IS 荒ぶる黒龍は咆え、喰らう   作:黒色晩餐

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さて、今回の龍也くんは何時もより狂人濃度が高めだったり、狼さんだったりします

尚、ちょっとだけとある二人組の関係が原作と違ったりキャラ崩壊起こしてるかもしれませんが、そこはご愛嬌という事でお願いします。

では、今回は長めなのと、グロ表現だったり流血表現だったり、ちょっとHだったりしますがお楽しみ頂ければと思います


39話〜焼滅、絶望、狂気、龍の魂は血と罪過に黒く濁り、染まる〜

現在進行形で侵入者は隠密行動を優先しているらしく、徒歩で移動しているとの報告を受けながら侵入者の進行方向に先回りし、その場で龍也は待機しつつ出力系統のリミッターを解除していた。

 

「原作ではこんな戦闘イベントは無かった筈なんだが…俺がセシリアと婚約した事か、俺とセシリアの専用機持ちが2人で学園の外で揃っているのが原因か………

そうなると、今後も原作には無いイベントが発生したり原作で本来なら発生する筈のイベントが発生しない可能性が大いにあるのか…」

 

待機中、転生前の記憶を思い出しながらもこの先で起きるであろうイベントが自分の存在によって時期がズレたり、必須イベントが起きない可能性を危惧していた。

 それでも、自身の選択を全て後悔する様な事を口にすればそれは自分に対し、好意を持っている彼女達の想いを踏みにじるに等しい事だと理解しているからこそ、どうやって道筋を修整するかの思考はするも口には一切出さないよう切り替える。

 月明かりが射し込む林の中で狩りをする獣の如く己の気配を完全に消し、侵入者と言う名の獲物が来るのを待っていた。

 

「チッ…なんでわざわざ、こんな場所を徒歩で行かなきゃなんないんだよっ!

ISで一気に攻め込んで2番目から強奪しちまえば良い話じゃねぇか!」

 

「今回の依頼主はこの国の代表候補生には一切、傷を付けるなとの要望もあって隠密行動を重視しろとオータムから命令された筈だ。

それに、どうやら既に私達は捕捉されているようだ……」

 

ほとんど非武装の2人と、全身を武装した6人が草木が生い茂る林の中を歩く中、非武装の1人が突如としてキレ始めれば近くの木に八つ当たりをするがそれを諫めるのは非武装のもう片割れの少女だった。

 しかも少女の方は龍也が隠れているのに気付いていたらしく懐に忍ばせていた小型拳銃を取り出し、隠れている龍也の方へとその銃口を向けた。

 

「そこの嬢ちゃんは勘が鋭いようだが、そっちの姉ちゃんの勘は鈍いようだなぁ?

会話を聴く限り、俺を狙って来たようだが……これから俺はセシリアを抱き潰すまで2人で愛し合う予定なんだ。邪魔するならその頭、背骨と一緒に身体から引き抜いてお前ん所のスコールって女を捕まえて、生きたままその四肢を引き千切ったら、お前達の頭付きの背骨を口に突っ込んで口と喉と食道をズタズタに引き裂いて血の泡、吹かせながらお前達の後を追わせてやる」

 

全身が黒色の『ナインボール=セラフ』の姿のまま隠れていた場所から姿を見せれば何時もの飄々とした雰囲気とは真逆の雰囲気かつ、その地の底から這い出てくるような低い声から発せられる言葉の全てが冗談では無く、言葉にした事を冗談や脅し抜きで全てを実行するのだと、彼女達が頭でも本能でも理解するのは容易かった。

 龍也の姿を見て、声を聞いた全員が無意識に後ろへと一歩後退し、全身を武装した者達は特殊部隊が使うようなゴツいアサルトライフルの銃口を龍也へ向け、引き金に指をかけ何時でも発砲出来る状態になっていた。

 

