Liella!絆物語 タイトル(仮)   作:よろまるよろ

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3月末の出来事


かのん×千砂都

 

 

 

「来てるなら声掛けてくれてもいいのに」

 

振り返り意地悪い笑みを浮かべると座っていた彼女と目が合う。

 

「邪魔しちゃいけないと思って」

 

そう言い立ち上がって歩いてきた。自分より背の高い彼女は澁谷かのん。

 

「お疲れ様、ちぃちゃん!」

 

「ありがとう!かのんちゃん!」

 

私、嵐千砂都の幼なじみだ。

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

「まさか、学校に居るなんて」

 

並んで竹下通りを歩いているとかのんちゃんがポツリと呟く。

 

「あはは、ごめんごめん」

 

「途中でナナミちゃんに会わなかったら探し回ってたよ」

 

「あれ?私連絡入れといたはずだけど?」

 

私がそう言うとかのんちゃんは携帯を取り出す。電源を入れるが画面は暗いままで反応がない。

 

「⋯充電切れみたいです」

 

バツの悪そうな顔でこちらをみる。

 

「充電切れなら仕方ないよ」

 

「申し訳ございませんでした!」

 

顔の前で手を合わせて謝る。あんまり気にしてないので私は何とも思わないがかのんちゃんは割と気にする方だ。

 

「⋯ 今度たこ焼き買いに来てくれたら許すよ」

 

「必ず!買わせていただきます!」

 

私がそう言うとキメ顔で言うので、不覚にもドキッとしてしまった。かのんちゃんはタラシな節がある。

 

『きゃーー!!』

 

歓声の方を向くと大型ビジョンに映る2人組が目に入る。『Sunny Passion』の2人だった。彼女達の一挙手一投足が人々を魅了している。東京大会を優勝してそのままラブライブ!の本大会も優勝して日本一のスクールアイドルになったパフォーマンスは映像なのに存在感が凄い。

 

「凄いよね。悠奈さん達」

 

「うん。改めて実力を見せつけられた感じだよ」

 

「うん⋯」

 

眉間に皺を寄せビジョンを見るかのんちゃんは、何時もの表情とは違う雰囲気を出していた。しばらく映像を見ていると違う映像に切り替わって、見るために足を止めた人々は徐々に離れていく。

 

「⋯てい!」

 

「いてっ、ちぃちゃん!?」

 

ビジョンを凝視していたかのんちゃんの後頭部にチョップをかます。頭を擦りながら頬を膨らませてこちらを見る。

 

「かのんちゃん、こーんな怖い顔してたよ!」

 

「あたし、そんな怖い顔してたの!?」

 

目を釣り上げてかのんちゃんの顔の真似をする。そんな私の顔を見たかのんちゃんが驚きの声をあげる。

 

「可愛い顔が台無しだよ?」

 

「可愛くない!」

 

「ええー、かのんちゃんはとっても可愛いのに」

 

そう、今のかのんちゃんは可愛い。小さい時は可愛いよりかはかっこいいが似合う活発な女の子だ。

 

「ちぃちゃんの方が可愛いよ!」

 

必死な顔をして言うかのんちゃんがこちらを見る。少しムッとした顔も可愛いと思ってしまうのは変じゃないかな?

 

「そお?ありがとう!」

 

「くっ、思ってた反応と違う!」

 

嬉しい気持ちを押し殺して流すようにニヤッと笑いながら言う。悔しい顔をして睨んでくる。

 

『グゥー』

 

「えっ?」

 

睨んでいたかのんちゃんの方から腹の虫が鳴り響き顔を見ると徐々に顔が紅くなっていく。睨んだ顔は恥ずかしさでいっぱいの顔に変わった。

 

「イジるのはこの位にしてご飯行こっか!」

 

「⋯はい」

 

諦めたのか素直に言う事を聞いてくれる。

大型ビジョンの前から歩き出すと多くの人でごった返していて前に進むのも大変だ。人の波に押されて躓きそうになる。

 

「ちぃちゃん!」

 

「うわっ!」

 

呼ばれたと同時に手をグイッと引っ張られて抱きしめられた。フワッと香る太陽の匂いとほのかにコーヒーの匂いがする。

 

「ぷはぁっ」

 

「大丈夫?」

 

顔を上げるとかのんちゃんの顔が目の前にあった。

 

「だ、大丈夫です///」

 

「なんで敬語なの?」

 

間近であんなのは反則だ。さっきまでのかのんちゃんとは打って変わってかっこいい。思わず敬語になってしまった。

 

「は、早く行きましょうか///」

 

「だからなんで敬語なの!?」

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

あれからしばらくして大通り沿いの道を外れて路地裏にある小さな喫茶店に入店した。席に着いて一息つきメニューを開く。

 

「喫茶店に入るならかのんちゃんの家でも良かったんじゃない?」

 

