ガンダムブレイカー・シンフォニーRe:BREAK   作:さくらおにぎり

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24話 静岡の中心で破廉恥を叫ぶ男

 数時間前に遡る。

 選手村の、チーム・ビルドシンフォニーの女子部屋で、マユやイツキよりも先に起きたトウカは、二人を起こさないように先に着替えて、自分の荷物からタロットカードを取り出した。

 

 何と言うことは無いが、今日の決勝戦の行方を占おうと思っただけだ。

 この結果は自分の胸の内だけにしまっておき、多人に明かすつもりはない。

 もしも悪い意味のカードを引き当ててしまったら、そのジンクスがファイター達の士気に関わりかねないからだ。

 仮にマユやイツキが占ってくれとせがんできたら、有料になると言って諦めさせるつもりなのだが。

 

 極力音を立てないようにタロットカードをシャッフルし、少しだけ集中して、その中の一枚を取った。

 

 手に取ったカードは、『The Chariot』

 

「(――『戦車』の正位置)」

 

 それを見たトウカはすぐに戦車の正位置の意味を脳裏に反芻する。

 

 ――征服。勝利。凱旋。自立。出世。野望をなしとげる。困難の克服。宗教、迷信に打ち勝つ。先頭をきった最初の勝利。自力で勝ち得た成功。乗っ取り。買占め。経済的野心の成功。立身出世。力で勝ち取った恋愛。戦争。戦火。兵隊。自動車、その他乗り物。運転者――

 

「(ガンプラバトルに置き換えるならば、『自分の力を信じて戦えば勝てる』と言ったところね)」

 

 戦いに関する事柄であれば、比較的良いカードを引き当てた、とトウカは胸を撫で下ろす。

 

 二人が起きてくる前に手早くタロットカードの山札を片付けようとして、

 一番下にあったカードを取りこぼしてしまった。

 

「(・・・嫌な感じがする)」

 

 こんな奇妙な胸騒ぎ、確か前にも一度……マユが『恋人』の正位置を引き当てた時か。

 

 ――トウカはまだ知らないが、マユは既にリョウマと両想いを確かめ合い、交際関係になってはいるのだが。

 

 しかし『恋人』のカードの裏には、『死神』の逆位置が隠れていた。

 

 その時と同じ、言い知れない胸騒ぎと焦燥が早鐘を打つ。

 

「(落ち着きなさい、ミカゲ・トウカ。占いなど、しょせんは思い込みに過ぎないわ)」

 

 深呼吸をして、意を決して、残された一枚のソレを手に取れば。

 

 

 

 描かれていたのは『The Devil』――『悪魔』の正位置。

 

 

 

 ――病気。意気消沈。不況。不服。不満足。力の誤用。有益な友人を失いやすい。友人の裏切り、策謀。既婚者への愛の成就。悪への屈服。黒魔術。呪法。科学。学究――。

 

 山札の一番下にあったと言うことは。

 

「(決勝戦が終わった後に、何か良くないことが起きる、ということかしら……?)」

 

 トウカはここまでガンプラバトルに関することで四枚のカードを見た。

 

『恋人』『死神』『戦車』『悪魔』の四枚。

 

 この四枚が暗示する、この選手権の行方は如何に。

 

「(胸騒ぎは収まらない……今日の決勝戦、荒れなければいいけれど……)」

 

 しかし、不吉な前触れほど外れないものはないと言うのも、経験上身に沁みていた。

 不安と胸騒ぎを押し隠して、トウカはタロットカードを仕舞う。

 

 そろそろ、スマートフォンに設定していたアラームが鳴る頃だ。

 

 

 

 

 

 イツキ、トウカ、ハルヤ、アンリの陽動チーム四人は、リョウマが抜けた穴を埋めるべく、全員が全員背水の覚悟で戦っている。

 先程にイツキのドラゴニックガンダムがインフィニットジャスティスガンダムを撃破したとは言え、敵はまだまだいる。

 

 レジェンドガンダムが放つドラグーン・システムによるビームの雨を掻い潜りながらも、ビームライフルを撃ち返すハルヤのべギルエリス。

 反撃のビームはしかし、あっさりとレジェンドガンダムの手甲から展開されるビームシールド『ソリドゥス・フルゴール』に弾かれる。

 

 そのレジェンドガンダムの後ろからガンダムデュナメスが顔を出し、GNスナイパーライフルによる狙撃を狙っていたため、べギルエリスはすぐにその場から不規則な軌道を描いて狙撃から逃れる。

 

「チッ……さすがにやり甲斐があり過ぎるぞ」

 

 舌を打ちながらもハルヤは冷静さを保ちつつ、ドラグーン・システムの弾幕を凌いでいく。

 しかしガンダムデュナメスは虎視眈々とべギルエリスの隙を狙っており、ほんの僅か、ハルヤの意識の合間を突くようにGNスナイパーライフルのトリガーを引き――

 

 その直前に、トウカのガンダムグレモリータナトスが割り込み、ビームをナノラミネートコートで受けて見せる。

 

「すまん、助かった」

 

「お気になさらず」

 