「ふざけんなよ!このクソガキが!!このオータム様やスコールを殺すだとかふざけた事をほざくんなら、てめぇの家族や婚約者の死体をて「その汚い口を閉じろ。今の俺はセシリアとのイチャラブ時間を邪魔されてただでさえ、虫の居所が悪いんだ。遠距離からIS諸共、パイロットも一緒に蒸発する高出力のレーザーで気付く暇なく消されなかっただけ感謝しろ三下」っ……いいぜ?そんな事になる前に、てめぇをぶっ殺すだけだからなぁ!?」

 

自分達の頭と一緒に背骨を引き抜いて殺しただけで無く、最愛の相手の四肢を引き千切り生かした状態で自分達の頭付きの背骨を飲み込ませると、そんなイカレた宣言にキレたオータムが反抗的な態度で言い返そうとした瞬間、龍也の雰囲気が変わった。

 龍也以外のこの場に居る全員が頭ごと背骨を生きたまま引き抜かれ絶命する。そんなイメージがリアルに感じられる程に、強い死の気配に充てられると全身を武装した者達の半分が恐怖で腰を抜かし、残りは全身を恐怖で震わせていた。

 そんな状態でもオータムともう1人の少女は恐怖を抑え込み、敵対する龍也を睨み付けながら立ち続ける中でオータムが先手必勝と言わんばかりにISを展開し龍也へと襲いかかるのだった。

 

「邪魔するなら……分かってんだろうな?お前だけは特別に身体をミンチにした後、それで作った火傷確実な激熱料理を四肢を千切られて椅子に拘束されたスコールの口に流し込んでやる。

もちろん、料理に使った素材を目の前に置くからお前は生かしておくし、口と喉と胃を焼かれながら料理を飲み込まされるスコールを見てやれよ?」

 

「このっ!イカレたクソサイコパスのカニバリズム野郎が!こうなったらてめぇのISを奪った後、てめぇはぶっ殺す!」

 

『アラクネ』の装甲脚で龍也を串刺しにしようとするが8つの脚の内、副腕以外の全てにエラーが発生した事で苦し紛れに巨大な副腕の手刀で攻撃するも案の定だが龍也に掴まれてしまう。

 それに加えて更に煽られると頭に血が上り、掴まれていない方の副腕で殴ろうとするがまるで、何かに腕を固定されたかの様に動かせなくなっていた。

 

「やってみろよクソアマ。それよりも後ろの護衛達、か?既に1人も居ないようだが逃げちまったのかねぇ?」

 

「何を言っ…M!後ろの奴等はどうなってやがんだ!」

 

龍也からの言葉にセンサーで後方を確認しようとするがセンサー類もエラーになり、目の前に敵が居るにも関わらず後ろを振り向こうとするが何故か全身が動かせず、もう1人の仲間であるMに確認するよう言うが……

 

「っ!?……全員…全員が奴の言った通りの姿になっている…」

 

オータムから言われて後ろを振り向くと、そこには無残にも頭ごと背骨を引き抜かれ、頭は木に吊るされ身体は細切れにされている6人分の遺体があった。

 その6人は自分のすぐ後ろに居たはずなのに、それなのに自分にも気付かれずにあの短い時間で精鋭でもある6人をあんな姿に出来る存在がこの場で気配を消し、自分達を狙っている事は理解出来た。

 そう言う理外の存在がこの場に居ると言う事を理解は出来た筈なのに、あまりにも人智を超えた事象に普段は冷酷な彼女でも恐怖する表情を隠せずにいた。

 

「そもそもだが、なんで隠密行動していたお前達の居場所が俺にバレて、待ち伏せされて、俺がお前達と会話していたと思う?

