特級呪霊 ギラティナ 作:ハイドロ凡夫
話をしてたら何故かそこから派生して出来上がった1発ネタです。
ギラティナなら五条悟とやりあえるんじゃない?みたいなそういう話。
続くかは未定です。
存在し始めたのは、いつだったか。それすらも分からないほど途方もない永劫とも言える時間が経っていた。
そう、ただソレはそこにあるだけ。悪意を持たず、善意を持たず。正も負もなく、意思もない。それだけのモノ。
世界を平行に、平等に、等価値に。プラスでも、マイナスでもなく。ゼロにするだけのモノ。言い方を変えれば、世界の均衡を保つためだけの存在。
だが、ある日。
いつの日か、『最強』と呼ばれることになるたった1人の人間が産まれおちたとき。ソレも産声を上げたのだ。まるで、
ビシャアアアアアアアンッ!!!
その日、黒い影は。白金の龍へと産まれ変わった。
「おい、アレなんだ?」
「んぁ? 空が……割れてる……?」
「空が割れるなんて、そんなことあるか?」
黒い影がその場に佇んでいる。
蛇のような、龍のような、ただひたすらに黒い影としかいいようのないモノが。
それだけならば、まだきっと可愛げがあったのだろう。
ソレは近づくもの全てを呑み込む影だった。
そして、ソレが生み出した生得領域はあらゆる事象を否定するものであった。
「な、なんだ!? 影に呑まれ───」
「おい、よせ! 迂闊に触れたら──」
黒いソレから伸びていた影に踏み込んでいた術師が消えた。
「───……は?」
否、喰われたのだ。身体ひとつ残さず。
「────ッ!」
咄嗟に影を回避しようとする。だが、それらの当然の行為は、この空間が拒絶した。いいや、"反転"させたのだ。
「な、バカな……私は、今影を自ら踏みに行こうなんてしていな──」
ぱくり、とそんな音すら立てずまた1人術師が消えた。
「今のは、術式……!? こいつは1級なんかじゃない……間違いなく特──」
そう、ソレは既に……
しかし、それに気付いた時には何もかもが、遅すぎた。
「あ、アレは……『神』だ……っ……! われら、が、てを、だして……いい、そんざい、では……なか……」
「産土神……ばか、をいえ……! あれは、そのような……なまやさしい、もので……あるはず……っ……ごじょう、さとるを……よべ……!」
「あれ、はもう……
「よ、もや……シンオウさ、まが……っ……のろい、に……なる、など……っ……」
「……さっさと終わらせて、夕張メロンなり食って帰ろうと思ってたんだけどなぁ」
呪術連の要請通りに、北海道の摩周湖に訪れた五条 悟は目の前に映る霧の深い景色を見て……うげぇ。っと心底面倒くさそうな顔をする。
彼の眼に入る情報、それら全てが異様なものを見せていたからだ。
(……間違いなく特級クラス、しかも……
あらゆるものを反転させるとかありかよ)
確実にただの術師ではこの場に存在することすら許されないだろう。
五条 悟という規格外の最強、【無下限】と【六眼】の抱き合わせを以て勝てる、というレベルだ。
(
友人を無意識に格付けし、そう認識させてしまうほどにはこの場所は厄介極まるのだと、五条 悟の六眼はそう訴えていた。
呪霊操術が反転すれば、呪霊を解き放つだろう。そして脅威的なまでの癒し手とも言える反転術式の天才。その脅威的なまでの正の力が反転すれば?それは近付くもの全てに災いを降り注がせるものになりかねない。
つまるところ──
(無下限の俺以外じゃ、これの攻略はまず無理じゃね? ウケるわ)
ある意味では時間に連なる術式であり、「無限」という反転することがない概念であるが故に、五条 悟には通用しないのだろう。
「五条様? 聞いていますか?」
「あ? なに? 今考え事してんだけど?」
「あ、いえ……特級仮想怨霊ともなれば、周囲への被害もやはり想定を超える可能性があります。ですので帳を何重にも下ろしてから仮想怨霊への接敵を──」
「いまなんつった?」
この補助監督は今なんて言った? 帳を下ろす?