 短いやり取りで応じ合い、トウカはガンダムデュナメスへ、ハルヤはレジェンドガンダムへそれぞれ向かう。

 

『もー、その装甲鬱陶しいんですよねぇ』

 

 ガンダムデュナメスは即座にGNスナイパーライフルを構え直し、ガンダムグレモリータナトスの関節やスラスターを狙おうとするものの、対するトウカもすぐに対応し、タナトスサイズを盾にしたり、機体の体勢を低くして、ナノラミネートコートに守られていない部位を隠しながらも加速させる。

 

「昨日のように行くとは思わないことね」

 

 GNミサイルがナノラミネートアーマーの天敵であり、それを見せ札にしてくることも知っている。

 だから、相手を出し抜く。

 

 

 

 イツキのドラゴニックガンダムはツインビームトライデントを振り回し、敵機のアルトロンガンダムのツインビームトライデントと打ち付け合い、弾き返し合う。

 

 そのドラゴニックガンダムの死角から狙っていた百錬が日本刀で斬り掛かるが、ドラゴニックガンダムはほぼノーモーションでドラゴンハングを放ち、百錬を日本刀ごと弾き飛ばす。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 直後、敵機のガンダムAGE-2がハイパードッズライフルを連射してくるが、ドラゴニックガンダムはこれも素早い機動で躱す。

 回避の最中に再び接近してきたアルトロンガンダムは、ドラゴニックガンダムの回避先に左のドラゴンハングを伸ばすが、ドラゴニックガンダムは下から上へ脚を振り上げてアルトロンガンダムのドラゴンハングを下部から蹴り上げて逸らさせ、伸び切ったドラゴンハングの首をツインビームトライデントで斬り落とす。

 

『ちっ、こいつ……』

 

『昨日と動きが違う……!?』

 

 左のドラゴンハング――すなわち左腕自体を失ったアルトロンガンダムは、ドラゴニックガンダムの立ち回りに警戒したのか、距離を取りつつランダムバインダーの連装ビームキャノンを発射、ガンダムAGE-2のハイパードッズライフルもそれに合わせる。

 ドラゴニックガンダムはツインビームトライデントを振るってビームキャノンを弾き返し、ハイパードッズライフルは躱す。

 

「だーれがお前らなんかに負けるもんか!今のあたしを止められるもんならっ、止めてみやがれ!」

 

 イツキは今、これまでにないほど感情が昂っており、なおかつ冷静さも失ってはいなかった。

 

 マユとリョウマが恋人同士になり、これからが一番楽しい時に、邪魔が入って来て、マユが奴らの奸計か何かに苦しんでいる。

 苦しむマユを助けられるのは、恋人のリョウマだけだ。

 そのリョウマの背中を守ってやると啖呵を切ったからには。

 

 答えは、猛々しく薙ぎ払われるツインビームトライデントによって示された。

 

 

 

 その傍らで、アンリのガンダムグシオンタンザナイトは、ガンダムAGE-3 オービタルと、アストレイゴールドフレーム天と交戦していた。

 

 どう言うつもりなのか、ビームサーベルすら使わずに素手で野蛮に殴りかかってくるガンダムAGE-3 オービタルのパンチをシールドバッシュで弾き、虎視眈々と隙を狙うアストレイゴールドフレーム天にはガトリングガンで寄せ付けさせないがしかし、その拮抗も長くは続かなかった。

 

 幾度目の殴りかかりでガンダムAGE-3 オービタルは、ガンダムグシオンタンザナイトのシールドに組み付くと、そのまま接続部から引きちぎってしまった。

 

「むう」

 

 これはいけません、とアンリは一度イニシアティブを取るべく距離を置こうとするが、それよりも先にアストレイゴールドフレーム天がミラージュコロイドを起動し、その黒金の姿が宇宙の中に溶け消える。

 すぐにガトリングガンを乱射して炙り出そうとするものの、しつこく張り付いてくるガンダムAGE-3 オービタルのせいで阻害されてしまう。

 

「しつこい方です」

 

 アンリは眉の毛先ひとつ動かさず操縦桿を捻り、右手に握るガトリングガンそのものでガンダムAGE-3 オービタルを殴り付ける。

 怯むガンダムAGE-3 オービタルだが、その代償にガトリングガンの砲身が歪みへしゃげてしまい、撃てなくなってしまった。

 無用の長物、とアンリはすぐにウェポンセレクターを回し、狼牙棒のランヤーパンを選択するが、ランヤーパンを抜き放つと同時に、背後から突然敵対反応が現れ――ミラージュコロイドで姿を消していたアストレイゴールドフレーム天が、既に背部のマガノイクタチを下ろしており、ガンダムグシオンタンザナイトを両肩から挟み込み、その機体エネルギーを奪い取っていく。

 激しく振動する視界の中でさえも、アンリは冷ややかに鼻で溜息をつき、

 

「全く」

 

 ランヤーパンを一度手放すと、マガノイクタチによる拘束を強引にこじ開けていく。まさに力業だ。

 マガノイクタチを掴むと、そのまま紙細工のように引きちぎる。

 マガノイクタチを破壊されたアストレイゴールドフレーム天は、慌てたように飛び下がり、

 しかしその横合いから高出力のビームが放たれ、アストレイゴールドフレーム天が脇から貫かれ、爆散する。

 

