IS 荒ぶる黒龍は咆え、喰らう   作:黒色晩餐

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後編!
中編最後に不穏な終わり方しましたがどうなるかお楽しみに!



14話後編〜荒ぶる黒き龍。咆え喰らう姿は正に(わざわい)(もたら)す邪悪な龍なり〜

 

 

    ドックン…ドックン

 

 

心臓が脈打つような音は徐々に音を大きくさせていた。それこそまるで新しい生命が今、ここに誕生しているかのように……

 

その異変に最初に気付いたのはラウラだった。激情のままに『銀の福音』へと一人、突撃した…いや、突撃しようとしていたのだった。

 龍也が墜ちた場所で起きていた異変が目の前の敵以上に警戒すべきだと、軍人として鍛えられた本能が警鐘を激しく鳴らしていた。アレは福音以上に危険だ…この場から少しでも遠くに離れるべきだと。

 暴走している福音でさえ動きを止めていた…真下にいる危険な何かをこれ以上刺激しないためにも…

 

「っ…………シャルロット、セシリア。龍也が墜ちた以上、我々の今の消耗状態ではヤツには勝てない。動いていない今が撤退のチャンスだ」

「龍也さんが…龍也さんが殺されてしまったのですわよ!アレに!なのに退けと!目の前にいる敵に背を向けろと言うんですの!」

「そうだよラウラ。これは龍也の弔い合戦だよ。龍也を殺したアレを倒さないと………じゃないと僕達を庇って逝っちゃった龍也が報われない」

「良いから私の言う事を聞け!文句は後で聞く!今は少しでもこの場から遠くへと離れるんだ!箒!鈴!2人を無理矢理にでも連れて行け!」

 

龍也を失った悲しみと絶望で現実が全く見えていない2人。

 今にも自爆覚悟で特攻しそうな目をして、海中の異変にさえ目を向けていなかった。

 そんな2人に向かってラウラは怒気を含ませた声で命令をした。自分だって本当はこの場から離れたくはない…だが、今はその感情以上に下で起きている異変の方を警戒すべきなのだと。

 ラウラの命令に気圧され黙る2人。暴れはしないが目のハイライトは消え、くすみ、淀んでいた。箒と鈴もラウラからの怒気が含んだ命令を聞き羽交い締めにしていた2人を連れてその場から離れようとした矢先…

 

GYaaaaaaaaaaaaaa!!

 

 水中から観察するように見ていた瞳がゆっくりと海の底へと消えていった。それからほんの少しして空気が揺れ、腹の底にまで響く程の鳴き声が海の中からした。

 福音を含めた全員が鳴き声がした海中へと意識を向ける。

 そこには海中で金に輝く二つ一組の瞳が三組の合計、六つの目が海中から獲物を見る目で彼女達と福音を捉えていた。

 

『全員!全速力で退避しろ!!!』

 

その目を見て恐怖で動けなくなってしまった少女達にオープンチャンネルで通信が入る。退避命令を出した織斑千冬はディスプレイ越しからでも感じるほどの死が、一人の生徒を失い呆然としていた彼女を動かしたのだった。

 通信を聞いた少女達はハッとすれば後ろを振り向こうともせずにその場から全速力で離脱。待機場所まで離れハイパーセンサーを使って先程まで居た場所を見るとそこには…

 

光を吸収してしまうくらい黒一色に全身を染めたハリウッド版ゴジラに登場する『キングギドラ』そのものの姿で現れる。そしてその場から離脱しようとした『銀の福音』の反応速度を超える速さで三つある頭の一つが噛み付き、捕らえた。

 捕らえられた福音は抵抗し、大量のエネルギー弾を撃ち込むが当たる瞬間に体内へ吸収されていくように消滅し全くダメージが通らなかった。

 

そこからは一方的だった。福音本体のシールドエネルギーが吸い取られ起動限界ギリギリの所まで、動くことさえ出来ない所まで吸い取られていったのだ。

 そしてエネルギーを吸い取り用済みとなった『銀の福音』は退避した少女達の方へと向かってゴミを捨てるかのように投げ捨てられ、砂浜に転がると強制的にISは待機状態となって操縦者が気を失って砂浜に横たわる。

