Liella!絆物語 タイトル(仮)   作:よろまるよろ

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入学式当日


クゥクゥ×すみれ(1)

始まりは最悪だった。

 

「あなたはスクールアイドルを侮辱しました。全スクールアイドルに代わってククが罰を与えマス!!」

 

「はぁ?だから悪かったて言ってるでしょ」

 

今思い出しても酷い事言ってる、昔の私を殴ってやりたいわ。

 

 

「勝たなきゃ行けないんでしょ!?」

 

「あんた…絶対勝たなきゃいけないんでしょ……?」

 

私のキャラらしくない大声出して泣いて…

ラブライブは遊びじゃない、あそこから私の意識は変わった。

 

「ククが想いの全てをこめて、あなたの為に作ったのですから!」

 

「すみれ」

 

始めて名前で呼ばれたあの日…

あの日出来た気持ち……

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

入学式当日の朝、いつも通りの時間に起きて朝のスキンケアをした後は親の代わりに朝食の支度をするのが私の日課。

 

「お姉ちゃん、おはよー」

 

「おはよう、朝ご飯出来てるから食べちゃいなさい」

 

妹が起きてから自分も食べるようにしている。

 

「…また和食。たまにはサンドウィッチとかにしてよ〜」

 

「わがまま言わないの!和食は美容にいいんだから」

 

「でも、お姉ちゃんよく喫茶店でパスタとか食べてるじゃん!」

 

「そ、それはね!かのんの家が喫茶店でしょうがなく食べてるのよ!」

 

「ふ〜ん…」

 

興味を無くしたような反応でスマホを弄りだす。

 

「こら!食事中にスマホいじらないの!」

 

「あっ、もー!!」

 

妹からスマホを取り上げる。チラっと画面を除き混むと私の写真が表情されていた。私の写真をホーム画面にしてるなんて可愛い妹ねと思ったのもつかの間。

 

「あ、あんた、この写真どこで手に入れたの!?」

 

ワナワナとスマホを見せ震える私に妹は淡々と答えた。

 

「かのんさん」

 

「…か〜の〜ん〜!!!!」

 

私の声が家中に響く。握られた妹のスマホにはパンケーキを食べているクゥクゥとそれを見てる私の写真だった。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

学校へ向かう足どりはいつもと違って早い。本当はもっと優雅に歩きたい所だけどそんな事はいっていられない。学校に着くと下駄箱を確認する。

 

「来てるわね」

 

目的の人物がいると分かって急いで上履きに履き替える。まだ朝早く校舎の中も人が少ないため誰とも会わずに教室前に辿り着いた。ガラガラっと教室のドアを開ける。

 

「おっはよー!すみれちゃん!」

 

入ってきた私に気付いた澁谷かのんが満面の笑みで挨拶してきた。

 

「今日は入学式だね!いや〜、私達にも後輩が出来るのかと思ったら楽しみで早く学校来ちゃったよ!」

 

なので私も満面の笑みで返す事にする。

 

「かのん、私に何か言わないといけないことない?」

 

「え?特にないけど?」

 

距離を詰め肩に手を置く。

 

「ほんとにない?」

 

「な、ないと思うな〜」

 

そう言うのでポケットからスマホを取り出してあの後妹からデータを貰って朝私が見た写真をかのんに見せる。

 

「じゃあ、これは何かしら?」

 

「……!!!」

 

写真を見せた瞬間、かのんの体がビクッと反応した。この子…。

 

「ワー、イイシャシンダヌェ!」

 

明らかな棒読みで動揺して喋るかのんに肩を組んで逃がさないようにする。目も泳いでるしこの子は嘘が苦手ね。

 

「お、は、な、し、いいかしら?」

 

「は、はい…」

 

観念したのか肩を落としてもたれかかってくる。かのんのシャンプーの匂いが良い匂いで嗅いでいたくなるけどそれはそれこれはこれ。他の人が来る前にしっかりと説明させる為に部室に移動する事にした。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

『キーンコーンカーンコーン』

 

「予鈴が鳴ったから教室に帰るわよ」

 

「はい…」

 

