ガンダムブレイカー・シンフォニーRe:BREAK   作:さくらおにぎり

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最終回です。


最終話 もう二度と離さないから

 ………………

 

 …………

 

 ……

 

 

 

 

 

 ……

 

 …………

 

 ………………

 

 

 

「………………ん?」

 

 ――ぁあ、久しぶりだな。

 

 この、"自我"が再起動した時の痛みと快楽が綯い交ぜになったような感覚は。

 

 最後、俺はどうしたんだっけ?

 

『あなたは、『ガンダムブレイカー・シンフォニー』の世界を守るためにデビルガンダムと戦い、肉体と魂の負荷を省みずにチートスキルを多用し、勝利と引き換えに――大切な人達を悲しませたのです』

 

 この声は……女神様か。

 

 ……そうそう、俺はデビルガンダムを倒して、ルール違反の代償に魂を失ったんだっけ?

 

 あれ?でも俺の"自我"は生きてるな?

 

「女神様……俺は、魂が死んだはずでは?」

 

『えぇそうです。崩壊したあなたの魂は、アカシックレコードのデータの海に飲み込まれて放置されるはずでした――が、私が寸前でアカシックレコードにアクセスしてブロック、ギリギリのところであなたの魂をサルベージし、破損してしまったあなたのデータを復元しました』

 

 そうなのか、お手を煩わせてしまったな……けど、なんで?

 

「どうしてまたそんなことを……」

 

『あなたがここで退場しては、"ハッピーエンド"にならないから

です』

 

 ハッピーエンド?とオウム返しに訊き返すと。

 

『考えてもみなさい。こんな希望もクソもヘッタクレも無い、無理矢理完結させたような中途半端なバッドエンド、果たして読者の反応は?』

 

「……不満のオンパレードですね」

 

『そうでしょう。故に私は、あなたに"ワンチャンス"を与えに来たのです』

 

 やべー、ワンチャンあるわー。

 

「そのワンチャンス、と言うのは?」

 

 

 

 

 

『オリジナルのオウサカ・リョウマを倒し、あなたが真のオウサカ・リョウマとなるのです』

 

 

 

 

 

 ………………

 

 …………

 

 ……

 

 

 

 

 

 ――彼が、リョウマくんがこの世を去ってから、二ヶ月が過ぎようとしていた。

 

 結局あの大会は、再戦も表彰も閉幕すらされず、何事も無かったかのように終わってしまった。

 

 ゴジョウイン先輩やシノミヤ先輩の根回しにより、リョウマくんは表向きは休学扱いとして、一応創響学園のウチのクラスに所属はしているけれど、その空席が二度と埋まることは無いことを、わたし達は知っている。

 

 あの後、イツキが教えてくれたけど、リョウマくんは異世界転生者で、本来ならナカツ・チサさん達一派と一緒にいたはずの『本物のオウサカ・リョウマ』なる人物に転生し、わたし達の元に現れたのだと言う。

 なんでもリョウマくんは、異世界転生の女神様に何千年も仕えていて、何度も異世界転生を繰り返してきたのだとか。中には本物のガンダム世界に転生したことだって何度もあると言うのだから、ガンプラバトルがあんなに強いのも納得。

 

 ……わたしにとっては、そんな"設定"なんてどうでもよくて。

 

 ただ、リョウマくんと一緒にいたくて、恋人同士になったんだから、二人で一緒に色んなことをしたくて、……もちろんえっちなことも、ね。

 

 でも、それももう全部出来なくなった。

 

 わたしの初恋は実りはしたけど、その実が落ちるのはあまりにも早すぎた。

 

 このまま、リョウマくんのことを忘れてしまう方がいいのではないかと、何度思ったことか。

 

 けれど、教室に来る度に、部室に来る度に、彼の優しい顔と声が脳裏に鮮明に映り、ハッキリと聴こえる。

 

 なんて未練がましい……でもしょうがない、わたしはそれだけ彼のことが好きで好きで堪らなかったのだから。

 

 いつかある日突然戻って来るんじゃないかって、毎日心のどこかで期待して、勝手に落胆して……そんな日々を繰り返してばかり。

 

 今日もリョウマくんは来なかった、と部活を終えて下校していたら、

 

「ねぇ君可愛いね、ちょっと俺とお話しない?」

 

 鬱陶しいのに絡まれた。

 しかも後退ろうとしたら背中には壁。

 

「あの、わたし急いでるんですけど」

 

 あからさまに嫌そうな顔をしてみせても、暖簾に腕押し。 

 

「まぁまぁいいじゃないの、ちょっとそこまでだし」

 

 こんな相手のことを慮れない人のどこに魅力があるのか。

 もういいから早く諦めてほしい……

 

  

 

「わたしメリーさん。今、あなたの後ろにいるの」

 

 

 

「え?」

 

 え?

