機動戦士ガンダムSEED ボクラノキズナ   作:ただのリボン付き

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お待たせしました。
いえ、前話で話していた通り、本当に忙しいので執筆時間が取れない状況です。
何とか書き上げたので、今週分はここまでですね。
最終的にミゲルのジンをどうしたかは読んでもらえればわかるようになっています。
では、7話どうぞ。


PHASE-07 サイレント・ラン

「「失礼します」」

 

艦長室にユキトがマユラを連れて入室する。

そこではマリュー、ムウ、ナタルの3人が今後の方針を話し合っていた。

 

「先の回収した機体に関して報告に参りました」

 

「使えそうなのか?」

 

ムウの問い掛けに対してユキト達は頷いた。

 

「ええ。組み上げた上で00LからOSをコピーします。彼女が乗ってくれるとの事で組み上げ後に調整を進めておきます」

 

「よろしくお願いします」

 

緊張しつつもユキトに続くマユラ。

その発言をナタルは驚きながらも疑問を口にした。

 

「待て、クラマ一尉。なぜ当然のようにザフトと交戦することが前提となっている? ヘリオポリスが崩壊した以上、オーブ軍の貴方が我々と共に戦う理由はないはずだが…?」

 

 

 

機動戦士ガンダムSEED ボクラノキズナ PHASE-07 サイレント・ラン

 

 

 

彼女の指摘の通りでもある。

国土であるコロニーが崩壊してしまった以上は中立の彼が戦う理由が消滅してしまったともいえる。

 

「……バジルール少尉。先に回収したポッドに乗っていたのは?」

 

「民間人だが…ああ、そうか…そういう事か」

 

「納得してもらって助かります。彼らはオーブの国民です。引き続き、安全な所で彼らをアークエンジェルから下船させられる所までは自国民保護を兼ねて介入させてもらいます」

 

「そういう事なら当然か。そうなると、今後の作戦にもアドバイスをもらえるってことかい?」

 

ムウからの問いかけに頷き返すユキト。

彼とて軍務について4年ほど経過しており、試験部隊を率いる立場の隊長でもある。

最も、こういった作戦行動を取るのは初めてだが、部隊運用においては多くの事を学んではいる。

 

「方針としてはユーラシア連邦のアルテミスへの慣性航行での隠密移動…ですね?」

 

ヘリオポリスが位置しているL3宙域の近隣には地球連合を構成する「ユーラシア連邦」の宇宙要塞「アルテミス」が存在している。

アルテミスの傘と呼称される全方位光波防御耐を備える鉄壁の守りを持っており、これによって開戦以降、ザフトからの侵攻を受けずに済んでいる。

 

「今ならヘリオポリスの残骸に紛れての移動が可能です。避難民の事も考えれば、無補給で月本部へ向かうのは無理でしょうからね」

 

「月方面にデコイを発射と同時にアルテミスへの慣性航行に入る予定だ」

 

ナタルが方針を説明する。

エンジン噴射と共にデコイを発射して月に向かうように見せかけるのだ。

 

「……果たしてそう上手くいきますかね? この艦は大西洋連邦の新造艦です。推測ですけど、友軍の識別コードすらまだ与えられていないのではないでしょうか?」

 

図星だったようであり、マリューたちは黙ってしまう。

友軍の識別コードを持っていないという事はザフトと思われても仕方ない対応を取られかねない可能性もある。

更に、ユキトはヘリオポリスに来る以前にアルテミスには少し因縁もあった。

 

「正直、あんまりおすすめは出来ないんですよね、あそこ。ヘリオポリスに来る途中で近隣宙域を通過しようとしたら通行料を寄こせって脅されましたよ? 振り切ってやりましたけどね」

 

「……同じ連合軍の軍人として申し訳ない」

 

軍人にあるまじき行為を聞かされたナタルが謝罪する。

つまりはアルテミスの司令官は資質に大幅に欠ける人物であるという事だろう。

更にユキトは指摘を続ける。

 

「それに、ユーラシア連邦……いや、たぶん東アジア共和国もでしょう。大西洋連邦がこうしてMSとその運用艦の開発に成功した以上、彼らとて同じことを目論む筈です。おまけに中立の僕たちにまで先を越されていますからね」

 

