機動戦士ガンダムSEED ボクラノキズナ 作:ただのリボン付き
正直に言います。
本震が襲った場所とは違いますが、元旦の地震で被災しておりました。
あんなに揺れたのは……DESTINY放送当時に経験した中越地震以来でした。(東日本の時は関西方面に居ました)
2週間くらいは断続的に揺れて来るので結構メンタルやられてしまいまして…
ならもう劇場版見てから一気に書き進めようとなってここまで伸びました。
ついでに言えば劇場版まで見据えて書いていくことも決めたので、いろいろと設定作っていたり、今後の展開を決めていました。
では、今度こそ再開です。
フブキを突破してきたデュエルとバスターの攻撃がアークエンジェルを襲う。
ビームこそアークエンジェルのラミネート装甲やアンチビーム粒子によって防御されるものの、実体弾系やミサイルなどの攻撃は通ってしまう。
この為、アークエンジェルをその衝撃が襲い、船体内部も激しく揺れる。
船体の居住区では避難民たちがその衝撃に恐れおののき始めていた。
「ちょっと、何やってるのよ、あんた達の所のパイロットは!!」
フレイがそう文句を言ってワタルに食って掛かっていた。
「落ち着けって!! ユキトだって本格的な宇宙戦闘は初めてなんだぞ!?」
「そんなの、この船が沈んだら言い訳にもならないじゃない!!」
ここまでならまだ良かった。
が、フレイは決定的な事を口にしてしまった。
「それとも、相手があんたたちの隊長と同じコーディネイターだから本気で戦ってないんじゃないの!?」
「なっ、こいつ、言うに事欠いて…」
言い返そうとするワタルよりも先に動いた人影が一つ。
明らかに怒った表情をしたマユラがフレイの顔面に平手打ちをしたのだ。
「痛っ!!!」
「ユキト君が本気で戦っていない? そんな訳ないじゃない!!」
「なんでわかるのよ!?」
怒鳴り返すフレイ。
それに対して自信を持ってマユラは言い返した。
「決まっているでしょ!? 私がまだ戦えない状態でここに居るからよ!!」
「あー、ごちそうさん」
惚気全開の回答だが、彼女は確信を持ってそう言えた。
だが、それでもフレイにはコーディネイターであるユキトは信じきれない。
「でも、貴女だってナチュラルなのになんで…」
「……この際だから言っておくわ。私とユキト君はもう10年以上の付き合いなのよ。今更、ナチュラルだコーディネイターだなんてもう気にならないのよ」
返答を受けて信じられないという顔をするフレイ。
無理もないだろう。
彼女は反コーディネイター的な考えの下で教育されてきたのだから、そう言った考えを初めて聞いたのだ。
「コーディネイターだからって、最初から何でもできると思わない事ね。ユキト君はね……私の事を守りたいから幼い頃からずっと努力してきたのを私はずっと見てきた」
「そういう事だ。あんた、俺達に対して重大な認識違い起こしてるぜ。訓練や勉強もせずにいきなり何でもできれば苦労なんてしないさ」
「………」
自身の考えが絶対的に正しいと思っていたフレイは少なからず、衝撃を受けるのだった。
機動戦士ガンダムSEED ボクラノキズナ PHASE-09 誘う声
「ええい、ビームがまともに効かん!!」
「イザーク、どけ!!」
ビームライフルを連射するデュエルに対してミサイルポッドからミサイルをばらまくバスター。
既にアンチビーム爆雷が投下されており、地下距離でもビームが減衰。
かといってバスターのミサイルはアークエンジェルの対空砲火に阻まれてことごとくが撃墜されていく。
それでも減衰しつつも、威力を失わない射線が着弾しつつある。
「ディアッカ、下から周りこめ。艦底部なら防御は薄いはずだ」
「おーら……って、もう来やがったのか!?」
ディアッカがモニターにこちらに向かってくるフブキを捉えた。
「ニコル、抑えきれなかったのか!?」
「アークエンジェルは落とさせない!!」
ビームセイバーを抜いてバスターに斬りかかるフブキ。
間に割って入ったデュエルがシールドで斬撃を防ぎながらビームサーベルを抜いて斬りかかるも、フブキのシールドがそれを防ぐ。
溜まらず、イザークは接触回線で抱いていた疑問を叩きつけた。
「貴様ぁ!!! オーブが中立だというならなぜ地球軍に味方している!?」
