機動戦士ガンダムSEED ボクラノキズナ   作:ただのリボン付き

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お待たせしました、先週末から土日が忙しかったのでなかなか進めれませんでした、
想像以上に長くなったので2話に分ければ良かったかなとも思っていたりします。
今回のサブタイトルは第3次スーパーロボット大戦αのSEED第1話に当たるクォヴレー編第6話から拝借しています。
思えば声付きの無印SEEDってこの1作しか出ていないんですよねぇ…。
当時は小隊制の恩恵もあって最推し含めてほぼほぼ全員参戦でストライクの鬼の改造引き継ぎもあって滅茶苦茶楽しかったですけどね。(いなかったのはミゲルとザフト水泳部含めたモラシムぐらい)
まあ、今仮に無印が劇場版に合わせてもう1回参戦しても3人娘は…30のシュラク隊のように誰か1人がパイロットでその武装扱いか、携帯機のようにムウかカガリの武装扱いに押しとどめられるんでしょうかな……。
おそらくカガリも二代目への交代で新録を余儀なくされるでしょうし…。
ただ、30のようにSEED-MSVの機体を出すというならワンチャン全員パイロット扱いでMSV機体の乗り換え枠で遊べるんですけどねぇ…。


で、3期が始まりました。
ええ、ええ、半ば諦めておりました。
夢幻ではないかと思いました。
よくぞここまで隠し通してくれました、ドゥラメンテ参戦!!!
外からドゥラメンテで登場してくれないかとは思っていましたが、期待通りにやってくれるとは思っても居ませんでした。

更に劇場版新機体の公開もあってテンションが乱高下しておりました。
見た限りではまあ、逆シャアのリ・ガズィポジションでしょうなというのが私の身内の見解ですね。
なんだかムラサメっぽい新型も居ますから、オーブ所属のうちの子の劇場版時代の初期機体はこれの魔改造機で行けますかな。
あらすじにもありますが、既に劇場版まで込みで考えていますので、ちょうどいい機体が出たなら使うまでです。


PHASE-04 G.U.N.D.A.M出撃

アークエンジェルの出現に一同が驚く中、真っ先に動いたのはクルーゼだ。

狙いをストライクに絞ったのだが、そうはさせまいとアークエンジェルからミサイルが放たれる。

 

「情報外の機体が居た上に新型艦をも仕留めそこなうとは……ならば!!」

 

ミサイルを撃ち落としつつ、ストライクに迫ろうとするシグー。

それを守るようにフブキが立ち塞がり、今度は左腕のシールドから両刃の対艦レーザー刀「マサムネ」を抜き放った。

 

「そのような得物まで持つか!!」

 

「こいつの破壊力ならどうだ!!!」

 

ビームセイバーこそ防がれたが、今度はそうはいかないとユキトは機体を加速させて一気に突っ込む。

しかし、クルーゼにはその動きはあまりにも直線的過ぎた。

 

「そんな大物の大振りでは当たらんよ!!」

 

勢い任せにフブキがマサムネを振るうが、その一撃を回避したシグーがストライクに向けて重突撃機銃を発射する。

 

「うわああ!?」

 

被弾するストライク。

だが、フェイズシフト装甲によってダメージこそないものの、衝撃がキラを襲う。

手ごたえが無かった事にクルーゼは驚きを隠せない。

 

「強化APSV弾でも駄目か……むっ!?」

 

「余所見をしている場合か!!!」

 

ストライクに集中していたシグーに再度、フブキが斬りかかる。

とっさにシールドでクルーゼだが、すぐさまバルカンシステムごとシールドを放棄した。

結果、いとも簡単にシールドごとバルカンが両断された。

 

「なかなかやるじゃないか、オーブの新……っ!?」

 

と、視界の端にストライクが映る。

装備しているランチャーストライカーパックの320mm超高インパルス砲「アグニ」をシグーに向けて構えていたのだ。

その外見から相応の威力があると判断したユキトは警告を発する。

 

「駄目だ、キラ君!! そんなものをコロニー内で撃っては!!!」

 

