片思いの相手がいるが思いを伝えられずにいる。
そんな主人公は家から帰っている途中怪物に出会った。
動けないので死を悟っていると別の怪物が自分を助けてくれた。
でも、助けてくれた怪物は自分の好きな相手と同じ声で...?
初めて描いた作品です。つたないとこも多いですが、それも含めて楽しんでください。
「起きてください。朝ですよ。またこんなとこで寝てたんですか?」
そんな声で目が覚めた。私は神無月 陽香。一応警官をやっている。
「君は世話焼きだね。いいお婿さんになりそうだ。」
「からかわないでください。あなたがそんなだから私が色々してるんですよ。」
今話しているのは白狼 亮。私の片思いの相手。だらしない私に唯一世話を焼いてくれて、幻滅しないでいてくれる数少ない人...
「わかったよ。起きるから。そんな頬を膨らませないでくれない?」
そんな事を言いながら起きる。そして、彼の目を見た。
彼は過去にケガをしたとかで左目に眼帯をしている。まぁこのあたりじゃそういうヒトは少なくない。
「そういえば君は...異能対策課だっけ?なにしてるのさ。」
「...内緒です。」
彼は異能対策課の警官。まぁ正直なにやってるのか全くわかんないけど一応ある課だ。
「チェ〜ケチだねぇ。」
「ほら、そんなこと言ってないで起きてください。もう仕事始まってますからね。」
「はいはいわかってるから急かさないでって...」
そんな事を言いながら仕事へ向かう。今日もいつも通りだった。
私が起きたのを確認すると、彼は足早に外に出ていく。
「おや、君に仕事が入るなんて珍しい。いつもは君の課の他の人が出てくのに。」
「...今から、私にしかできない仕事をしに行くので。」
辛そうな笑顔で私に言葉を返す。この顔をするときは帰ってくるまでにちぃとかかる。
「そうか。無理はやめときな。」
「わかってますよ。」
そう言って部屋の外に出ていく。
その後に小さく、ぼそっと口にこぼした言葉を私は聞き逃さなかった。
「...毎回失敗してるんだ。もう同僚の手を汚させない。」
それに対して言葉を返そうとしようとしたときにはもう彼は外に出てしまった。
扉の外には一本の銀色の毛が落ちていた。
私はそれがきれいだなと思って持っていたガラスケースにしまった。
そんなことをしていたその日、彼は帰ってこなかった。
終業時間になった。明日は私のシフトじゃないから今日は家に帰らないといけない。
そう思ってのんびり帰路につく。
帰り道には小さな公園があって、小さい子が遊んでるのを行くときによく見かける。
「当然夜は誰もいないんだけどね〜」
そう言いながら歩く。すると全身が金縛りのようになる。
なにも動かない。動かせない。
すると前からなにかがやってくる。悪魔の翼を広げた怪物。
なにかから逃げてきたような、なにかと戦ったような怪我がある。
それはゆっくりと距離を詰めてくる。すると私に人差し指を向けて銃を打つようなポーズを取った。
それが引き金を引くように指を曲げようとした瞬間。銀色の毛の狼のような怪物がそいつを蹴り飛ばした。
それは公園の方に飛んでいく。遊具のいくつかをへし折るほどの衝撃が駆けた。
銀色の毛の怪物は私の方を向くと
「逃げてください!」
そう言った。
私は全力で家まで逃げた。幸いそこまで遠くない。戦闘音のような音を後ろに聞きながら私はただ走った。
家について、さっきのことを思い出していた。さっきの...私に逃げろと言った声は...
彼の声だ。
疲れてしまったのか、私は家で寝てしまっていた。
最大音量の着信音とともに私は起きた。時計は12時。ちょっと寝すぎたかも。
「至急、署まで来てくれ。」
署長の声が響いた。
私は食パンをちゃちゃっと焼いて口にくわえて走り出した。
途中公園が封鎖されていることに気づいた。
そこで立っている同僚に私は声をかけた。
「なんで立入禁止にしてるの?」
「あぁ...陽香さんですか。署長が呼んでるので早くいってください。」
それもそうだ。私は食パンをくわえ直して署へと向かって走り出した。
署につくと署長が待っていた。
「おぉ君にしては早いね。」
「それはちょっと心外ですね。署長。」
「私は事実しかいってないんだけどねぇ。さて...大事な話をしよう。来なさい。」
いつもの優しい光はどこかに消えて、真剣な目になった。
「単刀直入に言おう。君は異動だ。」
「え?どうしてですか。別に私悪いことしてない気がするんですが。」
「これを見なさい。」
そこには銀色の毛の狼のような怪物の写真があった。
よく見るとそれには角が生えていて、毛は光を虹色に反射している。
「これに心当たりはあるね?」
もちろんだ。これは、昨日見た、私を助けてくれた怪物だ。
「でも...これがなにか?」
「これは...白狼君だ。」
...え?彼は人間で...
