機動戦士ガンダムSEED ボクラノキズナ 作:ただのリボン付き
初の宇宙戦闘の前半となっております。
正直まあ、この辺りはまだ原作沿いですかな。
明かな変化が出て来るのはユニウスセブンあたりからとなっているので、そこからが独自色が出て来るかなとは思います。
では、どうぞ。
サイレント・ランを敢行して数時間後。
何時ザフトが現われてもおかしくない状況であり、キラもまたパイロットスーツを着込んで待機していた。
そこへ、同様にパイロットスーツを着込んだユキトとムウが入ってくる。
なお、ユキトは連合のものを借りている状態でもある。
「さて、キラ君。フラガ大尉とある程度作戦は決めていたんだけど、君にも伝えておくよ」
「作戦…ですか?」
「ああ。お前さんとクラマ一尉で敵MSを引き付ける。その間、俺は慣性航行で敵旗艦のナスカ級に奇襲をかける。少なくとも、これでナスカ級の足は止められるはずだ」
ナスカ級は高速戦闘艦の名を冠するだけあって快速自慢の艦だ。
今後の追撃に当たって足だけでも止めておきたい艦である。
その時だった。
「総員、第一戦闘配置!! 繰り返す、総員、第一戦闘配置!!」
「艦長、捕捉されたのか!?」
「ナスカ級にレーダー圏外からこちらの進路に先回りされました。後方にもローラシア級です。双方からのMS発進を確認しました」
風雲急を告げる事態が訪れた。
機動戦士ガンダムSEED ボクラノキズナ PHASE-08 フェイズシフトダウン
格納庫は一気に慌ただしくなる。
4号機の作業も中断され、各々が出撃準備に入っていた。
フブキに乗り込んだユキトに通信でワタル達が呼びかける。
「空間戦闘用に調整できるところは調整しておいた。正直な話、空間戦闘のアドバンテージは流石にザフトの方が上だ。戦闘中に調整することになるかもしれない」
「そこは仕方ないさ。僕達オーブは地球の島国だ。そりゃ、ヘリオポリスやアメノミハシラみたいに宇宙にも拠点はあるけど、それらに身を寄せるなんて事態は本国の陥落ぐらいしかありえないからね」
そうなるのは最悪の事態と言っていい。
彼らの開発チームは汎用機の開発という事もあって時たま宇宙空間においてもテストを行っている為、慣れてはいる。
しかし、本拠地が宇宙にあるザフトの方が宇宙空間でのMS運用は先を行っている。
「P04は?」
「機体の組み上げは終わったが、最終調整がまだ済んでない。00LのOSと機体の同調もあるから、どう考えても今回の戦闘には出せないぞ?」
「ごめんね、ユキト君。急いでやってはみたんだけど……」
謝罪してくるマユラ。
だが、首を横に振りながらユキトが返す。
「いや、無理に出撃できない状態で出撃したとしても最悪の事態になるだけだ。今回は僕たちに任せてくれ」
「……わかった」
「2人は避難民のフォローをお願いするよ。たぶん、全部は防ぎきれないだろうから、被弾の衝撃は来るだろうからね」
「了解」「わかったわ」
ワタル達はそう返事を返す。
次いでユキトはメビウス・ゼロのムウの方へと通信を繋ぐ。
既に作戦通り、先に出撃する事もあってカタパルトに同機が固定されている。
「では、フラガ大尉。作戦通りに」
「おう、アークエンジェルは任せた。ムウ・ラ・フラガ、出るぞ」
先にムウのメビウス・ゼロが発進する。
続いて通信を入れてくるのはブリッジクルーとして手伝う事になったミリアリアだ。
「クラマ一尉」
「ハウ君はCICか……」
「はい。キラ共々サポートさせてもらいます。よろしくお願いします」
「よろしくね」
続いてミリアリアはキラの方に呼びかける。
「そういう事だから、私がキラ達の管制を担当します。よろしくね」
「ミリィ…」