威力で言えばフブキが背部アタッチメントに装備しているクニトモと同程度だ。

それを無視する形でキラは叫ぶ。

 

「あああっ!!」

 

「待ちなさい、キラ君!! クラマ一尉の」

 

マリューも静止を掛けるが遅かった。

アグニから強烈な一条のビームが放たれ、その一撃はシグーの片腕を簡単にもぎ取ると減衰することなくヘリオポリスの地面に着弾するとそのまま外壁部まで貫通。

コロニーの大地に大穴を開ける結果となってしまった。

 

「あっ……ああっ!?」

 

「地球軍め、よもやMS1機にあれだけの火力を持たせるとは……見た限りそれはオーブも同様のようだが、あちらのパイロットはやはり場慣れしているか……」

 

2機の行動を比較しながらクルーゼはそう評する。

背部に装備しているビームキャノンらしき武装を見れば少なくともオーブのパイロットはそれを撃てないとわかっていた。

最も、彼とてこの損傷を受けては撤退を選ばざるを得なくなり、そのまま空いてしまった大穴から離脱していった。

 

 

 

機動戦士ガンダムSEED ボクラノキズナ PHASE-04 G.U.N.D.A.M出撃

 

 

 

「キラ君、クラマ一尉。機体をアークエンジェルへ。今はそこが一番安全よ」

 

「わかりました」「了解」

 

マリューからの指示もあって2人は機体を着陸したアークエンジェルの格納庫へと入れる。

同様にストライクとフブキの予備パーツや武装類を乗せているトレーラーも格納庫に入った。

ユキトはというと近くにアークエンジェルの近くに寝かせてあった2号機を回収するとそのまま格納庫の一区画に機体を固定する。

 

「ふう……ひと段落付いたか…」

 

「おいおい、何だこの機体? こんなのがあるなんて聞いてないぞ」

 

そうボヤいたのはアークエンジェルの整備班長である「コジロー・マードック」である。

そのぼやきに対してワタルが対応する。

 

「あれはオーブの新型です。説明は後からにしますけど、緊急時なんでここに入れさせてもらいました」

 

「ふーん……ずいぶん若いな。こいつの専属って所か?」

 

「そんな所です」

 

そう返すワタルの横をストライクの出迎えの為に駆けていくマードックと整備班。

ユキトの方も機体から降りるとワタルたちと合流する。

 

「お疲れさん。連戦だったが、大丈夫そうだな…」

 

「……正直、短時間だからこれだけで済んでいると思いたい」

 

今日の戦闘は連戦とはいえ、短時間での戦闘だった。

だが、先の戦闘でマユラに指摘された通り、無自覚の疲れがたまっている可能性も否定できないだろう。

その彼女も素直にユキトを称賛している。

 

「でも、凄いね、ユキト君。ザフトのエース格相手にあれだけ喰らい付けるなんて……」

 

「無我夢中だったからやれただけだよ。動きも読まれててこっちの斬撃が躱されてる。いくら試験でMSを動かせていたからってやっぱり実戦は違うものだよ。この辺りは……仮に本国が戦場になった場合を考えればマユラも覚えておいた方が良い」

 

「……そう…だね」

 

現状、戦線は膠着状態であり、中立を維持しているオーブが巻き込まれる可能性は低い。

しかし、そうなった際には彼女もユキトの部下として戦場に立たなければならない。

 

「ワタル。後で今日の戦闘データ、フブキと2号機に反映させておいて。マユラがカガリ様の護衛でここに来た上に置いていかれている以上、本国に戻るのはかなり先だ。シミュレーターで慣れさせておかないと腕が鈍る」

 

「おーらい。わかった」

 

「えっー!? こんな状態でもシミュレーター訓練しないといけないのぉ!?」

 

了承するワタルに対してマユラは不満を述べる。

しかし、それに対して厳しい口調でユキトは返す。

 

「当たり前だ!! ついでに言うと日課のトレーニングだってやっておかないと残っているアサギ達にすぐに置いていかれるぞ!?」

 

「うっ……そ、それはそうだけど……」

 

「……2番機の座は渡したくないんだろう?」

 