署長は続けた。
「彼は...ビーストに該当する異能力者だ。」
署長はいろいろと説明してくれた。
ビーストっていうのは簡単に言うと動物の力を借りたり、動物そのものになったりする異能のようだ。
他にもプラントっていう植物系のやつと悪魔みたいなデーモンってやつ(出会ったもうかたっぽはこれかな?)とそれ以外のよくわかんないファンタジーってやつに分類されるらしい。
私は急なことで頭がパンクしていた。
「これで話が終わりだ。今日から君は異能対策課に異動になるから。仲良くしなさい。これで終わりだ。今日は帰っても構わない。」
「待ってください署長。彼は今どこに?」
帰ってきたのは衝撃の言葉だった。
「...彼は今。行方不明だ。」
それだけ言うと署長は部屋を出ていった。私は動揺を隠せずいた。
彼が行方不明...?
とりあえず今日はもう仕事がないようなので帰るしかない。仕事の連絡は追って来るだろう。
そう思って部屋を出て、外に行くと、もう夜になっていた。
私は未だ封鎖が続く公園の前を通って家に帰っていた。
すると大きな咆哮が聞こえた。狼の咆哮のような声だった。
ココは都会だ。いるわけがない。聞こえた方を見ると黒いシルエットが月明かりに反射して見えた。
それは、2足で立つ狼男のように見える。
だが、右腕は巨大な武器のようなものが接続されていて、そこから何本もコードのようなものが伸びている。
背中の方にはミサイルポッドのようなものがあり、左腕には巨大なライフルが握られていた。
それを私が見ていると逃げていってしまった。
もしかして...?
そんな考えを捨てて、私は家へと向かった。
ある日、異能対策課の部屋に行くと、何やら銃とナイフが置かれていた。
「これは?」
「君のこれからの仕事道具さ。」
私は意味がわからないという顔をした。
「この銃とナイフは異能力者にまともに効く、ただの人間の唯一とも言える対抗手段だ。」
「なるほど、どうして私に?」
上司は言いにくそうな顔をしてから私に言った。
「これで...白狼君を亡き者してもらう。」
...私は絶句した。
「昨日、5体の怪物が発見された。しかし、すべての怪物は心臓一点を貫かれ死亡していた。」
「それと...亮になんの関係が?」
「その現場全てに...虹色に発光する銀色の毛が落ちていた。」
その一つを見せてもらった。間違いない。私の持っているものと同じだ。
「これほどの力を持つ怪物と彼が同一人物だとまだ確信があるわけじゃない。だが...ほぼ確定だろう。」
...わたしが呆然としていると上司は言った。
「君が排除することになるとは限らない。怪物は彼じゃないかもしれない。だから、心を落ち着かせると良い。」
「そう...ですよね...」
「今日は一旦かえっていいよ。仕事は私がしておくから。心を落ち着かせてきなさい。」
「わかり...ました...」
そう言ってから私は帰路についた。
家でボケーっとしていると冷静になってきた。
気づけばもう外は真っ暗だ。
「少し...散歩でもするか。」
街は街灯の光で明るく照らされて普通通りを装っている。仕事道具を持って、巡回のつもりで外に出た。
また、公園の前を通った。
...すると怪物に出会った。私は突然のことで動揺して銃を持つだけだった。
それは私に向かって爪を立てた。もう死ぬんだなぁ...そう思って目をつぶると空からなにかが展開される音がした。
ズドンという音が響いて、目を開けた。
「君は...」
間違いない。少し虹色に光る銀色の毛の狼、虹色の角が生えている。彼だ。
でも、右腕は巨大な金属の杭を射出するパイルバンカーと呼ばれる武器が直結されていて、そこからは無数のコードが伸びている。
背中にはミサイルポッドのようなものがついており、収納されてはいるがかなり大きいものであると見て取れる。
左手には巨大なライフルを持っていて、ビリビリと電気をまとっている。
そして顔には...目のすべてを覆う巨大なバイザーが。
「どうしたのさ...その姿。」
「...」
「なぁ...返事をしなよ...」
「...お久しぶりですね。」
それは口を開いた。私が好きな彼の声。少し機械音声のようになっているが間違いない。