「あの艦には故障して回収された救命艇に乗っていたオーブ国民が収容されている!! 自国民の保護は軍人としての役目だ!!」
「何だと⁉」
「今頃、そちらの評議会もてんやわんやの事態じゃないのか!? 確かに中立という立場でそれを作った事は悪いだろう。だが、コロニー1つ崩壊させたんだ。どれだけのこちらの国民の生命と財産が脅かされ、失われたと思っている!!」
怒気を含んだ声でユキトは言い返した。
同時に、サーベルを防いでいるシールドの先端をデュエルに向けるとマサムネを射出した。
「うおっ!?」
射出されたマサムネの柄部分がデュエルの頭部に直撃し、弾き飛ばされる。
反動で戻ってきた剣を掴んだフブキがデュエルに突っ込むが、追い付いてきたブリッツが今度は立ちはだかる。
「イザーク達はやらせません!!」
「ブリッツ!! もう来たか⁉」
アークエンジェルの近くで3機と1機が交錯を開始する。
同じ頃。
まもなく、アークエンジェルを主砲の射程範囲内に捉えようとしているヴェサリウス。
「主砲、発射準備だ」
「しかし、射線上にはこちらのMS隊が展開中です」
「彼らなら大丈夫さ、味方の艦砲に当たるほど間抜けではあるまい」
クルーゼの命令にアデスが返すが、隊長の命令は変わらない。
が、その時、クルーゼは自身に馴染みのある感覚を感じ取ってとっさに命令を出した。
「アデス! 機関最大、艦首を下げろ!! ピッチ角60!!」
唐突な指示にアデスは対応しきれず、クルーゼの顔を見つめる。
直後、クルーから報告が上がった。
「本艦底部より接近する熱源を確認!! MAです!!」
「下からだとっ!?」
「うおっりゃあああああ!!!」
ムウの作戦通りだった。
メビウスゼロが隠密航行でヴェサリウスの至近距離まで接近し、一気にガンバレルを全基展開してリニアガン共々全火器を一斉に放った。
放たれた弾丸は回避行動を取り始めたヴェサリウスの機関部に命中し、火を噴き始めた。
「おっしゃあ!!」
ヴェサリウスの艦体にアンカーを打ち込んで方向転換しつつ、ムウはガッツポーズを上げる。
これに苦々しい思いをしているのが察知しながらも回避できなかったクルーゼだ。
被害報告が続々と上がっており、憤怒の表情だ。
「ムウめ……!」
だが、ヴェサリウスの危機はまだ去ってはいなかった。
「フラガ大尉よりレーザー通信で入電! 『作戦成功、これより帰投する』!」
「この機を逃さず、ナスカ級を撃ちます」
マリューの指示。
それはアークエンジェルが持つ最大火器の出番であった。
「了解! ローエングリン、1番、2番、発射準備!!」
陽電子破戒砲ローエングリン。
アークエンジェルの両艦首に装備されている代物だ。
「陽電子バンクチェンバー臨界、マズルチョーク電位安定しました!」
「てェッ!」
ナタルの号令と共に放たれる特装砲。
その一撃をヴェサリウスはぎりぎりで躱すことに成功したものの、右舷を掠めた。
凄まじい衝撃が同艦を襲ったのと同時に、戦闘能力を喪失した。
そして、ガモフからレーザー通信で各機に撤退命令が送信された。
「ヴェサリウスが!?」
「やられたのか!?」
「っ⁉ アスラン、ミゲル、あいつが後退する!!」
この一射は前方でストライクと戦っていたアスランたちにも確認できた。
PS装甲ダウンにまで持ち込んだものの、一瞬気を取られた事でキラが一気に戦場から機体を離脱させ始めていた。
「逃がすか!!」
イージスをモビルアーマー形態に変形させたアスランが一気に機体を加速させる。
そして、4本のクローを展開するとそのままストライクを捕まえに掛かった。
結果、ストライクは4本のクローでがっちりと捕獲されてしまった。
「なにをする、アスラン!?」
「このままザフトへ連行する」
「ふざけるな!! 君は戦いたいかもしれないけど、僕は戦いたくはないんだ!! 離せ!!」
最後の抵抗を兼ねてキラはアーマーシュナイダーを抜いてイージスに突き立てる。
あまりの反撃にアスランも困惑しながら返す。
「いい加減にしろ、キラ!! でないと、俺はお前を撃たなきゃならなくなるんだぞ!?」
「なら、アスランは僕に今の友達を見捨てろって言うのか!! 僕を連れ帰った後にあの艦を沈めるんだろう!?」
