正しい平和は、いつも個人を置き去りにする   作:最上 イズモ

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2.暗闇

イズモ「新しく入った子だね。」

イズモ「情報管理課の最上イズモ三佐だよ。よろしく。」

 

レナ「衿崎レナです。」

レナ「よろしくお願いします!」

 

暗い制御室に、わずかな非常灯が三人を照らしていた。

イズモは周囲を見回しながら、軽い調子で状況をまとめる。

 

イズモ「とりあえず、この区画の物理的損傷は修復した。」

イズモ「UPS一機と発電機も一応、動くようにはしてあるよ。」

 

レナ「えっ、どうやってですか!?」

レナ「あのケーブル、完全に切れてて無理なんじゃ……。」

 

イズモ「これ。」

 

イズモは何もないはずの掌から、淡く光るデバイスを出現させた。

空間が歪むような感覚が、一瞬走る。

 

イズモ「信じられないと思うけど、創造能力持ちでね。」

 

主任「……まあ、そうでしょうね。」

 

レナ「すごいです!」

レナ「あ、でも他の機械は?」

 

イズモ「それはまだ無理かな。」

イズモ「電源が足りないし、ケーブル自体も直さなきゃいけない。」

イズモ「だから、とりあえず直せるところだけ手を入れた。」

 

主任「なるほど……。」

主任「でも、他の区画はどうなってるのかしら。」

 

レナ「そうですね……どうなんでしょう。」

 

主任「とりあえず、見てみましょう。」

 

カエデ「ここは中央施設から電力供給を受けている区画ですね。」

カエデ「UPSと発電機が設置されています。」

カエデ「メイン発電機だけ起動してみましたが、電力は復旧しませんでした。」

カエデ「つまり、この施設自体が機能停止しています。」

 

イズモ「……他も同じ状況か。」

 

レナ「直せないんですか?」

レナ「一応、中を見てみましょう!」

レナ「何か、いい案が浮かぶかもしれません!」

 

そう言うと、レナはエレベーターに乗り込み、下層へ降り始めた。

 

主任「前向きなのは助かるけど……。」

主任「修理しても意味がない可能性が高いわね。」

 

カエデ「何もしないよりは、マシです。」

 

イズモ「うーん……じゃあ、俺も一応。」

 

三人はレナの後を追って下層へ向かった。

そこには大量の機械が並んでいたが、稼働に必要な部分は極端に少ない。

電力供給用バッテリーと制御ユニットのみ。

しかも構成は旧式で、配線も電子部品も時代遅れだった。

 

主任「……ダメそうね。」

 

イズモ「うん。」

イズモ「中の配線、最新技術使ってないや。」

 

レナ「でも、他の電力施設に行けば!」

レナ「少しは動かせますよ!」

 

イズモ「……そうだね。」

 

主任「ただし、あの巨大タンクの内部に入って。」

主任「UPSや機材を直接回収しないといけないわ。」

 

レナ「でも、行かなきゃ現状復帰できません!」

 

三人が制御室を出た、その瞬間だった。

侵入者警報が、施設全体に鳴り響く。

 

レナ「え!? なに!?」

 

イズモ「うわ……絶対、犯人だ。」

イズモ「これはヤバいな。」

 

イズモ「警報の感じからして、表層都市だよな。」

 

主任「とりあえず、これ。」

主任「そこのバッグに入ってる。」

 

イズモ「りょーかいっ。」

 

レナとカエデは促されるままバッグを開ける。

中から現れたのは、赤いヘルメット。

NERVスタッフ全員に支給される汎用型インターフェースだった。

 

さらに、レナの手元にはもう一つ。

赤と白で構成され、中央にN/Aと刻印された装置。

特殊型インターフェース。

より脳神経系に近い設計のモデルだった。

 

イズモ「懐かしいなー。」

 

主任「電源落としてるから。」

主任「上から、これでデバイス起動しろって指示が来てる。」

 

レナ「これって、何なんですか?」

 

主任「本部の標準装備よ。」

主任「通信、カメラ、ビデオ、全部これ一つでやるの。」

 

レナ「へえ……すごいです!」

 

イズモとカエデはバッグから装備を取り出した。

普通のサイズに見えるが、刃渡り一・二メートルを超える大太刀。

さらに、ブルパップ式のアサルトライフル。

二人は無言で腰に装備し、戦闘態勢を整える。

 

主任「……さて、行きましょうか。」

 

レナ「はい!」

カエデ「はい。」

 

三人は表層都市へ向かって歩き出した。

次々と警報が鳴り響くが、誰も立ち止まらない。

 

イズモ「そういえばさ。」

イズモ「人は違うけど、この感じ。」

イズモ「マトリエル戦、思い出すな。」

 

レナ「え?」

レナ「どういうことですか?」

 

イズモ「雰囲気がさ。」

イズモ「なんか、似てるじゃん。」

 

主任「……うーん。」

主任「確かに、そうね。」

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