「そんな顔しないで。皆、生き残るのに必死なんだから。やれることをやるだけよ」
「……わかったよ。僕もやれるだけやってみる」
そう会話を交わしている間にストライクとフブキ、それぞれがカタパルトへと移動されていく。
フブキは単独での成り立つ機体ではあるが、ストライクは先の戦闘でも見られた通り、武装換装型の機体だ。
「ストライク及びフブキ、発進準備!!」
「APUオンライン。カタパルト、接続。エールストライカー、スタンバイ!!」
今回はラジエータープレート兼用の大型可変翼と4基の高出力スラスターを持つ高機動戦闘用「エールストライク」である。
背部にエールストライカーを装着し、右腕にビームライフル、左腕にアンチビームシールドを装備したストライクは準備が整った。
「エールストライク、発進、どうぞ!!」
「キラ・ヤマト、G.U.N.D.A.M…行きます!!」
開かれた右舷カタパルトからエールストライクが射出される。
続いて左舷カタパルトからは出撃準備が整ったフブキが発進しようとしていた。
「さて……初の空間戦闘か…試験では何度か動かしているから慣れてはいるが、どこまでやれるか…」
「APUオンライン。カタパルト、接続、フブキ、発進、どうぞ!!」
「ユキト・クラマ、G.U.N.D.A.M、出る!!」
加速したフブキが勢いよく左舷カタパルトから射出される。
発進後、フブキは背部アタッチメントに装備している71式フォールディングメガビームランチャー:クニトモの発射態勢に入る。
「ブリッジ、後方から接近する3機のフォーメーションを崩します。フブキの遠距離射撃後にアンチビーム爆雷の投射を!! おそらく、バスターが撃ち返して来る筈です」
「了解した。敵の座標を送る。こちらも同様に援護をする」
「頼みます!!」
ナタルがそう返事を返し、フブキに後方から迫るデュエル、バスター、ブリッツの座標が送られてくる。
「座標入力……相対距離から判断して……このあたりか!!」
クニトモからアグニに匹敵するビームが数射放たれる。
同時に、ユキトはキラに通信を入れる。
「キラ君、前方から来る3機は頼んだ。僕は後ろの3機を!!」
「わかりました」
キラは前方から来るイージス、イナズマ、ミゲルのジン。
ユキトは後方から来るデュエル、バスター、ブリッツへの対応がそれぞれの役目だった。
遠距離射撃後、後方の方ではその射撃を散開して避けつつもイザークが驚く
「あんな距離から撃ってくるとは!? 撃ち返せ、ディアッカ!!」
「おーらい!!」
苛立つイザークの指示にディアッカが反応し、バスターが両手に持つ350mmガンランチャーと94mm高エネルギー収束火線ライフルを合体させ、ライフル側を前に構えた超高インパルス狙撃ライフルを撃ち返す。
しかし、フブキの射撃後に投下されたアンチビーム爆雷によってアークエンジェルに届く前に徐々に威力が減衰されてしまい、届かない。
「ええい、向こうの射撃後にアンチビーム粒子を撒いたのか!?」
「イザーク、ディアッカ、敵MSが来ます!!」
ニコルの指摘通り、射撃を終えたフブキがスラスター出力を全開で散開した3機に向かってきた。
ユキトが最初に標的にしたのは散開した結果、最も距離が近くなったデュエルだ。
「まずは前衛機から!!」
「ふん、ラスティから聞いたが、平和ボケしたオーブの奴なぞに!!」
完全に舐めて掛かったイザーク。
ビームサーベルを抜いて斬りかかるデュエルだが、その動きはあまりにも直線的にすぎる。
「見え見えだよ!!」
それ故に動きは読みやすい。
斬撃をひらりと避けると同時に避けた反動でデュエルに対して回し蹴りを叩き込むフブキ。
「うおおおっ!?」
PS装甲と言えど、衝撃や反動までは無力化は出来ない。