 今、なんだか聞き覚えのある声が……と思った瞬間には

 

「なっ、がっ!?」

 

 目の前の人が面白いくらいくるっと飛んでいった。

 

 ポカンとしているわたしを尻目にしておいて。

 

「てめっ、何しやが……」

 

 起き上がろうとしたので、その人は重心を崩してもう一度ポイッと。

 

「い、でぇ!?」

 

 仰向けに倒れたところを、顔を踏みつけようと足を振り上げれば、

 

「ひっ!?」

 

 咄嗟に腕で顔を守ろうとしたけど、それは意に介さず、すぐ横の地面を、足音を立てるように踏みつける。

 

「……へ?」

 

 腕を解いて顔を晒したので、すかさず胸ぐらを掴んで強引に起き上がらせて、もう一回投げ飛ばした。

 

「い、ぎっ!?ゲホッゴホッ……す、す、すいませんしたぁ!」

 

 咳き込みながら慌てて逃げていくのを見送って――

 

 

 

「大丈夫か、マユ」

 

 

 

 そこにいたのは、あの日から一時も思い浮かべなかったことは無かった、

 

「リョウマ、くん……リョウマくん……っ!?」

 

 

 

 

 

 無事、女神様に「リョウパンマン、新しい肉体よ!」とでも言わんばかりに、新しい肉体を創造してもらい、オリジネイトガンダムもそのまま送ってもらい、二ヶ月ぶりに自宅に帰ってきたと思ったらもう晩飯時。

 二ヶ月ぶりに開けた冷蔵庫の中身は、ほとんどが期限切れや、傷んだ食材ばかりだったので、しかたなくスーパーで買い物ついでにコンビニ弁当を買って帰ろうとしたら、

 

 ――なんかこう、すごい既視感を感じたのだ。

 

 そう、俺の恋人が、下半身のチンチンをピラピラさせたようなチンパンにパンパン(意味深)させられそうになっていたので、いつかのように「わたしメリーさん。今、あなたの後ろにいるの」と告げてポポポイっと。

 

「遅くなってごめんな、ちょっと天界(むこう)で色々あっ……」

 

 色々あったんだよ、と言いかけたところに、マユが超級覇王電影弾(大間違)を繰り出してきた。

 

「ばか!ばかばかばか!リョウマくんのばかぁ!!」

 

 そのまま、ポコポコと俺の身体を握り拳で叩きまくる。痛いです痛い。イテ、イテテ。

 

「もう……もうっ、帰ってこないって、思ってたよぉ……っ!」

 

 せっかく恋人同士として付き合うようになって、まだ一日も経ってないのに二ヶ月もお預けにされたんだ、マユが怒るのも無理もない。

 

「でも……良かった……おかえりなさい……っ!」

 

「あぁ……ただいま、マユ」

 

 彼女の背中にそっと手を回して、優しく抱きしめる。

 二ヶ月ぶりのマユの感触と匂いに、胸が暖かくなる。

 

 しばしぐすぐすと泣きじゃくっていたマユだったが、俺が買い物帰りの様子を見て、一旦離れて。

 

「…………言いたいこととか、聞きたいこととか、たくさんあるけど、リョウマくんは、買物帰りだよね?」

 

「そうなるな」

 

「……リョウマくんは、今も一人暮らしなんだよね?」

 

「そうだが……」

 

 あっ……(察し)

 

「じゃぁ……今から、わたしの家に……来て」

 

 やっぱりかぁ……

 

「え、いや、でもな……」

 

 とか言いつつも、期待はしつつ。

 

「いいの。……きょ、今日は両親どっちも遅いから……だから、ね……?」

 

 けど、マユのこの空白の二ヶ月間を想像すると、その空白期間を生み出した張本人である俺からは断わりにくいものがある。

 

 それに……俺自身も、な。

 

 だが、傷心につけ込むようになし崩し的なのは、少し狡いような気もする。

 

「――マユ」

 

 一瞬だけ迷いはしたが、緊張はしてなかった。

 俺も……おそらくはマユも、どこかでもう覚悟は決めていたのだろう。

 

 だったら俺は、その気持ちに応えたい。

 

「二ヶ月もお預けだったのはお互い様なんだ。だから、二人きりになったら、我慢できる保証は無い。と言うか無理だな……」

 

 だから、

 

「マユが俺を受け入れてくれるなら、俺は男としてはその想いに応えるつもりだ。たとえ――どんな形と結果になっても」

 

「う、うんっ……」

 

 頷くマユに促されるままに、俺は買物バッグを担いでいる側とは逆の手をマユと繋いで、彼女の自宅に案内される。

 

 この世界に戻って来ていきなりの急展開だな……

 

 

 

 

 

「せ、狭い部屋ですが……」

 

 ハイ、というわけでやって参りました、マユのお部屋。なんだかいい匂いがした。

 ちなみに、要冷蔵の食品は冷蔵庫をお借りしている。

 

「これで狭かったら俺の部屋なんか息苦しくて、宇宙空間でヘルメットのバイザーを開けてるところだな」

 

「例え方がちょっと笑えないかも……」

 

 ラーディッシュの撃沈を前にナーバスになっていたエマさんを瞬時に正気に戻させる、カミーユの狂行のことな。

 

 どこに座るべきかと視線を彷徨わせていると、

 