「つまり……ユーラシアの連中がアークエンジェルとMSの拿捕を試みると?」

 

「充分に可能性は考えられます。対応もそれ相応のものを覚悟しておいた方が宜しいかと思います」

 

ユーラシア側の対応。

アークエンジェルと残されたストライクにオーブ製の新型機をまとめて確保した上でのアルテミス司令官の手柄とする事。

先のユキトの話が本当ならアルテミスの司令官は出世欲の強い人物であると想像に難しくはない。

 

「特にフブキと00LのOSは喉から手が出る程でしょうね。現状、ナチュラルでも操縦可能にできるOSはあの2機に搭載されているものだけですからね」

 

「待て。そうなると、例の回収した機体は本来のOSではナチュラルの操縦は不可能なのか?」

 

「ええ。元々、あの機体はナチュラル用OSにパイロット支援AIを入れる事でどうにか動かす予定でしたからね。今はAIを入れてないので容量的に問題が無いので00Lからのコピーで対応します」

 

「とすると、乗るのはお嬢ちゃんか。こう聞くのは悪いが、君の能力は?」

 

マユラに乗ってもらう以上は実力を疑問視するムウ。

彼とてまだナチュラルの人間がMSを操縦して戦う所は見たことが無いのだ。

正パイロットに選ばれていたメンバーの操縦も見ていたが、動かすだけで精いっぱいだったのもある。

 

「本国ではクラマ一尉の部下として別の機体のテストをやっていました。開発チーム内では一尉に次ぐ実力と評価は受けています」

 

「実戦はまだ早いとは思っていますけどね。ただ、幼少期から将来的な事も考えて僕の軍への入隊や彼女のモルゲンレーテ入社の前から一緒に自主練するなりで徹底的に鍛えてきました」

 

幼馴染であるという事もあって昔から目標が明確だった。

互いにパイロットになる事を考えれば身体は資本的な部分はある。

その事もあって彼ら2人は幼少の頃から時間さえ合えば走り込みや互いの勉学に協力して鍛え上げてきたのだ。

 

「つまり、戦力としては十分という事ね?」

 

「MSの扱いに関しては問題ないですよ。下手をすればザフトのパイロットよりも長い可能性も考えられます。あっ、そうだ。ラミアス大尉。何かしら使える予備の武装はありませんか?」

 

「予備の武装?」

 

「P04の武装は標準的なサーベルとライフル、それに頭部のイーゲルシュテルンしかありませんからね」

 

「シールドはストライクと共通規格のものだから良いのですが、私が得意としている近接格闘戦用のものがあればと思っているんですが…」

 

問われたマリューは今しばらく考える。

とはいえ、大抵の他の機体の予備パーツや予備の武装は奪われるか破壊されるかであった為、残されているものはあまりに少ない。

と、マリューの頭の中に一つの武装が浮かんだ。

 

「確か……貴方達に手伝ってもらって回収された武装の中に元々はストライク用に開発したけど、アーマーシュダイナーの採用でバスター用に回される予定だったものが一つ存在しています」

 

「あの大型の実体剣ですか……確かに使えない事はないですね」

 

「あれならただ握って振るうだけだからセキュリティもあったものではないから、オーブのMSでも使えるはずよ」

 

現在、世に出ているMSの武装には鹵獲された際に他の機体で使用されないようにセキュリティによるロックが掛かるようになっている。

マリューが指摘しているのはバスター用の予備で破壊されずに回収されていた実体剣「XM404 グランドスラム」の事であり、レーザーを纏わせるシュベルトゲベールと違って握るだけで使える事からセキュリティ関係なしなのである。

 

「なら、お言葉に甘えさせてもらいます」

 

「頼むわね」

 

「さて、おそらくだが、デコイはクルーゼなら見抜いてくる可能性が高い。俺のゼロと一尉のフブキだけでは厳しいだろう。またあの坊主にストライクに乗ってもらわないといけないだろうな」

 

次の戦闘ではおそらく先のヘリオポリス戦同様にイージスとイナズマのみならず他の奪われた3機も投入してくる可能性が高い。

そうなった場合、不利になるのは明らかだった。

 

 

 

