朝の食堂での件から一夏と龍也の噂は尾ヒレが付くだけでなく紆余曲折し、色々な噂が流れていた。
どうやら教師陣もその噂を耳にしたらしく、両名は授業直前に担任である織斑千冬により、出席簿を使っての鉄拳制裁を喰らうのであった。
それから、午前中は比較的平和に授業を受けていたのだったが、事件は昼食の時間に起きた。何時もの面子で集合し、屋上にて弁当を持参しての昼食をする事となったのだが……
「たっく、今日は鬼教師のせいで散々な目にあったぜ…」
「それは龍也が去り際にあんな事を言うからだろ」
「まさかねぇ…一夏に彼女が出来ただけじゃなくて、やる事ヤッたなんてデマが流れてるのは予想出来ないわ」
屋上にて、全員が余裕で座れるサイズのシートの上で円を作るように座っていた。
龍也とセシリア達は何時もの位置で座っていた。だが、箒と鈴に関しては何時もより若干なのだが一夏から離れて座っていたのだ。
「おんやぁ?箒さんに鈴さんや、何時もより一夏との距離が離れている様な気がしますねぇ?」
「そっ!それは貴様のせいだろ!」
「そうよ!アンタが変な事を言うからじゃない!」
それを見た龍也は少し意地の悪そうな笑みを浮かべてからかった瞬間、どうやら噂の方の内容を聞いてしまったらしい2人は顔を真っ赤にして龍也のせいだと言う。
「俺が?何言ったっけー?……ああ!強くなりたいなら俺より他の専用機持ちと特訓しろとは言ったかな?」
「「そっちじゃない!!」」
「まあまあ、落ち着けって2人とも。龍也だって悪気があっ「「一夏は黙って(ろ!)(なさい!)」」は、はい…」
最後に一夏へ言った事が原因なのはわかっているが敢えてすっとぼければ、2人から勢い良く違うと訂正を食らう。
このままだと更にヒートアップしそうな2人を止めるべく、一夏が間に割って入り止めようとするも一夏には関係ないと言わんばかりの勢いで言えば、気圧されてしまったらしい一夏はそれから黙ってしまった。
「ああ…『夏休み中に2人との関係を進めるのをオススメするぞ』って言ったことか。
だがな、これから先の話しは女子は踏み込む事は許されない男同士の話しだし、セシリア達からも言えって言われたとしても言わないぞ?」
「ぐっ…な、なら!一夏が何を語っ「だから、言わねぇよ?知りたいなら一夏から言ってくるのを待てよ」っ…だ、だが……」
「俺とシャルの関係が進んだとでも聞い…いや、セシリア達と一緒に本人から直に聞いた感じだな?」
「なっ!?何故それを知っている!あの場では私達以外には聞こえないよう話していた筈だぞ!」
これ以上すっとぼけると拗れてしまいそうなので今、思い出したかの様なリアクションで言いつつも詳しくは教えるつもりは無い。
そう言えば鈴はこれ以上の追求は無駄だと判断して引くも、箒の場合は引くと言う考えが無いのだろう。どうにかして龍也から聞き出そうとしていた。
「朝食の時に、一夏が1人寂しそうにしてたから箒と鈴もセシリア達と一緒に居たのかなーってね?」
「ちょっ、龍也!何言ってんだよ!」
「何って…実際、そうじゃなかったっけ?だから俺に相ひゃんほ……ほんへはん?らふらはん?」
「むぅー…くろくろは私達を放っておりむーと、しののんとばっかりお話して……昨日の事はデュッチーから"色々"、聞いたんだからね」
「そうだぞ龍也。貴様と言う奴は何故、シャルロットにばかりあんなにもは、激しく求めるのだ…私や本音では不服なのか?」
胡座をかいた状態で右側に本音、左側にラウラを膝の上に乗せたまま一夏と箒とばかり話しをしていると、それを中断させるかの様に龍也の両頬が引っ張られる。
本音が右頬を、ラウラが左頬をギュゥゥっと引っ張りながら嫉妬混じりの眼差しで見つめ、頬を膨らませていた。
「ひろひろと、きひはと……ほれひょひも、はなひてふれまへん?ひゃべりにふい」
「じゃあ、セッシーが作ってきたお昼ご飯、残さず食べてね?」
「そうだな。今日はセシリアが龍也の体の事を思いながら、"1人で愛情を込めて"作ったらしいぞ?」
嫉妬して頬を膨らませる2人の姿がなんともまぁ、可愛い事だ。出来る事ならこのまま2人を拘束して部屋に閉じ込……っと駄目だ。駄目だぞ…2人の事になってしまうとどうも理性のタガが外れやすくなる。
今日はセシリアが1人で昼食を作ってく…れ…………セシリアが1人でだって!?1人で作っても大丈夫だって許可出してないのに1人で作っただと!?これは……運が良ければ食べても問題無いモノだし、賭けに出るか…
「わはった。わはったから、はなひてふれ」
「じゃあ、セッシーの"愛情たっぷり"なお昼ご飯、食べてあげてね?」
「ちゃんと、1つも残さず全て食べきるのだぞ?」
「なあ、2人とも…怒ってる?」
「怒ってないよ?うん、怒ってはいないよ?」
「私も、怒ってはいないぞ?そう…怒っては、な?」
「えっ?なんか物凄く可愛いんだけど…………ってセシリアさん?無言で口に押し込まな゛っ!?」
2人の頭を撫でて愛でながらも、怒ってはいないと言う2人の嫉妬した様子に思わず可愛いと言ってしまえば、顔を赤くし視線を逸らしてしまった2人を抱き寄せ更に密着していた。