2番機というのは1番機…つまりフブキの僚機である。

現状、彼らの小隊で試験を行っている機体は00ナンバーに02シリーズの機体群である。

平時であるなら編成は考えないで良いが、有事となれば国防軍に組み込まれて部隊を組む事になる。

その時の2番機だけはマユラは絶対に譲りたくないと決めていたのだ。

 

「……それ言われたらやるしかないじゃん!!」

 

「ん、やる気があってよろしい。しばらくは付きっきり……いや、場合によってはキラ君も一緒にやってもらおうか…」

 

ふと、視線を別方向に向けるとキラ達の周りに人だかりができているのが見えた。

よく見れば連合の兵士たちがキラに銃を向けていた。

 

「あー、もう、余計な事を聞いたのが居るな。ワタル、マユラ。銃の用意を。連合の兵士に警告する」

 

「わかった」「……了解」

 

ユキトの指示に合わせてそれぞれが銃を手にする。

同時にフブキから離れるとユキトが警告を発しながら近づいていく。

 

「銃を下してください。彼らはオーブ国民です。僕からすれば保護対象にあたります」

 

「失礼だが、君は?」

 

アークエンジェルをここまで指揮してコロニー内に出してきた「ナタル・バジルール」少尉が訪ねてきた。

 

「そちらが彼らから銃を下すのが先です。先に言っておきますけど、僕もコーディネイターです。やろうと思えば手負いの艦です。制圧することも容易いんですよ?」

 

「(おい、ユキト。いくら何でも脅しすぎだ)」

 

「(言い過ぎよ、ユキト君……)」

 

あまりの過激な発言に内心ひやひやしだすワタルとマユラ。

そこの助け舟を出したのはマリューだった。

 

「銃を下しなさい。彼はオーブ国防軍の軍人よ。やろうと思えば本当にやるわ」

 

「オーブの? じゃあ、もう1機のか……」

 

今回の事態を引き起こしたムウがばつが悪そうにそう呟いた。

はあっとため息をつきながらユキトはやれやれと言った顔で返した。

 

「大方、さっきの僕達みたくキラ君の素性を聞いたんでしょうけど、時と場合を考えてください。こんな状況下で聞けばどうなるかぐらい分かりますよね?」

 

「あー、悪かった。うちのパイロット達は動かすのも精一杯だって聞いてたんでな。ただ、聞きたかっただけなんだ」

 

それと同時に兵士たちが一斉に銃を下し、確認したユキト達も銃を下した。

 

「さて、改めてですけど。オーブ国防軍所属、ユキト・クラマ一尉です。現在、自衛権の範囲内でザフトと交戦中に加えて、キラ・ヤマト君以下5名は我が国の国民です。保護対象である為、事態が収まるまでお手伝いさせていただきます」

 

「モルゲンレーテ社兼オーブ国防軍所属ワタル・シラミネ技官だ。これでもフブキをはじめとした00ナンバーの開発補佐やってたし、G兵器のモルゲンレーテ側担当スタッフだったから、メンテくらいは手伝えるだろうな」

 

「モルゲンレーテ社兼オーブ国防軍所属マユラ・ラバッツ三尉です。クラマ一尉直属の部下になります。こんな状況下ですから、お手伝いできることはお手伝いします」

 

オーブ側の3人が自己紹介を終える。

ムウとナタルはそれに対して返答する。

 

「地球軍所属ナタル・バジルール少尉だ。先ほどの援護は感謝する」

 

「同じくム・ラ・フラガ大尉。俺が乗ってきた母艦はやられちまってね。それにしても、オーブの軍人って言ってもかなり若いな?」

 

その名はユキトも聞いた事があった。

エンデュミオンの鷹。

月戦線のグリマルディクレーターの戦いにおいてメビウス・ゼロでジン5機を撃破したエースだ。

現状、他にMAでMSを撃破する個々のパイロットとして名が挙がるのは彼ぐらいであった。

 

「特に嬢ちゃん。一尉はコーディネイターというなら成人は早いからまあ納得はできるが、成り立てって所か?」

 

「彼女に手を出したら承知しませんよ?」

 