あれから30分以上はかのんと話して謝罪を受けとった。まあ、その後に妹に写真を送った理由を根掘り葉掘り聞いてグロッキー状態のかのんと共に教室に着く。

 

「あ、かのーん!とおはようデス……すみれ」

 

「なんの間よそれは」

 

「おはよう〜。クゥクゥちゃん」

 

「かのんちゃんなんかやつれてる?」

 

「ちぃちゃんもおはよ…」

 

教室に入るとLiella!のメンバーの千砂都と…

 

「なーに見てるデスか!」

 

「み、見てないわよ!」

 

クリクリとした可愛らしい瞳が私と目が合うと直ぐにキツい目になる。クゥクゥと呼ばれる私の……大切な人。

 

「怪しいデス!」

 

「何が怪しいのよ」

 

「確かに怪しいね」

 

「千砂都もなんなのよ」

 

2人は揃って指を指す。指した方向には私とお話とは名ばかりの尋問を受けてヘロヘロのかのんがいた。

 

「ああ、かのんと話してただけよ」

 

「ほんと??」

 

グイッと千砂都が近づいてクンクンと匂いを嗅いでいる。しばらくして耳元で千砂都が囁く。

 

「……かのんちゃんの匂いがするなぁ」

 

「ッ……」

 

「なーにしてたのかなぁ?」

 

いつもと全く違うトーンで喋るせいなのか怖く感じ鳥肌が立った。千砂都のかのんへの執着というか依存と言うか…『ガラガラガラ』

 

「…後で説明するわ」

 

タイミングよく先生が入ってきた為、教室のみんなが自分の席に着き始めた。これで千砂都からの追求から一時的に逃れられた。私も自分の席に着き先生の話を聞く。

 

背中をトントントンっとされて気付いた。

千砂都の席が自分の後ろだったことに。

 

「すみれちゃん、私気になって困っちゃうなぁ」

 

 

「(…やっちゃったったら……やっちゃった…)」

 

この時私は気づかなかった。

 

 

 

本人以外には聞かれない声で呟く。

 

「すみれの傻子…」

 

このやり取りをずっと見ていた彼女に………

 

すれ違いは始まる

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

「…疲れた」

 

朝のことを千砂都に説明して納得してもらったが、かのんがそれに目を付けて茶化して来たので今はかのんが千砂都に雷を落とされている。解放された私は入学式まで暇なので自動販売機に飲み物を買いに来た。

 

「っすみれ!」

 

名前を呼ばれて振り返ると息を切らしながらクゥクゥが走ってきた。

 

「そんなに慌ててどうしたのよ?」

 

「いいからこっち来るデス!」

 

「ちょ、ちょっと///」

 

訳も分からないままクゥクゥに引っ張られていくと、学校の正門に辿り着いた。

 

「ハァハァハァッ」

 

「全く、いきなりなんなのよ!」

 

息を乱し頬を紅く染めた彼女は色っぽい。

 

「こ、これを…」

 

そう言って取り出したものは……入学式の看板だった。

 

「さあ、新入生が来る前に飾り付けるデス」

 

テキパキとアーチ状の看板を設置して飾り付けをしていく。脚立に乗っていて下から見えそうで危ない。今回もそうだがライブのステージもよく作っているし業者レベルでクオリティが高くて驚く。

 

「よーし!完成!」

 

「なーに、こんな馬鹿でかいもん作ってんのよ!」

 

「他校に負けてないと伝えるためデス」

 

「もっと人手があった方が早く設置出来たんじゃない?」

 

脚立から降りたクゥクゥ話しかける。少しムッとした表情でこちらを見てボソボソと何か喋っている。

 

「…2人きりになりたかっ『あの!』」

 

クゥクゥの声は別の人物の声にかき消されて聞こなかった。その声の方に向くと結ヶ丘の制服に身を包んだおそらく新入生の2人組みだった。

 

「すみれさんですよね?」

 

「ええ」

 

「ファンです!!」

 

「サイン下さい!!」

 

「ええ!?」

 

新入生にファンと言われて少し驚いた。

 

「…デレデレしすぎデス」

 

