イズモ「新しく入った子だね。」
イズモ「情報管理課の最上イズモ三佐だよ。よろしく。」
レナ「衿崎レナです。」
レナ「よろしくお願いします!」
暗い制御室に、わずかな非常灯が三人を照らしていた。
イズモは周囲を見回しながら、軽い調子で状況をまとめる。
イズモ「とりあえず、この区画の物理的損傷は修復した。」
イズモ「UPS一機と発電機も一応、動くようにはしてあるよ。」
レナ「えっ、どうやってですか!?」
レナ「あのケーブル、完全に切れてて無理なんじゃ……。」
イズモ「これ。」
イズモは何もないはずの掌から、淡く光るデバイスを出現させた。
空間が歪むような感覚が、一瞬走る。
イズモ「信じられないと思うけど、創造能力持ちでね。」
主任「……まあ、そうでしょうね。」
レナ「すごいです!」
レナ「あ、でも他の機械は?」
イズモ「それはまだ無理かな。」
イズモ「電源が足りないし、ケーブル自体も直さなきゃいけない。」
イズモ「だから、とりあえず直せるところだけ手を入れた。」
主任「なるほど……。」
主任「でも、他の区画はどうなってるのかしら。」
レナ「そうですね……どうなんでしょう。」
主任「とりあえず、見てみましょう。」
カエデ「ここは中央施設から電力供給を受けている区画ですね。」
カエデ「UPSと発電機が設置されています。」
カエデ「メイン発電機だけ起動してみましたが、電力は復旧しませんでした。」
カエデ「つまり、この施設自体が機能停止しています。」
イズモ「……他も同じ状況か。」
レナ「直せないんですか?」
レナ「一応、中を見てみましょう!」
レナ「何か、いい案が浮かぶかもしれません!」
そう言うと、レナはエレベーターに乗り込み、下層へ降り始めた。
主任「前向きなのは助かるけど……。」
主任「修理しても意味がない可能性が高いわね。」
カエデ「何もしないよりは、マシです。」
イズモ「うーん……じゃあ、俺も一応。」
三人はレナの後を追って下層へ向かった。
そこには大量の機械が並んでいたが、稼働に必要な部分は極端に少ない。
電力供給用バッテリーと制御ユニットのみ。
しかも構成は旧式で、配線も電子部品も時代遅れだった。
主任「……ダメそうね。」
イズモ「うん。」
イズモ「中の配線、最新技術使ってないや。」
レナ「でも、他の電力施設に行けば!」
レナ「少しは動かせますよ!」
イズモ「……そうだね。」
主任「ただし、あの巨大タンクの内部に入って。」
主任「UPSや機材を直接回収しないといけないわ。」
レナ「でも、行かなきゃ現状復帰できません!」
三人が制御室を出た、その瞬間だった。
侵入者警報が、施設全体に鳴り響く。
レナ「え!? なに!?」
イズモ「うわ……絶対、犯人だ。」
イズモ「これはヤバいな。」
イズモ「警報の感じからして、表層都市だよな。」
主任「とりあえず、これ。」
主任「そこのバッグに入ってる。」
イズモ「りょーかいっ。」
レナとカエデは促されるままバッグを開ける。
中から現れたのは、赤いヘルメット。
NERVスタッフ全員に支給される汎用型インターフェースだった。
さらに、レナの手元にはもう一つ。
赤と白で構成され、中央にN/Aと刻印された装置。
特殊型インターフェース。
より脳神経系に近い設計のモデルだった。
イズモ「懐かしいなー。」
主任「電源落としてるから。」
主任「上から、これでデバイス起動しろって指示が来てる。」
レナ「これって、何なんですか?」
主任「本部の標準装備よ。」
主任「通信、カメラ、ビデオ、全部これ一つでやるの。」
レナ「へえ……すごいです!」
イズモとカエデはバッグから装備を取り出した。
普通のサイズに見えるが、刃渡り一・二メートルを超える大太刀。
さらに、ブルパップ式のアサルトライフル。
二人は無言で腰に装備し、戦闘態勢を整える。
主任「……さて、行きましょうか。」
レナ「はい!」
カエデ「はい。」
三人は表層都市へ向かって歩き出した。
次々と警報が鳴り響くが、誰も立ち止まらない。
イズモ「そういえばさ。」
イズモ「人は違うけど、この感じ。」
イズモ「マトリエル戦、思い出すな。」
レナ「え?」
レナ「どういうことですか?」
イズモ「雰囲気がさ。」
イズモ「なんか、似てるじゃん。」
主任「……うーん。」
主任「確かに、そうね。」