マユラに興味を示すムウに対して凄みのある良い笑顔で圧力をかけるユキト。

擬音が聞こえてきそうなほどのプレッシャーにムウどころかマリューとナタル、更にはその場にいた兵士たちもたじろいでしまう。

これで一同は下手に茶々入れたり手を出したりするのは不味いと認識する。

 

「……ユキト君、悪い癖が出てるよ? 私の事になるとすぐにそうなるんだから…」

 

「おっとっと……すみません。私情が出ちゃいました。申し訳ありません」

 

「こいつら幼馴染でね。そりゃもう、こっちが嫉妬したくなるぐらい年がら年中こんなもんです」

 

ジト目になりながら突っ込みを入れるマユラにユキトはすぐさま態度を直し、ワタルが指摘する。

が、反撃の機会と伺ったユキト達が全力で打って出た。

 

「お前、人の事言えると思ってんのか……この朴念仁め」

 

「本っ当……いい加減気付いてあげればいいのに…仕事人間なのも悪い所よね」

 

「ああぁ!? 何の話だよ!?」

 

「「別にー」」

 

どうやらユキト達はワタルに想いを寄せている人がいるのを知っているようだ。

それに対して彼はまだまともに取り合っていないかその想いに気付いていないようなのだ。

この一点は2人の共通認識であり、マユラにとっては同僚が報われない想いを抱えているのに苛立っているのもあった。

彼らのやり取りに困惑するものの、調子を取り戻したナタルが問いかける。

 

「しかし、よろしいのですか、ラミアス大尉。彼らは我々とは陣営の異なる軍属です。それを最新鋭の本艦に乗せるのは……」

 

「今はやむを得ないわ。彼らが手伝ってくれるというのなら、その好意に甘えましょう。どうするにしてもまずザフトに対応しなければ動くに動けないわ」

 

「俺のゼロもおそらく次のザフトの攻撃には間に合わないだろうな。外にいるのはあのラウ・ル・クルーゼだ。奴なら確実に仕掛けてくる」

 

ムウがそう指摘する。

遠からずザフトは間違いなく仕掛けてくる為、彼のメビウス・ゼロの修理は間に合わないだろうことは想像に容易い。

彼らがそう会話を繰り広げている横でユキトがキラに先の件で言葉をかけていた。

 

「あの……クラマさん……僕は…」

 

「あの状況だったし、何よりキラ君は撃った火器の威力を知らなかったんだ。仕方なかったことだと割り切ろう」

 

「……そういうもの……なんですか?」

 

キラの返答にユキトは頷く。

 

「僕は普段、MSの試験部隊を率いている隊長でもあるからね。割り切らないとやってられない事なんて多いんだ」

 

「……」

 

「とにかく、今は休んで。君がどうしたかは……君自身が決めるんだ」

 

そう告げると一旦、キラ立ちとユキトは別れた。

 

 

一方、未だにヘリオポリスの外にはザフトのナスカ級高速巡洋艦「ヴェサリウス」が待機していた。

未だ、ヘリオポリスには連合の新型艦と新型MSが残されており、再攻撃の判断を待っている状況だった。

ヴェサリウスの格納庫ではラスティが奪ったイナズマの詳細を調べていた。

 

「何だこれ……他の連合の新型と比較してみたけど、これ造った奴頭おかしいんじゃねえか?」

 

「そんなにすげえのか、ソイツ?」

 

先ほど、脱出した際に同乗してきたミゲルが問いかける。

ラスティは頷きながら機能を表示していく。

 

「まず、OSの性能が段違いだ。さっきも戦闘中に言ったが、調整なしで戦闘が可能。それに、学習能力が高い。さっきの戦闘で俺が動かしたモーションが登録されてもいやがる。こいつは使えば使うほど性能が上がっていくとんでもない代物だ…」

 

「自動アップデート機能とでもいえばいいか。いや、オーブの奴ら、こんなもん作るとは…」

 

「おまけにフェイズシフトと思っていた装甲も、それに極小の太陽光パネル仕込んだヒヒイロカネとかいう独自もんだ。太陽光さえあれば戦闘中でも徐々にエネルギーが回復するとか……」