「え? ですから、帳を何重にも……」
「却下」
「は? い、いやしかし!? 帳を下ろさねば今回ばかりはさすがに──」
「
五条 悟のその言葉に困惑したのは、黒いスーツの補助監督だった。
「は……?」
「だから、意味ねえっつってんの。ここじゃ間違いなく帳は意味がない。むしろ、そのあー、なんだっけ……しんおーさま?にいいように扱われるのが関の山だ」
「どういう──」
「チッ……言われなきゃわかんねえのかよ、面倒くさ……。
いいか、ここは間違いなく全部のモノが"反転"するんだよ。だから被害を抑えようと帳を下ろすと逆に被害が大きくなる。六眼で見たんだから確実だ。むしろ今までよく下ろして無事だった……ああいや、無事じゃないか」
既に無数の場所に被害が起きている。派遣される術師のうちの何人かは、飛行機等でやってきていた。だが、それらが飛行機ごと撃墜されたのだ。それはおそらく、張っていた帳の影響だろう、と五条 悟は当たりをつけている。
「で、では……帳を下ろしてはいけないと……!?」
「そ。あー、これ五条 悟命令だから。破ったら殺す。
余計なことすんな。待機してろ、その方が余分な被害を出さなくてすむんだよ。だからなんもすんなよ?」
「わ、わかり……ました……」
五条 悟にそう命令されてしまった以上、補助監督は何も出来ない。
年齢的には補助監督の方が上だろう、だが立場で言えば五条 悟がおそらく最も高い。なにせ、あの五条家の当主なのだ。それ故に、その当主からの命令となれば補助監督としては迂闊に動けないのは当然だった。
その姿を満足気に見た五条 悟は……そのまま霧が深くなっている湖の中へと足を踏み入れた。
直後、世界が塗り変わった。
「やっぱそうなるか」
五条 悟は、だろうな。と1人頷いた。
「想定通り、相手は生得領域持ち。で、俺の六眼が訴えた通りあらゆるモノが反転する世界を作りあげてるってところか?」
空にある大地に足をつけ、地に浮いている雫を見る。
……しかし、その見ようと身体や視線を動かした直後にこの領域の性質を彼は味わった。
「は、マジで反転してんじゃん。ウケんねこれ」
視線を上にやろうとすれば下に視線が向かう、そして首を上に動かそうとすれば下に動く。
ならば、足はどうか……と右足を前に出そうとすれば左足が勝手に後ろに下がった。
「いや〜これはホントに傑は来なくて正解だったな。逆に敵になってたかもしれねえ。……つうか、むしろ1人じゃなきゃ反転するせいでお互いを敵と認識するとかありそうじゃね? うっわ、ぜってーやだ。俺1人で来て正解だわこれ」
唯一無二と言っていい親友が将来に至って恨み続ける怨敵になる可能性もあったのだ、と考えるとゾッとするものである。想像すらしたくない話だ。
「けどまあ……これぐらいなら、馴染めばいけるな」
そこはやはり生まれながらの強者にして、最強。天才の呪術界御三家の現当主、五条 悟である。
理解さえすれば、この程度の認識や意識を阻害するものは余裕で対処できるようだ。
そして当然だが──
「っし、だいたい分かったし……馴れた」
最強は、この空間に馴染むのも早い。
『無下限』によって、他の術師よりもこの領域に対しての実害が少ないというのもひとつだろう。だが、それ以上に彼は最強なのだ。最強であるが故に、常人の理屈や理論は通用しない。そういうものである。
そうして五条 悟は宣言通り、この領域内をいとも容易く進み始めた。
目的地は、六眼が示す最も呪力の集っている……現実においては湖の中心辺りだ。
「……ッ」
ふと、五条 悟の足が止まる。無意識ではあるが、戦闘の構えを取ろうとしていた。
気配がする、というのもある。それ以上に──
(……
視線を感じている。なにかが近くにいるという確信。そして、それが意味することは。
「……進めてるってわけか。呪霊がいるところに」
恐らく、今感じた気配は警告なのだろう。この先に踏み入るのであれば、容赦しない。というそういう類いの。動物が己の縄張りを報せるような、そういった警告。
そして、五条 悟ですら警戒してしまうほどの気配。この奥にいるものが、今まで祓ってきた
「こいつは……」
そうしてたどり着いた、呪霊が眠っているであろう領域の奥地。
そこにはたしかに居た。黒い巨大な影が。寝息をたてて、とぐろを巻くように静かに佇んでいた。
(……
五条悟の六眼が、そう判断する。そこにある黒い塊、影と言えるモノは呪霊の本体ではない。と。
「ただ、まあ……仕掛ける以外には祓うこともできない、か」
印を結ぼうと、右手を出してはっとする。
「……いっけね、いつもの癖で右手でやりかけてた。今は、左手じゃないとな」
出す手を入れ替えて、術式を使おうとした瞬間。
《───》
「───ッ!?」
ギロリ と、影にある紅い瞳と視線が合った。たった一瞬。されど一瞬。その一瞬で、五条 悟は冷や汗をかいた。悪寒が走った。
(……はっ、俺が?)