 アストレイゴールドフレーム天、撃墜。

 

「間に合ったか!」

 

 そこへ現れたのは、ケイスケのジムカラミティだ。アストレイゴールドフレーム天を貫いたのは、腹部のメガ粒子砲によるものだ。

 

「ご助力感謝します」

 

 アンリはケイスケの援護に礼を言いつつも、すぐに入れ替わるようにガンダムAGE-3 オービタルがまたも殴りかかって来たため、手放したランヤーパンも拾わせてくれない。

 

「本当にしつこいですね」

 

 相手の土俵で戦わなければならないかと、ガンダムグシオンタンザナイトは素手で構えようとするが、ジムカラミティがシールドのビームガンと頭部バルカンを連射してガンダムAGE-3 オービタルを追い払う。

 ガンダムAGE-3 オービタルの矛先がジムカラミティに向けられると同時にガンダムグシオンタンザナイトはその場を離脱し、手離したランヤーパンを拾う。

 

 少しずつ、形勢が逆転しつつあった。

 

 

 

 

 

 なおも苛烈に攻めかかってくるエビルエアリアル。

 対する俺は、ヒートブレードとビームサーベルを使い分けて、ブレイドビットと脚部ビームサーベルを凌ぎつつ、時折飛んでくるビットステイヴからのビームも躱して。

 振り抜かれる右の蹴り斬りに対して、機体を逸らすように回避し、間髪なくビームサーベルを振るって、エビルエアリアルの右脚を切断し、続けて振り降ろされる左のブレイドビットはシールドで受け流して、ヒートブレードで左腕を斬り落とす。

 エビルエアリアルのバランスが崩れたところに距離を詰めて、左脚と右腕も破壊して達磨にする。

 すると、周囲を鬱陶しく飛んでいたビットステイヴがエビルエアリアルの周りに集まり、守るようにビームを放ってきたので、これは回避し――

 

 やはり予想通りと言うべきか、斬り落としたエビルエアリアルの手足の切り口の中が蠢き、元の形を形成していく。

 

 DG細胞の何が厄介って言うとコレだ、三大理論のひとつ、『自己再生』だ。

 いくら機体を破壊しても、コアユニットが生きている限り、DG細胞に感染した機体は何度でも再生してしまう。

 

 だからこそ、『付け入る隙がある』。

 

 操縦桿を押し倒してオリジネイトを加速させ、ビットステイヴからのビームを最小限のモーションで躱しながらも装甲で受けつつビームサーベルをランドセルに戻し、もう片方のヒートブレードも抜いて、エビルエアリアルの再生中の両腕にヒートブレードを突き刺す。

 だが切断はしない、ヒートブレードを中途半端に突き刺したままにしておくのだ。

 すると自己再生の最中であった両腕は、中途半端に再生を阻害され、その蠢きが鈍る。

 やはり見立て通りだ、自己再生中のところを阻害してやれば、再生速度は鈍化する。

 ヒートブレードから手を離し、そのままエビルエアリアルに組み付く――愛する者を離さないと言わんばかりに。

 

 ドモンとレインの場合は、ドモンの愛を受けたことで両想いを自覚したレインの精神の昂りがDG細胞を跳ね除けたが、俺とマユの場合はもう既にお互いの気持ちを確かめ合っている。

 ここで俺が「お前が好きだ!お前が欲しい!マユーーーーーッ!!」と叫んでも、ドモンが為したそれほどの効果は見込めないかもしれない。

 

 ・・・だから俺が為すべきは、ドモンのそれを上回る『破廉恥なこと』だ!

 

 オープン回線に切り替えて、大きく息を吸い込んで――

 

 

 

 

 

 トモエのフルコマンドガンダムMK-IIは、もはや出し惜しみをしている場合ではないと、左翼のミサイルとガトリングガンを撃ちまくって、大喬ガンダムアルテミーの撃破を狙うものの、体躯の小さく素早いSDガンダムにはあまり有効な手とは言えなかった。

 ガトリングガンの砲弾は躱され、ミサイルは三色響弦のガトリング砲に迎撃され、弾幕が止まれば斧形態になって斬り掛かってくる。

 ビームライフルとバルカンポッドで迎撃しつつもビームサーベルで斧形態の三色響弦と打ち付け合うフルコマンドガンダムMK-II。

 しかし、疑似覚醒システムによる強化を受けている大喬ガンダムアルテミーのパワーの前には防戦一方であったが、それでも粘り強く戦線を保って見せている。

 

『システムの恩恵で、こっちの方が優位のはずなのに……!』

 

「あら、ガンプラの性能の違いで勝負が決まるわけじゃないの、知ってるでしょう?」

 

 弾き返し合い、大喬ガンダムアルテミーは三色響弦の斧刃で斬り掛かるものの、フルコマンドガンダムMK-IIは右翼を失って崩れたバランスを逆に利用し、不安定だが不規則で先読みされにくい機動で立ち回っている。

 

 そして、その粘りが功を奏した。

 

「無事か、トモエ!」

 

