。それは──

 

「じゃあ、見吉に抜いて欲しい」

「えっ!?」

「……えっ!?」

 

 あれ?

 今、俺、なんて言ったんだ。

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