「生きてたんなら顔見せな...みんな心配してる...」
「...すいません陽香さん...お願いがあります。」
私の言葉を遮って彼が言った。
「私を...殺してください。」
...衝撃のお願いだった。
「は...?なに言ってるのさ...君は...生きて...」
「...私には家族はいませんでした。親はいましたが家族ではありませんでした。」
彼は話し始めた。
「異能力者として生まれた私は、ちょうどいい実験道具でした。私は道具だったんです。だから逃げました。どこまでも逃げました。そして、逃げた先で仕事について...そしてあなたに出会った。」
彼は話を続けた。
「あなたは私の唯一の家族と思った存在でした。あのときあなたを狙った怪物は父の差し金です。あなたを餌にして私をおびき寄せたんです。そして私は捕まって...」
「...この...姿に...」
よく見ると、無理やり改造されたのか至るところから血が滲んでいる。凄惨な実験が予想できた。
「実験は半ば成功しました。しかし、私は破壊衝動を止めれず暴走しました。父はその時に巻き込まれて死にました。父を殺したあたりで、私はある程度正気になりました。そして同時に、一つのことに気づいていました。私はもうすぐ、もう一度暴走する。そしてそれは、もう止めることができない。」
彼のバイザーの色が赤色に点滅する。「システムエラー...ジェノサイドモードの実行を阻害されました。」という音声が無機質に流れる。
「暴走のときは正確にはわかりません。でも...きっと今日という確信があります。だから...」
「...だから?」
「...だから私を...殺してください。」
彼は銃を持っている私の手を取り、震える手で心臓へと向けた。
「...死ぬのは...怖いです。でも...あなたがしてくれるなら、笑顔で逝ける気がします。独りよがりですいません。私の最後のお願いです。」
「最後なんて...言うなよ...私と君の仲だろ?また...お願いしてくれよ...」
「...私の体はきっと、死んだあとでもいろいろ使えると思います。あなたの仕事に役だててください...」
「死んだあとだなんて言うな...生きて...戻ろう...」
そう言いながら震える私の手を強く握って、はっきりとこう言った。
「お願いします。」
私は彼の声を聞いて、少し躊躇したあと、震える手をどうにか抑えて...引き金を...引いた。
ドンッという低い音が響く。彼は私の方を向いて、笑顔で言った。
「好きでした...失敗だらけの...人生...でしたが...あなたを...守れたのは...正解...で....し.....た......」
私に寄りかかってきた彼の死体の重量に負けたのか、力が入らなくなったのか、私は膝から崩れ落ちた。
冷えていく彼の体を触り、私は泣いた。泣き続けた。
朝になると、彼の体は完全に冷えていた。美しい毛並みのまま。
彼の体を担いで、私はゆっくりと署へと向かった。
「帰ってきました。彼と一緒に。」
赤く充血した目で私は言った。
署長は察したのか私を奥の部屋へ呼んだ。
「辛かったな。」
署長はそれだけ言ってくれた。
私は署長にたのんだ。
「彼で...私の仕事道具を作ってくれませんか。」
「...わかった。」
私からの提案を署長は承諾した。
そこからは早かった。彼の体はコートに、爪はそのまま左腕の武器に、ナイフは彼の角で延長された。
鎧より硬い。シャツより軽い。私だけの仕事道具ができた。
私はできた道具に話しかけた。
「君の力で、私を、これからも守ってくれ。」
少しの間に、風が、声を運んできた。
「もちろんです。あなたが好きなので。」
私はその幻聴を聞き
「ハハハ...ついに幻聴まで聞こえるようになったか...」
そう言って外にでて空を見ながらこう言った。
「好きだぞ。私も。」
とゆうわけで初めて描いた物語でした。
もとは自分の趣味で書いたやつです。X(旧Twitter)で身内にアンケート取ったら見たい人が多かったので共有します。楽しんでいただけたでしょうか?気軽にコメントください。いろいろ不慣れで間違いもあるかもしれません。指摘もしてくださると助かります。皆さんが楽しんでくれたなら、需要に応じてまた書きます。