三人が警報の鳴り止まぬ表層都市を十分ほど進んだ、その先で足が止まった。
視界が開けた瞬間、空気が一変する。
汎用型中型二足歩行兵器アリア。
全く同一仕様の機体が、円陣を組むように正確無比に二百五十六機。
逃げ道を塞ぐ配置で、三人を完全に包囲していた。
そして、その中心。
アリアに守られるように佇む、見覚えのない漆黒の二足歩行兵器。
全高十メートル。
光を反射しない異様な装甲が、周囲の景色を歪ませている。
イズモ「……開発部の資料にも載ってない機体やん。」
次の瞬間。
漆黒の機体の前方空間に、見覚えのある巨大なモノリスが投影された。
???「久しぶりだな、碇シンジ。」
???「いや、今は最上イズモ君、と呼ぶべきか。」
イズモの背筋が冷たくなる。
イズモ「……なんで、ゼーレのモノリスがここに?」
??「ああ、紹介がまだだったね。」
??「私は冬月コウゾウ。」
??「この機体が、今の私の身体だ。」
??「では最後の質問だ、最上イズモ。」
??「君は神を信じるか。」
??「聖書を信じるかね。」
イズモ「……いや、全く。」
冬月「そうか……。」
次の瞬間だった。
漆黒の機体から、眩いビームが放たれる。
同時に、常識外の速度で突進してくる影。
レナ「速っ!」
イズモ「はぁっ!」
カエデ「はぁ!!」
二人の大太刀とライフルが火を噴いた。
十数機のアリアが爆散し、残りが一斉に回避行動を取る。
イズモ「……相変わらず、ゼーレは性格悪いな。」
レナ「どうします!?」
主任「一旦、本部に戻りたい。」
主任「そのためにも、ここを突破したいけど……。」
イズモは答えず、刀を構えた。
次の瞬間、凄まじい速度で突っ込む十五機の増援アリア。
レナも、カエデも、即座に武器を構える。
だが。
イズモが前に出た。
一閃。
二閃。
三閃。
迫る機体を、次々と斬り伏せる。
そのまま急停止し、イズモは大太刀を投げ放った。
刃は正確に漆黒の機体へ命中する。
だが。
火花とともに、刀身が溶け落ちた。
イズモ「……高周波加工コーティング!?」
イズモ「どういうことだ……!」
レナ「とりあえず撃ちまくれ!!」
銃撃。
対物ライフル。
だが、全て弾かれる。
その直後。
空気を切り裂く轟音とともに、巨大な大太刀が迫る。
さらに、漆黒の機体の掌から放たれる光線。
爆風と弾幕が、視界を覆い尽くす。
レナの左脚が吹き飛んだ。
イズモ「レナさん!!」
カエデ「レナ!!」
レナは倒れながらも、まだ息があった。
だが、追撃の爆発が周囲を飲み込む。
イズモ「……こいつ。」
イズモ「物理攻撃が、ほぼ無効だ。」
イズモ「……待て。」
イズモ「高周波加工なら……。」
イズモは一瞬で演算を走らせる。
周波数。
位相。
対になるタイミング。
イズモは通信端末を起動した。
イズモ「本部にいるネルフ支部のエヴァパイロットがいたら。」
イズモ「今すぐ、僕のところまで来てくれ。」
設定を書き換え、再構築。
イズモは漆黒の機体へ突っ込んだ。
イズモ「これでも、くらえ!!」
次の瞬間。
凄まじい爆発が発生する。
射程内の敵を吹き飛ばすだけでなく、半径十メートルに渡る壊滅的被害。
漆黒の機体も、明らかに体勢を崩した。
その隙を、二人が逃すはずがない。
イズモとカエデが交互に攻撃を叩き込む。
レナも体勢を立て直し、連携攻撃に加わる。
数秒後。
レナの大太刀が、決定的な一撃を叩き込んだ。
イズモ「……はぁ……。」
カエデ「……はぁ……。」
二人は激しく息をついていた。
物理攻撃が通らない敵を、ほぼ二人で相手にしていたのだ。
イズモ「……倒した、かな。」
レナ「……ええ。」
三人が、わずかに武器を下ろした、その瞬間。
視界を焼き尽くす、凄まじい火力のビーム。
同時に展開される濃密な煙幕。
咄嗟に伏せたが、衝撃は桁違いだった。
煙が晴れる。
そこに立っていたのは。
無傷の漆黒の二足歩行兵器。
そして、その周囲に配置された汎用型大型機三機。
四本腕を持つ異形の兵器だった。
レナ「……はぁ!?」
カエデ「……はぁ!?」