五条 悟にとっては間違いなく初めての経験。だが……そうさせてしまう存在であるということを否が応にも理解する。こいつは間違いなく、そこらの雑魚呪霊じゃない。そう確信する。
《繧ョ繧エ繧ャ繧エ繝シ繧エ繝シ繝 ──ッ!! 》
「ッ──る、せえっ……!」
黒い影が何かを叫んだのだろう。その叫びそのものが呪力の塊。それ故に、無下限に干渉すらしてくる。
来る── そう確信して、構えようとした直後。
「───は?」
信じられない光景を、五条 悟は目撃した。
『ふ……わ、ぁああ……なんじゃ、騒々しい……何やらやたらと、呪力が滾っておるようじゃが……」
「……マジかよ」
目の前で、黒い影の姿が消え失せたと思えば……そこから金色の髪をした幼い少女が現れたのだ。そういう反応にもなる。
だが、それでも五条 悟が警戒を緩めることはない。目の前にいる少女が
「んー……? ほぅ、これはこれは……また面白いヤツが妾の寝床に入り込んできておるの? お主、アレじゃろ? じゅじゅつし?ってヤツじゃろう?」
「だったらなんだよ、ガキンチョ。古臭い喋り方しやがって」
面白そうに金髪の少女はこちらを見つめてくる。観察されているようで気持ちが悪い。五条 悟にとってはその視線は心底嫌いなものだ。それ故に、不快感を隠すことも無く少女に口悪く接する。
それでも尚、警戒は緩めない。何せ彼女を六眼で見れば──
(このガキンチョ、実体の癖に……実体じゃない。いや、
そう、少女は実体だ。それは確実。おそらく触ることもできるし、呪力による攻撃も当たるだろう。だが、効果がない。彼女自身へのダメージにはならないのだろう。……より正確にはダメージそのものを与えられない。ただ当たるだけ。そういうものだ、と五条 悟はその眼で理解する。
「いやなに、興味が湧いてな? わざわざこの場所に踏み込むような物好きじゃ、それなりのモノを持っておるとは思うていたが……なるほど
「……! へぇ、俺の術式を知ってんのかよオマエ」
「無下限、というやつじゃろ? よいよい、妾もそれには一定の理解がある。燃費最悪の代物じゃ。じゃが、使いこなせてしまえば途方もないほどに強力無比。そんなものを抱えた小僧が、何用じゃ?」
「なに、って……ガキンチョ、お前を祓いにきたんだよ」
「くっくっくっく……そうかそうか、妾を祓いに来たのか、小僧。
それはまあ随分と────」
───無謀な試みじゃな?