 先程、ナインティワンをあっさりと撃破してみせた、アマネのゼイドラ・スタインが、ゼイドライフルを連射して、フルコマンドガンダムMK-IIから大喬ガンダムアルテミーを追い払う。

 

「もう、遅いわよアマネ」

 

「無茶を言うな、これでも急いだ方だ」

 

 そうして、フルコマンドガンダムMK-IIを守るようにゼイドラ・スタインが回り込む。

 

『そんなっ、もう倒して来たの……!?』

 

 大喬ガンダムアルテミーが動揺したようにたじろぐ。

 

「フッ、いかに優れたファイターのデータを用いたところで、しょせんは人形に過ぎんよ。作るならせめて、私のデータを組み込むべきだったな」

 

 ともかく、形勢は逆転した。

 そこへ、

 

 

 

『マユーーーーーッ!!』

 

 

 

 オープン回線に乗せられ、リョウマの叫びが轟く。

 

 

 

『君をっ、抱かせてくれーーーーーッ!!』

 

 

 

「「『えぇーーーーー!?』」」

 

 アマネとトモエ、ついでに相手のチサさえも驚愕した。

 

 ちなみにこの絶叫、オープン回線で全員に聞き渡っており、陽動チームにも、ヤコにも届いている。

 

 

 

 

 

「君をっ、抱かせてくれーーーーーッ!!」

 

 力の限り、叫ぶ。

 マユが俺のことを好いてくれているのは知っているし、彼女も俺が押し倒してキスしたいくらい好きなのも知っている。

 だから、『その先のコト』がしたいと叫んだ。

 

 えっちだの破廉恥だの助平だの変態だの、だからなんだ?

 男も女もみんな根底にあるのは、えっちで破廉恥で助平で変態なことである。

 

 無論、これは建前ではない、俺の魂の叫びだ。

 

 愛という名の生殖本能(えっち)を求める……これが、俺に出来るDG細胞への攻撃だ。

 

 自己再生、自己進化、自己増殖の三大理論を持つデビルガンダム=DG細胞。

 

 しかしそこには、生物本来の"営み"が存在しない。即ち、DG細胞には『種を増やす』ことは出来ても『何故それを行なうのか』を理解することが出来ない。

 だからこそ、(究極的に)男女の"営み"を求めた、「お前が欲しい」と言うドモンの叫びに、レインは応えることが出来たのだ。

 

 さぁ、届いてくれ――

 

 ………………

 

 …………

 

 ……

 

 ダメ、か……?

 まだ付き合い始めたばかりなのに「えっちがしたい」なんて、気が早すぎたか……?

 

 一瞬、俺の精神が揺らぎかけた、その刹那。

 

 

 

「リ ョ ウ マ く ん ッ !?」

 

 

 

 突如、エビルエアリアルの紅黒の外装が砕け、その下から本来のファラリアルの白い装甲が現れ――

 

 ブッピガンッ!!

 

 と、ファラリアルの平手打ちがオリジネイトの頭部に炸裂した。

 

「ひ、ひ、人前で……なんてえっちなこと言うの!?」

 

「マユ!良かった、正気に戻ったんだな!」

 

「え?……あ、あれ?なんか意識飛んでた……じゃなくて!」

 

 怒ったと思ったら正気に戻ったと思ったらまた怒るなんて器用なことしますね。

 

「しかもっ、今のオープン回線でしょぉ!?リョウマくんのカミングアウト、みんなに聞かれてるよ!?」

 

「みんなに俺達の関係を知ってもらうには、絶好の機会だったということで」

 

「〜〜〜〜〜ッッッッッ!!」

 

 モニター越しですらマユの顔がトランザムしてるのがよく分かる。

 

「それよりマユ、早くみんなの援護に行こう。俺達のために作戦を台無しにしてくれたんだ」

 

「もうっ、あとで覚えといてよ!」

 

 ぷぅぷぅ頬を膨らませながらも、ファラリアルを再起動させていくマユ。

 

 見れば、ファラリアルの背部のシェルユニットの塊は、いつの間にか蒼い輝き――パーメットスコア6に達しているし、胸部シェルユニットもDG細胞が剥がれ落ちている。

 

 この輝きが反撃の狼煙だ、さぁチーム・フォルテよ、覚悟しやがれぃ。

 

 

 

 

 

 リョウマのオープン回線に乗せた特大の爆弾発言は、バトルに参戦している全員に聞こえている。

 

「ぶわっはははははっ!!オウサカめ、やりよったわ!」

 

 げらげら笑いながらも、ザクシュヴァルツクーゲルを操縦する手は止めないヤコ。

 それと対するガンダムキマリスは、

 

『くっ……どうなっているんだ、このザクは!?』

 

 グングニールを構えた突進ですら追い付けない殺人的な機動性、少しでも距離が開けばマシンガンやアサルトライフルが関節やスラスターを執拗に狙い、それを嫌って速度を落として回避しようとすればその先にミサイルやバズーカの砲弾が回り込んでくる。

 おかげでガンダムキマリスの高貴な藤色のナノラミネートアーマーはいくつも焼け爛れて破損している――ザクシュヴァルツクーゲルの損傷はほとんど見られない、一方的な有様だ。