ここまでヒントを与えてやってんのに気付かないなら三流以下の素人レベルだぜ?それに……何故、お前のISは動かない?何故、全身を武装した奴等が殺られた事に一切気付かなかったか疑問に思わなかったのか?」

 

「何を訳の分からない事を言ってやがるんだクソガキが!この程度の拘束で…このオータム様を止められると思ってんのかよ!!」

 

この場を支配しているのが誰なのか分かっている少女と、未だに自分がこの場を支配し返せると思っている女性とそんな女性に対し、わざわざヒントを与えつつ火に油を注ぐ様に煽り続ける男が居た。

 

「あーあ、うるせえうるせえ……クソ素人でケツの青い餓鬼が去勢張ってギャーギャー、ギャーギャー喚くからヤル気も失せたわ………織斑マドカ、一言一句違わずにスコールに伝えろ。

『無骸』の人間とその縁者に手を出すなら組織丸ごと、この世から灰の1つも残さず消されるのを覚悟しろってのと、織斑一夏を狙っても俺や、俺の女に被害が及ばない限りは俺から極力、手は出さないと言っておけ」

 

「………わかった。見逃すのは私だけか?それとも今、この場で生きている全員を見逃すのか?」

 

どうやら龍也自身が既に面倒臭くなったらしく敵意は無くなっているが殺意はその分だけ濃くなると、喉元に死神の鎌が押し当てられ今にも首を切り裂かれそうな気配に、喚いていたオータムでも流石に黙ってしまっていた。

 そんな中で伝言役として指名されたMこと、織斑マドカは自分の名を知られている事に驚くがこの後の選択肢を間違えれば即、自分達は後ろの6人達と同じ目に遭う可能性も出てきた事で冷や汗を流しながら龍也との会話を始める。

 

「このクソ素人はそうだな……伝言役は1人だけで十分だが、邪魔された分の仕返しもあるし…俺と戦って5分、生き残れたら逃してやる。

それに、誰がお前達に俺を狙わせた依頼主かの情報は頂戴したし……大マケにマケた上でこれ以上の譲歩が欲しいなら、このクソ素人の腕を一本、麻酔無し、止血無しの条件で俺のタイミングで引き千切って良いなら戦いは無しで良いぞ?」

 

「ふっざけんな!結局は両方とも死刑宣告だろうが!こんなマトモに動かない状態で5分も生き残れだとか麻酔無し、止血無しで腕を引き千切られたら死ぬだろうが!」

 

「ま、待てっ!オータム!それ以上その男に反抗す「マトモに動けば良いんだな?なら、動かせるようにしてやるついでに、俺は『単一仕様能力』は使わないでやるよ」貴様っ… 何を考えているんだ」

 

「何も考えてなんかいないが?俺はさっさと帰りたいんだ……でもな、ナメられっぱなしは面子の問題があるから妥協案を出しているだけだ。

それに、必死に生きようと逃げ、藻掻く哀れな姿を見ながらその命が刈り取られるギリギリのラインを保ちながら追いかけて助かる瞬間、その命を刈り取られ絶望する顔を見たいだけさ………俺とセシリアの大切な時間を邪魔したんだから、その程度の罰を与えてもいいだろ?」

 

明らかに、この場で確実にオータムを亡き者にするつもりな龍也の言葉に反抗的な態度を取るオータムだが、それ以上は止めるよう言おうとしたMの言葉を遮る様に更に自身が不利になる条件を追加する龍也。

 掴んでいた腕を離し、数歩程度の距離を取った龍也がパチンッ!と指を鳴らせば、今までエラー表示ばかり出て動かせなかった『アラクネ』が突然、動かせるようになるとオータムとMが驚きを隠せない中、その後に続く龍也の言葉に喧嘩を売る相手を間違えてしまった。

 あの時の自分達にスコールに今回の依頼は断るように言えるなら言いたいとさえ思っていた。

 

「貴様は狂っている………私達以上に狂っている!何故っ!何故、そこまでやる必要がある!」

 

そんなの、お前達の命の価値が無いに等しいからに決まっているからじゃないか。

ゴミ同然の…いや、それ以下の価値しかないお前達みたいな命をどう壊そうが関係無いだろ?生きているだけで周りに不幸をばら撒く迷惑な存在が、この世に存在して良いわけが無いじゃないか」

