では今話も楽しみながらお読みください
目、鼻、耳、口から血を溢れさせながら倒れた龍也を見たセシリア達が駆寄ろうとした瞬間、分家の中でも武闘派の面々がセシリア達を羽交い締めにし、龍也から引き離すのであった。
「離してくださいまし!龍也さんを!龍也さんを早く助けなくては!」
「離してっ!離してよ!また、くろくろが死にかける所を見てるだけなんて嫌!」
「離してください!龍也は毒を飲まされたんです!早く胃の洗浄とかをしないと!」
「クソッ!離せ!旦那が目の前で死にかけているのだ!お前達は助けないつもりか!」
「離せ!早くたっくんを助けないと!手遅れになる前に私が!私が治すんだ!」
羽交い締めにされ引き離されるセシリア達が暴れ、拘束から逃れようとする中で他の分家や龍幻は冷静かつ取り乱していなかった。
「落ち着け、小娘共……舞香と凜華は玲奈と共に解毒薬を作製しろ。
龍也の耐性ならば少なくても1時間は保つ……他の者はさっきの女中を捕まえ、拷問し、洗いざらい吐かせた上で龍也を毒殺しようとし我ら
お主等も龍也の婚約者達を解放してやらんか。目を覚ました時に彼女達を羽交い締めになんぞしておったら、激昂した龍也に潰されるぞ?ほれ、探しに行け行け」
パンッ!と手を強く叩き、ドスの効いた声で喋り始める龍幻の声にビクッとしたセシリア達が大人しくなったのを見れば淡々と命令する。
命令を受けた途端に空気が一瞬で重く、冷たくなれば毒を盛ったであろう女中を捕まえに向かうのか、入婿や入嫁以外がスッと立ち上がり、武闘派含めた立ち上がった全員が大広間から出て行くのであった。
「この毒なら………舞香は私の部屋から黒色と赤色のアタッシュケースを持ってきて。凜華は…厨房に行って、板長から度数が1番高いお酒と、ひいお爺様の秘蔵の酒蔵から黒色のラベルに金色の文字で王無って書かれたお酒を持ってきて?」
薄水色の長い髪を後ろで縛り、1つに纏めた和装の女性が残った分家の中から出てくれば血を流している龍也に近付き、口から溢れ出る血を一掬いし舐め取れば2人に指定した物を持って来るように伝えた。
「はーい。たっく、兄貴も飲む前に気付きなよねぇ……解毒したら後でお小遣いせびろっと」
「ちょっと舞香、アンタってば実の兄が死にかけてるのにそれは無いんじゃない?次期当主になるのを反対したアタシが言う事じゃないけど…」
「いいのいいの、この程度の毒で簡単に死ぬ兄貴じゃないしね。ほら、さっさと行くよ凜華っ」
「ちょっ!待ちなさいよ舞香っ!」
妹の方は不用心だと言わんばかりに呆れながらも後でお小遣いを貰う気らしく、それに凜華が引いていればこの程度で死ぬ訳無いと信頼しているらしく、小走りで大広間から出て行くとそれに続いて凜華も出て行った。
「あ、龍也の婚約者さん達?今はこっちに来ては駄目よ。
血にも毒が混ざってるのと、これは普通の毒じゃないから貴女達が触ったら長い時間、苦しみながら息絶えるわよ。
……もちろん篠ノ之束さん、貴女の超人的な体であっても無事では済まないわ……これ、全て天然物で全ての効力が最大限発揮されるようにブレンドされたモノですから」
「私みたいな超人で天才なまだしも、低能で凡人程度が作ったのなんて私が効くわけ無いでしょ?」
「作った人間が貴女並か、それ以上に毒物限定で天才でしかも、依頼を受けるかは本人次第で金額もその時の気分次第で必ずバラの番号で現金って言う位、極度の変人なら?下手に手を出せば組織丸ごと、彼女と彼の毒の実験台にされる最凶最悪の姉弟は噂くらいで知っているんじゃない?」
「待って、待って……それって噂とか都市伝説レベルの姉弟だよね?本当に存在していたの?そもそもなんで束さんでも知らなかった事を知ってるの!?」
「私、これでも毒と解毒に関してはあの姉弟と同じくらいのエキスパートなのよ。
類は友を呼ぶって言うじゃない?あの子達って……デジタル音痴だから基本的にアナログ以外でのやり取りとかしないせいか、デジタルの痕跡とか一切無いのよね……特に、貴女達みたいにデジタル中心のやり取りをする組織だと、どんな手を使っても絶対に見つけられないわ」
「えー……まさかこの時代に完全アナログ主義…この束さんでさえも見つけられないくらいとか…
それより!お姉さんがその姉弟と同じくらいのエキスパートなんて、たっくんの一族って何者なの!?」
「古くから続く一族ってだけよ。まぁ、何処ぞの対暗部用暗部よりも長〜く、続く一族って感じかしらね?