 

 加えて、先程のリョウマのオープン回線に乗せた爆弾発言に動揺してしまったせいで、ミサイルにグングニールを吹き飛ばされてしまった。

 すぐにコンバットナイフを抜いて対応しようとするが、サブアーム二本によるヒートホーク二丁目の乱撃に加えて、ザクシュヴァルツクーゲル本体はスレッジハンマーで殴りかかってくる。

 足を止めての斬り合いはガンダムキマリスの望むところではないのだが、

 

「そら、隙だらけだぞ」

 

 弾き返されたところにザクバズーカを撃ち込まれ、左脚部のブースターに炸裂、推進部を爆破されてしまう。

 脚部のブースターはガンダムキマリスの高機動を支える生命線だ、これを失った今、機動性は大幅に落ちる。

 

 そして、弱った敵を見逃してやるほど、ヤコは甘くはない。

 

 フラフラと不安定な姿勢制御しようとするガンダムキマリスへ瞬時に接近、組み付くと。

 

「無ゥ駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄、無駄ァ!!」

 

 ヒートホークもスレッジハンマーも使わずに、素手でタコ殴りにする。

 しかしその五十発にも及ぶ殴打が一発打ち込まれるごとにガンダムキマリスの装甲が砕け、フレームがへしゃげ、

 

『お、俺様がっ、こんな、ところで……ッ!!』

 

 最後の「無駄ァ!!」と共にぶち込まれた一撃が、ガンダムキマリスのボディを粉砕してみせた。

 

 ガンダムキマリス、撃墜。

 

「んくっ、んくっ、んぅむっ……ぷはァ!バトル中の一杯は、最高にハイッて奴だな」

 

 そしてバトル中にも関わらず『夜半の蒼月(ルナティクス・ブルー)』をグビグビと飲んだくれる。ほんとマイペースだなこの人。

 

 

 

 

 

 リョウマによってぶちかまされたカミングアウトに暫し思考が停止していたアマネとトモエだが、それによってガンダムエビルエアリアルが外装を吹き飛ばし、元のガンダムファラリアルに戻ったのを見て我に返る。

 

『嘘っ、あんな破廉恥な告白でDG細胞を跳ね返すなんて!?』

 

 驚く大喬ガンダムアルテミーの頬にピンク色の『////』が浮かぶ。

 

「あらあらまぁまぁ、オウサカくんったら♪」

 

「素晴らしい、まるでファイターの魂が形になったかのようだ」

 

 トモエは嬉しそうに微笑み、アマネは仏頂面のままノイエ・ジールを見たアナベル・ガトーのような台詞を反芻する。

 そして、この中で最も冷静でいち早く戦闘を再開したのはアマネだ。

 

 瞬間、ゼイドラ・スタインが加速してゼイドラソードで斬り掛かると、大喬ガンダムアルテミーは三色響弦の斧刃で受ける。

 

 一撃、二撃、三撃、四撃、五撃……とゼイドラソードと三色響弦が激しく打たれ合い――六撃目が打たれる寸前、ゼイドラ・スタインは突然上方向へ上昇した。

 大喬ガンダムアルテミーはそれを咄嗟に目線で追い――そのゼイドラ・スタインの背後から現れた、ビームサーベルを抜いたフルコマンドガンダムMK-IIの接近に気付くのが遅れてしまった。

 

「お姉さんを忘れてもらっちゃ、困るわね!」

 

 振り抜かれるビームサーベルの一閃が、大喬ガンダムアルテミーを深々と斬り裂き、爆散せしめた。

 

『リョウくん……リョウ、くんっ……!』

 

 大喬ガンダムアルテミー、撃墜。

 

 

 

 

 

 これだけではない、リョウマのカミングアウトが齎した影響は特に、ガンダムAGE-2、アルトロンガンダム、ガンダムデュナメスにも波及していた。

 

『嘘でしょ……!?』

 

『いやいや、さすがにこれはちょっと予想外かな……?』

 

『イヤー!あたしのリョウマ先輩がぁー!!』

 

 見るからに挙動に動揺が見られる三機。

 

 残念ながらガンダムAGE-3 オービタル、レジェンドガンダム、百錬の三機には通じていないようだが、それでもそれは十分すぎるほどの隙になった。

 

「何がなんだか知らんが、好機に変わりはないっ!」

 

 ハルヤのべギルエリスはドンッと加速して、先程から厄介なドラグーン・システムによる波状攻撃を仕掛けて来ているレジェンドガンダムへ攻め立てる。

 ビームライフルとビームキャノン、ビームバルカンを撃ちまくり、レジェンドガンダムはソリドゥス・フルゴールによる防御をさせて足を止め、同時にドラグーン・システムを放ち、べギルエリスを寄せ付けまいと弾幕を張りつつも、大型ドラグーンからはビームスパイクを発振させて攻撃させるが、

 

「そんな手緩い攻撃が、通用するものかよ!」

 

 べギルエリスはさらに加速、放たれるビームは加速でやり過ごし、ビームスパイクを生やした大型ドラグーンは、ビームサーベルで叩き斬り、ついにレジェンドガンダムの喉元まで迫った。