 気を失っている操縦者は教員達に回収されるが少女達は黒い三首の龍を警戒するように見ていた。

 

  GAROROROROOOOOOOOO

 

黒い三首の龍は吸い取ったエネルギーを消化するためなのか、その場から動かず黒い球体にへと変化する。

その後、球体の表面には無数の目が周囲を監視するようにギョロギョロと蠢き、また心臓が脈打つ音をさせはじめる。

 

_______________

 

「ここは……ああ…死んだのか…」

 

目を開くとそこは転生前に神様と出会った真っ白な空間に酷似していた。感覚的にも腹に大穴を開けて腕が吹っ飛んだのだから死んだかと納得していた。

 そして腰辺りまで伸ばした黒髪と赤い瞳の少女が突然目の前に現れた。

 

「貴方はまだ死んではいませんよ」

「あんた…誰だ?」

「誰とは酷いですね…あんなに私をこき使っておいて誰とは…」

「?知り合った記憶も無ければこき使った記憶も無いんだが…」

「ナイトメアと、言ったほうが良かったかしら?」

「ああ、ナイトメア…ナ……はぁ!?ナイトメア!?お前がナイトメアだぁ!?」

 

突如現れた少女からまだ死んでないと言われると警戒心を露わにしながらも少女の言葉に耳を傾けていれば相棒である専用機『ナイトメア』だと知り驚きの声を上げる。

 

「はい。あ、この姿はマスターとラウラ様の遺伝子情報からこの先、産まれるであろう子供の姿を今のマスターと同じ年齢にまで成長した姿となります」

「その姿…と言うかラウラを選んだのは…意図的か?」

「いいえ。私のコアに保存されていたのがマスターとラウラ様の遺伝子情報のみでしたので使用したまでです。………多分ですが取り込んだVTシステム内にラウラ様の遺伝子情報が組み込まれていたものかと」

 

ナイトメアからの説明を受けながらも一応は納得しつつ、なぜ自分が死んでいないのか説明を求めて

 

「まぁそれなら仕方無いか……で、なんで俺は死んでないんだ?」

「マスターの生命活動が停止する前に強制的に二次移行しました。その際に発生した余剰分のエネルギーと貯めていた経験値をマスターの損傷部位の再生に使用した結果、ダメージを受ける前の状態まで戻り命に別状はありません。

 ただ…再生する際、体にかなりの負荷がかかりマスターの髪と目の色が変わってしまいました………更にはナイトメアが暴走し、現在こうなっております 」

「ほぉ……そりゃあ随分と…神様も大盤振る舞いしたもんだ…………はぁ!?マジかよ…どうなったの?

 つか暴走って……うっわぁ…キングギドラじゃん……しかも福音ぶっ倒してる…………キモっ!何あれ!サイコロ振ってSAN値チェックしなきゃなんないヤツか?」

 

何故、死ななかったかの理由と一緒に髪と目の色が変わった事とナイトメアが暴走したと聞けば暴走時の映像を見せられる。

 前世の記憶から抽出されたのであろうキングギドラが福音からエネルギーを吸収し、捨てた映像を見ると白式の二次移行と紅椿の単一仕様能力開放がどうなるか頭を悩ませていると……その後の映像を見ると、全く見覚えの無い姿に気色悪さを覚え…

 

「神様からの映像メッセージがありますが見ますか?