 

「私の命の価値は私が決めるんだよ!てめぇに私の命の価値を決められる筋合いなんざねぇ!」

 

目の前の男は今まで見てきたどんな相手よりも…ましてや、自分達より比べられない程に狂っている狂人なんだと理解してしまった。

 それだけに留まらず、自分達の命の価値は無いに等しいと言われた事で、『アラクネ』を動かせるようになったオータムが言われっ放しのままで居るはずが無かった。 

 自分の命の価値は自分で決めると言い返しながら2本の装甲脚でまた、串刺しにしようとするが掴まれて防がれるが同時にマシンガンを展開していたらしく、頭部に銃口を向け至近距離まで近づけた状態で引き金を引き、連続で発砲するのだった。

 

「その程度で俺を倒せるとでも?それにお前達は俺の本気をまだ、知らない……ペイルライダーの本気を見たいなら死に物狂いで来い」

 

「どうなってやがる!今のなら確実に装甲をぶち破って脳みそ飛び散らせているはずだろ!」

 

マシンガンの発砲による硝煙が晴れるとそこには無傷な『ショックウェーブ』の頭部があった。

 頭部が先程とは違う形なのにも驚きなのに、無傷なのも納得がいかなかった。この距離とマシンガンから放たれた弾数なら余程の事が無い限りは今までなら絶対防御を貫き、敵を亡き者にしてきた筈なのだから…

 

「豆鉄砲程度でブチ抜ける訳がねぇだろうが。ほら、残り4分……逃げないなら、全身の骨を砕いてから四肢を引き千切ってやる」

 

「クソがっ!M!てめぇも見てねぇでさっさと参戦しやがれ!」

 

「っ!わ、分かっている!」

 

頭部だけでなく、全身が『ナインボール=セラフ』から『ショックウェーブ』に変わっていくのを目の当たりにしたオータムは本能的に距離を取る。更には彼女にもISを展開して戦いに参戦しろと命令する。

 あまりの濃すぎる狂気と殺意に当てられ、ほんの一瞬だけ意識がフリーズしていた彼女だったが、オータムの声でハッとするとすぐに『サイレント・ゼフィルス』を展開し、一気に上昇し『星を砕く者(スターブレイカー)』を展開すると砲口を龍也へと向ける。

 

「おや?既に盗まれていたか……織斑マドカ、君には残念賞をくれてやろう…レーザービーク、ラヴィッジは上空に居る彼女の攻撃の邪魔をしろ。リードマンは蜘蛛女に攻撃だ」

 

「貴様は何を言っ!?!?くっ!」

 

エネルギーをチャージし龍也へ向けて放とうとした瞬間、センサーに急接近する飛行物体と地上から撃たれたミサイルが接近中との警報が鳴り、撃つのを中断し『第3世代型BT兵器』で迫って来るミサイルを撃ち落とし、急接近してきた『レーザービーク』の頭部をシールドビットで上から思い切り叩きつけ、地上へと墜落させていた。

 一方その頃、地上では大量の『マイクロコン』が合体した『リードマン』が木の影から姿を表すと、そのボディには大量の血や臓物が付着しており、6人を音も無く切り刻んた犯人なのは明確でオータムと目?があった瞬間、ハイパーセンサーを使っていないと認識できない程の速さで襲い掛かってきた。

 

「チッ!なんなんだ!あの薄っぺらいロボットはよ!何処の国製なっ!?ふざけんな…よくも私のアラクネの脚を切り落としやがったな!!」

 

「ふむ、シールドエネルギーを貫通する程の切れ味とハイパーセンサー無しでは視認も出来ない機動力…リードマン、程々に刻んだら増援がある場合に備えて周囲を警戒しに行け」

 