ニヤニヤしながらサインをしたり一緒に写真を撮っているとさらに集まって新入生に囲まれてしまった。しばらくして落ち着いて当たりを見回したがクゥクゥの姿はなかった。

 

「先に教室に行ったのかしら?」

 

私も教室に戻る。

 

『オニナッツー!』

 

楽しそうな新入生の声が聞こえるが

2人のすれ違いは加速していく。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

入学式が終わった午後は練習もないので直ぐに家に帰ることにした。かのんと千砂都ともう1人のメンバーのすみれ達は生徒会で仕事があるみたいで学校に残るらしい。クゥクゥはというと…

 

「……」

 

「……」

 

「…何かよう?」

 

「別に…」

 

足を止め振り向いて言うと クゥクゥも足を止める。距離でいうと3メートル位の微妙な距離。なんとも言えない雰囲気が流れる。

 

「そう…」

 

「……」

 

再び歩き出すと何も言わずに着いてくる。しばらく歩いて行くと次の角を曲がれば家に着くところで私は賭けに出ることにした。角を曲がりクゥクゥが来るのを待つ。直ぐに人影が近づいて来るのが分かるので角から出た瞬間に手を握った。

 

「掴まえた!」

 

「きゃっ!?」

 

私が思ってた位置よりも低い所に手があったがしっかり握る事が出来た。目の前には想像した彼女じゃなくて金髪の髪の毛に赤いカチューシャの…

 

自分の妹だった。

 

「……お姉ちゃんなにしてるの?」

 

「あんた、なんでここに」

 

「小学校も午前中で終わりだったの」

 

想像してた人物ではなくて驚いたが、手を握った妹の後ろに彼女はいた。私の目線に気づいたのか妹も後ろを見る。

 

「あ、クゥクゥさん!」

 

「コンニチハ…」

 

「遊びに来たんですか!?」

 

「いや…そういう訳デハ…」

 

段々と声が小さくなるクゥクゥに対して興奮気味の妹に押されてあれよあれよと家に招待する事になった。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

「妹がごめんなさいね」

 

「いえ、大丈夫デス…」

 

あれからしばらくはクゥクゥは妹の質問攻めに疲れ切っていた。妹には悪いが私の部屋に案内して休ませることにした。

 

「はい、あんたの好きなミルクティー入れたから」

 

「なぜククが好きなのを知ってるんデスか」

 

「そりゃ見てるからよ…」

 

「え?」

 

私の答えに口を開けてポカンとする。自分で言って段々と恥ずかしくなってきた。

 

「そんな素振り全然なかったじゃないデスか!!」

 

クゥクゥが立ち上がって声を荒らげる。いきなりの事でびっくりしてクゥクゥの言葉を聞いていた。

 

「今日だってかのんや千砂都とばっかり話して…」

 

「ククとは全然話してないじゃないデスか!!」

 

涙目のクゥクゥが部屋を出ていこうとする。

 

「ま、まちなさい!」

 

「ッ!」

 

「クゥクゥ!」

 

出て行かせまいと手を掴むと勢いでクゥクゥが転びそうになる。

ドサッと音がした後は2人分の呼吸音しか聞こえない部屋は静けさが支配する。クゥクゥに覆い被さるような体制で直ぐに離れればいいのだが、何故だか体が動かなかった。

 

「…早く……どくデス」

 

しばらくすると小さい声でクゥクゥが言う。2人の距離は10センチもないので彼女の吐息が頬を撫でる。

 

「どかない…」

 

「なんで…」

 

右手で彼女の頬に手を当てる。触れた瞬間ビクッとなっていて緊張しているのがこちらにも伝わってくる。

 

「ねえ、クゥクゥ…」

 

「今から言うことは私の独り言として聞いてちょうだい」

 

文句の1つでもあると思ったがこくりと頷くだけだった。

 

「あの日…初めて名前を呼んでくれたあの日からクゥクゥの事ずっと見てた」

 

「私と話す時は喧嘩腰なのに他の人とは普通に話して」

 

「最初は私も普通に話したかったけど、そんなの関係なくクゥクゥと話してて居心地いいって思うようになったの」

 