髪は真っ白になって目の色が赤くなってしまいました。はい、鏡です。

 アジ・ダハーカが干渉して来たせいでマスターの精神が汚染されて、強制的に二次移行した結果ですね。本来は精神汚染も二次移行する際、同時に浄化予定だったんですが…予想以上に汚染率が高く浄化が間に合わずああなってしまいました。」

 

「マジ?見る見る〜!再生してくれ。

ありがと……お?マジで真っ白だし目も赤いな。つか、完全に配色が兎だな。

 髪色染めるか、この姿に似合う私服を新しく買わねぇと……まぁ、これはこれで良いか。

いや、ちょい待ち …アジ・ダハーカ?あ、だからキングギドラか。

 しかも精神汚染されてたのかよ。だから戦う直前はなんか頭にモヤがかかってた感じだったのか…なんか最近の不調の原因が分かった気がするぜ。

 しゃあねぇ、なっちまったもんは仕方無いな。あと、アジ・ダハーカからの干渉はもう無いんだな?」

 

「その姿のマスターもお似合いですよ。

はい。前に干渉してきた際に強制的に弾き出した時以降の干渉はありませんし浄化が終わればそれ以降、精神汚染の心配はありません。

 それと、干渉してきた際の影響で単一仕様能力と使用時の姿が変更されましたが、そのデータはこの空間から出た際にコアのメインシステムにデータファイルとして移しておきますので見ておいてください。

 精神汚染の浄化が済み次第、ナイトメアを起動させますが大丈夫ですよ。マスターの心配事も解消されるよう動きますので。

 では、再生しますのでそこの椅子に座ってご覧ください」

 

干渉した際の問題は粗方解決済みだが、本来の単一仕様能力と使用時の姿が変わったことも纏めて報告し精神汚染を浄化し終えたら自分が操作する有無も伝え、映像を見せるために椅子が用意されていた。

 

「ありがとう、ナイトメア。

 んじゃあ後で見させてもらうわ…今後、精神汚染が無いのはありがたいな……あ、無茶だけはするなよ?

 っし!待ってました〜」

 

ナイトメアからの報告を受ければお礼を言いつつ無茶はするなと釘をさす。用意された椅子に座れば正面に大型の空中ディスプレイが現れると映像が再生されて。

 

 

『えーテステス…はぁ、緊張しますね…カメラ大丈…えっ!?もう録画してる!?ちょ!撮り直し!撮り直し!

 

えー黒瀬龍也様。

今回も誠に申し訳ございませんでした!

 黒瀬様が今現在、死にかけてしまっている件ですが…あの馬鹿蛇が勝手に色々な世界に干渉したりして問題起こした事により、歪んでしまった因果律が黒瀬様へと集束してしまって今回の事象が発生してしまいました。

 

本来なら、私達が対処しなければいけなかったのですが…集束する因果律の中には世界が滅ぶのもありまして……そちらを対処する為に人員が割かれてしまった結果、今回の様な事が起こってしまい、本当に!本当に!申し訳ございません!あと、あの馬鹿蛇はキッチリ締め上げましたのでご心配なく。

 

それと……黒瀬様に今回のお詫びとして追加で転生特典を2つ、選んで良いと上司からもぎ取らせました。

 黒瀬様と一緒に居るコアに特典の一覧を渡してあるので決まり次第、コアにお伝えください。

 

これで良かったかしら?大丈夫?私噛んだりとか変じゃなかったわよね?…ってカメラを止めなさい!なんでまだ撮影してるのよ!』

 

相変わらず最初から最後まで真面目に終われない神様だな……なんて思いながらも映像に映っていた神様の後ろ側でドタバタしていたのを見てしまったので何も言わず合掌した。

 

「マスター、これが一覧となります。今すぐ決めますか?」

「いや。先ずはこの空間から出るのが先だろう。特典は出てから決めるさ……それと、二次移行したお前の本体を見せてくれ。」

「了解しました。では、お望み通りに……これが二次移行後のマスターのIS『ペイルライダー(死の騎士)』です。」

 

真っ白な空間を侵食するかのように黒い円が発生すればその中から生成されるかのように二次移行後の黒瀬龍也の専用機が姿を現す。

 