 

「その分、コストも掛かってんだろうな。型式番号が00だから本当の意味での試作機……いや、実証機って奴だろう。お前がさっき言った頭おかしいってのは同感だな」

 

ある意味、奪取し損ねた最後の1機よりも貴重な機体を確保できたと考えた方が良い。

ふと、ミゲルは先の戦闘中の会話を思い出した。

 

「で、お前的にはどうなんだ? 同型機に乗っていた奴?」

 

「……たぶん、オーブ軍の正規のパイロット……それもコーディネイターだろうな。あの国ならまあ、有り得る事だろう」

 

中立を宣言している事もあってオーブはナチュラル・コーディネイター双方が暮らす国である。

中にはオーブ生まれオーブ育ちの1世代目というのもいるだろう。

 

「地球軍についていないなら裏切者だなんて簡単には非難できねえな。ヘリオポリスも奴ら所有のコロニー……自衛権の範囲内だからプラント本国の抗議も意味をなさねえな」

 

「まっ、あっちにとってもこっちの事なんて同胞なんて思ってないだろうさ。何せ俺たちのトップは地球にいる同胞の事を考えずにあんな事やっちまったからな」

 

あんなこととはエイプリルフールクライシスの事である。

中にはこれが原因で地球軍に志願したコーディネイターもいるという噂だ。

ミゲルはふと疑問に思う。

 

「お前、一応親父さんは強硬派だろ?」

 

「糞親父の事は話題に出すな。俺は母さんを蔑ろにしたあいつが嫌いなんだ」

 

アスランも含めてだが、このクルーゼ隊に属している6人の赤服パイロットは全員が「プラント評議会議員」の子息である。

ラスティも父は強硬派の「ジェレミー・マクスウェル」議員だが、ナチュラルに対する考え方を巡って両親が離婚し、彼は母方に引き取られているので苗字も別だ。

そこへ、イージスのチェックを終えたアスランも会話に加わる。

 

「ラスティ、その機体はどうなんだ?」

 

「ん? 正直、このまま使っていいんなら使いたいぐらいだな。で、そっちはどーよ? 比較しながら調べてたけど、地球軍のOSは酷すぎたろ?」

 

「調整は終わったよ。ヘリオポリスに残っている新造艦の攻撃に参加しろと言われても行けるはずだ」

 

そう口では言うアスラン。

だが、彼は確かめたいある事実がある為、どの道無断でも出撃するつもりでいるのだ。

彼らは機体の確認を終えると状況を確認する為に艦橋へと上がる。

艦橋では帰還したラウが副官であり、艦長である「フレデリック・アデス」からの問に答えていた。

 

「まさか、隊長があそこまでの損傷を負うとは…」

 

「ああ。ミゲルが地球軍の新型のデータ、ラスティがオーブの新型を持って帰ってきてくれなければ私は笑い者になっていただろうな」

 

自嘲気味にクルーゼはそう返した。

ジンどころかシグーとも互角に戦えるとなれば警戒せざるを得ない。

それが連合のみならず、オーブにも同等以上の機体が居るのだ。

 

「今は中立を名乗っているが、あんなものをオーブが作っていたとはな…」

 

「いずれにしても、捨て置くのは……」

 

「ああ。よくはないだろうな。再攻撃の準備は?」

 

「既にさせております。敵艦の性能が未知数故、D装備の準備を進めています」

 

D装備。

ザフトのMSが運用する装備の中で対拠点・要塞攻撃用の重爆撃装備だ。

ジンのみならず、地上の空戦用MSにも搭載可能な代物だ。

 

「連合の新型のOSについては君たちも知っての通りの性能だ。だが、あの1機だけがあれだけ動けるかはわからん」

 

アスランはそれに同意して頷く。

 

「そして、オーブの新型……ラスティが1機を奪ってきてくれたが、本音を言えばこちらの方が脅威度は上だ。既にデータを見たが、連合のOSよりも遥かに完成度が高いものを載せている。先の戦闘でもラスティは奪取したそのままの状態で戦闘にも突入できたのだからな」

 