「あ、これ使って。普段、わたしが使ってるのだけど……」

 

「あぁ、ありがとう」

 

 座布団を差し出してくれるマユのそれを受け取るなり床に敷いて体育座り。

 

「じゃぁ、お茶を入れ……あ、リョウマくんはお弁当食べる感じかな?」

 

 マユの視線が、俺の買物バッグの中にある弁当に向けられる。

 

「いや、そんなに気を使わなくても。帰ってから食べるし」

 

「そ、そうなの?なら、お茶だけでも……」

 

 とたとたと部屋を出て、台所へ向かったのだろうマユ。

 ややあって。

 

「粗茶ですが……」

 

「いただきます」

 

 マユが淹れてくれた紅茶をエレガントに飲みつつ。

 

「……」

 

「…………」

 

「「………………」」

 

 沈黙。

 そりゃそうだろうよ、もう二度と会えないと思ってた彼氏が二ヶ月ぶりに突然帰ってきたんだ。何からすれば、何から話せば分からなくなるのも無理もない。

 

「えっ、と……まずは、おかえりなさい。いつ、帰ってきたの?」

 

 ふむ、とりあえずは無難な話題から牽制のジャブってところだな。

 

「俺の体感的には、一時間くらい前だな。本当についさっきだ」

 

 二ヶ月ぶりに開けた冷蔵庫はダメになった食材ばかりだったよ、とジョークも交えて。

 

「それで買い物に行って帰ろうとしてたら、なんか五ヶ月くらい前に見た光景が再現されてたから、ついメリーさんになってしまったな」

 

「あはは、そう言えばあの時も「わたしメリーさん」って言ってたね」

 

 おかしそうに笑うマユ。かわいい。

 

「それで……俺がいない間、そっちはどうだった?」

 

 今度は俺が質問する側に。

 

「えっと……イツキが話してくれたよ。リョウマくんは、異世界転生の女神様の遣いで、何千年も異世界転生しては死に戻りを繰り返してきたって。……普通に考えたら信じられないことだけど、"あんなこと"を目の当たりにした身としては、信じざるを得ないし」

 

 "あんなこと"。

 

 つまりは、俺がマユの前から消えていった時のことだ。

 彼女にとってはとてつもないショックで、トラウマにもなっただろう。

 

「学園側には、俺のことはどう伝えているんだ?」

 

「ゴジョウイン先輩とシノミヤ先輩が、休学扱いにしてくれてる。単なる表向きの方便のつもりだったみたいだけど、もしかしたらこうなることも想定してたのかも」

 

 なるほど、混乱を避けるためにとりあえず休学にして、落ち着いた頃合いを見てから、行方不明者として除籍するつもりだったんだろうな。

 

「そうか。明日にでも二人にはお礼を言っておかないとな」

 

 復学する際の手続きってどうなるんだろう?

 まぁそこは、休学扱いにしてくれた学生会のツイン重鎮に丸投げしておけばいいか。

 

「ところで……あの大会って、結局どうなったんだ?」

 

 チーム・フォルテA・Bの同盟チームを下したが、ビルドシンフォニーとセイントエスパーダの対決になるかと思ったら、デビルガンダムが出てきたから、大会はどう閉幕したのかと訊けば。

 

「それが……なんにも無かったの。後日の再戦も表彰も無かったし、ホームページもいつの間にか削除されてて……ほんとに、何事も無かったみたいになってた」

 

「……運営としては、今回の件は隠蔽しておきたかったんだろうな」

 

「そうかもね……」

 

 地下からデビルガンダム(本物)が出てきたんだ、そんなものが日本に隠されていたなんて世界が知ったら、とんでもないことになるだろう。

 仮にそれを問い詰められたとしても、「大会のサプライズイベントとして用意していた、1/1スケールのオブジェです」とでも虚偽説明で言い逃れするんだろうけど。

 

 まぁ、それはもういいだろう。

 

「リョウマくんは……どうやって、帰ってきたのって訊いたら、答えてくれる?」

 

 再びマユが質問する側になる。

 

「それなんだがな……」

 

 俺は、つい一時間前くらいの記憶を辿る――

 

 

 

 

 

 ――およそ一時間前。

 

 女神様から「オリジナルのオウサカ・リョウマを倒して、"真のオウサカ・リョウマ"になれ」と言われて。

 

「………………どゆことですか?」

 

 ちょっと意味が分からなかった。

 

『"本物"を偽物が倒せば、偽物だって本物になれる、ということです』

 

 ブゥンッ、と女神様はコンソールを呼び出すと、カタカタとタイピングを始める。

 

『オリジナルのオウサカ・リョウマとのガンプラバトルに勝ち、彼の肉体を奪い取ってみせなさい』

 

「つまり、オリジナルのオウサカ・リョウマを倒すには、俺自身がオリジナルのオウサカ・リョウマになることだと、そう言うことですね」

 

『そういうことです』

 

 全てを理解した。全然分かってねぇけど。

 

『あなたのガンプラはオリジネイトガンダムです。もちろん、あなた自身が改造した、強化型をそのまま反映しています』

 