腕部と肩以外は映画トランスフォーマーに出てくる『ショックウェーブ』の姿そのままで中心のモノアイ部分は赤く光っている。

肩の部分は同じ映画トランスフォーマーから『グリムロック』の肩部分、角を生やしたティラノサウルスの顔になっている所をそのまま使用。

腕部は『ガンダム・バルバトスルプスレクス』の腕をそのまま使用した姿となっている。

第3腰椎付近から生えている尻尾はそのままだが先が4つに割れるようになり掴むことが可能となる。

カラーリングは前と同じで全て黒一色だが、更に黒の濃度が濃くなり光を吸収するレベルで光沢は一切無い。

 

「何これ……完全にさ、悪役が使うようなヤツだよね!?サウンドウェーブを素体に使って肩はグリムロックってさ……悪役のボスとかが使う系じゃん…」

「どうやら二次移行後の姿の方も影響を受けてしまっていた様です。マスターの戦闘スタイルや精神的な部分だけでなく前世の記憶からも引き出されてこうなったようですね。」

「マジかぁ……これさ、転生特典の『トランスフォーム』使って肩のヤツ、手とかサブアームとか足とか尻尾に移動させたり変形とかできそう?出来るなら戦闘の幅とか広がりそうなんだけど」

「……あ…出来ちゃいますね。と、言うよりかはそうやって使う前提の設定が既にされています。殺傷能力が他の武装よりマシマシですので使用する際は注意したほうがよろしいかと」

 

姿を現した二次移行後の機体を見れば予想の斜め上を行く機体に言葉を無くす。何故なら、思い切り悪役っぽい姿だったからである。

 どうやらアジ・ダハーカが干渉したせいらしいとのこと……だから、転生特典が『2つ』だったのかと納得してしまった。

 相棒から渡された機体のスペックを見れば白式と紅椿を除いた他のISと比べても圧倒的な性能に驚く。

 しかも邪魔でしかない肩のパーツは単独で『トランスフォーム』可能で使い方次第ではトリッキーな戦い方やゴリ押しも行けると考えた。

 

「うわぁ…引くほどヤベェな……つかエネルギー兵器に対しての防御力が突出し過ぎなのはアレか?俺が死にかけたからそうなった感じ、か…でも、まぁ、うーん……それはそれで仕方無いな。

 それ以上にヤバいのはグリムロックの一部だよなぁ……使い方によってはレギュレーションの範囲に収まんねぇし…緊急使用時以外はロックかかるように設定しとくか」

 

『ペイルライダー』のスペック内でオーバースペック気味の部分を調整し、出力とかに制限をかけつつ自分で扱いやすいようチューニングしていると…

 どうやら汚染された精神の浄化が終了したらしい。この後は一夏達との戦いだがどうなる事やら…

 

 

_____________

 

黒い球体の表面に現れ周囲を監視するようにギョロギョロと忙しなく蠢いていた無数の目がピタリ、と静止すると同時に瞼を閉じれば球体の中へと溶け込むように消えた。

 それこそまるで黒い球体の中身が目覚める前兆のように

心臓が脈打つような音が徐々に、徐々に大きくなっていく。

 

GRrrrrrrrr

 

球体の表面が小さく波打つと中から大きな龍の翼が出てくる。

 その中から蛹が羽化する様に出てくれば更に凶悪な顔と大きな体へと変わった三首の龍が出現した。

 

「…アレの中に龍也さんが…」

「セシリア、ラウラ、取り返そう……僕達の手で龍也を…」

「うむ…私達で嫁を取り返しに行こう。必ず、必ず取り戻すのだ」

 

また出てきた三首の龍を見て3人は自分達が心の底から愛していた男の人生が終わってしまった。そう確信してしまえばあの中から冷たくなっているであろう男を救い出す事を決意しフル装備で武装を展開する。

 

「アタシも手伝うわ。アイツがあんな姿になったのをこんな所で突っ立ったまま見てなんかいられないもの」

「わ、私も手伝う。私が手にした力に溺れずに一夏と戦っていればこんな事にはならなかったはずだったのたから…」

 

決意した3人を見て鈴と箒も一緒に戦う事を決意し同じようにフル装備で武装を展開した。

 それを察した龍は各々の口の中へエネルギーがチャージされエネルギー砲が撃てるようにする。

 