完成度で言えばザフトのMSに匹敵するほどのOSを載せている。

それらを踏まえた上でのクルーゼの判断は妥当なものだった。

 

「これらを捨て置けばいずれ我らの命でその代償を払う事になる。放っておくわけにはいかんという事ははっきりしているだろう。捕獲できぬとなれば、今ここで戦艦ごと破壊する」

 

「今度こそ完全に意気の根を止めてやれ」

 

「「「はっ!!!」」」

 

ミゲル以下、他2人のパイロットもそう返事をし、出撃準備に入る。

その場にはアスランとラスティが残るが、アスランはこんなことを言い出した。

 

「アデス艦長、私も出撃させてください」

 

「なっ、アスラン!? お前、何言ってんだ!?」

 

ラスティが目を丸くして驚きながら突っ込む。

 

「今回はミゲル達に譲ってやれ。彼らとて悔しいのだ」

 

「……艦長、隊長。正直に言わせてもらいますけど……ジンだけじゃやられますよ」

 

無礼を承知でラスティがそう口にした。

先ほどまでイナズマを調べていたが故の結論だった。

 

「……それほどのものかね、オーブの新型は?」

 

「機体もありますが、パイロットの方です。自分とミゲルで話し合いましたが、おそらくオーブの新型に乗っているのは向こうの正規軍のパイロット……それもコーディネイターでしょう」

 

「……オーブならば有り得る話か……」

 

先の戦闘でクルーゼも相対したフブキ。

その性能のみならず動きもかなり良いものであった為、そういう可能性も彼は頭に入れていた。

 

「あの想定外の1機に対しては確かにな。良いだろう、新型同士の戦闘で取れるデータに興味もある。ラスティ、君は出たまえ。オーブの新型の抑えは任せるぞ」

 

「了解しました」

 

出撃許可が下りた事でラスティも出撃準備に入ることになった。

同じヴェサリウスのパイロット待機室では先に帰還したデュエル、バスター、ブリッツを奪ったパイロット達がクルーゼの判断についての話をしていた。

 

「D装備ねぇ……まあ、それを出すほどの相手って事か…」

 

「良いのでしょうか……相手は中立のコロニーですよ?」

 

「自業自得だ。現に中立を隠れ蓑にして地球軍の新型機を作っていたんだ。当然だ」

 

バスターの「ディアッカ・エルスマン」、ブリッツの「ニコル・アマルフィ」、デュエルの「イザーク・ジュール」がそれぞれにそう反応する。

先にミゲルのジンを含めた3機に加えてオーブの新型対応という名目で出撃許可が出たラスティのイナズマが出撃態勢に入った。

 

「……ラスティは出るんですね」

 

「あいつが持ってきた戦闘映像と報告を見せてもらったが、同型のオーブの新型が相応の性能らしい。乗っているのも推定オーブ正規軍のコーディネイター。ジンだけじゃ荷が重いな」

 

「ふん、ならば奴のお手並み拝見といこうじゃないか。地球軍とオーブ相手にどれほどやれるか…」

 

先のラスティの報告は彼らとて聞かされていた。

OSの性能で言えばオーブの新型が明らかに上。

機体性能も同程度となればディアッカの言う通り、ジンだけでは歯が立たない可能性が高い。

と、ジンとイナズマが出撃し、作戦に出る機体は全て出たと思った彼らの目に予想外の光景が映った。

なんと、イージスが起動し、出撃態勢に入るとそのままミゲル達の後を追って出撃していったのだ。

唖然とする3人。

ヴェサリウス艦橋にもその事態は伝わっていた。

 

「アスラン・ザラが奪取した機体で出撃しただと!? すぐに…」

 

「いや、行かせてやれ。地球軍の新型同士の戦い……面白いものになると思わんかね?」

 

アデスの静止をクルーゼはそう言って静止した。

 

 

アークエンジェルでは第1戦闘配置の命令が出た事で一気に緊迫感が増していた。

 

「まったく、休む暇すら与えてくれないとはね」

 

ワタルは文句を言いながら自身が手伝える格納庫へと走っていく。

その途中、ヘリオポリスの学生組と鉢合わせするが、その中にキラの姿が既にない。

 