「血のバレンタインで母も死んだんだ……これ以上……」
絞りだされた返答がこれだ。
冗談じゃないと言わん顔をしてアーマーシュナイダーを叩きつけるが、PS装甲が有効な今の状態では通用しない。
その光景はアークエンジェルからも見えていた。
同様に、近辺で戦闘中の他のMSからも確認できていた。
「キラ君!? PSダウンを起こしているのか!?」
「クラマ一尉!! そちらで救出に向かえないか!?」
ブリッジクルーの一人「ジャッキー・トノムラ」軍曹からそう通信が飛んでくる。
「無理です!! こちらは3機の相手で手一杯です!! さっきのローエングリン、フラガ大尉の作戦が成功したんでしょう!?」
「ああ。ストライクの状況を聞いてランチャーストライカーパックの射出要請を出してきている」
「わかりました。こちらはこのまま3機を釘付けにしますから、大尉の指示通りで!! それでストライクが換装さえすればエネルギーは回復するはずです。おそらく、大尉の方が救助に向かうでしょう!!」
「わかった!!」
視線を戻すとブリッツがビームサーベルを起動させて斬りかかってくる。
「はあああっ!」
「ちぃっ!!」
斬撃を避けつつ、ライフルを向けるが、背後からバスターが94mm高エネルギー収束火線ライフルを放ってくる。
それもシールドで防ぐが、1機いない事に気が付く。
「デュエルはどこだ!?」
周囲を見渡すが、デュエルはビームライフルを構えて別の方向を向いていた。
見れば、ヴェサリウスへの攻撃に成功したメビウスゼロが戻ってきており、ガンバレルによる一斉射撃でイージスからストライクを解放していた。
そのストライク目掛けてライフルに装着されているグレネードを発射しようとしていた。
「っ!? 今のストライクに実弾は!! っ、どけ、バスター!!」
PS装甲が落ちている今のストライクには実弾兵器が通用する。
釘付けにするつもりがされていたのは彼だったのだ。
アークエンジェルがランチャーストライカーを打ち出したのは確認されていたが、間に合うか微妙なタイミングだった。
エールストライカーを離脱させたストライクはランチャーストライカーの装着体制に入った直後にデュエルのグレネードが発射された。
そして、着弾したと思われる閃光があたりに広がった。
「キラ君!?」「「「「キラっ!!!」」」」
ユキトの叫びと同時にアークエンジェルからの通信でトールたちの悲鳴が木霊する。
しかし、彼らの心配は杞憂に終わった。
爆煙の向こうからアグニによる一射が飛び出してきた。
「何っ!?」
仕留めたと思っていたイザークは回避行動を取る。
しかし、全ては避けきれず、ビームによってデュエルの右腕が溶解した。
「それで帰れる理由になるだろう!! だったら、こっちも!!」
クニモトを構えてこちらも残エネルギーのある限り、連射を開始するユキト。
形勢が逆転した以上、ザフト側は撤退せざるを得なくなり、次々に離脱していった。
どうにか彼らは生き延びる事が出来た。
ガモフに収容されたクルーゼ隊の面々だが、イザークがいら立ちを隠さずにアスランに対して怒鳴りつけた。
「貴様ぁ!!! 何をやっていた!!!」
「落ち着け、イザーク!! 互いに翻弄されていたが故の結果だろうが!!」
ラスティが慌てて割って入る。
普段ならイザークに加勢してアスランを責めたてるディアッカも今回ばかりは青い顔をしていた。
「ラスティの言う通りだ。全く、赤が5人もいてこのザマかよ……」
「それほど、彼らが必死だったということでしょうけど……」
ニコルも汗を流している。
彼としては油断していたつもりは毛頭なかったが、相手の実力が上回っていた事をまざまざと見せつけられた。
荒れるまたは落ち込む彼らにミゲルがアドバイスを繰り出した。
「……まあ、失敗しない奴なんていないさ。俺だってヘリオポリスの作戦の前に傭兵相手に機体をぶっ壊してるからな」
「……糧にしろと?」
「そうだ。イザーク、ディアッカ、お前らはいくら何でも平和ボケしていると思って油断していただろ? むしろ、オーブで最新鋭機を任されるような奴がそんな甘いやつなわけねぇよ」
ミゲルの指摘通りだ。
