イズモ「さっきは物理攻撃無効化だったのに、今度はビームと煙幕か。」
イズモ「なんか、虫食いにされてる気分だよ……。」
イズモ「とりあえず、レナさんとカエデさんはあの四本腕のやつを。」
イズモ「僕は、あの真っ黒な機体を倒す!」
レナ「了解!」
カエデ「了解!」
二人は即座に左右へ展開した。
煙幕を抜けた先に現れたのは、先ほどの機体と似た輪郭を持ちながら、明らかに異質な存在だった。
両肩から伸びる四本の腕。
それぞれが剣を一本ずつ握り、合計四振りの刃を構えている。
機体サイズはアリアの約五倍。
威圧感だけで、呼吸が重くなる。
イズモ「……はぁ。」
イズモ「なんでこんなバケモンと戦わなきゃいけないんだよ。」
乾いた笑いが、思わず漏れた。
笑うしかなかった。
レナとカエデは同時に照準を合わせ、四本腕の機体のコックピット周辺へ銃撃を浴びせる。
だが、弾丸は装甲に弾かれるだけで、致命的な損傷は見られない。
その瞬間。
空間を叩き割るような衝撃。
煙幕の奥から、巨大な武器が二つ、ゆっくりと姿を現した。
同時に、通信が割り込む。
オペレーター「レナさん!」
レナ「どうしたの!?」
オペレーター「クデュックに侵入者です!!」
オペレーター「直ちに避難を開始します!」
オペレーター「エヴァの使用許可を申請します!!」
イズモ「……復旧したんだ。」
イズモ「了解。」
イズモ「でも、その許可が下りるまで、待ってもらえそうにないな。」
イズモは即座に全体回線を開いた。
イズモ「全戦闘班へ通達。」
イズモ「全職員はB-59ブロックへ出撃。」
イズモ「敵戦力はゼーレ。」
イズモ「恐らく、本部中央施設全域にエヴァ殲滅用兵器が展開されている。」
イズモ「僕は目の前に集中したい。」
イズモ「本部からは二グループ、四機のみ出撃を要請する。」
オペレーター「了解です!」
通信が切れた。
それから一時間。
各部隊が一斉に動き出し、中央施設は混乱の渦に飲み込まれていく。
その混沌の中。
一つの人影が、静かに歩を進めていた。
それは明らかに、他の敵とは格が違っていた。
頭部には二本のアンテナ。
背中には、ハリネズミのように林立する大量のミサイル。
両腕と両脚には、合計十本の細い円柱状の孔。
それらすべてが、ホーミングレーザー兵器へ直結している。
そして、その背後。
白い巨大な人型兵器が、ゆっくりと姿を現した。
圧倒的な存在感。
本能が告げる。
あれが、指揮官だ。
レナ「……なに、あの敵。」
カエデ「……冗談でしょ。」
イズモ「……まだ増えるのかよ。」
白い巨人が、鉄の化け物へ指示を出す。
次の瞬間、砲台が一斉にこちらを向いた。
オペレーター「エヴァパイロットは直ちにB-59ブロックへ向かってください!」
レナ「了解!」
カエデ「了解!」
オペレーター「B-59ブロック到着後、必ず連絡を!」
B-59ブロックへの到着は、ほぼ同時だった。
イズモは全速力でビル群を駆け抜け、敵施設へと向かう。
数分後。
二機のエヴァが到着した。
戦闘が始まる。
個々の敵戦力は決して高くない。
だが、数が多い。
弾幕は密度を増し、空間そのものが圧迫されていく。
その最中。
再び通信が入った。
オペレーター「……状況更新。」
オペレーター「三機目のエヴァが到着します。」
イズモ「……そういえば。」
イズモ「バレンタイン条約破棄してから作った新機体、どうなったの?」
オペレーター「……ずいぶん懐かしい名前を出しますね。」
オペレーター2「忘れてたんですか?」
オペレーター2「あんなにはしゃいでたのに。」
オペレーター2「それより、新しいエヴァ、相当性能高いらしいですよ。」
イズモ、レナ、カエデ。
三人の背中に、同時に嫌な予感が走る。
視界の中心。
巨大なエネルギーの柱が立ち上がった。
数秒後。
光は、消えた。
そこに立っていたのは。
三機のエヴァを遥かに凌ぐ巨体。
そして。
現れたのは、二つに割れた黒い機体ではなかった。
白い巨人だった。