機動戦士ガンダムSEED ボクラノキズナ 作:ただのリボン付き
11月の繁忙期の追い込みとそこからのモチベーション回復が想像以上にてこずりました。
今回は時期合わせのネタで生存報告も兼ねての投下になります。
今後もちょくちょくこういった形での番外編を挟んでいくことになると思います。
幼少期のうちの子と推しの子の事とか、書きたいエピソードいっぱいあるので。
では、どうぞ
C.E.70年12月24日。
地球とプラントの開戦から既に10か月余りが経過していた。
ニュートロンジャマーの投下に伴ったエイプリルフールクライシスによる被害や地球各地へのザフトの侵攻によって各国は今でもその対応に追われている。
だが、中立を掲げているオーブは今だ戦火は遠く、地熱発電によってニュートロンジャマーによる電力不測の影響も最小限だった事もあり、平穏無事であった。
この為、この日も市街地は例年通りの賑わいを見せていた。
機動戦士ガンダムSEED ボクラノキズナ 番外編 01 平穏な最後のクリスマス
「呑気なものだ。僕たちが何時有事になっても良いように頑張っているのにな」
「そういうもんじゃない? そもそも、軍やモルゲンレーテの話が表に出てくるようだと世も末だと思うし…」
町中の賑わいを見ながらそう呟いたユキトの言葉にマユラがそう合わせた。
今日はクリスマスイブ。
市街地は家族連れやカップルが繰り出して賑わいを醸し出しているが、それもいつまで続けられるかわからないのが今の情勢だろう。
とは言うものの、彼らもその喧騒に繰り出しているバカップルである。
「とにかく、今日ぐらいは羽を休めようよ? 普段からユキト君が働き詰めなのを知っているんだからね? 年が明けたらまた任務で今度はヘリオポリスでしょ?」
「あー、そうだった。今度は長くなりそうだからなぁ…」
戦争が始まって以降、何時本国が有事に巻き込まれても良いようにユキトは準備に余念がない。
彼の所属はオーブ軍の試験機を開発している00ナンバー開発チーム。
現在は00ナンバー3機の試験とそれをベースにした01と01の護衛機である02シリーズの開発を行っている。
素体そのものは既に01及び02シリーズも開発が完了しており、現在、01は搭載する特殊装甲の開発及び02シリーズは適性によって割り振られたそれぞれの試験武装の開発中だ。
最終的な目標はそれらの開発データを反映した指揮官用及びエース向けの少数量産機の採用であった。
「しかしまあ、昔から僕に付いてきて身体が出来ていたマユラはともかく、アサギとジュリがあそこまで僕の考えたメニューに付いてこられるとは思っていなかったよ」
「そりゃそうよ。私はユキト君の隣を一緒に歩いていきたいって昔から思っているだから。私が努力しているならあの2人だって負けたくないって思ってくれているはずだもん」
「だったら何であいつはそんな想いを無碍にするんだか…」
「あー、ワタル君? 確かにちょっと今日の事は朴念仁すぎるわねぇ…」
2人は仕事人間であり、00ナンバーの開発エンジニアの友人の名を上げる。
ため息をつきながらもユキトはチームの上官であり、友人としてもあきれながら言う。
ワタルは今日も部下の1人から誘いを受けていたのだが、仕事を理由に断っていたのだ。
そちらの2人はやけっぱちになった1人を慰める為に2人で出かけてしまっていた。
「……そろそろ本気でテコ入れしてあげないとちょっと可哀想な気もしてきた。何かしら気付かせてやる手段はないものか……」
「無理じゃない? それこそ想いを自覚させるような相手が出てきた時に焚きつけるぐらいしかないと思う」
対してこの2人は昔から幼馴染であり、早い段階からお互いの想いを認識していた。
軍内やモルゲンレーテ社内でも彼らの関係は有名であり、何よりも互いの親が既に公認状態というのも大きく、手を出してくる相手が存在していなかった。
この為、互いの意見を包み隠さずストレートにぶつけ合う事もいつもの事である。
「なんにせよ、何時どうなっても良いように準備は進めておかないと…」
「私たちの機体はワタル君謹製の専用OSがあるから何とかなってるけど、シモンズ主任はM1に乗せるOSで苦労してるみたいだもんね」