「…………」
ゴゥ、と雰囲気が変わる。底知れぬ程の重圧。そして何よりも──
(コイツ、やっぱり生まれてやがる。既に、仮想怨霊じゃない。間違いなく……
実態を持っていること、こちらと意思疎通ができること。そして、術式に理解があること。それら全ての条件を、目の前で重圧を放つ少女が揃えている。
紛れもない、呪霊の頂点。呪霊という枠組みの中でも逸脱した存在であることを、五条 悟は理解する。
そして── その六眼が、彼女の術式を正確に捉えたが故に、舌打ちをしたくなる。
(コイツ、俺の無下限と致命的に相性が悪い。それも最悪レベルに)
おそらく、まだ術式を使いこなせてはいないはずだ。ただ、それでも理解できる。この少女が術式を完全に理解すれば無下限の突破ぐらいは容易いはずだと。
否定したいものではあるが、生憎この眼は正確だ。嘘も騙しも通用しない。だから……いずれそうなる、と確信できる。
(遠慮はなし、初手から全力で打ち込んで仕留める。長期戦に持ち込めば……あのガキンチョの方が有利っぽいしな)
「たかが無限如きで、妾を祓うときたか。それはまあ随分と身の程知らずの小僧じゃなぁ? じゃがまあよい。眠気覚ましの運動にはちょうど良いじゃろうしな?」
「あっそう、ならほざいてろよババア!」
「誰がババアじゃ──」
その一瞬の反応。その隙を逃すほど、五条 悟は慢心していない。
少女の目の前に突如出現した、そう錯覚させるほどの高速での移動。それと同時に、呪力を込めた拳を振るう。
(こやつ、一瞬の隙を……じゃが、妾にソレは届かぬ──)
もし、勝敗を分ける要因があったとするなら。それは慢心だ。
──それが隙の有無を、回避の有無を発生させる。この場で言えば、五条 悟は慢心せず。呪霊の少女が慢心していた。
故に──
「ふぎゃあっ!?!?」
(なっ……あた、った……!? 当たった、じゃと……!? 妾、に……攻撃がっ……!? こやつ、
無下限による一撃。後に出現する特級呪霊ですらまともに喰らえばただでは済まないそれが直撃した。少女はものの見事に、勢いをそのままに浮いている地面へと叩きつけられた。
「……あ? んだよ、ババア。その程度で終わりか?」
「い、たたた……き、さま……なぜ、妾に攻撃できる!?」
「あん? んなの、視えてるからに決まってんだろ」
空に着地した五条 悟は警戒を緩めることなく、その呪霊の少女を見つめる。
「──まさか……貴様……!? いや、その透き通る水色の眼……六眼か……!?!?」
「ハッ、んだよ。呪霊の癖にいっちょ前に知識は持ってんのかオマエ?」
呪霊の少女の困惑した表情に、五条 悟は思わず笑みを零す。
(コイツ、
並の呪霊でない、というのは理解していたつもりだった。だが、これだけの理性的な素振り、そして知識の豊富さ。そして……六眼で正確に彼女の姿を捉えて無下限による攻撃を与えた時に理解がいった。コイツは、呪霊というにはあまりにも異質だ。呪霊では確かにある。纏う呪力や気配は確かに呪霊のソレだ。だが、それ以上に混じっている。どちらかと言えば正の力に近いモノをだ。
産土神……土地神だと、事前には言われていたが。多分
もっと、深く……それでいて、純粋な何か。六眼ですら捉えきれない何かをこの呪霊は持ち合わせている。
だから、理解する。
(……確実には祓えないな。むしろ、祓ったところで次代が直ぐに生まれるだけだ。しかも、今回と同じ規模で)
呪霊として祓ったとしても、おそらく彼女は
次の代が産まれるとして、それがいつになるかは分からないが……間違いなく、今回と同じだけの被害規模を出すだろうという確信はある。
(それにまあ……次の代が、コイツほど理性的である保証は無いか。
……となれば……やるべき事はひとつしかないな)
この呪霊が、呪霊としての特性を持ち合わせてくれたのは幸運だった。と五条 悟は思う。おかげで祓う以外の選択で被害を抑えられる可能性ができたのだから。
改めて少女を見る。その少女は起き上がりくつくつ、と笑っていた、
「……六眼と無下限の抱き合わせときたか。く、くくく……どうやら天は随分と、ヒトに味方をしているらしい。──いや、そうでなくてはならんのか。
ああ、理解したぞ、小僧。貴様は、妾……
「───てめっ……!?」
(速い──、しかも……コイツ、呪力の巡りがさっきよりも──)
一瞬、先程とは真逆。油断しているわけじゃなかった。慢心もしていなかった。