「たまには、自分の家以外の喫茶店にも行きたいじゃん!」

 

「それを言える人はなかなかいないよ〜」

 

「だよね〜」

 

メニューを見ながら会話する。先程の事もあり顔を見るのが少し照れくさいので落ち着くまでこうしておこう。

 

「どれにするか決まった?」

 

「やっぱり、ハンバーグかな!」

 

「そう言うと思ったよ」

 

「ちぃちゃんは?」

 

「ん〜」

 

ガッツリの気分でもないし軽めにしようかとメニューを眺めていくけど、ピンとくるものがない。悩んでいるとまだ見てないメニューがあったのでそれを手に取る。

 

「こ、これは!!」

 

「ど、どうしたの!?」

 

新しく手に取ったメニューをかのんちゃんに向ける。

 

「私これにする!」

 

「えっとー、『まるまるピッツァ』食材全てを円型にくり抜きまるが大好きな人にオススメの1品と」

 

「こんな私にピッタリのメニューがあるなんて!」

 

「確かに…こんなのちぃちゃんのためのメニューみたいだし決まったみたいだし店員さん呼ぶね」

 

「うん!」

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

しばらくすると私のピザにかのんちゃんが頼んだトマトハンバーグにドリンクが目の前に運ばれてきた。色とりどりの具材か丸くカットされていて最高!

 

「これは、良い丸だね!」

 

「そ、そっか〜、冷める前に食べようか!」

 

「かのんちゃんも見てよこのまる!」

 

「す、凄いグイグイ来る」

 

「さあさあ!」

 

私のまるい物好きの勢いに押されたかのんちゃんがとある疑問をなげかけた。

 

「い、今は丸いけど食べたら丸くなくなるよ」

 

「……はっ!!」

 

そうだった。たこ焼きと違って一口で食べれないからまるでは無くなる。この事実に気付いたら私は落ち込んだ。普通に食べたら丸では無くなってしまうからどうしようか悩んでしまう。

 

「ちぃちゃん⋯」

 

「かのんちゃん…」

 

かのんちゃんの方を向くと手に持っていたのは……ピザカッターだった。

 

「許してねちぃちゃん。これはあたしの為でもあるの」

 

『グゥー!!!』

 

先程より大きな腹の虫が鳴く。

 

「もう⋯ガマンできないの!!!」

 

振り上げたピザカッターが下ろされる。

 

「まんまるピザがー!!」

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

「ん〜、美味しい♪」

 

「さっきまでのまるへの思いわ!?」

 

綺麗にカットされたピザをもぐもぐ食べているとかのんちゃんが叫んできた。

 

「茶番もそこそこにしないとせっかくの料理が冷めちゃうし」

 

「あ、自分で茶番って言っちゃうんだね」

 

そんなこんなで運ばれた料理を美味しく食べ終えて一息つく。私が注文したピザは一人で食べきれるサイズだから先に終わってしまった。

 

「美味しいな〜、このハンバーグ」

 

目を輝かせながらハンバーグを食べていく。

 

「かのんちゃんの好きな物が2つもあるからね!」

 

「いや、3つかな」

 

「え、他になにかあるっけ??」

 

私が考えているともぐもぐさせたかのんちゃんが言う。

 

「ちぃちゃんも入れるから3つだよ!」

 

「……」

 

その言葉を聞いて私は押し黙る。

 

「あれ?ちぃちゃん??」

 

「全く、かのんちゃんたら」

 

テーブルから体を乗り出し、そっと顎を左手で下から少し上げてかのんちゃんの顔をこちらに向ける。

 

「え、ちょっ、ちぃちゃん///」

 

「動かないで」

 

「は、はい!」

 

目をギュッと瞑ったかのんちゃんにそっと…………

 

「んー!?!?」

 

「全く、トマトソース付けすぎ」

 

右手に持った紙ナプキンでかのんちゃんの口についたトマトソースを拭いていく。吹き終えて椅子に座り直す。

 

「どうしたのかのんちゃん?顔真っ赤だよ?」

 

ニヤッとした笑みで見つめる。

 

「え、いや、な、なんでもないよ!!」

 

「そっか、あたしトイレ行ってくるね」

 

そのまま席を立ちトイレに向かう。

鼓動が早い

ドキドキする

トイレに入り鏡を見ると私の顔は真っ赤だった。

 

「…これじゃ、かのんちゃんの事言えないなぁ」

 

自分一人しかいないトイレに呟く。しばらくしないとかのんちゃんの前にいけないなと思う私だった。




千砂都が席を離れたテーブルには顔を赤くしたかのんが突っ伏していた。

「…キス、されるかと思った」

自分の心臓の音が聴こえる。ドキドキと早く鼓動するこの気持ちに私はまだ気付いていなかった。

to be continued
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