驕っていて地球在住のコーディネイターなどと内心で思っていた事は否定できない。
加えて、ラスティもアスランに助け船を出した。
「あと、さっきのアスランの行動だけど、まあ、隊長からの極秘命令とでも言えばいいかね?」
「クルーゼ隊長の?」
「相手は操縦に慣れていないだろうから、今回に限っては捕獲も選択肢だと提示されていたんだ。まっ、失敗しちまったがな」
が、ミゲルが怪しんで耳打ちする。
そんな命令は受けていないからである。
「(おい、ラスティ、隊長はそんな事は……)」
「(ミゲル、黙ってて。今この場を収めるにはこうでも言わないとイザークは引き下がらない)」
クルーゼ隊のムードメーカーとして全員の性格を熟知しているラスティだからこそ、嘘を告げてでもこの場を収めないといけないと判断していた。
イザークも正直にそれを信じて返答した。
「……わかった。そういう事なら今回の件はここまでにしてやる」
「おう。まったく、お前はただでさえ熱くなりやすいんだ。もうちょっと冷静に…な?」
「……言われるまでもない」
唯一、アスランの事情を知ってしまったラスティなりの気遣いでもあった。
一方で浮かない表情のアスランはニコルも気がかりだ。
「アスラン……さっきの行動ですけど、隊長の命令とはいえ、あなたらしくないと思います」
「……今は……放っておいてくれないか?」
「あー…ニコル、アスランの事はちょっと任せてもらえないか?」
「え、わかりました。ラスティ」
同室であるラスティなら任せられると判断したニコルは引き下がった。
その後、解散となった一行だが、アスランをラスティが捕まえて物陰に引っ張り込んで2人だけで話をし始めた。
「……その様子だと、脈無しだったという事かな、そのキラってのは」
「………ああ。あいつは昔の友達の俺よりも今の友人たちを選んだようだ」
「……当然っしょ。逆に言うけど、俺だったら友達見捨ててこっちに来るような奴、信用できないね」
そんなことをするのは薄情者だとラスティは言いたいのだ。
立て続けにこうも言う。
「とにかく、こうなったら覚悟を決めるべきだな、アスラン。ただ……」
「ただ?」
「たぶん、ヴェサリウスは本国から召還命令受けるんじゃないかねぇ? ガモフに足つきの追撃は任せて、お前は隊長と一緒にとんぼ返りだろうから、どうしたいか考える時間ぐらいはあるかもな」
考える時間。
今のアスランにはそれが必要であった。
一方のアークエンジェル。
出撃していた3機が戻ってきたが、一向にストライクからキラが降りてこない。
ムウとユキトはその様子にマードックに問いかけていた。
「どうしたんです?」「何かあったのか?」
「……いや、坊主がなかなか降りてこねぇんで……」
大体の事情は察せられる。
宇宙空間での初めての戦いに加え、PS装甲があったとはいえ、撃墜されかかったのもある。
ムウたちが外部ロックを操作してハッチを開くが、中には操縦桿を握りしめたまま、凍り付いたような表情のキラが呆然としていた。
中に入ったユキトがキラに対して大して問いかけた。
「済まない、キラ君。僕が付いておきながら苦労を強いた。不甲斐ない」
「え……あ……?」
「もう終わったんだ、坊主。よくやった、俺達もお前も死ななかった、上出来だ」
ムウもそう告げた事でようやくキラの肩の荷が下りたように手の力が抜け、操縦桿から手が離された。
と、同時に彼の身体は激しく震え始めた。
その光景にユキトは決意を胸にした。
「(彼の事……支えてやらないとな……たぶん、抱え込んでしまうタイプだ)」
後にキラとは長い付き合いになるとはこの時は彼自身もまだ思っていなかった。
ところで、皆さん、劇場版は見に行きましたでしょうか?
私は公開初日の朝一回、地元の回では最速のを見に行きました。
ええ、20年待った甲斐がありました。
まだ見ていない方もおられるかと思うので、詳しくは触れませんが、まあ、当時の不満を全部吹っ飛ばしてくれる最高の作品でした。
実を言うと小説版上巻は購入+下巻も予約済みですので、プロトタイプ的なものは手を付けていたりしますが、そこまで行けるまでどれだけかかるやら…。
とりあえず、Blu-rayが出るまでに無印編だけは終わらせておかないといけないかなとは思っています。