「私とセシリアが援護する。箒と鈴が露払いをしてシャルロットが『灰色の鱗殻』でダメージを与えてエネルギーを削りあの怪物を強制解除にまで持ち込む。全員、いいな!」

「「「「了解!」」」」

 

現在どれ程の実力があるのか分からない以上、長期決戦は不利だと考え短期決戦でケリをつけることにすれば作戦内容を伝え作戦開始しようとした矢先…

 

「皆、俺を忘れてもらったら困るぜ」

「一夏!?大丈夫なのか!」

「ちょ、なんで一夏がここに居るのよ!アンタは休んでなさいよ!」

「千冬姉から詳細は聞いてる。アレに、龍也が居るんだろ?それなら、俺の出番じゃないか!

俺が『零落白夜』でアレを斬って強制解除さえ出来れば龍也も取り戻せるだろうし」

 

負傷して意識不明だったはずの一夏の姿があった。どうやら龍也が負傷し海に落ちた後で目を覚ましてから意識を失っていた間の事を聞きに大座敷へと向かった。

 織斑先生から詳細を聞いているのかあの龍の中に龍也の体がある事も知っている上にどうしてそうなったのかも聞いていたようで表情には自責の念も混じっていた。

 

「だが貴様は…いや、確実性を取るならばその方が……織斑、貴様はやる覚悟はあるんだな?」

「ああ!必ずやり遂げる。龍也は俺達の仲間だからな!」

「わかった。ならば作戦を変更する。私達は全力で援護し織斑の『白式』による『零落白夜』で龍を倒すに変更だ!」

「「「「「了解!!」」」」」

「では作戦開始!」

 

作戦内容の変更と共に編隊を組み直せば一夏もISを展開する。その姿は『白式』ではなく二次移行した『雪羅』の姿となっていた。

 少女達もその変わった姿に驚いているが展開した本人も驚いていた。

 

「白式じゃ…ない?雪羅?なんで…」

「まさか二次移行したのか?だが…それは嬉しい誤算だ。織斑、思い切りやってしまえ!」

「応!わかった!」

 

そして決戦の火蓋は切られたセシリアとラウラによる遠距離攻撃による弾幕を張りつつ一夏、箒、鈴、シャルロットが龍に接近し、近距離と中距離に分かれて攻撃を行うらしい。

 怪物は遠距離攻撃に対して反応しなかったが接近する4人が一定の距離まで近づくと左右の口からチャージされたエネルギーが放たれると、そのエネルギーは雷の様に周囲へ放たれ彼等の行く手を阻む。

 

「うぉぉぉぉぉぉ!!」

Aaaaaaaaaaaaaaa

 

実弾の爆発によって発生した黒煙による煙幕の中から飛び出てきた一夏が『零落白夜』を発動させ、『雪片弐型』を龍に向かって振り落とす。

 だが、龍もそう安々と斬られるつもりが無いのか中心の頭が『雪片弐型』に噛み付き防ぐそして右側の頭部が一夏の頭を噛み砕こうと口を開き噛み付こうとするも。

 

「させないよ!」

 

右側の頭部が一夏の頭を噛み砕こうとする前にシャルロットの狙撃によって頭と首が撃ち抜かれる。

 

Gaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!

 

撃ち抜かれた頭と首に開いた穴からは血のような赤い液体が流れ出し、苦しむかの様な声が龍の口から発せられる。

 その声を聞いたシャルロットが一瞬怯むとその隙を逃さなかった龍の尾が伸び、彼女の体へと巻き付き捉える。

 そして、その尾から龍の頭が生えればISの装甲に噛み付き電流を流しながら一瞬でエネルギーを全て吸い取り、一夏を『雪片弐型』ごと箒の方向へ投げ飛ばした。

 

「うわあああああ!」

「シャルロット!」

 