だが、それが駄目だったらしい。ニコニコとそれらしい笑顔を作ってはいるも若干、引き攣った笑顔のセシリアが無言でサンドイッチを口に押し込んできた。
このまま咀嚼しなければ窒息しそうだったので押し込まれたサンドイッチを噛むと、口の中に電流が走った。
(これはヤバいっ!色々な意味でヤバいっ!噛む度に五味が口内を蹂躙しやがる、だとっ!?なんか、噛む度にジャリジャリするしネッチョネッチョするし、しかも若干血生臭い……)
「ん゛っ!…セシリア、ちょっとストッ!!」
「龍也さん、残さず食べてくださいましね?わたくしが心を込めて作った、お弁当なんですからっ!」
このままだと胃が拒否反応を起こしてしまうかのような味と、食感のサンドイッチを食べさせてくるセシリアは無言で龍也の口にサンドイッチを押し込み続けた。
それこそ、まるでわんこ蕎麦を食べているかの様な勢いだった。サンドイッチを飲み込む度にセシリアが笑顔のまま、無言で次のサンドイッチを口へと押し込んできたが最後の1つになれば、もう入らないとストップをかけようとしたのだがセシリアに有無を言わさずの勢いで最後の1つを押し込まれてしまった。
「んぐっ!?……ん゛っ…セシリア、サンドイッチの食材に何を入れた……」
「龍也さんが元気になれるよう、色々と入れましたわ。龍也さんの為に牡蠣、あさり、うなぎ、アボカド、山芋、クジラ、イチジク、くるみ、赤唐辛子、キャビア、カカオ90%のチョコレート、スッポンの生き血とその他にも色々と混ぜ合わせましたの。お口に合いまして?」
「セシリアのお馬鹿…そんなに混ぜたら色々…と…マズい…だ…ろ……」
まあ、出るわ出るわ。食材の名前が……ほとんどが精力を高める食材ばっかりだ。
………あ、こりゃあ駄目だな。鼻血も出て来たし意識が朦朧と…
「た、龍也さんっ!?しっかりしてくださいまし!龍也さんっ!!」
最初は青くなっていた龍也の顔だが徐々に赤くなると、真っ赤な血が鼻からドロッと流れ出したと同時に白目を剥き、バタンッと後ろへ倒れてしまうのだった。
どうやら食材の組み合わせが偶然にも効き過ぎる組み合わせだったらしく、肉体の方が精力増強効果に耐え切れなかったのか落ちてしまっていた。
急に鼻血を出し、白目を剥いて後ろへと倒れた龍也を心配してセシリアが近付き起こそうとするも反応は無く、そのまま保健室へと連れて行かれたとか……
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「んっ……ここは…保健室、か……確か…セシリアのサンドイッチを食べて…気絶した……」
「ようやく起きたか馬鹿者め」
「げっ…起きて早々にアンタの顔を拝む事になるとは……最悪だ」
「どうやら、毒を吐ける程度は元気なようだな。お前は何をやっているんだ…」
目を覚ます頃には陽が傾き始め、夕焼けが顔を照らしていた。気怠そうにしながら目を覚ました龍也が上半身を起こし、記憶の整理をしていると何故か、椅子に座って溜め息を吐いている織斑先生が居た。
相変わらずこの教師に対する態度を改善しようとしない龍也は嫌そうな顔をしながら悪態をつく。そんな龍也に対してギロリと、威圧感を込めて睨み付ける担任も担任なのだが……
「何をやったのか、俺には検討も付かないんですが?つか、なんで教師のアンタが此処に居ンだよ」
「貴様が昼食中に血を流して倒れたと聞いたからだ。何故、そうなったのか説明しろ」
「あー……それがですね?セシリアが作った特製サンドイッチを食べまして…どうやら、精力を付ける食材をふんだんに使った物らしくて……知らずに全部食べきったら許容量を超えたと言いますか………アハハハハ…」
「だとしても、目の前で倒れるな……貴様が倒れたのを見た貴様の嫁達が全員、午後の授業中は上の空だったんだぞ」
「うわぁ…理不尽。理不尽の塊が服着て教師やってやがるよ」
自分が何をやったのかなんて検討もつかない。何故ならと聞かれると、俺からは何もやっていないしサンドイッチを口に押し込まれて食った以外はしていないのだから。
だが、どうやらその件だったらしい。説明を求められたので、ありのままを伝えればなんとも教師から返ってきた言葉は理不尽だった。
「どうやら、手酷くやられるくらいの元気はあるようだな?」
「暴力反対!体罰反対!どうしてアンタはそうやって、すぐに力で解決しようとすんだよ脳筋教じっ!?」
俺が呆れたような表情をすればスッと、出席簿を出して叩く気満々の様子を見せてくる教師相手に抗議をするも、そんな事など構わないと言わんばかりに出席簿の背表紙が脳天へと向けて、真っ直ぐ振り下ろされた。
「誰が脳筋だ!馬鹿者が!貴様と言う奴は大人しく学生生活を過ごせんのかっ!」
「ってぇなぁ……俺は大人しくしてるっつうの。トラブルが勝手に舞い込んで来るから対処してるだけだ…
それよりも、アンタが此処に居る理由は別件だろうが」
「なら、トラブルが舞い込んで来たらすぐに報告をするくらいしろ。そんなに私達は頼りないか?