人間の反射神経では捉えきれない速さで動く『リードマン』相手に4本の装甲脚で対応していたのだが対応していた4本の内、1本が切り落とされてしまっていた。

 それに激昂するオータムが副腕も『リードマン』を壊す為に対応させつつ、両手にマシンガンを持つと弾幕を張るように撃ち始めた。

 それを少し離れた位置から見ている龍也は『リードマン』に追加の命令を出すと『月喰狼(ハティ)』を展開し、エネルギーのチャージを開始していた。

 

「残り2分……さあ、これを真正面から食らって生きていられるかな?」

 

「高エネルギー反応だぁ!?あのガキっ!ふざけんなっ!」

 

「っ!オータム!早くその場から離脱しろ!その男が撃ったのが直撃すればIS諸共、蒸発するぞ!」

 

8個あるエネルギーパックへのチャージが全て完了すれば『月喰狼』全体から余剰分のエネルギーが漏れ出し、スパークが発生し始めればその時になってようやくハイパーセンサーも高エネルギーを感知し、警報を鳴らし始めた。

 オータムは『リードマン』を相手にしているせいでそれ所では無く、MはBT兵器を扱っているからこそアレがの威力が桁違いなのを察し、大声でオータムに逃げるよう叫んでいた。

 

「クソがっ!逃げたくても邪魔されて逃げられねぇんだよ!私か逃げられる様に援護しやがれ!」

 

「……チッ…バラすなよな…………リードマン、消えたくなけりゃその女から離れろ」

 

「!間に合いやがれ!!!」

 

『リードマン』からの猛攻に離脱したくても出来ない状況に追い込まれているオータムだったが、龍也が引き金を引くと同時に『リードマン』が『月喰狼』の射線から離れようとする瞬間を見逃しはしなかった。

 『瞬時加速』を使えば木の枝に当たる事など気にもせず一気に上空へと上昇していくか、龍也もそれに合わせて砲口を動かしレーザーを当てに行こうとするが、『アラクネ』の機体後部端に高出力のレーザーが掠った時にタイミング良く丁度、チャージした分を全て使いっ切ってしまったらしくレーザーの柱が消失する。

 掠った部分はあまりの高出力、高熱で蒸発したのを見たオータムはあともう少し、レーザーを放つ時間が長ければ自分も蒸発していたのだと死の恐怖に背筋を凍らせていた。

 

「………時間切れか。ほら、帰れ帰れ。生き残りを賭けたゲームはお前達の勝ちだぞ?このまま続けるなら、縛りプレイ無しで俺も戦うぞ?」

 

時間切れだから帰れと面倒臭そうな声で言いながらもまた、煽るような言い方をしていた。

 それに加えてチャージしな分を使い切った筈の『月喰狼』のエネルギーパックを注視すると……1基だけ未だにスパークが発生していた。

 

「あ゛あ゛!?ざっけんな!良いぜ、やってや「わかった。私達は帰らせて貰う。貴様からの伝言は一言一句違わずにスコールにも伝えると約束しよう」ふざけるなよM!これは私とあのクソガキとの問題だ!」

 

「オータム、奴はわざと私達を見逃す気だ。よく見てみろ…チャージしたエネルギーを全て使い切った筈なのに1基だけまだ、放電しているだろ」

 

「じゃあなんだ!あの野郎の慈悲で生かされたら尻尾巻いて逃げろって言うのか!」

 

「そうだ!今は逃がしてもらえるかもしれないが奴の気が変わったらどうするつもりだ!現状の最善策は奴の気が変わらない内に私達が撤退し生き残る事だ!」

 

挑発に乗って戦いを再開しようとするオータムの言葉を遮るようにMが間に入って話を終わらせるが、邪魔されたオータムが彼女に掴み掛かり言い合いを始める。

 そんなやり取りを地上から見上げる龍也はフルチャージした『月喰狼』の高出力のレーザーにより蒸発して消滅した木々や遺体、真っ赤になって一部が溶けている地面を見てやり過ぎたなぁと思いつつ、上の2人はまだ言い合いが続きそうなので後始末の為にアーサーに連絡していた。