これ以上は籍を入れるまでは教えられないわぁ……」
「それは是非ともたっくんと早く結婚して、色々と教えて欲し「玲奈姉さん!このアタッシュケースでいい?」あ、妹さんが来たみたいだね」
常人や表の世界で生きている人では到底触れないであろう裏の世界、しかもかなり深く暗い裏の世界の片鱗に初めて触れてしまった束以外の彼女達の表情はどこか暗いが、瞳の奥は何処か覚悟を決めていた。
「ええ、それで大丈夫よ。ケースを開いたら黒色からA-6、A-16、B-4、B-8、B-18って書かれた瓶と、赤色からX-4、X-7、X-9、Y-1、Y-5、Y-10って書かれた瓶と、赤色のアタッシュケースに入ってるビーカーも出して?
調合は私がするから凜華が持ってきた度数が1番高いお酒を50ml、王無を25mlを黒色のアタッシュケースに入ったフラスコで混ぜ合わせたら頂戴」
「はいはーい!この瓶の中身って全部自然界に存在する毒なんだよね?どうやって毒性を維持したまま保存してるの?」
「それは企業秘密。貴女は毒の知識よりも勉強を頑張りなさい」
2つのアタッシュケースを開き、言われた瓶を全て取り出しビーカーも渡せば玲奈は慣れた手付きで瓶に入った液体を目分量で入れ、混ぜ合わせまるで料理を作るかのように小指の先に液体を付け味見をし微調整をしていく。
「お姉様!持ってきました!」
「凜華ちゃんおっそーい!私の方が早くついちゃったよ?」
「うっさいわね!板長が1番奥から王無を引っ張り出してくるのに時間がかかったのよ!」
「はいはい、そこで仲良く喧嘩しない……時間がかかると龍也のリミッターが外れやすくなる後遺症が残っちゃうわよ?」
「うげっ…兄貴のリミッター外れやすくなるとか勘弁だわ……早く混ぜよっと」
合流して早速言い合いを始める二人にあからさまに嫌そうな顔をする舞香は先程言われた通りの量をフラスコ内に注ぎ、混ぜるとそれを玲奈へと渡す。
「ありがとう。じゃあこの2つを合わせて……龍也、そろそろ動けるでしょう?飲みなさい」
「あ゛……あ゛ぁ゛…クソッたれが………完全に油断した。
麦茶の匂いと味しかしなかったぞ…あの姉弟、今度あったら一発ぶん殴る」
フラスコ内に混ぜ合わさった酒の中に、ビーカーに混ぜた液体を注ぎ込み軽く振って混ぜれば倒れている龍也の方を見る。
ムクリとゆっくり起き上がる龍也の顔は血で真っ赤に染まっているが比較的、元気そうだが完全に虫の居所が悪い状態でギリィと歯軋りをしていたがフラスコを受け取り、半分近くを一気に飲めばフラスコを玲奈へと返却する。
「大丈夫。可愛い可愛い私の甥っ子に毒を盛ったお礼に、私特製の猛毒をプレゼントしておくわ…解毒したら1週間近く蚊に刺された時の痒みが全身を襲う猛毒をね?」
「うわ……相変わらずやる事に容赦無いな、玲奈姉さんは…俺がぶん殴る以上に苦しむじゃん……」
姉弟への仕返し方法を言いつつ残った液をタオルに染み込ませ、それで龍也の顔を拭く玲奈に相変わらずのエグいやり方に苦笑いを浮かべながらも顔を拭かれていた。
「あら?これでも手加減しているわよ。ひいお爺様、龍也の次期当主就任と婚約者のお披露目はこれで終わりで良いですよね?」
「そうじゃがの……解毒した後の治療は何処でするかだが…」
「残りの治療は自然治癒任せですし……また暗殺者が来るかもしれませんし、2日くらいは篠ノ之束さんの所で療養してもらった方が安全でしょう」
「えっ!?私の?たっくんが来るのは……歓迎だけど……いいの?私とたっくんが2人きりになるけど…」
突然の療養先の候補に上がった事に驚く束はチラッチラッとセシリア達を見て遠慮がちにしていると…