ISが強制待機状態にさせれば巻き付いた尻尾の隙間からシャルロットが抜け落ち、そのまま海へと落下するが鈴が彼女を助けへと向かい安全な場所へ運ぶ為に一時的に戦線離脱する事となってしまった。

 そして龍の前には一夏と箒の二人が立ちはだかる二人とも武器を構え、警戒していた龍も自分から攻撃しようとはせず敵の出方を伺っているようだった。

 

「一夏、どうやらあの尻尾に巻かれるのは危険なようだな」

「ああ…尻尾の方もだけど三つある首の方も厄介だな……アレをどうにかしないと俺の『零落白夜』が届かない………

今、こんな時に言うべきじゃないが箒…誕生日、おめでとう。俺と一緒にまた戦ってくれるか?」

「!………ああ!言われなくてもそのつもりだ!やるぞ、一夏!」

 

一夏からの一言と渡された誕生日プレゼントとして貰ったリボンに心が躍動する。自分の先を行き強くなっていく一夏が自分を頼ってきたその一言に。

 大好きな彼と共に戦いたい、彼の背中を守りたいと強く、強く願った。

 そして、彼女の願いに応えるように、紅椿の展開装甲から赤い光に混じって黄金の粒子が溢れ出す。

 

「これは……!?」

 

ハイパーセンサーからの情報で、機体のエネルギーか急激に回復していくのがわかる。

ーー『絢爛舞踏(けんらんぶとう)』、発動。展開装甲とのエネルギーバイパス構築……完了。

 項目に書かれているのはワンオフ・アビリティーの文字だった。

 一夏から渡されたリボンで髪を縛り、再度気を引き締めて龍を見ると中に取り込まれているであろう男を一夏と共に助け出すため、紅椿の手が白式へと触れる。

 その瞬間、白式へと全回復する程のエネルギーが供給される。

 

「な、なんだ……?エネルギーがーー回復!?箒、これはーー」

「今は考えるな!行くぞ、一夏!」

「お、おう!」

 

龍は今の状況は自分が不利な状況に変わると判断したのか三つの頭はエネルギーをチャージし、その凶暴な口を開き雷鳴轟かせ喉の奥が黄金に光り始める。

 どうやら高エネルギーを高密度に凝縮させたビームを放つつもりらしくそれに対抗するため『雪片弐型』のエネルギー刃を最大出力まで高め、巨大な光の刃を、両腕で支えて振るった。

 その光の刃が振るわれると同時に三つの口から高密度に凝縮させたビームが放たれるが、ビームは光の刃に触れると消滅するもビームの余波は海を波打たせ空気が大きく揺れ動き、熱波は海水を瞬時に蒸発させた水蒸気が周囲の視界を悪くさせ果には水蒸気爆発まで起き、砂浜の砂がガラスになる始末。

 そして、数分近くも高密度の高エネルギーのビームを放ち続けた頭部の上顎全てが溶解し吹き飛び、その口から煙を上げながら沈黙する。

 一夏と箒は視界不良の中、ハイパーセンサーを頼りに龍へと一気に接近し『零落白夜』を発動させた一夏が龍へと斬りかかる。

 

「うぉぉぉぉぉぉ!!龍也ぁぁぁ!!!」

「邪魔はさせん!!」

 

頭部の上顎が無くなっているにも関わらず尻尾が一夏を捕らえようと、ひとりでに動くが邪魔を指せるつもりのない箒がそれを防ぎ切り伏せれば『零落白夜』の一撃が龍を切り裂いた。

 

「「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」」

 

切り裂かれた龍が動かなくなればドロリ、と融解し消滅するとその中から腹部に大きな穴を開け、片腕が吹き飛んだはずの龍也が五臓六腑と五体の欠損が無い状態かつ気を失った状態で墜ちていく。

 

「しまっーー!」

 

疲労困憊なのか墜ちていく龍也への反応が遅れてしまい海面に激突するかと思いきや…

 

「危ねぇな……来い『ペイルライダー』!!」

 