 

「この私に生き恥を晒せって言いてぇのか!向こうはISが1機と付属品3体に対してこっちはISが2機なんだから勝てるに決まってんだろ!」

 

「無理だ!奴は最初から私達で遊んでいたんだぞ!本気を出した奴と今の私達が戦っても勝ち目は無い!」

 

「たかがISに触れて数ヶ月足らずのガキが、本気出した程度で私に勝てる訳がねぇだろ!寝惚けたこと言ってんじゃねぇぞ!」

 

「そう思うなら思えば良い!だがな、今は私の言う事を聞け!戻って戦闘ログをスコールにも見てもらい、私の判断が間違えていれば好きなだけ罰でもなんでも与えれば良い!」

 

「っ……チッ…わかったよ。戻ってからスコールがお前の判断が間違っていたと言ったら覚えていろよ」

 

龍也を放って言い合いをしていると、オータムでさえもこんな感情的になっている彼女を見たことが無く、気圧されてしまえば嫌々だが折れて彼女の言う事に従う事にしたのだった。

 

「話し合いは終わったかな?で、戦うか?それとも撤退するか?俺はどちらでも構わないぞ」

 

「私達は撤退する。貴様とこれ以上戦っても私達に勝ち目は無いだろうからな」

 

「チッ…覚えておけよクソガキ。次、てめぇと戦う時は必ずぶっ殺してやる!」

 

2人の言い合いがようやく終われば下から龍也が話しかければどうやら撤退する事にしたらしく、淡々と話すMと最後まで悪態をつき捨て台詞を吐くオータムが背を向けこの場から撤退するのであった。

 

「やっと帰った……お前達もご苦労だったな。サウンドウェーブの所に戻るんだ」

 

撤退する2機がセンサーの範囲外に出たのを確認すれば『レーザービーク』、『ラヴィッジ』、『リードマン』に労いの言葉をかけつつ、『サウンドウェーブ』の所へと戻るよう言えば3体とも監視任務中の『サウンドウェーブ』の所へと戻って行く。

 

「さてと、俺も帰りますかね……パーティーもどうやらそろそろ終わりも近いようだし…」

 

パーティー会場に侵入させ監視中の『マイクロコン』経由で特に騒ぎにはなっていない事を確認しつつ、そろそろ終わりが近くなっている為かセシリアの表情が少し心配し始めているのが見えてしまった。

 リミッターを解除しているお陰もあり、待ち伏せする時に向かった時間よりも早く屋敷に到着すればISを待機状態にし、身奇麗にしてから会場内へと戻るのだった。

 

「龍也さんっ!何処で油を売ってましたのっ!」

 

「いやー……ちょっと込み入った用があったのと緊張で、ね?ごめんごめん」

 

会場に戻って来た龍也を見てセシリアが早歩きで近付きながら、人前でも構わずにギュッと抱き締めてくる。

 少し震えているのに気付いた龍也は安心させる様に頭を優しく撫でながら軽い感じで謝っていた。

 

「もう…心配して損しましたわ。それで、招かれざるお客様のお相手は無事に終わりましたの?

 

「ごめんって。俺の用事は無事に済んだよ…少し、やり過ぎちゃったけどね?」

 

軽い感じで謝ってくる龍也に呆れつつも周りに聞こえないよう、侵入者への対処は終わったのかとセシリアは龍也の耳元で囁いて問いかける。

 耳元で囁かれた龍也は少しゾクッとして身体を震わせながらもイタズラっぽい笑みを浮かべ、やり過ぎたが無事に対処し終えたと伝える。

 

「ちゃんと、後で詳しく聞かせてもらいま「おやおや、若い2人が仲睦まじいのは目の保養にもなって良いですが、彼に挨拶をしても?」……ええ、もちろんですわ」

 