「本当なら、嫌と言いたい所ですが…今回は篠ノ之博士にお任せいたしますわ」
「むー……私も嫌だけどまたくろくろが血塗れになる所は見たくないからお任せします」
「僕も束博士にお任せします……くれぐれも、龍也をお願いします」
「……よろしく頼む…今の私達では龍也を守りきれん…」
4人とも少し不満そうだがセキュリティ面を考えると基本的に、神出鬼没で居場所も特定さない束の所が1番安全だと分かっているからか、束に龍也を任せる事にしたのであった。
「じゃ、じゃあ……たっくん、私の所に来てくれる?」
「ああ…しゃあねえな。予備の泊まりの道具とか衣服は拡張領域の空きに入ってるから問題無いが……休みの連絡とかどうすんだよ」
「それは私の方からしておくわ。1日目は基本的に絶対安静よ?ISを動かすのも禁止だし性行為なんて以ての外だからね?」
「なっ!?いくら2人きりだからって毒でボロボロなんだから絶対しねぇ!」
また玲奈からの突拍子の無い発言に顔を赤くしながら否定する龍也に、脈有りだと察した束は何かをするつもりらしく何時もつけているウサミミをつけていれば確実にピョコピョコと動いていただろう。
「じゃあ、篠ノ之束さんの所に行く前に上半身は血塗れだし服と下着を脱いで、これをズボンとか履いたまま頭から浴びてからお風呂で洗い流しなさい」
「やっぱ盛られた奴の血液を触った奴も毒を受けちまうタイプか……無害化したら後で燃やすんだろ?」
「そうねぇ…私なら問題無いけど私以外だと触らせられないわね」
「なら仕方ねぇ……ちゃんと無害化して燃やしてくれ」
「はいはい。じゃあさっさと洗い流してきなさい」
上半身の衣服のみを全て脱ぎ、血塗れの畳の上に置けば余った解毒薬で軽く手を洗ってから残りを受け取り浴室へと龍也は出て行った。
「さてと、先ずは新しく作って……これを服と畳にぶっかけてっと………はい、これで無害化完了。舞香、アタッシュケースは元あった場所に戻しておいてね。
セシリアちゃん、本音ちゃん、シャルロットちゃん、ラウラちゃんは私が学園まで送り届けるわね。篠ノ之束さんは龍也が戻って来たら一緒に貴女のラボに帰りなさい」
血液に含まれた毒の無害化が終われば使った道具や瓶をアタッシュケース内に片付け、舞香にアタッシュケースを戻しておくよう頼みつつ4人を送り届けると言い、ニコニコしながら4人を押して大広間から出ていったのだった。
それから少しして洗浄を終えた龍也が甚平を着て大広間に戻ってくる。
「あれ、セシリア達と玲奈姉さんは?」
「玲奈が送り届けるとの事だ……ほれ、さっさと療養してこい…一日もあれば犯人は分かるだろうから後日、詳細のメールを送る」
「ふーん……じゃ、行こうか束?お前の家に連れて行ってくれるんだろ?」
「はーい。じゃあたっくんを束さんのラボへとご招待〜をしたいから、たっくんのISで連れてって?」
「……わかったよ」
セシリア達と玲奈が何処に行ったのか聞けば、学園へと送り届けに行ったと聞けば反応はアッサリとしており、束の腰に手を回し抱き寄せると顔を赤くしながらISで連れてって欲しいと言われたので、大広間から外に出てISを起動させれば『Kシステム』を使用し、全身を『F-22Aラプター』に変え、束もシールドで保護してからお姫様抱っこすれば上空へと飛び立つのだった。
これにて黒瀬龍也の毒殺未遂は終わりとなります。
次回、篠ノ之束のラボにて何が起こるやら……まあ、男女2人きりで婚約者なら何も起こらない訳もなく…
それではまた次回、お楽しみに〜
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