落下中の龍也が意識を取り戻せば全身を光が包み込むとその場には

腕部と肩以外は映画トランスフォーマーに出てくる『ショックウェーブ』の姿そのままで

肩の部分は同じ映画トランスフォーマーから『グリムロック』の肩部分、角を生やしたティラノサウルスの顔になっている所をそのまま使用し

腕部が『ガンダム・バルバトスルプスレクス』の腕をそのまま使用した姿となり。

第3腰椎付近から生えている尻尾は変わらない姿だが

カラーリングは前と同じで全て黒一色だが、更に黒の濃度が濃くなり光を吸収するレベルで光沢は一切無い未確認のISが出現した。

 

「よぉ……どうやら迷惑かけちまったようだな、皆」

「「「「「「龍也(さん)!?」」」」」」

 

先程までの戦いなど知らないかのように振る舞う龍也。

 死んだと思っていた全員が驚きの声を上げ、大座敷では歓喜の声が上がったり、あり得ないと言いたげに驚く顔をしている教員が居たり、龍也が死んだと思われた後でいつの間にかに大座敷へと連れて来られていた本音は畳の上で膝をつき大声を上げながら服が濡れるのなんて関係なく大号泣していた。

 

「龍也(さん)!!!」

「ぐえっ!あー…………ただいま?って言った方が良いか?」

 

シールドエネルギーが残り少ない中、3人がほぼ同時に『瞬時加速』を使って龍也へ勢いを殺さずに抱き着き、力いっぱいに抱き締めてきた。

痛い!痛い!痛い!骨が軋むっ!折れる!内臓が潰れる!死因がこんなのは嫌だ!

 

「あ…や、べ……死、ぬ…」

 

ミシミシと音を立てる『ペイルライダー』の装甲。蚊の鳴くような声でボソッと言えばガクリと気絶し

 

「ああっ!?龍也さん、死なないでくださいまし!」

「龍也!?死んじゃいやー!」

「嫁!?龍也!しっかりしろ!」

 

気絶した龍也を見て死んでしまったと勘違いした3人が慌てている中、通信が入り

 

『全員に告ぐ、早く戻って来い!特に!気絶している黒瀬には色々と聞きたいことがあるからそこの3人はそれ以上、その男を乱暴に扱うな』

「「「「「「は、はい!!」」」」」」

 

そして彼等は旅館へと気絶した龍也を連れて戻っていった。

 

「作戦完了ーーと言いたいところだが、お前たちは独自行動により重大な違反を犯した。帰ったらすぐ反省文の提出と懲罰用の特別トレーニングを用意してやるから、そのつもりでいろ」

「……はい」

 

龍也以外の戦士たちの帰還は、それはそれは冷たいものだった。

尚、龍也は戻った後に意識を取り戻し全員と歩いて大座敷に入った瞬間、本音と束のミサイルタックルが直撃し伸びていた。

 それか30分以上の説教の後に龍也以外は解放され、途中から目覚めた龍也は正座のまま織斑先生からの説教と尋問を、束が背中にしがみつかれた状態でされた。

 その後に髪や目の色が変わっていたり実際に消滅した筈の部位が再生しているので、全身くまなくメディカルチェックされたのだった。

あー……布団に入ってさっさと爆睡してぇ…疲れたー………つか、皆して髪と目の色に関してはツッコまないのね…

 

 





これにて福音事件編は終了となります!

セシリア、本音、シャルロット、ラウラだけでなくほんのり束も参戦となりましたがどうなるか楽しみですねー
若干のトラウマ刻まれちゃった天災がどんな事をしでかすか、それこそ神のみぞ知る!ですねっ

イチャラブ(上半分)とバトル(下半分)、見るならどっち?濃度選択もできるよ!

  • 濃い目のブラックコーヒー欲しいレベル
  • 普通のブラックコーヒー欲しいレベル
  • 微糖コーヒー欲しいレベル
  • 大量出血!ヒロイン達のヤンデレ度加速付き
  • 軽い出血!龍也がブチギレて暴れます
  • 微量出血!ヒロイン狙う馬鹿は地獄行き?
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