「ありがとうございます。それで、オリジナルのオウサカ・リョウマとやらはどこに?」

 

『しばしお待ち下さい。二年前にエタッてしまった彼のデータをアカシックレコードからサルベージ、解析、復元中です……』

 

 すると、女神様の傍らに、青黒い短髪の鋭い目付きの青年――まるで鏡写しのように、俺と同じ顔、身体つきをしている――が現れる。

 

『このオリジナルのオウサカ・リョウマは、エタってしまった世界線のものではなく、『ガンダムブレイカー・シンフォニー』が無事に完結した"IF"の姿……本来のオリジナルのオウサカ・リョウマを上回る、まさに当代最強のガンプラファイター。……さぁ、ガンプラバトルの時間です』

 

 仮の肉体――俺が馴染んでいたオウサカ・リョウマのものに限りなく近い――を与えられ、オリジネイトガンダムもバトルシミュレーターに読ま込まれていく。

 

 ランダムフィールドセレクトは、『シンヴァツ』

 

 確かここは……木星帝国のコロニーレーザー・シンヴァツが点在する木星圏宙域だ。

 

 過去の異世界転生で、『鋼鉄の七人』全員を生存させて作戦を成功させろとか言うムリゲーを経験した身としては……うん、生きた心地はしなかったな。

 

 さて……出撃だ。

 

「オウサカ・リョウマ、オリジネイトガンダム、行きます!」

 

 

 

 

 

 出撃したのはいいが……既に戦闘が終了した後なのか、背景にいる無数のバタラは武装解除して停止しており、中破したガンダムF90インターセプトタイプとアラナ・アビジョが背中合わせで漂い、シンヴァツが静かに崩壊していく様が見える。

 

 オリジナルのオウサカ・リョウマは何を使ってくるのやら……っと、前方からアラート、すぐにその姿を捉える。

 

 オリジネイトよりも一回り小さく、額と胸部にスカルレリーフをあしらい、背部には十字状に広がるフレキシブルスラスター、その上から両肩のスカルヘッドと連結された外套のような装備のそれは。

 

「『クロスボーンガンダムX1 フルクロス』か」

 

 ただ、微妙に原典機と異なるのか、機体銘は『クロスボーンガンダムXX(ダブルエックス)1 フルクロス』と表示されている。

 

 ツインサテライトキャノンでも撃ってきそうなネーミングだが、さすがにサテライトシステムは無さそうだ。いや、もしかしたら胸部のスカルレリーフの"口"の中からサテライトキャノンの砲口が出てくるかもしれないが……さすがにそれは無理だろう。

 

 両肩のスカルヘッドはIフィールド発生装置だ、ビームライフルは全く通らないと言ってもいいので、代わりにハイパーバズーカを持たせる。 

 

 装備構成も、ご丁寧に右マニピュレーターにピーコックスマッシャー、左マニピュレーターにムラマサブラスターを持たせている。

 

 開幕一番、XX1はピーコックスマッシャーを構えると、錐揉み状に回転しながら連射する、"ランダムシュート"を放ってきた。

 

 曲射する拡散ビームと言うとても見切りにくい攻撃だが、距離がある内は落ち着いて躱せる。

 

 が、これはただの牽制だろう、こっちがビーム弾を回避している間にもXX1は急速接近、ムラマサブラスターのセーフティーを解除、刀身側面から左右合わせて合計14ものビーム刃が発振される。

 

 ディビニダドの巨躯を簡単に細切れにするほど強力な格闘武装だ、いくらオリジネイトのサーベルの出力が高いとは言え、上には上がある。

 

 ならばこちらもヒートブレードで対抗し、振り抜かれるムラマサブラスターと打ち付け合い――鍔迫り合いには持ち込ませずにすぐに弾き返し、その距離でハイパーバズーカを放つが、XX1はすぐさま頭部バルカンを速射、弾頭を撃ち落としてきた。

 

 次の瞬間にはXX1はピーコックスマッシャーを構え直し、薙ぎ払いながら照射してきた。

 

 これは少しだけ離れてから、ビームの隙間を潜り抜け――た、と思った時には、XX1はエネルギーが切れただろうピーコックスマッシャーを捨てながら最接近、ムラマサブラスターを振り抜いてくる。

 

 再度、ヒートブレードで弾き合い、イニシアティブを――取らせてくれねぇ!?

 

「クッ……!」

 

 それどころか、空いた右マニピュレーターにはビームザンバーを抜いて突撃してくる。

 

 ちなみに誤認されがちだが、トビア・アロナクスの「この瞬間を待っていたんだー!」はX1フルクロスの時ではなく、X1パッチワークの時に口走っているんだよ。

 

 こうなっては仕方ない、ハイパーバズーカを一度手放して、右マニピュレーターにビームサーベルを抜いて対抗、ヒートブレードとムラマサブラスター、ビームサーベルにビームザンバーをそれぞれ合わせて弾き返しまくる。

 

 けれどこっちが距離を置きたいと思って後ろに下がれば好機とばかり踏み込んでくるXX1。

 機動性も運動性も格闘武装の性能も向こうの方が上だ、ガチンコ勝負じゃ分が悪い……だからって既に張り付かれている状態では、イニシアティブも取らせてくれない。

 

 分の悪さくらい気合で覆せって?無茶言うな。

 

 ってやばっ、振り上げられたムラマサブラスターにヒートブレードを弾き飛ばされた!?

