「おじょうさま」が嫌だっただけなのに   作:はがねジムのファン

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お気に入りをたくさんいただけたので続きました。
もう続きが思いつかないので一応の最終回。
読了感謝です。

あってなかったようなTS要素が一厘ほど現れます。


再会

 実に協力的な君に一つ朗報だ。

 渋顔の刑事っぽい人間に言われた言葉を何度も思い出す。

 

「お……お母さん、本当に着なきゃダメ?」

「今まで散々我儘したんだから、少しくらい私の我儘も聞きなさい?」

 

 母親の着せ替え人形にされる25歳の娘。状況的には実に怪しい。

 何か高級感ある衣装を着せられ値段やら見た目やらでくらっとしてしまうが、いつぞやのぴっちりスーツより遥かにマシだとと思うことで羞恥心から目を背ける。

 差し詰め「おとなのお姉さん」だろうか、なんて現実逃避をしつつ。

 

 色々あったが、手持ち奪還のために行なっていた「幹部」らのプロファイルが役に立った、ということで良いのだろうか。

 協力的だったのとそのプロファイルのおかげか、タカラ島から雲隠れした俺以外の幹部や、もともと行方知れずになっていた幹部の確保や証言の確保が出来たそう。

 よく分からないうちに色々処理が終わっていて、気づいたらやんごとなき家族に連れ帰られていた。もちろん土下座した。

 

 出奔して10年以上、とっくに縁を切られていると思っていたが、そう思っていたことすらも申し訳ないほどに暖かく迎え入れてくれた。

 失われた時間を取り戻すかのように両親や兄弟姉妹に構われ可愛がられる日々だ。

 

「……失効してない!」

 

 それでも、一番大きくリアクションを取ってしまったのはジム制覇の証明だった。失効していなければ、まだリーグへの挑戦権があるということだ。

 あまりに嬉しそうだったのか、生暖かい目で見られた。

 家族からは歳の割に物凄く子供のように扱われていて、それが非常に恥ずかしくもどかしい。前世での記憶もあるんだから、実質年齢は結構上だと思うんだが。

 何て遠い目をしていたら、「女子力どころか生活力ないんだから」と特に姉妹から笑われた。ぐうの音も出ない。

 男ものの服しか持っていなかったり、化粧の仕方も知らなかったりすると子供扱いされるものなんだろうか。女子の世界って怖い。スティール団は良くも悪くも変な奴らが多かったからなぁ。

 

 ともあれ。

 

「スバル、ドク、アロエ、コッツン、バルタ……本当にごめん」

 

 家族にした土下座号泣謝罪とまでは行かずとも、かつての五匹にも謝罪をする。

 俺がもう少ししっかりとしていれば、旅の期間以上に人に使役される何てことはなかったはずだ。

 人一人にしては広すぎる屋敷特有の部屋に手持ちの6匹全員を出したが、みんなきょとんとした顔をしていた。挙げ句の果てにキョロキョロとし出す始末。

 

「……おい、誰って顔するなよ……カタコだぞ。お前らの主人」

 

 そんなに俺が女の子女の子した格好が変だったのかよ。

 いじけそうにもなった、ひどく暗い雰囲気にはならずに済んだのかも知れない。

 

 その後いっぱいスキンシップした。

 

 

 

 

 

 

 

「ロングスカートとは言え、やっぱりスカートだなぁ……こういうことなら、もっと履いておくんだった」

 

 アロエことエアームドの「そらをとぶ」を使えばひとっ飛びのチャンピオンロードをあえてこの姿で突破し直したのは道中のトレーナーとバトルをして勘を取り戻したかったのもあるが、何より気持ちを改めたかったから、だ。

 そのせいでただでさえ歩きなれていないロングスカートが何箇所か破けてしまい、余計に股がスースーしてしまう。おのれ母め、ずっと残してくれて居たんだから、俺が戻った後もあの男物コレクションを残しておいてくれても良かったのに。

 

「……はぁ。ともあれ、着いてしまった」

 

 トラウマの土地。夢破れ去った場所。

 ポケモンリーグに。

 

 ネットニュースであの子が破竹の勢い勝ち上がりチャンピオンになったとは聞いた。

 ただ、あの子は即座にチャンピオンの座を返上。「他の地方も旅したい。私より強い奴に会いに行く」みたいなことを言い残して、風来坊のような真似をしているらしい。

 この地方で今でも時たまムクホークで空を駆る姿が見られるのはよく聞く話だ。

 まあ何というか、全体的に少しずつ薄れつつある前世の記憶の中にある「ゲームの流れ」っぽいな、と思いつつ。

 