「母さんも同じ仕事仲間として同情してたよ。こっちはある程度自由にやれてるけど、アストレイはサハク家から要望や無理難題を色々言われてるみたいだからな」
開発チームが違うとはいえ、自身の母が仕事仲間の境遇を巡って嘆いている。
以前はアストレイの開発チームに居たマユラはかつての機体を思い出しつつこういった。
「それにしても……何でワタル君はあんなOS開発できたの? M1と性能が段違いなんだけど……」
「あいつの出自に関係してるんじゃないかな。あいつ、確かプラントからの亡命者で今はオーブ在住の母方の爺ちゃんの家に転がり込んでいるって言っていた。名乗っている苗字もその爺ちゃんのものだって言ってたな」
「あー、ソウゴ先生のお孫さんだったもんね。そっか……プラント出身なんだ…」
ワタルの出自。
彼はオーブでも珍しい第2世代のコーディネイターだ
その出自は何かしらの理由でプラントから亡命し、現在は母方の祖父の家に転がり込んでいる。
その祖父もオーブでは軍のご意見番やモルゲンレーテの外部顧問も務めており、ユキト達もその祖父の事は知っていた。
「……たぶん、身内にコンプレックス抱えていたんだろうな。前にソウゴ先生から少しだけ聞かせてもらった」
「あの尊大なワタル君がコンプレックス!?」
「詳しい事はあいつが話すのを待ってくれとは言っていたけどな。ただ、あの独創的な考えが原因の1つだったんじゃないかなとは思っている。浮いていたんだろうな、あのプラントの中で」
基本的にプラントのコーディネイターは仲間意識が強い方だ。
その中で浮いていたとなれば相当な葛藤やコンプレックスを抱えつつオーブに居る祖父を頼って亡命してきたのだろう。
何となくではあるが、今の彼の気持ちはユキトもわかってはいるのだ。
「……あいつなりに今の自分の居場所を守りたくて必死なんだろうな」
「そっか……そうだもんね。聞かされては居たんだ。ワタル君がオーブに来て初めてできた友達だったって…」
「想っていない筈がないんだよ。たぶん、自覚できてないだけでさ」
彼にとって開発チームとは今の居場所なのである。
そんな居場所を壊したくないし、壊されたくないというのがワタルの行動原理なのだろう。
ユキトもまたそれは同じであった。
「僕だってそうだ。帰れる場所と居場所を守りたいが為にパイロットの道に進んだんだ」
「知ってるよ。だから、私だってそんなユキト君を支えたいし、一緒に居たいんだよ?」
「ああ。わかってるさ」
そう返すと自身にマユラを抱き寄せるユキト。
しばし、互いの感触に身を委ねる2人。
やがて、マユラが口を開いた。
「ねえ、ユキト君」
「何だ、マユラ?」
「来年も……こうして2人……ううん、皆でクリスマス、迎えられるのかな?」
来年。
膠着状態になりつつある戦争が終わるのは何時になるのかわからない。
情勢が変わればオーブの本国に戦火が降りかかる事すらあり得るのだ。
「……もし、最悪の事態になったとしても、僕は足掻くよ。皆と……誰よりも君と一緒に生きていく為に」
「………だったら、私も今まで以上に訓練、頑張らないといけないかなぁ…」
そうこうしているうちに時計を見る。
まもなく、日付が回ろうとしていた。
「おっと、そろそろだな」
「うん。そうだね」
そして、日付が回り、12月25日を迎えた。
「「メリークリスマス」」
来年も無事にこう言い合える事を込めて互いにそう言った。
時系列的に第1話の1か月くらい前の話になります。
基本的に幼い頃から一緒という事もあってうちの子と推しの子に関しては第1話時点でも相当に仲が良いというか、もう恋人関係一歩手前って感じです。
まだこの時点でも付き合っているというわけでなく、一緒にいる事が当たり前という関係になっていますので、一歩進んでいくのが前半になりますかな。
改めて時系列見直しても手もこの後、少なくとも5年は戦乱続きになるので本当に集中的に地獄な世界だと思い返されます。
果たして来月の劇場版でどこまで物語や世界観にとって明るい方向に持っていけるのかが気になるところではあります。
あとさらっと明かしましたワタルの出自。
やたらザフトレッドに触れた時に苛立っていたのはこれが原因です。
その辺りも今後書いていく予定で、明かされるタイミングも決めてあります。
それでは皆さん、メリークリスマス。