予期せぬ格闘攻撃は受けたイザークは衝撃に悶えながらも意識を保つが、デュエルが反動で弾き飛ばされてしまった。
「イザーク!? この野郎!!」
ディアッカが唖然としつつも350mmガンランチャーを発射する。
散弾が発射され、回避行動を取りつつもフブキは一部が被弾するが、ヒヒイロカネ装甲で無力化する。
「直撃は貰ってやれない!!」
「やっぱ実弾じゃ駄目か!!」
「こいつ!!!」
今度はブリッツが仕掛ける。
左腕のピアサーロック グレイプニールを射出し、フブキを捉えに掛かった。
「逃がしません!!」
進路を塞ぐようにニコルは同時に右腕の攻防一体型シールドのトリケロスに装備されている50mmレーザーライフルを発射していく。
他の2人と違って彼だけは最初から油断などしておらず、本気で仕留めに掛かったのだ。
「エリート意識で油断してくれていると思ったが、ブリッツは違うか!!」
ライフルの射撃で退路を妨害しつつ、グレイプニールで追い回されているユキトもそう判断する。
やむなくシールドからマサムネを抜刀し、グレイプニールを弾き返す。
ニコルは同時にイザーク達にこう告げる。
「ディアッカ、ここは僕が引き受けます!! イザークと2人で足つきを!!」
「待てよ、お前の機体の方が足つきを墜とすのには有効なんじゃねえのか!?」
ディアッカがブリッツのある機能を指してそう返す。
しかし、ニコルは首を横に振る。
「元々、地球軍の機体です。僕のブリッツの弱点も知られている筈ですからね。だったら、1機でも引き寄せている間に頼みます!!」
ブリッツの弱点。
それは光学迷彩であるミラージュコロイドの作動中はPS装甲との併用が出来ないのである。
この為、戦艦クラスに奇襲をかけたとしても対空火器の直撃を受ければ無効化が出来なくなるのだ。
「そこまで言うなら、抑え込んで見せろ、ニコル。行くぞ、ディアッカ!!」
「おい、イザーク!? ええい、持たせろよ、ニコル!!」
反動で跳ね飛ばされつつも戻ってきたイザークはニコルにそう告げ、その場をニコルに任せるとアークエンジェルに向かうデュエルとバスター。
「行かせると思って…」
「そうはさせません!!」
追う構えを見せるフブキをブリッツがビームサーベルを起動させて斬りかかる。
しかし、シールド一体型のサーベルという事もあって大振りになってしまうのが欠点でもあるのを見抜いていたユキトは斬撃を避けるとショートバレルビームライフルを向ける。
「この距離で!?」
「避けられるか!?」
他のGよりも小型のライフルである為、至近距離でも発砲が可能なライフルだ。
ニコルはとっさにビームサーベルをダウンさせるとシールドを構えて防ぐ。
しかし、その一射で視界がシールドで防がれてしまい、フブキから視線を外してしまうニコル。
「しまっ!?」
「おりゃあああ!!」
そのまま体当たりを仕掛けるフブキ。
更に抜き放ったマサムネの刀身部分を叩きつけ、ブリッツを一時的に弾き飛ばした。
「うわっ!?」
「アークエンジェルに戻らないと!!」
ブリッツを一時的に遠ざけたフブキは踵を返してデュエルとバスターを追う。
アークエンジェルの前方ではストライクが同艦の援護を受けながらイージス、イナズマ、ミゲルのジンと交戦を開始していた。
「さっきのお返しをさせてもらうぜぇ!!」
両肩部のガトリング砲を放ちながらミゲルのジンアサルトハイマニューバが接近する。
装備を見てそれほど機動性は高くないと思っていたキラだが、彼自身が思った以上にハイマニューバの装備も相まって想像以上の速さで迫ってきた。
「くっ、あのジン!! あんな重そうな見た目で!!」
ビームライフルを構えて発射するキラ。