「あの時は才能の打ち止めと諦めたけど、俺はまだまだ強くなれる、よし、いける、行くぞ」

 

 武者震いかトラウマのせいか震える手を押さえて、自身を鼓舞する。

 そんな時、ふと嫌な予感が過ぎる

 そう言えばあの子がチャンピオンになったということは、もしかすると殿堂入り後のリーグ強化が入ったりしているのだろうか。

 冷や汗がダラダラ出てきてしまう。ここまできてトラウマがより大きくなってしまった。

 行けるよな、あれは風来坊をしているチャンピオンに対してのコミュニケーション的な強化のはず、一般人の挑戦者にあの強化四天王の姿で現れることはないはず。

 

「それに……バトルは、勝っても負けても楽しい、からな」

 

 あの子とのバトルで思い出させてくれたバトルの楽しさ。

 ポケモンと一緒に熱くなれる、そんな楽しさを思い出させてくれた今なら、どんな結果になっても、心はもう折れない……ような気がする。

 

「いやしかし、流石に強化四天王だと話が違うぞ……?」

 

 レベルが20くらい上がるのではなかったか。私の手持ちの最高レベルはバルタの63だ。70を超えるポケモンばかり出されると理不尽を感じざるを得ないかも知れない。

 

 そんな感じでリーグの手前で傍迷惑にウロウロしていると、バサリ、と大きな翼の音がした。

 空を飛んできたムクホークから降りる誰か。

 目が合った。

 

「……ひ、久しぶり」

「誰……?」

 

 貴女もか。

 髪の色とか顔つきとかは変わっていないのに服だけでそんなに変わるものだろうか。目つきが柔らかくなった、とはかつての同期が言っていたような気もするが、そんなにか。

 少し大きくなったらような気もするが、帽子を深く被るスタイルはそのままらしい、例のチャンピオン。

 

 

「髪型はこんなだったっけ……。これで分かる?」

「あっカタコ、さん……!? ええ、全然気づかなかった!」

 

 そんなにか。

 服が変わるだけですごく雰囲気が変わるんですね、とか。可愛い服も似合ってます、とか。言ってくれているが俺にとっては褒め言葉ではないんだ。

 おまけに今の俺は服が皺になったり破けたりと結構だらしないことになっているが、この子の可愛い基準は果たして大丈夫だろうか。

 

「もう少し、自分の好きなことに向き合ってみようと思ったんだ。……ありがとう」

 

 叶うなら、チャンピオンの座に座る彼女に言いたかった感謝の言葉だが、目の前の女の子も彼女であることには変わりない。

 

「そっか、良かった……。カタコさんは初め見た時から、ポケモンに酷いことする人に見えなかったから」

「いや、まあ、あはは……」

 

 業務内容的に威嚇くらいはした記憶はあるが。

 そういえば、落とし物届け場に幹部から奪ったポケモンは預けたが、無事元の持ち主に帰ることは出来たのだろうか。あの手持ちがゼロになり行方知れずになった幹部も、ずっと隠れていたらしくいつのまにか捕まったそうだ。

 

「そうだ、バトルしましょう!」

「え?」

「他の地方から、いろんな子捕まえてきたんですよ! きっと楽しいバトルになりますよ!」

 

 何というか、思わず笑みが溢れてしまう。

 出奔した後、いろいろな選択肢があったのにわざわざトレーナーになることを選択したのは、ポケモン勝負が楽しかったからだったか。

 この気持ちを忘れてさえいなければ、きっとスティール団に入るなんてことはなかったのかも知れない。

 

「ふふ、本当敵わないなぁ」

「どうかした?」

「いや、そうだ。ポケモンバトルは楽しいんだった。やろう、ちょっとは俺も強くなったぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれ以降、定期的にポケモンリーグの前でイチカと遭遇するようになった。

 俺が彼女を出待ちしているわけでも、彼女が俺に会いにきているわけでもないと信じたい。




ポケモントレーナーの カタコが 勝負を 仕掛けてきた!
カタコが再戦可能トレーナーになっておしまい。

「カタコ(トレーナー)」
何度か殿堂入りした後リーグ前に現れる、「おじょうさま」のような「おとなのお姉さん」のようなトレーナー。はがねタイプの使い手。一人称が俺の時は表情が豊か。

あまりTS要素が濃すぎると胃もたれするけど無さすぎると味薄いな、とテンプレネタを少々。

カタコは10歳で出奔して以来ずっと一人でポケモンが友達で寂しかったので、子供扱いしてくる親に恥ずかしがりながらもしっかり甘えていたりします。

読了感謝。ダイジェストばかりですがここまで書けてよかった。

避けろ!◯◯!!

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