 レジェンドガンダムは両脚内部からビームジャベリン『ディファイアント改』を抜き放ち、アンビデクス・ストラスハルバードとして連結してべギルエリスを迎え撃つ。

 

 ビームサーベルとディファイアント改が何合と打たれ合い、レジェンドガンダムは残るドラグーン・システムを全て用いてべギルエリスへ攻撃させようとするが、そこへ別の攻撃端末が割り込み、ドラグーン・システムが次々に撃ち落とされていく。

 

「アサクラ先輩、援護します!」

 

 それは、マユのガンダムファラリアルが放ったビットステイヴだ。どうやら元に戻ってくれたらしい。

 

「ありがたい、助かったぞ」

 

 マユからの援護を受けたハルヤは、さらにレジェンドガンダムを押し込んでいく。

 ドラグーン・システムを失ったレジェンドガンダムは、連結していたディファイアント改を切り離しての二刀流にして対抗しようとするが、手持ちのビームサーベルとシールド内蔵のビームサーベルによる変則的な二刀流で攻めるべギルエリスに押され始め、

 不意に右のディファイアント改を突き出すレジェンドガンダム。

 しかしハルヤの反応も早く、左脚を振り上げて鉤爪状のフットユニットでレジェンドガンダムの右腕を挟み込み――VPS装甲のそれすらも捩じ切ってみせた。

 すかさず右のビームサーベルを振り下ろすべギルエリスに、レジェンドガンダムは左腕のソリドゥス・フルゴールで防ぐが、

 

「甘かったようだな」

 

 間髪なく左腕のシールドのビームサーベルを胴体に突き込まれ、コクピットを焼き斬ってみせた。

 

 レジェンドガンダム、撃墜。

 

 

 

 

 

 いいねいいね、ここまで形勢不利だったのに、みんなの奮戦がお互いの気力を高め、少しずつ形勢を押し返しているこの空気感。

 

 ここまで撃破しているのは、インフィニットジャスティス、ナインティワン、ゴールドフレーム天、大喬ガンダムアルテミー、キマリス、レジェンドの六機、あと五機か。

 

 そして、ここまで誰も撃墜されてない。いや消耗は確かにしてるだろうけど、撃墜判定は受けてないのだ。

 

 よし、俺も頑張ろう。

 

 オリジネイトを加速させ、それにファラリアルも追従してくれる。

 ファラリアルはビームアルケビュースを失ったものの、五基のビットステイヴは健在なので、それを使った援護射撃をしてもらうのだ。

 

 イツキのドラゴニックは、AGE-2とアルトロン、百錬を相手に三対一で互角以上に戦っている。すげぇ。

 

 ミカゲさんのグレモリータナトスは、デュナメス一機を相手しているが、危なげなく立ち回っている。

 

 ケイスケ先輩とアンリ嬢はAGE-3 オービタルを追い詰めている。

 

 ならここは、イツキの援護に向かおう。

 

 オリジネイトをその位置へ急行させ、ハイパーバズーカを構え、わざと狙いを甘くして、発射、発射、発射。

 

 AGE-2は躱し、アルトロンはバルカンで撃ち落とし、百錬は日本刀で弾頭だけを斬り落とす。

 

「リョー!マユもか!」

 

 イツキがすぐに反応し、ドラゴニックがこちらに向かってくる。

 

「悪い、待たせたな」

 

「ごめんね、イツキ」

 

「いいってことよ!それよりリョー、やるじゃん!」

 

 ニヤニヤしたイツキの顔がモニターに映る。

 

「抱かせてくれー!ってすっげぇ斬新な告白だよな!」

 

「ちょっ、やめてよイツキ!」

 

 マユは慌てて止めようとするが、悪いが今ちょっとそれどころじゃないので。

 

「二人ともまだ終わりじゃないぞ、集中してくれ」

 

 それを聞いて、ファラリアルとドラゴニックがバッと身構えた。

 対するAGE-2、アルトロン、百錬も身構え直す。

 相手は疑似覚醒システムで性能が上がっているが、その程度で実力派の相手は覆せんよ。

 

「行くぞマユ!イツキ!」

 

「「おぉーっ!!」」

 

 

 

 

 

 トウカのガンダムグレモリータナトスは、確実に着実にガンダムデュを追い詰めていた。

 GNスナイパーライフルやGNビームピストルからのビーム射撃は、ナノラミネートコートでしっかり防ぎ、GNミサイルのハッチが開かれたら、そこへ腕部機関砲の存在をチラつかせて、「ミサイルを撃つフリをするのも危険」だと思わせる。

 

『あーもー、装甲だけじゃなくて戦い方も鬱陶しいですねぇ……!』

 

「お互い様よ」

 

 ガンダムデュナメスの挙動に"苛立ち"が見え隠れし始めたのを見て、トウカは「そろそろ仕掛けるべきか」と思考を回す。

 タナトスサイズを構え直し、ガンダムグレモリータナトスは敢えて真正面から加速、突撃する。

 その際に、左腕の腕部機関砲を構えながら。

 しかしガンダムデュナメスは迎え撃つ素振りも見せない。

 

「(何か仕掛けてくる?)」

 