だが、五条 悟が知覚できないほどの速さで少女がその懐に潜り込んでいた。しかしそれでも……五条 悟の対応は早かった。
「く、カカカカッ! やはり無下限、簡単には通してくれんか!! じゃが──」
無下限による防御。それは理論上、どんな攻撃ですら通せない。六眼持ちであるのなら尚のことその理論上のことを実現可能にできるだろう。
だが、先程五条 悟自身が言ったように。──相手との相性悪い。
ゴキッ、メキッと少女の背から異音が響いた直後。赤い爪を持った黒い手が彼女の背を喰い破って現れた。
(手……!? いや違う……
本能的に翼だと理解したソレを、無下限に
そう、無下限に触れるのではなく、食い込ませた。それを理解した瞬間、五条 悟は焦りを覚えた。
「オマエ、まさか──」
「その、まさかというヤツじゃよ、小僧ッ!」
無下限が、引き千切られる。黒い翼に。攻撃が当たる。回避できない。本来であれば。
── 術式
「は──? 待て、それはありなのかっ!?」
一瞬、だが五条 悟は直感的に。それを使った。まだ、掴めていないその本質。それをこの"反転する"という性質をもった生得領域内であるが故に、直感的に扱うことができた。
否、正確に言うのであれば──……順転すれば反転に、反転すれば順転に。
その本質を理解していたために、彼は本来まだ使えないそれを打ち出した。
「みぎゃんっ!?!?」
打ち出された赫によって再び呪霊の少女が空に叩き付けられる。五条 悟自身も、その光景に思わず困惑した。
(あ? いま……俺は、反転術式を使ったのか? いや、使おうとしたのは順転・蒼だ。赫はまだ俺には使えないはず。……ああ、そうか。本能的に術式を使ったせいで反転して赫になったのか。くっそ、これ利用すりゃ赫の感覚も掴めそうなんだが……そういう試す余裕は、今はない。だから、今なんとなく感じたアレと……真逆のことをするか)
「い、っつ……小僧、妾じゃなかったら死んでおるぞ!?」
「なら大人しく死んどけよ、ババア」
なんでむしろ生きてんだコイツ、と思いつつも……今はそれがありがたい、と五条 悟は構えた。
そして──
「術式
「んなっ──!?」
生み出した蒼によって五条 悟は、少女のもとへ一瞬で接近する。
(こやつ!? 反転術式をこの土壇場で使いこなせ──いや、違う!! 掴んですらおらん!! ただ、なんとなく……さっき打ち出したモノと同じことをやっただけか!?)
そう、ただそれだけ。何となく、直感的に。つい先程感じた術式の感覚と同じモノを使っただけ。それは、五条 悟が天才であるが故に、最強であるが故に成立したあまりにも非常識で、理不尽なもの。
(化け物め──!)
どの口が、と笑われるかもしれない。ただ、それでも少女はそう実感し、五条 悟を見る。その男の顔はあまりにも悦に浸っているような顔だった。
(だが、幾ら六眼で妾の本体を捉え殴れるといっても……次にくる攻撃ぐらいは予想できる。たかが無下限。呪力によって防ぎ切れば──)
「ハッ、ばーか。引っかかってやんの」
「な──ッ……」
ブラフ。フェイクだった。彼女は既に無下限による呪力と術式を混ぜた攻撃を食らっている。だから、無意識的に……近接における攻撃手段はそうなるだろうと、思っていた。
それ故に、五条 悟がこちらの身体を……頭を掴んでくるなどと、予想すらしていなかったのだ。
「つーかーまーえーたァ!!」
「貴様っ……よもや、これを狙ってわざと近付きよったな……!?」
「あ? 別にそんなつもりはなかったっての。ただまあ……んな、見え見えのガードされたら、掴んでくださいって言ってるようなもんだろ。格ゲーで習わなかったわけ? 見え見えのガードに掴み技って基礎中の基礎でしょ」
尤も、そう講説する五条 悟自身……友人にそう言われて格闘ゲームでフルボッコにされた苦い経験があったが故にできる発言なのだが。それはまあ余談というやつだろう。
「で、だ。なあ、ガキババア」
「誰がガキババアじゃ!?」
「例えばだけどさぁ、こうやって掴んだまま……無下限を使ったらどうなると思う?」
「は──?」
少女は頭を掴まれたまま、ポカンとした顔を浮かべる。
コイツは、何を言っている? 無下限を、この状態で使う?
「いや、さ。俺も正直まだ理解しきれてなくてさ。もし、触れてる相手に無下限による呪力や術式を流し込めたらどうなるのかなって思って」
「待て、ま、まさか貴様──!?」
「というわけで、はい。ズドーンッ☆」
みぎゃああああああああああっ!?!?!?
あ、あたまが割れるゥウウウウウ!?!?
