正しい平和は、いつも個人を置き去りにする   作:最上 イズモ

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5.終戦・改革

目の前にいたはずの雑魚機は、一斉に逃走を始めた。

残ったのは、恐怖に支配され、震えることしかできない機体だけだった。

中には発狂したように突進してくる者もいたが、そのすべてが一瞬で木っ端微塵に消し飛ぶ。

 

その直後。

再び、あの正体不明の回線が割り込んできた。

 

イズモ「……これが噂のやつか。」

イズモ「デカすぎやろ。」

 

巨大すぎる影が、戦場を覆っていた。

 

イズモ「誰が乗ってるの?」

 

涼宮ハルヒ「私よ。」

 

その返答と同時に、巨大機体の装甲が次々とパージされていく。

重厚な外殻が剥がれ落ち、内部から姿を現したのは、見慣れたエヴァとほぼ同サイズの機体だった。

 

イズモ「やっぱり天才だな。」

カエデ「ほんとに……。」

 

ハルヒ「そりゃそうよ!!」

ハルヒ「この技術開発、全部私の許可を取って進めさせたんだから!」

ハルヒ「まあ、正直なところ装甲やエヴァの構造で分からない部分は、既存の設計をいじっただけだけどね。」

ハルヒ「でも性能は別よ。」

ハルヒ「今までのエヴァの一・五倍はあるわ。」

ハルヒ「それに、あの機体用の武器も数機分まとめて作らせたから、火力は段違いのはず。」

ハルヒ「じゃ、あとは任せたわ。」

ハルヒ「疲れたし。」

 

イズモ「……もう一機、いたはずだよな。」

 

言いかけたその瞬間。

戦艦のような外見を持つ、別の巨大機体が接近してきた。

 

ミクル「えっと……これをこうして、こうで……。」

 

イズモ「なんでミクルが、こんなバケモン操縦してんだよ。」

 

ハルヒ「何となく?」

 

イズモ「何となくで済ませるなって。」

 

ミクル「えーと……自動操縦に切り替えたから、大丈夫ですよぉ。」

 

イズモ「それはそれで怖いんだけど。」

 

こうして味方の士気は一気に高まり、敵の大部隊は次々と沈んでいった。

だが。

 

漆黒の機体だけは、無傷だった。

それどころか、まだ余裕すら感じさせる。

 

イズモ「……。」

イズモ「ここで、僕の最終手段を使うしかないな。」

 

レナ「え?」

カエデ「それって……どういう……。」

 

イズモ「これを使って、漆黒の機体だけでも潰す。」

 

彼の手には、これまで使ってきた兵器とは次元の違う武装があった。

封印されていた最後の切り札。

 

イズモ「起動コード、裏コード。」

イズモ「Unlimited NULL restraint。」

 

レナ「出た……こういうやつ。」

カエデ「やっぱり来たか……。」

 

起動した瞬間。

全身を貫くような寒気が走る。

 

黒かったイズモの機体は、白く変質し、全身から蒸気を噴き出しながら消えた。

正確には、速すぎて消えたように見えただけだった。

 

漆黒の機体も、必死に回避行動を取る。

 

警告音が、イズモのコックピット内に鳴り響く。

耐久値限界。

損傷率九〇パーセント。

いつ崩壊してもおかしくない。

 

それでも。

腕部から異常出力の粒子砲が放たれ、脚部からは極細の刃のような爪が何本も展開され、敵機を削る。

背中からは羽根のように広がる軽量兵装群。

すべてが追尾性と誘導性を備えた武装だった。

 

攻撃するほど、機体は限界に近づく。

だが、攻撃力はさらに上昇していく。

 

あの漆黒の機体でさえ、ギリギリの回避しかできない。

横腹に、大きな穴が穿たれる。

 

漆黒の機体は反転し、粒子砲で反撃する。

一撃目は無傷。

二撃目も、ほぼ無傷。

 

三撃目。

直撃した瞬間、全身を貫くビームが走り、漆黒の機体は消滅した。

 

イズモ「……終わった、か。」

 

その瞬間。

ミクル機が放った砲撃が、突如として凍結し、爆発を起こす。

 

煙の向こう。

さらに大量の極太レーザーとビーム砲が放たれた。

 

イズモは咄嗟に剣を構え、防御姿勢を取る。

だが衝撃に耐えきれず、吹き飛ばされ、ビル群へ叩き込まれた。

 

その時のイズモは、ただの人間だった。

 

その後。

漆黒の機体はコアユニットを破壊され、完全に再起不能となった。

 

オペレーター「敵機の消滅を確認。」

オペレーター「作戦完了です。」

オペレーター「お疲れ様でした。」

 

しばらくの間、歓声が上がり、花火が打ち上げられた。

そして部隊は撤収した。

 

だが、それはイズモとカエデ、二人にとっての話だった。

 

イズモは戦闘中、ラストナンバーを使用していた。

その代償として、全身に深刻な損傷を負い、脳出血を起こし、緊急脱出していたのだ。

 

残された二人は、素直に喜ぶことができなかった。

 

一週間後。

イズモが目を覚ました時、すべては終わっていた。

 

いや。

最初から、終わっていたのかもしれない。

ただ、彼らがそれに追いつけていなかっただけだ。

 

イズモとカエデは、世界を救った英雄として称えられた。

だがその裏では、上層部による激しい勢力争いが始まっていた。

 

彼らは、心から喜べなかった。

 

こうして、彼らの戦争は終わった。

そして、イズモの中にあった黒いものは、すべて消え去った。

 

その後。

クデュックは解散し、新体制ピースギアとして再結成された。

 

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