「あ、シラミネさん!!」

 

「君達は居住区に……」

 

「あの、クラマ一尉に伝えてほしい事があるんです!!」

 

「ユキトに?」

 

彼らの声に耳を傾ける前にワタルは大体の事情を察していた。

おそらく、マリューに頼まれてキラがストライクに乗る事を決断したのだろうと。

 

「ヤマト君の事だね?」

 

「お願いします!! あいつ、戦いたくないのに今やれるのは自分だけだって言って!!」

 

「一緒に出るクラマ一尉なら守ってもらえると思って!!」

 

友人たちが悲痛な叫びで訴える。

ワタルにも痛いほどそれは伝わってきていた。

 

「大丈夫だ。出撃するっていうならおそらくユキトは自分の指揮下にキラ君を置くはずだ。あいつ、あんな若いけど、本国じゃ一端の部隊長なんだ。面倒見てくれるはずだ」

 

「それでもです。直接…

 

「皆まで言うな。ちゃんと伝えておくよ!!」

 

そう返してワタルも格納庫に駆けていった。

その格納庫も再びザフトがコロニー内に侵入してきた事で慌ただしくなっていた

フブキに向かって駆けていくユキトだが、その彼に声が掛けられる。

 

「ユキト君!! 待って!!」

 

「どうした、マユラ?」

 

息を切らしてマユラが追い付いてくる。

 

「ユキト君なら大丈夫だと思ってるけど、必ず戻ってきてよ? 私、ユキト君が落とされる光景なんて絶対に見たくないからね!?」

 

「……大丈夫だ。心配はするな。僕は墜ちないよ。さっきの戦闘でザフト相手でもある程度は戦えるのはわかったんだ。やれるだけやってみるさ」

 

自身の身を案じる幼馴染の言葉にそう返す。

だが、なおも彼女は鬼気迫る表情で告げる。

 

「墜ちたら許さないんだから!! ユキト君が居ないと私は……」

 

「わかっているよ。だけど、今戦えるのは僕かキラ君しか居ないんだ。僕を信じて。必ず戻るから。僕が君との約束を破った事なんてないだろう?」

 

言い聞かせるようにマユラに言うユキト。

幼い頃から2人は一緒であり、互いの事を知り尽くしている。

いつも一緒だったのが当たり前の関係だったのだ。

どちらかが居なくなるなんて考えたくもない事であり、マユラはその恐怖を抱きつつあった。

 

「うん。知ってる」

 

「じゃあ、大丈夫だね。行ってくるよ」

 

そう告げるとコックピットハッチを閉じる。

同時にOSを起動させ、そのシステムの頭文字が表示される。

フブキのものは「Genesis Unity Normal Develop All-areas Model」…起源として開発された単一の通常的な全領域型モデルという意味を成すOSを搭載している。

ユキトはこれをこう呼んでいる。

 

「頼むぞ、G.U.N.D.A.M。ここには……僕の守りたいあの子だって居るんだ。真価を問われるときだ」

 

同時に、ストライクに通信を繋げる。

そちらのコックピットには既にキラが乗り込んでおり、出撃準備に取り掛かっていた。

 

「キラ君。本当に良いんだな? 僕に任せてくれても良いんだぞ?」

 

「はい。ユキトさんと同じで僕にも守りたい人がいます。今僕にできるのはみんなを守る事です」

 

「決意は固いみたいだね。わかった。でも、戦闘中はできるだけ僕の指示に従ってね。これでも本国では一つの小隊を率いている隊長なんだ」

 

「わかりました。クラマ一尉?」

 

急に階級付で呼ばれるも、ユキトは笑いながらそれを撥ね付ける。

 

「ユキトで良い。うちの部隊でも堅苦しい空気は嫌いなんだ。流石に公の場ではきっちりしてるけどね。それに、今の君は民間人。本来なら僕が守らなきゃならない立場なのを忘れないで」

 

「だったら、せめてユキトさんで。頼りにしています」

 

「おう、キラ君。ラミアス艦長、状況は?」

 