「…すみれ」

 

「やっと目が合った」

 

自分の気持ちに嘘はない。

こんなに誰かを…

 

……好きになったのは。

 

素直な気持ちを言葉に出すのがこんなにも怖くて愛おしいと感じてしまうのはきっとこの気持ちのせい。

 

「クゥクゥ…私、あんたの事が…『ガチャ』」

 

「「ガチャ?」」

 

2人して音の方を見ると。

 

「……お邪魔しました」

 

妹と目が合って開かれたドアはそっと閉じられる。

 

 

 

「ギャッ…」

 

「ギャラクシー!!!!」

 

私の叫びが家中に響き渡ったのだった。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

トントントンっと包丁の音がリズムよく鳴る。私は台所で夕食の準備をしていてクゥクゥが妹に事情を説明していた。

 

「ふーん、偶然あの体制になったんですか」

 

「はい!偶然あんな体制になったのデス!!」

 

何とか納得したみたいで2人とも既に違う話題を話しているが内容は聞こえなかった。

 

 

「クゥクゥさん」

 

「どうしましタ?」

 

「お姉ちゃんとお付き合いしてますか?」

 

「うぇ!?」

 

予想とは違う質問に驚いたクゥクゥに妹はさらに畳み掛ける。

 

「お姉ちゃんの事どう思ってますか?」

 

「お姉ちゃんの事好きですか?」

 

「そ、それは…」

 

言い淀んでいると妹が隣にやってきてコソコソと話す。

 

「家でクゥクゥさんのこといつも話してるから付き合ってると思ったんですけど…」

 

「家でいつも…」

 

顔が熱くなる。鏡を見なくても分かるくらい自分の顔が紅くなっているのと同時に鼓動が早くなる感覚。

 

妹の頭に手を置き撫でる。

 

「すみれの事は……你对我来说是重要的人」

 

「???」

 

この子が中国語を分からなくて良かったと思う。こんな事は恥ずかしすぎてまともに言えたものじゃない。妹も察しがいいのかそれ以上は追求しては来なかった。しばらく撫でているとこちらに体重をかけて寄りかかってきた。どうやら寝てしまったようだ。

 

「…落ち着くデス」

 

疲れているのか自分にも睡魔が襲ってきた。夕陽の程よい暖かさと調理の音が流れクゥクゥ自信も瞼も閉じ夢の世界に旅立った。

 

 

調理をある程度終えたすみれが静かになった部屋に違和感を持ち2人のいる方に歩いていく。覗き込むと2人とも眠っていた。

 

「しょうがない…」

 

自分の部屋に行き毛布を持ってくる。4月とはいえ日が落ちたら寒さがまだ残っている季節だ。風邪でも引かれたらたまったものじゃない。2人に毛布をかけてあげ妹の頭を撫でる。撫でると気持ち良さそうな顔になるのでよくやってあげている。クゥクゥの方に目を向けると余程疲れていたのか口を開けて気持ちよく寝ている。

 

「全く、アイドルが見せる顔じゃないわね」

 

クゥクゥの隣に腰掛け、これからの事を考えてしまった。

 

今年結果を出さないとクゥクゥは中国に帰ってしまう。

 

そんな事はさせない。

 

今の私があるのはクゥクゥの……Liella!のおかけだ。

 

今年は絶対に優勝する。

 

たとえ……私が悪者になったとしても。

 

 

「あんたの事は私が護るわ」

 

眠っているクゥクゥの額にそっと口付けをする。気恥しいからこの場を離れるため台所の方に向かって歩き出す。2人が起きないようにそっと扉を閉じて。

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

すみれが出ていって直ぐにむくりと起きる少女が1人。額に手を当てて先程の感触を思い出す。それだけで今までにないくらいに顔が紅くなっている。

 

『あんたの事は私が護るわ』

 

他人から言われた言葉で胸がザワつく。

 

これはきっと夢。

 

そう思おうとしてもこれは紛れもない現実。

 

「…アイヤー//////」

 

毛布に顔を埋めて悶えるのだった。

 

 

 

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