 瞬時にトウカは、心の中で警戒した。

 迎え撃つ手段と時間がありながらそれをしないと言うのは、罠である可能性が高いことを、アンリとのバトルで骨髄に刻み込まされているが故の警戒だ。

 そしてその警戒が正しいものであることはすぐに証明された。

 

『トランザム!』

 

 するとガンダムデュナメスは、圧縮粒子を全面に解放し、赤い輝きを放つ――トランザムを起動した。

 ガンダムグレモリータナトスが間合いに踏み込んでくるよりも先に加速し、死角へ回り込み、

 

『これでいただきですよー!』

 

 フロントスカート、膝内部からGNミサイルを全弾発射、ナノラミネートコートを食い破らんと迫るが、

 

「そんなことだろうと思ったわ」

 

 トウカは至極冷静に――GNミサイルの群れにタナトスサイズを投げ付けた。

 ぐるぐると回転しながら放たれるタナトスサイズは次々にGNミサイルを破壊しながら、ガンダムデュナメスへ突き進む。

 

『えっ、ちょっ、そんなんアリですか!?』

 

「平然とレギュレーションを無視している人に言われたくないわね、客観性が欠如しているのかしら」

 

 ガンダムデュナメスは咄嗟にGNスナイパーライフルを撃ち、タナトスサイズを弾き飛ばすが、ほぼ間髪無くその斜め下辺りからガンダムグレモリータナトスが急速に迫る。

 

「終わりよ」

 

 するとガンダムグレモリータナトスは右マニピュレーター――タナトスネイルで貫手を放ち、ガンダムデュナメスのバイタルパートをぶち抜き、そのゼロ距離で腕部機関砲を連射した。

 

『あっ、ちょっとっ、今の無し!無しでお願』

 

 ガンダムデュナメス、撃墜。

 

 

 

 同じ頃、ケイスケのジムカラミティと、アンリのガンダムグシオンタンザナイトもまた、ガンダムAGE-3 オービタルを追い詰めていた。

 やはり素手で殴りかかってくるガンダムAGE-3 オービタルに、ジムカラミティは敢えてシールドを突き出した。

 疑似覚醒システムによって膂力の向上した一撃は、シールドを一撃で打ち砕いてしまう。

 が、それはケイスケの予測範囲内であり、シールドを殴り砕かれる寸前に左腕のアタッチメントからシールドを切り離し、

 

「そらよっ!」

 

 最後の一発であるハイパーバズーカを発射、ガンダムAGE-3 オービタルへ直撃させる。

 

 しかしこれだけでは倒しきれなかったか、左腕を失ってなおも突撃してくるガンダムAGE-3 オービタルに、ケイスケは「しつっけーな」と苦笑する。

 

 ジムカラミティはその場で飛び下がり――ガンダムAGE-3 オービタルはそれを追いかけようとしたところに、ガンダムグシオンタンザナイトがランヤーパンを構えながら割り込んで来た。

 

「おしまいです」

 

 振り下ろされるランヤーパンに、ガンダムAGE-3 オービタルは真正面から拳で打ち砕こうとするが、あまりも重質量が違い過ぎるそれとの衝突による軍配は、前者に傾いた。

 

 狼牙棒の重絶なる一撃が、ガンダムAGE-3 オービタルを粉砕する。

 

 ガンダムAGE-3 オービタル、撃墜。

 

 

 

 そこからは、まさに一気呵成と言うべきだった。

 

 俺のオリジネイトとイツキのドラゴニックが突撃し、その一歩後ろをマユのファラリアルのガンビットが的確に援護してくれる。

 百錬にビーム射撃は効かないので、腰のレールガンを撃ち込みつつも、ビームライフルとビームガンでそれぞれAGE-2とアルトロンを牽制、ガンビットもそれに続いてくれる。

 

 レールガンを躱す百錬に、その隙をついてドラゴニックが一気に飛び込んでいく。

 

「おりゃぁっ!」

 

 迷いなく突き出されるツインビームトライデントに、百錬は日本刀で弾き返し、返す刀でドラゴニックを斬り捨てようと迫るが、

 

「こっちにもあるんだぜ!」

 

 ツインビームトライデントは囮、本命は下と側面の両方から放ったドラゴンハングによる挟み撃ち。

 下からのドラゴンハングが日本刀に噛み付いて動きを封じると同時に、側面のドラゴンハングが百錬のボディに喰らい付き、

 

「こいつで、終わりだ!」

 

 その距離から頭部のバルカンを全弾撃ち尽くす勢いで撃ちまくる。

 バルカンの銃弾を撃ち込まれて仰け反る百錬に、喰らいついていたドラゴンハングがついにコクピットを噛み砕いてみせた。 

 

 百錬、撃墜。

 

 残るは、AGE-2とアルトロンのみ!