 

 間髪無く振り下ろされるムラマサブラスター。

 

 ――逃げたら一つ、進めば二つ!

 

「なんっ、とぉッ!!」

 

 脳裏にスレッタ・マーキュリーの祝福(のろい)の言葉を浮かべ、俺は敢えて操縦桿を前に押し出してXX1へ肉迫、左腕を振り上げて、ムラマサブラスターを持つ相手の右腕をカチ上げて食い止める。

 ムラマサブラスターのビーム刃がジリジリと装甲を焼くが問題ない、ビームザンバーはビームサーベルで食い止めて、

 

「吹っ飛べ!」

 

 レールガンをダブルセレクト、即発射、XX1を吹き飛ばす。

 だがバイタルパートをしっかり狙い撃ちする暇は無かったので、奴のフルクロスの前面装甲を貫き破っただけだ。

 しかしその衝撃によって、ムラマサブラスターとビームザンバーを手放してしまったXX1。ラッキー!

 

「今度はこっちの番だオラァ!!」

 

 拾わせはしない、ビームサーベル二刀流で一気に反撃だ!

 

 対するXX1も右マニピュレーターにビームサーベルを、左腕からはブランドマーカーを展開し、こちらの二刀流に対抗してくる。

 

 一撃、二撃、三撃、四撃と打ち合い、五撃目……と見せかけてフェイントをかけて、

 

「喰らっとけ!」

 

 右腕のグレネードランチャーを発射、XX1はブランドマーカーをビームシールドに生成し直して防ぎ、炸裂、爆煙が撒き散らされる。

 だが爆煙による目眩ましこそが俺の狙いだ、操縦桿を引き下げ押し込み、XX1の真下に潜り込もうと接近する。

 けれどXX1は右フット裏の土踏まず辺りからヒートダガーの刃を現し、それで俺を踏みつけようとしてきた、が、

 

「それは読めている!」

 

 敢えて俺はシールドを突き出して、わざとヒートダガーに貫かせ、同時に左腕のジョイントからシールドを切り離す。

 すかさず反撃のビームサーベルを、と思ったがXX1は左フット裏からもヒートダガーを引き出し、こっちは射出してきた。

 これはもう避けられないので、オリジネイトの右のアイカメラが破壊されてしまい、視界の右半分がロストするが、XX1が目の前にいるなら大した問題ではない。

 

 こちらが右のビームサーベルを振り上げれば、XX1はビームシールドで防ぎ、瞬間左のビームサーベルをビームシールドの防御範囲外から突き込めば、XX1の左腕を破壊する。

 が、向こうも反撃として、バルカンと胸部ガトリングガンを撃ちまくってくる。

 ヂュヂュヂュヂュィンと装甲に銃弾が突き刺さるが、オリジネイトの装甲強度なら耐えられる、下から上へと右脚を振り上げてXX1のボディを蹴っ飛ばす。

 

 さらに追い打ちをかけるべく肉迫するが、XX1はフロントスカート――シザーアンカーを射出し、しかしそれは明後日の方向に飛んでいったと思えば、ふっ飛ばされたはずのムラマサブラスターを掴んで戻ってきた。

 シザーアンカーを巻取り、XX1はムラマサブラスターを握り直して再度セーフティーを解除する。

 

「ここで決めるッ!」

 

 右のビームサーベルはランドセルに納め、もう片方のヒートブレードを抜き放って、XX1へ向かって加速。

 対するXX1もフェイスカバーを開いて強制放熱状態へ移行、真っ向から突撃してくる。

 好都合だ、あれこれと策を繰り出されるのは面倒なんでな。

 

 互いに間合いに踏み込み、振り抜かれるムラマサブラスター。

 これはヒートブレードで弾き返し、打ち合い、弾き返し、打ち合い――しかしさすがムラマサブラスターと言うべきか、ヒートブレードの方がパワー負けして破壊されてしまい、こちらも右腕を持っていかれた――が、ムラマサブラスターを振り抜いたその隙も待っていた!

 操縦桿を一気に押し出してXX1へ向かってタックルを仕掛け、ムラマサブラスターを持つ右腕を、ビームサーベルを持った左腕で押さえ付け、そのままXX1へ組み付いて、

 

「これでっ、終わりだ……ッ!」

 

 胸部ガトリングガンの砲口目掛けて、バルカンを撃ち尽くす勢いで撃ちまくる――ガトリングガンの砲口からバルカンの銃弾が侵入し――空洞になっているそこから、バイタルパートへバルカンのゼロ距離射撃を叩き込む!!