ザフト側の方ではヴェサリウスが僚艦であるローラシア級MS運用艦「ガモフ」と合流していた。

ヴェサリウスでは先の戦闘の事で屈辱的な結果となったミゲルが荒れていた。

 

「情けねぇ……ラスティに助けてもらわなかったら俺もオロールやマシューと同じ宇宙の藻屑になっていた所だったぜ…お前らに先輩風ふかすのもこれまでかもな」

 

「いや、仕方ねえんじゃねえの。さっきの戦闘の映像見たけど、あんなのが2機も居ちゃ、ジンで生き残っただけでも誇れるぜ」

 

ディアッカが素直に称賛する。

イザークもこれには同意するしかない。

 

「地球軍のみならずオーブまであんなものを作り上げた。これは俺たちにとっては脅威以外の何ものでのないないからな。ディアッカの言う通り、誇っていい」

 

「次の戦闘は僕達も出ます。今度こそ仕留められる筈です」

 

ニコルもそう励ましの言葉を口にする。

ラスティはやれやれと言った顔でこう告げる。

 

「でも、ミゲル。機体の方はどーすんだ? 残ってるのは…」

 

「それなら俺の専用機の修理が終わったからな。次からは遅れを取らねえ」

 

元々、ミゲルは「黄昏の魔弾」の2つ名を持つエースパイロットでもある。

ヘリオポリスに来る直前のある任務で機体を損傷させていた事もあってGの奪取作戦ではノーマルのジンに乗る事を強いられていたのだ。

 

「クルーゼ隊長からも隊長の予備機のハイマニューバからパーツを移植して良いと許可を得ているからな」

 

「それにアサルトシュラウドのアーマー部分だけを装着したカスタマイズか…確かに増加した重量分を補うという点では理想的だな」

 

現在、ミゲルの専用ジンは修復と同時にクルーゼが以前使っていた「ZGMF-1017M ジンハイマニューバ」の一部パーツを移植し、更に増加装甲「アサルトシュラウド」のアーマー部分のみを装着した混成装備として整備が進められている。

ラスティの指摘通り、増加装甲で重量が増えた分、ハイマニューバの増設したスラスターで補う形になっており、総合的な性能も上がっている。

 

「……」

 

「アスラン、何をぼっーとしている!?」

 

考え事をしているアスランにイザークがそう怒鳴りつける。

事情を唯一知るラスティは割って入る。

 

「まあまあ、落ち着けって。抜け駆けされて怒っているのはわかるが、正直、ヘリオポリスでアスランが出てなかったら俺も向こうの新型2機に落とされていた可能性はあるんだ。今回は俺の顔に免じて……な?」

 

「ふん。ならば、次の戦闘ではちゃんと戦って見せるんだな。無様な格好を晒すようなら許さんぞ」

 

「わかっているさ」

 

思い詰めた表情をするアスラン。

一方、ヴェサリウスのブリッジではある反応を捉えていた。

 

「大型の熱量を感知! 戦艦クラスのものと思われます! 推定コースは月の地球軍プトレマイオス基地!!」

 

「月面方向……いや、有り得んな。イザーク達をガモフへ移動。その後、指定させたコースに向かわせろ。ヴェサリウスはその反応を追うふりをしろ」

 

「やはり囮と?」

 

「無補給で月まで行くなど有り得んよ」

 

クルーゼは既にアークエンジェル側の作戦を見抜いていた。

 

 

 

アークエンジェルの側ではムウ、ユキト、マユラがキラに対して今後の事を話すべく声を掛けた。

彼の周囲にはサイたちもおり、話が聞こえる距離だ。

 

「こんな所に居たか…」

 

「皆さん……」

 

「僕たちはパイロットスーツを着て待機だって。これから脱出作戦が始まる」

 

キラは彼らが何を言いたいかすぐに察することができた。

再びストライクに乗って戦ってほしいという事だ。

 

「また、あれに乗れって言うんですか?」

 

「気持ちはわかるけどね。今この艦で戦えるのは僕達だけだ。それに、キラ君がポッドを回収してしまった以上、僕も含めて彼ら…民間人を守る義務がある。今しばらく、君の力を貸してほしいんだ」

 

「………一応聞いておきます。勝算はあるんですか?」

 