 

『諦めるわけにはいかない……!』

 

『随分邪魔をしてくれたものだね』

 

 ツインビームトライデントを抜いたアルトロンが前に出て、その一歩後ろをAGE-2が追従する形だ。

 

 だがそれはこちらも同じだ、前に出る俺を、マユのファラリアルが援護してくれる。

 

 振り抜かれるツインビームトライデントにビームサーベルを打ち付け合い、側面から狙ってくるAGE-2にはファラリアルのガンビットが纏わりついて、敵の援護を阻害する。

 

 ビームサーベルでツインビームトライデントを弾き返し、即座に右腕のグレネードランチャーを発射、アルトロンの右脚を吹き飛ばす。

 

『っ……やってくれるね……!』

 

 吹き飛ばされるアルトロンは、ツインビームトライデントを手にしたまま、ドラゴンハングのアームブロックを伸ばしてカウンターを仕掛けてくるが、それは過去の異世界転生でガンダムヴァサーゴと戦った時に知っているので、

 

「遅い!」

 

 カクンとオリジネイトの姿勢を低くしてツインビームトライデントをやり過ごすと同時に斬り上げ!

 

 これぞ必殺、『アムロ居合い切り』である。

 ランバ・ラルのグフの一撃を躱しつつ、カウンターで両腕を斬り落として見せた、アムロ・レイの神業のひとつだ。

 他には何があるって?ジェットストリームアタックの踏み台回避とか、『ギャロップを押し止めながら片腕でザクを放り投げてマゼラトップにぶつける』とか、『輸送機でアッシマーに特攻しつつ自分はパラシュートで脱出』とか……まぁ凡そ人間業のそれとは思えないな。

 

『なんっ……!?』

 

 両腕を失ったアルトロンは、ランダムバインダーのビームキャノンと頭部のバルカンを連射するものの、ビームキャノンは躱して、バルカンの銃弾は装甲で受けつつ接近して、ビームサーベルで一閃!

 

 アルトロンガンダム、撃墜。

 

 そのアルトロンの爆風を切り裂きながら、ビームサーベルを抜いたAGE-2が突撃してくる。

 斬り結ぶ、ビームサーベル。

 

『オウサカくん!どうして……どうして思い出してくれないの!?』

 

 叩きつけられる、AGE-2のファイターの激情。

 聞き覚えのある女の子の声……だが、俺はそれを思い出してはいけない。

 

『チサちゃんやコノミちゃん、リン先輩、ナガイくんだって……みんなあなたを待っていたのに!』

 

「悪いがそのお願いには答えられない」

 

 ビームサーベルを弾き返し、蹴り飛ばし、そこへファラリアルのガンビットが追い撃ちをかけるが、AGE-2は肩のバインダーを翻して瞬時に姿勢制御、ハイパードッズライフルとビームサーベルでガンビットを撃ち落とした。

 

『オウサカくんがいないと、私達の"原作"はエタったままなの!終わることさえ出来ないのに!』

 

 が、そこへレールガンを撃ち込み、AGE-2の右脚と右腕を破壊する。

 

「俺は、君達が言うところの、"原作"のオウサカ・リョウマじゃない」

 

『嘘よ!ちゃんと思い出してよ……私を、『シミズ・ミヤビ』を!思い出して!お願いよ!』

 

 残された左腕のビームサーベルで斬りかかるAGE-2。

 

 が、その寸前にAGE-2の両脇へ、ビームサーベルを発振させたガンビットが突き刺さった。

 

「――人の彼氏に、色目使わないで」

 

 それを見下すように、ファラリアルが頭部のビームバルカンを撃ち込んだ。

 

『どう、して……どうし、て……オウサ』

 

 ガンダムAGE-2、撃墜。

 

 さて、これでチーム・フォルテA、Bチームの同盟チームは全て倒した……が、『まだバトルが終わったわけではない』。

 

「ん?あそっか、ビルドシンフォニーとセイントエスパーダは、同盟は組んでるけど、同じチームじゃないんだっけ?」

 

 バトルが終わらないその理由を察したイツキは、「ここからはビルドシンフォニーVSセイントエスパーダのバトルになる」ことを読み取った。

 

「互いに消耗した状態でか……だが、勝ちは譲らん」

 

 アサクラ先輩のべギルエリスが、両のビームサーベルを構え直す。

 それに呼応するように、アンリ嬢のグシオンタンザナイト、ゴジョウイン先輩のゼイドラ・スタイン、シノミヤ先輩のフルコマンドガンダムMK-II、ヤコさんのザクシュヴァルツクーゲルが身構えて向き直ってくる。

 

 つーか、ゼイドラ・スタインとザクシュヴァルツクーゲルはほぼ無傷じゃん!?どうしよう、ただでさえまともに戦っても勝てないんだぜ!どうするんだぜ!?

 

「いいや……全員、ただちにリタイアしろ」

 

 そこへ、ヤコさんが全員に対してリタイアを促してきた。

 

 ほぼ同時に――地の底を揺るがすような地鳴りが発生した。

 

「な、なんだ、地震?でかいな……!?」

 

 ケイスケ先輩は地震が発生したと思ったようだが……

 

「いや……この揺れ方は普通じゃないです」

 

 爆発のそれとは違う、もっと何か……こう、異世界的に言えば、地中から巨大なモンスターが現れた時のような……

 

「ッ!全員形振り構わず逃げろッ!!」

 

 途端、ゴジョウイン先輩が叫んだ。

 

 

 

 

 

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