 

 小爆発を繰り返し――やがて、XX1は沈黙した。

 

 クロスボーンガンダムXX1フルクロス、撃墜。

 

 

 

 フゥー、さすがはオリジナルのオウサカ・リョウマ、強かったぜ。俺の方が上だったけどな。

 

『おめでとうございます。これであなたは、"真のオウサカ・リョウマ"になることが出来ました』

 

 女神様からの声が届く。

 

『復元したオリジナルのオウサカ・リョウマの肉体をそのままに、あなたの魂を憑依させ、元の世界へと転移させます。行先は、あなたの自宅で構いませんね?』

 

「ありがとうございます、女神様。……じゃぁ、今度こそ最期ですね?」

 

『……そう、ですね』

 

 そう。

 元々俺は、『ガンダムブレイカー・シンフォニー』の世界で後腐れなく平和に暮らしてハイさよなら、だったんだ。

 とは言え、女神様とのリンクを繋ぐ権能は残されていたから、永劫のお別れとは言い難かったが……

 恐らく、俺の魂のサルベージやら、新しい肉体の再構築やら、大分無理を効かせてくれたのだろう。

 次に転移した時には、もう女神様との"繋がり"は一切無くなると見てもいいか。

 

「二度目になりますけど。女神様、今までありがとうございました」

 

『えぇ……あなたも今まで永い間、ご苦労様でした。あとはマユさんと一緒に、末永く爆発なさってください』

 

「お い 言 い 方」

 

 ……そうだな、マユはきっと悲しんでいるだろう。早く迎えに行かなきゃな。

 

『では……あなたに女神のご加護……は、もう届かないですが。……どうか、お幸せに』

 

「………………はい。行ってきます、女神様」

 

 女神様の権能によって転移し、こうして俺は再びオウサカ・リョウマとしての生を受けることが出来た――。

 

 

 

 

 

「――って言う感じだな」

 

「天界でもガンプラバトルは出来るんだ……」

 

 なんでもありだね、とマユは苦笑する。

 

 お互いの現状把握だけでも結構喋ったが……このままここでお喋りだけして終わりではないだろう。

 

「……なぁ、マユ」

 

「う、うん、何かな……?」

 

「もう一度、もう一回だけ確認したい」

 

 一呼吸を置いてから。

 

「俺は、過去の異世界転生から数えると、数え切れないぐらいの女性と関係を持ったこともある。肉体的には"初めて"でも、心としては"初めて"じゃないんだ」

 

「そ……そっか、経験豊富ってことなのかな……?」

 

「えぇと……多分、そうなる?」

 

 経験豊富でも上手く出来るかは限らないんだが。

 

「それでも……いいか?」

 

 今ならまだ引き返して、清い関係を保てると暗に告げる。

 けれど、

 

「………………うん。わたしは、リョウマくんと、……したい」

 

 是正するマユの顔は真っ赤で、目線は上目遣いと、大変そそるものがある。

 

 その覚悟、承った。

 

 目を閉じて唇を差し出す彼女に、俺はそっと口づけを落とし――

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 ……

 

 …………

 

 ………………

 

 

 

 

 

 ――享楽の余韻に冷水を掛けるように、アラームが鳴る。

 これはマユのケータイによるもので、両親が帰って来そうな時間のその少し前に合わせていたのだろう。

 

「あっ……」

 

 それに気付いたマユは、我に返ったように跳ね返り、ケータイのアラームを止める。

 

「……そろそろ、か?」

 

「うん……あと、30分くらいで帰って来そう」

 

 やはりそうか。

 

「そ、その……ありがと、リョウマくん……」

 

「こちらこそ……」

 

「後片付けとかはいいから……また、明日ね」

 

「あぁ、また明日、だな」

 

 毛布で身体を隠すマユを背中に、俺は慌てて服を着直して、荷物を纏めて、足早にアサナギ家を後にする。

 

 ……また明日って言ったけど、明日俺どうしよう?

 

 

 

 とりあえず帰宅して、シャワー浴びて身体洗って部屋着に着替えて、食事を終えてからケータイのRINEを開き――ゴジョウイン先輩に通話をかける。

 

 プルルルルルル プルルルルル プルルルルル プルルルルル

 

『………………もし、もし?』

 

 警戒しているのか、声色固く通話に応じてきた。

 

「お久しぶりです、ゴジョウイン先輩。オウサカ・リョウマです」

 

『…………いくつか確認させてもらう』

 

 本人確認だな。

 

「はい、どうぞ」

 

『私と君が初めてガンプラバトルをした時のフィールドは?』

 

「サイド6の外宙域です」

 

『ガンプラ以外での私の趣味はなんだ?』

 

「和菓子作りです」

 

『君の恋人の名前は?』

 

「アサナギ・マユです」

 

『………………本当に、オウサカなのだな?』

 

「はい、間違いありません」

 

 フーーーーー……と言うゴジョウイン先輩の長い溜息の後。

 

『言いたいことは山ほどあるが……よく、戻ってきてくれた』

 

「すみません、ややこしいことになってしまって」

 

『構わない。いつ頃、戻って来たのだ?』

 

 マユにも話したことと同じような内容を話す。

 

『そうか、ついさっきに……』

 

「マユから聞きました。俺は休学扱いになっていると」

 