龍也からの返答にジトッとした目を向け、後で詳しい内容を聞き出すつもりなセシリアと苦笑いを浮かべる龍也。

 そんな2人の会話に割って入ってくる空気の読めない肥え太った男が両手にグラスを持ちながら近付いてくると、セシリアが明らかに警戒しながらも一旦、抱き締めるのを止め隣に立てば今度は龍也の片腕に抱き付き仲の良さを見せていた。

 

「どうも、初めまして婚約者殿。私の名前はルーカス・ベルフォルトと申します。

貴殿とオルコット嬢の婚約を祝福しましょう。その代わりと言ってはなんですが一杯、如何ですか?」

 

「こちらこそ初めまして、ベルフォルト卿。ご存知かと思いますが改めて…セシリア・オルコットの婚約者…黒瀬龍也と申します。

ええ、有り難く受け取らせて頂きます」

 

肥え太った男が先に自己紹介をし左手に持っていたグラスを差し出す。

 それに習って龍也も自己紹介をすれば差し出されたグラスを受け取り、グラスを軽く当てて乾杯すればそれを一気に飲み干した後、そのグラスを『拡張領域』内へとしまうのであった。

 

「おやおや、婚約者殿は随分といい飲みっぷりですね」

 

「曾祖父から差し出された飲み物は一気に飲み干せと教わっていますので……

それこそ、『我々は君が差し出した飲み物を飲み干すくらいには信頼しているのだから、裏切るならばその命を対価に償え』との意味もあるらしいので………『無骸』次期当主として今後の付き合いも踏まえて、誠意は見せるべきかと…例えば、遅効性の毒入りぶどうジュースを渡されたとしても、ですけどね?」

 

「そ、そうですか……婚約者殿は冗談がお好きなようで。で、では、どうやら他の方々も貴方に挨拶をしたいらしいので私はこの辺で…」

 

一気に飲み干すその姿を見た男は一瞬だがビクッと何かにビビるかのように反応を示すも、何ともない龍也を見て平静を装いながらいい飲みっぷりだと褒めていた。

 そんな褒め言葉に対して曾祖父からこうするように教えて貰ったと言いながら、ニッコリと笑みを浮かべながら『無骸』の名前を出すと目の前の男の顔色が一気に悪くなり、そそくさとその場から立ち去っていく。

 

「龍也さん、何を飲まされましたの?それに、龍也さんのご実家の……その…ご家業のお名前を出して良かったのでして?」

 

「んー…遅効性の猛毒を複数ブレンドしたやつ?またあの姉弟コンビのだけど…この前、飲んだのに似ているから同じシリーズの遅効性タイプみたいだし、全く効かないね。

ああ…それね?侵入者に俺を襲うように依頼したのがあの豚野郎。んで、俺が『無骸』の1人なのを知らずに奴等に依頼したのと毒入りの飲み物を渡した結果、掟を破って制裁対象になったのを絶賛後悔中って感じかな?」

 

そそくさと立ち去っていく男の背中を見たセシリアが龍也の腕を軽く引っ張り、心配そうな表情で問いかけてくると心配させまいとして毒を飲まされたが効かないと言う。

 それに加えて先程の侵入者に関してもあの男が関わっていると、何事も無いかのようにサラッと伝えつつも苦笑いを浮かべる彼女の髪を触りながら微笑みかける。

 

「本当に、本当に大丈夫ですの?あの時みたいに倒れたりしませんわよね?

……………それに関して、わたくしは詳しく聞かない方が良さそうですわね。その先を聞いてしまえばわたくしも色々と、危ない立場になりそうですし…」

 

「元々、この毒に対する抗体が出来ているから効かないし…まさかあの姉弟もさ、同じ人間に同じシリーズの毒を使うだなんて思っていないだろうしね。でも……口の中に残っている毒の中和が完全に完了するまでキスはしばらく無理かな?