そんな少女の絶叫が領域内に鳴り響いた。
「離さんか貴様ァ!! このっ、この!!」
「はいはい、ぐるぐるパンチとかしても届かないから意味ねえって。そもそも縛りを設けたんだから、その辺理解しとけよ。無下限で届かねえだろ」
「クソォ……こんな生意気な小僧にいいようにされるとはァ……!!」
生得領域が解け、湖の上に浮きながら五条 悟は先程まで全力で戦りあっていた少女の頭を掴んだまま補助監督のところまで向かう。
その道中であ、と思い出したように携帯を取り出してある人物に連絡をかける。
「あ〜もしもし、夜蛾先〜? 俺俺〜、五条 悟でぇーっす☆ ん? ああ、そうそう。その特級仮想怨霊の件で連絡〜。今ソイツと一緒にいるんだけど〜、コイツ呪霊に既になってるし、なんならめっちゃタチ悪いタイプ〜☆」
夜蛾、と呼ばれた男の声が携帯から聞こえてくる。
なぜ祓っていないんだ!という怒鳴り声だったようで、五条 悟はすっと、携帯を耳から離していた。(ついでに、少女の耳元に置いていた)
「い゛っ!? 鼓膜が破けるじゃろうが戯けッ!?!?」
「あー、それなんだけどさ。コイツ、祓っても祓い切れないよ。多分だけどコイツの性質上……次の代がすぐ生まれると思う。畏れっつうか、信仰が根強いタイプの呪霊なんだろうねー、このしんおーさまって言われてるガキンチョ。で、今のコイツは比較的にまとも、っつうか理性的? でさ、こっちの言葉もちゃんと理解してるんだよね。なんなら縛り設けることができたしね」
「そうそう、必要だと思ったからコイツと俺の間で縛り設けといたの。ある種の不可侵条約的な? そんな感じ。いやまあ、祓ったら逆に被害大きくなるタイプだなってのは理解したからさ、それならコイツを傑に任せようと思って。
そ、信仰が根強い土地神のタイプだつっても、呪霊としての側面を持ってる以上……傑なら大丈夫でしょ。それに、俺との間に縛り設けたおかげで多少なりとも弱体化できてるしね。んじゃ、そういうことでよろしく〜☆ あ、お土産は期待しててね〜☆」
まだ話は終わってないぞ悟!!という携帯からの怒鳴り声を耳に入れつつ、通話を切る。
「まあ、そんなわけで。オマエ、俺の権限で高専預かりにするから。悪く思うなよ、ガキンチョ」
「──は、よもや呪術師の巣窟に妾を連れていく気とはな。イかれたか、こぞぉいだだだだっ!?!? 貴様ァ! あいあんくろーはなしじゃろ!! 一方的にこんな小柄な娘をいたぶって楽しいのか!?」
「ちょー楽しい☆ 」
「このゲス! 人でなしぃ!!」
「はははは、呪術師なんてひとでなしばっかだろ」
「そういえばそうじゃったな!! ええい! 離せ貴様ァ! 縛りを設けたんじゃから逃げたりはせんわ!! じゃからあいあんくろーはやめろ! やめんか小僧!?」
はっはっはっはっ、と高らかに笑う後の現代最強の特級術師、五条 悟とその五条 悟の手で頭を掴まれて涙目になりながらもがく金髪の
待機していた補助監督は、それらを見て頭を抱え……胃を痛めたというのは、余談であった。
そんだけ。
かげみたいなのとガキンチョのすがたがあった。
後、補助監督だっけ?
めっちゃ美味かった。そこから摩周湖行った。
呪霊とバトった。縛り設けて連れて帰ることにした。いじょー
あ、帰りに食ったジンギスカンはめちゃくちゃ美味かった。
縛りは設けたから弱くはなってるよ。多分。
あとは傑に任せるからよろしくね、夜蛾先生♡
俺たちは雰囲気で呪術廻戦の二次創作をやっている……
ギラティナちゃん(無性)
特級呪霊。ギラティナモドキちゃん。夢主枠。
まだオリジンにはなれない。
しばらくはシンオーちゃん、と呼ばれることになる。
五条 悟にフルボッコにされた見た目金髪のロリババア。
黒い着物を着ている。
アイアンクロー時に簡易無領空処(無下限を脳内に叩き込む)をされた。
この後夏油 傑の呪霊操術の支配下(仮)に置かれる。
ちなみにジンギスカンは食べて帰った。
五条 悟
後の現代最強の呪術師。
学生。まだ青が澄んでいた頃。
でも、やっぱり強いのでギラティナなら倒せる。
北海道旅行を満喫して帰った。
なんとなく反転術式のコツが掴めそう。
夜蛾先生
この先ギラティナちゃんのことで苦労する。
アルセウス
多分元凶。邪神を許すな。