『機を見て行方不明と言うことで除籍するつもりだったが、その必要も無くなったようで何よりだ。……アサナギ以外には、君が帰ってきたことは伝えたのか?』

 

「いえ、それはまだです。休学扱いになっているなら、まずはゴジョウイン先輩に相談しようと思って」

 

『そうか。では君のことを、トモエとホシカワには私の方から伝えても構わないか?』

 

「お手数おかけしますが、お願いします」

 

『了解した。それと、復学手続きはこちらに任せてくれ。……登校は明後日からになるだろう、明日一日はしっかり休んでくれ』

 

「はい。では、失礼します」

 

 ゴジョウイン先輩との通話を終えてほっと一息つく間もなく、すぐにRINEの通話を着信。

 ディスプレイには、『タツナミ・イツキ』の名前が。マユから聞かされたんだな。

 

「はい、も」

 

『リョーッ!ほんとにリョーなんだな!?』

 

 開口一番も無く、耳をつんざく声が鼓膜を殴りつける。

 

「イツキ、気持ちは分かるけど落ち着け」

 

『これが落ち着いてられっか!なんだよ、ほんとになんなんだよ!?』

 

 ぜーはーと息を荒くするイツキの声。

 やや落ち着いてから。

 

『マユから聞いた。リョー、ついさっき帰ってきたんだろ?』

 

「あぁ、つい二時間くらい前に」

 

『このバカ野郎!帰ってきたんならすぐ連絡しろよ!?』

 

「無茶言うな、俺にだって色々あったんだよ」

 

(主にマユと)色々とな。

 

『…………今すぐリョーんちにカチ込みかけたいけど、今日は見逃しといてやる。それで、いつから登校出来るんだ?』

 

 カチ込みとか言うなよ、こわい。

 

「ゴジョウイン先輩が言うには、明後日からだと」

 

『んーじゃ、明日の放課後の時間、ガンプラバトル部に来いよ。来なかったら……家にカチ込みかけて連れ出してやっからな!』

 

「分かった分かった、分かったからカチ込みは勘弁してくれ、近所迷惑になる」

 

 何するか知らんけど、とりあえず放課後の時間に合わせて来いってことだな。

 

『逃げんじゃねーぞ?じゃ、また明日なー』

 

「ま、また明日ー」

 

 通話終了。

 

 イツキと通話していた間にも、メッセージが二件。

 ミカゲさんと、ケイスケ先輩、それぞれ個人間のトークからだ。

 

 トウカ:アサナギさんから聞いた。おかえりなさい。

 

 ケイスケ:アサナギから聞いたぞ。なんつーかまぁ、おかえり?

 

 ミカゲさんは淡々とした文面だが、多分本人は驚いただろうし、ケイスケ先輩も同じだろう。

 それぞれ返信……っと。

 

 リョウマ:心配かけてすまなかった。イツキに来いって言われたから、明日の放課後に部室に行くつもりだ

 

 リョウマ:お騒がせしてすみませんでした。イツキに来いって言われたんで、明日の放課後に部室に行きます

 

 トウカ:そうなの?なら、待ってるわ。

 

 ケイスケ:了解、慌てずにゆっくり来いよ

 

『おやすみなさい』のスタンプを貼り合ったところで、短いトークは終了。

 

 さて……部屋の掃除、したいなぁ。

 

 二ヶ月もほったらかしだったんだ、所々に埃が目立つ目立つ。

 

 でも今日はもう遅いから掃除機はかけられないし……寝床周りだけでも簡単に掃除しよう。

 

 そう言えばオリジネイトガンダムはどこに……前と同じなら多分、デスクの上に置かれているだろうな。

 

 

 

 

 

 ――グッドモーニングおはようございます。真・転生生活最初の朝を迎えました、真のオウサカ・リョウマです。

 

 今日はまだ授業に出られないので、日中の内に家の掃除やら何やらを済ませて、放課後になったら学園のガンプラバトル部の部室に行こう。

 

 さぁ、朝飯食べたら早速掃除だ、やるぞー。

 

 

 

 ………………

 

 …………

 

 ……

 

 

 

 ……さて、掃除も粗方片付いたところで一度シャワーを浴びてから制服に着替えたら、最低限の荷物を持って重役出勤だ。

 事前にイツキからは、十六時半ギリギリに来るように、持っているならオリジネイトガンダムも必ず持って来るようにと、言われている。

 何故かは教えてくれなかったが、断る理由も無いので了承。

 

 一応、ガンプラバトル部のグループラインに、「今から行きます」と一言呟いてから、と。

 

 

 

 二ヶ月ぶりの校門を潜って、そのままガンプラバトル部の部室へ直行だ。壁時計の時刻は十六時半の三分前、ちょうどいいだろう。

 なんだか緊張するなぁ……まぁいいやさぁいくか。

 

 何食わぬツラして、しつれーしまーす。ガラガラ〜。

 

 パンパンパンッ!

 

 ……銃声じゃないぞ?パーティークラッカーの炸裂する音だ。

 

 

 

「「「「「「「おかえりなさーい!!」」」」」」」

 

 

 

「お?」

 

 なんだなんだ?