「MSの数は5機。うち3機はジンよ。残りの2機はX303イージスにそちらから回してもらったデータにあった00T イナズマと一致しています」

 

アークエンジェルから外の様子が回されてくる。

映像に映って要るのはジンが3機に加えてイージスとそれを追ってきたイナズマの計5機だ。

イージスを確認したキラの目が見開かれる。

 

「(アスラン……本当に君なのか?)」

 

「(……今のキラ君の反応……何かあるな。後で聞いてみるか…)」

 

一瞬の反応だったが、ユキトはそれを見逃さなかった。

 

「気をつけろ、キラ君。ジンのあの装備はD型装備……対拠点・要塞攻撃用の重爆撃装備だ。あんなものがコロニーの地面に当たればさっきと同等の被害になる」

 

「それって……」

 

「下手をすればコロニーそのものが崩壊する最悪の事態も考えられる。出来る限りミサイルは叩き落すのがセオリーだけど……」

 

そこまで言ってユキトはストライクの装備も確認する。

マリューたちの判断で装備はコロニーに傷をつけるわけにはいかない事もあって近接戦闘用のソードストライカーパックが選ばれている。

 

「そっちの装備だとイーゲルシュテルンで撃ち落とすしかないか……」

 

「どうすればいいんです?」

 

「おそらく、ザフトの狙いはアークエンジェルだ。おそらく、奪取できないならまとめて破壊してしまおうって算段だろう。その辺りはアークエンジェルの迎撃能力に期待するしかないかな」

 

ましてやアークエンジェルは新造艦。

MSに対する迎撃能力に対してもそれなりのものは備えている筈である。

回線先からナタルとムウの声も聞こえてくる。

 

「それにしても、奪った新型をこうも早く投入してくるとは…」

 

「厄介だぜ。さっきの戦闘を見ていたが、オーブの新型の性能もGと同等だ」

 

「となればイージスとイナズマは僕たちの抑え役でしょう」

 

重ねそういう見方でいいだろう。

同時に今度はワタルから通信が入った。

 

「ユキト……その様子だと大丈夫みたいだな。ヤマト君の友人たちがすごく心配していたぜ。彼の事、頼んだってな」

 

「……頼まれたよ。キラ君、良い友人に恵まれているね」

 

「そう……ですね」

 

そこへ整備班長マードックからも通信が入る。

 

「そっちの坊主、わかるか?」

 

「えっ……ええ、何とか」

 

「そうか……」

 

一息置くと彼は本音を口にした。

 

「他の奴がどういってるかは知らんが、俺は勇敢な奴が好きだ。それがナチュラルであろうがコーディネイターであろうがな。オーブの坊主、お前もな。」

 

どうやら彼は信頼しても良い人間だとユキトも判断する。

同時にユキトもそれに対して返答する。

 

「軍曹。だったら、うちのワタル、使ってやってください。そんななりでもこいつらの開発をやってのけたエンジニアです。腕は保証します」

 

「おっ、そいつは頼もしい。よし、なら……頼んだぞ」

 

マードックからの通信が切れる。

そして、2機のMSが出撃態勢に入った。

 

「キラ・ヤマト、ストライク、行きます」

 

「ユキト・クラマ、フブキ、発進する!!」

 

2機のG.U.N.D.A.Mが仮初の空へと飛び立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回予告

再び戦場となるヘリオポリス。

その戦場でキラはかつての旧友アスランとの再会を果たすことになる。

一方、ユキトは同型機との交戦を強いられることになる。

次回、機動戦士ガンダムSEED ボクラノキズナ PHASE-05 崩壊する大地

その空を、舞い吹雪け、フブキ!!

 




次話はいよいよヘリオポリス内部戦闘。
本格的な戦闘描写ができるかは不安ですが、やれるだけやってみます。
既にお気づきかと思われますが、あっさり生還しているラスティが前半のライバル枠に収まっていたりします。
元から彼が前半のライバルと決めていましたが、最近、どこかの強化人間部隊に同名の人気キャラが現れたのも追い風ですかね。
このヘリオポリス戦が終われば最初の設定出しますかな……。
ではでは~。
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