射線に割って入ってイナズマがアンチビームシールドでその射撃を防ぎ、ラスティが怒鳴る。
「ミゲル、慣らしどころかぶっつけ本番なんだ。あんまり無理な動きはするんじゃねえよ!」
「わりぃ。いずれにしてもこっちの火器じゃ全部防がれるのがオチだ。頼むぜ、ラスティ、アスラン!!」
「わかっている!!」
アスランがビームサーベルを起動させてストライクに斬りかかる。
接触回線で彼はキラに対して呼びかける。
「なぜだ、キラ!! なぜナチュラルの味方をするんだ!? お前だって俺がザフトにいる理由は察せるだろう!?」
「やっぱり…レノアさんの……」
「そうだ!! あの日、母はユニウスセブンに居たんだ!!」
「だからって……今、あの艦には僕の友達や僕が拾ってしまったポッドに乗っていた民間人だって居るんだ!!」
シールドでイージスを押し返すストライク。
振り払うと同時にイージスを蹴り飛ばして弾き飛ばすが、今度はイナズマがビームブレードガンから大型のビーム刃を形成して斬りかかる。
「っ!?」
これは流石にアンチビームシールドでも防げないと判断したキラ。
その斬撃を避けつつ距離を取ってビームライフルを連射する。
「(アスランから聞いていたとはいえ、本当に俺たちと違って先のヘリオポリスが初めての実戦だった民間人の動きか!? コーディネイターだからっていくらなんでもおかしいだろうが!!)」
自分たちは訓練も積んでアカデミーを卒業してきたいわばプロの軍人。
それが先の戦闘でコーディネイターとはいえ、いきなりMSを訓練もなしに動かしたとは信じがたいのだ。
「ミゲル、出来るだけを弾丸をばらまけ!! いくらフェイズシフトとはいえ、落としてしまばこっちのもんってやつだ!!」
「了か……うおっ!?」
アラートがなったと同時にアークエンジェルからの援護射撃が飛んでくる。
ゴッドフリートやバリアントの射撃が次々に飛来し、回避行動を取らざるを得ないミゲル。
「今だ!!」
ジンに狙いを絞ってビームライフルを連射するキラ。
しかし、その射線にイージスが割って入ってシールドで受けとめる。
「迂闊だぞ、ミゲル」
「足つきも相当な性能だな……一発喰らえばジンじゃお陀仏か!! それよりも!!」
イージスの影からミゲルのジンが飛び出し、ガトリングに重突撃機銃、胸部装甲内のグレネードとありったけの実弾兵装をストライクに向けて一斉に放った。
「そのぐらいなら!!」
飛来するグレネードをイーゲルシュテルンで撃ち落とすキラ。
フェイズシフト装甲でガトリングと機銃の弾丸を無効化するものの、一気にエネルギーを消耗してしまった。
「アスラン!!」
「ああ!!」
同時にイージスとイナズマもイーゲルシュテルンをストライクに次々と命中させた。
「っ!? 何をっ!?」
再びビームライフルを連射するキラ。
だが、その直後だった。
ストライクの装甲がトリコロールからグレー単色へと切り替わってしまった。
先ほどまでのビームライフルの連射とフェイズシフト装甲で攻撃を受けとめた事もあって一気にエネルギーを使い果たしてしまった。
実際にはうちの子とザフトレッドの互いの実力は五分五分ぐらいの設定です。
今回は初戦闘という事もあってイザークとディアッカのこの頃の性格なら相手を平和ボケしたオーブの軍人と舐めて掛かる可能性が高いでこの2人との戦闘はこうなりました。
ただまあ、ニコルはおそらく油断も慢心もしないだろうなぁと考えたので互角に戦わせました。
一方でキラは原作よりも負担が減ったとはいえ、3対1状態。
あっという間にフェイズシフトダウンでございます。
では、今年はここまでです。
皆さん、良いお年を。
来年もよろしくお願いします。