まあな…貴様、束と婚約者になり、寝ただけでは無くこの学園近くに居を構えさせようとしているな?」
「報告する前に被害に遭うんだから仕方ねぇだろうが。頼り無いとか思ってなんかねぇよ……だがな、法や規則を守らなきゃならないアンタ達教師には、裏のやり方を平気でやって来る敵相手には荷が重いんだよ、織斑千冬
束がアンタに連絡をしたか……俺は『相談と言う名の決定事項で話を進めず、ちゃんと話し合いをして許可を取らないと最低半年は会わない』って言ってあるからな」
「っ…そうだとしても、教師である以上は生徒達の見本となる様、ルールを厳守していかなければいけない事なんだ……貴様もこの学園の生徒である以上、ルールは守れ。
確かに、束にしては珍しくちゃんとした話し合いを持ち掛けてきたが……アレは貴様から一言あったからか。束も惚れた男に会えなくなるのは嫌と言う事だな」
「なら、アンタの顔に免じて生徒としての俺は、ルールを守ろう……だがな、外法相手には外法で対処させてもらうぞ…ルールを守った結果、セシリア達が傷付くのは許せないからな。
だったらちゃんと話し合いをして、双方が納得する結果になるまで話し合え。どうせなら学園祭かキャノンボールファストが終わるまで話し合いをしておいて欲しいものだ。ハハッ、あの天災がか?俺が会わないと言っても自分が我慢できなくなったら会いに来るだろうよ」
脳天に出席簿が直撃してしまえば右手で押さえ擦りながら、本当の目的があるのを察しているのか普段の龍也と違った雰囲気と鋭い目付きに変われば問いかける。
その問いかけに隠す事も無く素直に答える千冬だったが、会話の節々に漏れ出している狂気に気付いたらしのか無意識に冷や汗を流していた。
「そこは、どうやっても譲る事は出来ないのだな……だったら、外法相手の時のみは貴様の戦い方で戦え。仮に、貴様を止めるにしても骨が折れそうだからな。
それは善処しよう。私達が折れるか、束が折れるかだからな」
「譲る譲らないの話じゃないんだよ。外法を相手するってのは生きるか死ぬかの2択以外の選択肢は無い。
なら、なるべく折れずに頑張って欲しいものだね。ああ、そろそろ俺も部屋に戻らせて貰うわ」
「……貴様は何を…いや、これ以上深く聞くのは止めておこう。だがな黒瀬…ここから先、貴様の行動が危ないと感じたらどんな手を使ってでも、私が止めに入るから覚悟しろよ?」
「それは勘弁して欲しいわ……アンタのどんな手を使うって宣言程、怖いものは無いよ…んじゃあ、また明日〜」
冷や汗を流している千冬の事など気にもしていないのか段々と陽が落ち、暗くなり始めていることに気付いたのかそろそろ戻ると言えばベッドから出ると伸びをする。
流れる様な動作で窓を開け、縁に腰掛けながら最後に軽く話しをしてから重心を後ろに傾けると同時に、腕の力のみで全身を外へ放り出す様に保健室から飛び降りた。
「なっ!?またか貴様っ!それは何度もやめろと言っているだろ!!」
流れる様な動作と外へ飛び降りると言う雰囲気を感じさせる事も無く、飛び降りた龍也の姿を確認するべく窓から上半身を出せば『アイギス』を足場代わりに利用し、飛び移りながら移動する後ろ姿に向けて怒鳴るのだった。
この後は、誰とイチャラブさせましょうか……ちょっとタガを外させますかね?
あと、前回書き忘れましたがUA50000を到達しました!閲覧してくださっている皆様に感謝感謝です!
龍也の嫁、増えたら嬉しいか
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YES
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NO