 マユに、イツキ、ミカゲさん(地味子ちゃんモード)、ケイスケ先輩、さらにゴジョウイン先輩に、シノミヤ先輩、ナナちゃんまで。

 

 何事かと思えば、部室の天井から、『オウサカくんおかえりなさい!』とデカデカと書かれ、その周りにキラキラマークをたくさん描かれた模造紙が吊り下げられ、部室のテーブルには大きめのホールケーキに、ペットボトルのジュース。

 

 そして、ファラリアル、ドラゴニック、グレモリータナトス、ジムカラミティ、ゼイドラ・スタイン、フルコマンドガンダムMK-II、ティエレンパイタォが整列しており、ちょうど一機分スペースが空いている。

 

「おかえりなさい、オウサカセンパイ!また会えて、本当に嬉しいです!」

 

 心からの笑顔を見せてくれるナナちゃん。

 

「私も嬉しいわ。これで心置きなくオウサカくんに学生会の業務を手伝ってもらえるわね」

 

「トモエ、冗談はよせ」

 

 ニコニコしながら俺の帰還を喜んでくれるシノミヤ先輩に、鋭く切り込むゴジョウイン先輩。

 多分にそれは本音だろうな……別に手伝うこと自体は問題無いんだが。

 

「……詳しいことはまた後で聞かせてもらうけど……おかえりなさい、オウサカくん」

 

「RINEのやり取りより、やっぱ実際に顔を見ると安心するもんだな、おかえりリョウマ」

 

 ミカゲさんとケイスケ先輩も。

 

「ほらリョー、オリジネイト持ってきてるんだろ?ここに置いてくれよ」

 

「お、おぉー」

 

 イツキに急かされたので、鞄からケースを引っ張り出して、その中からオリジネイトを取り出し、みんなのガンプラが並ぶその中――ちょうど中心に立たせる。

 こうして眺めると、なんかいい光景だ。

 

「リョウマくん、こっちに座って」

 

 マユに手を引かれ、テーブルの一席に座る。

 みんなも席について、紙コップにジュースを注いで。

 

 ケイスケ先輩が音頭を取ってくれる。

 

「えー、では。我らがガンプラバトル部のエース、オウサカ・リョウマの帰還を祝して……」

 

 

 

「「「「「「乾杯!!」」」」」」

 

 

 

 パスパスと紙コップを擦り鳴らして、ぐいーっと一杯。くーっ、帰還後の一杯はたまんねぇな!

 

 

 

 ジュースとケーキをいただいた後は、俺がこの世界に戻ってくまでの経緯を話したり、俺がいない間のみんなの二ヶ月間を話し合ったり。

 

「えへへ……」

 

 マユは嬉しそうに俺の肩に頭を乗せてくる。かわいい。

 

「嬉しいなぁ。もう諦めてたけど、これからもリョウマくんと一緒にいられるんだ……」

 

「俺も、またマユと一緒にいられて嬉しい」

 

 マユの涼やかな水色の髪を撫でる。なでなで。

 

「おーおー、お二人さんお熱いこって」

 

 ケイスケ先輩が茶化してきた。

 

「俺とマユはラブラブですから」

 

 スカしたツラで返してみせると、

 

「ぐおぉぉぉっ、こ、これがリア充の余裕ってやつか……っ」と気絶した。

 

「……人の恋路を邪魔するからですよ」

 

 ミカゲさんが冷ややかにトドメを刺す。容赦ねーな。

 

 すると、トン、とゴジョウイン先輩が紙コップを鳴らすようにテーブルに置いた。

 

「オウサカ」

 

「はい?」

 

「ガンプラバトルを申し込む。"真のオウサカ・リョウマ"とやらになった君の実力、私に見せてくれ」

 

「まぁた唐突ですね……」

 

 マユの顔を見やって、

 

「うん。頑張って、リョウマくん」

 

 マユのなでなではちょっとだけおあずけだ。

 ゴジョウイン先輩はゼイドラ・スタインを取って筐体を起動させ、俺もオリジネイトを手に取る。

 

 

 

 ランダムフィールドセレクトは何の因果か、俺が初めてガンプラバトルに挑んた時と同じ『サイド7』。

 

 あの時は、マユの進退を賭けて……あれ?バトルをしたのは覚えているんだけど、誰と戦ったんだっけ?

 なんかこう、馬の骨みたいな名前の奴がいて……もう顔も忘れたな。マァいいやサァいくか。

 

 相手はそんな馬の骨みたいな奴じゃなくて、『白の戦乙女(ホワイト・ヴァルキュリア)』ことゴジョウイン先輩だ。気を抜いたら負ける。

 

 オリジネイトを読み込ませて、操縦桿を握り締め――

 

 

 

「オウサカ・リョウマ、オリジネイトガンダム、行きます!!」

 

 

 

 

 

 FIN




今回登場のガンプラ『クロスボーンガンダムXX1フルクロス』の画像や詳細設定はこちらです(ガンスタグラムへのジャンプです)↓

https://gumpla.jp/hg/2082513
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