そう問い返したという事はキラが戦う気があるという事だ。

それに対して頷き返すムウとユキト。

キラはそれを受けてこう返した。

 

「みんな、出来る事をやっているんです。僕だけ何もしないわけにはいかないでしょう?」

 

「情けねえけど、軍人であろうが民間人であろうが、今はそうしないといけないのがこの艦の状況だ。正直、俺も逃げ出したい所だが、そうもいかん」

 

「どうするかは……決まっているみたいだね。その選択、後悔はない?」

 

ムウの状況の説明に続けてユキトは確認を取る。

キラは静かに頷き返した。

同様にこの会話を聞いていたサイたちもマユラに尋ねる。

 

「あの……俺達も何かできる事、ないでしょうか?」

 

「キラだけを戦わせるわけにはいかないと思うんです」

 

「……そうね。君たち、工学系のカレッジに通っていたんだよね?」

 

マユラの問いかけに対してサイ、トール、ミリアリア、カズィが頷き返す。

これに対してムウに一旦話を振る。

 

「フラガ大尉、この子達で手伝える事となると……」

 

「手が足りていないのはブリッジクルーだな。機械系の扱いに慣れているならレクチャーすれば行けるはずだ」

 

「わかりました。ブリッジ、こちらクラマ一尉です」

 

近場の艦内通信機を手に取ると艦橋に連絡を取る。

対応したのはCIC・電子戦を担当する「ダリダ・ローラハ・チャンドラII世」伍長であった。

 

「どうした、一尉?」

 

「ヘリオポリスの学生たちが何か手伝えることはないかと」

 

「待っていろ、すぐ艦長に繋ぐ」

 

しばらくしてマリューが通信に代わる。

 

「話は聞きました。彼らの経歴から考えるにこちらで教えさえすれば対応可能でしょう。すぐにブリッジへ」

 

「了解しました。彼らに伝えます」

 

返答を確認し、ユキトはサイたちに向き直る。

 

「ラミアス艦長がブリッジクルーを手伝ってほしいとの事だ。君たちの知識なら対応できるはずだ。すぐに行ってあげて」

 

「わかりました」

 

「みんな……」

 

自分一人戦わせるわけにはいかないという理由で手伝う事を決意した友人たちに驚きの表情を見せるキラ。

それに対してトールが彼の肩をたたきながら言う。

 

「そんな顔するなって。こんな状況だからこそ、やれることをやらないとな」

 

「ユキトさん。改めて、キラの事、頼みます。俺たちは一緒には戦えないけど、サポートすることぐらいはできるはずです」

 

サイもユキトに頼み込んでくる。

一方でその光景を一歩引いたところから見ているのがフレイだった。

MSの操縦という事を聞いて何かを察する彼女はミリアリアに尋ねた。

 

「ねえ、ミリィ。あの人、もしかして…」

 

「そこまでよ、フレイ。確かにあの人はコーディネイターだけど、オーブの軍人さんよ? そりゃ、貴女からすれば思う所はあるかもしれないけど、考え方が根本から違う人だから信用しても良いと思うわ」

 

「………で、でも…」

 

「じゃ、私、行くね。出来る事、やらないと……」

 

サイたちは自分のできる事の為に駆け出して行った。

その場に残るのはパイロットメンバーとフレイ。

彼女の視線が気がかりになったユキトは問いかける。

 

「僕が怖い?」

 

「えっ!?」

 

「そんな視線を向けられたら否が応でもわかるよ。確かに君から見れば僕は異質だろう。信じてくれとは言わないけど、安全な所までは僕たちが守るから」

 

そう告げるとその場からパイロット達も離れていく。

何時ザフトが再び攻撃を仕掛けてくるかわからない中、準備は確実に進んでいた。

 




結果的にまだ誰もやっていないと判断したハイマニューバのスラスター増設+アサルトオシュラウドのアーマー部分のみを装備する折衷案で行きました。
脚部部分の追加装甲が無くてそこがハイマニューバの増設スラスターになっている感じですかね。
さて、次回はいよいよGvsGの回。
6対2という状況になりますが、誰をどう戦わせるかはお楽しみに。

次回もおそらく今回と同じくらい間隔が空くと思っていてください。
再来週までは本当に忙しい状態なので、更新できても週一ですので。
では、また次回。
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