うんうん。セシリアは知らない方が良いさ……汚れるのは俺だけで良いから」

 

「もうっ!そう言う事ばかり心配するくらいなら飲まないでくださいましっ!このままだとわたくし、心労で倒れてしまいますわ…

龍也さん、わたくしは貴方がどんなに汚れようとも離れるつもりはありませんわ」

 

案の定だが、毒入りの飲み物を飲んだと言う龍也の言葉に更に心配そうにするセシリアに対し、抗体はあるから倒れたりする心配は無いがしばらくはキス出来ないと軽口をたたく龍也。

 そんな彼の言葉に怒ったらしいセシリアは頬を膨らませると、鳩尾への力強い一発を龍也にお見舞いしてみせるのだった。

 

「ぐふっ…次からは事前に言います………ごめん。本当にごめん…この後の時間は朝までセシリアにあげるから…な?

ありがとう。本当、セシリアは俺には勿体無いくらい良い女だよ…」

 

「また、事後報告をしたらその時は…今回の事も含めて全て、本音さん達にも伝えますわ。

そんな事を言っても、今回の件に関して優しくするとかは無いですわよ?」

 

鳩尾への力強い一発を食らった龍也は食らった所を擦りながら謝るも、セシリアからはまた事後報告をすれば本音達にも今日の出来事も含めて全てを伝えると言われ、龍也は最悪のシーンが頭の中をよぎる。

 

「それさ…俺ちゃん、監禁ルートに入らない?確実にそっちルートに入るよねっ!?少しくらい慈悲があっても良いんじゃない!?」

 

「さあ?それは今後の龍也さん次第ですし、少しの慈悲も与えるつもりはありませんわ」

 

冷や汗を流して焦る龍也に対してセシリアは少し意地悪そうな笑みを浮かべながら答えていた。

 どうやら、普段から何かと隠し事ばかりする龍也に対する彼女なりの意地悪と仕返しらしい。

 

「やあやあ、お二人さん。仲睦まじく夫婦漫才するのは良いけどさ、招待客も居るんだから少しは控えたらどうだい?」

 

「あれ?アーサー兄じゃん。まだ仕事中の筈じゃなかった?」

 

「可愛い甥っ子とその婚約者のお披露目会だぜ?んなの、仕事なんかサボって見に来るに決まってんだろ。まあ、長居したらマリアに怒られるからもう帰るけど…」

 

ふと、聞いた覚えのある声がすればその声の方を向くと見知った顔が片手には並々に注がれたワイングラスを持っていた。龍也とセシリアだけで無く会場中の全員がその男の存在を認識していなかったのか、突如として現れた男の存在に驚いていた。

 気配を消すにしては目立つ格好の、相変わらず服装や髪型から軽薄そうな雰囲気を纏う一族優先の男は仕事中にも関わらず仕事をサボり、この場に来たと言う。

 先程、龍也が後始末の為に連絡した時は仕事中だから部下に後始末させると聞いたはずなのだが……どうやらその時点で既に仕事をサボり、この会場に来ていたようだ。

 

「ああ、そうかい。マリアさんにもよろしく言っといてくれよ」

 

「今度、時間があれば婚約者達を連れて遊びに来て良いからな?マリアが手料理を振る舞いたいって言ってるから」

 

「…………そん時だけは俺のみで行くわ」

 

どうやらこれ以上の長居をするつもりは無いらしい。そろそろ帰るつもりなのか並々に注がれたワインを一気に飲み干し、龍也へと近付く。

 時間があれば婚約者達を連れて遊びに来ても良いと伝えてから、『マリアの手料理』も振る舞われる事を示唆する様に言えばしばらく黙った龍也が一人で行く事を決意する。

 何故かって?マリア義姉さんの手料理はセシリア以上にヤバい。過去にはホットケーキを作っていたはずなんだが、ホットケーキミックスを混ぜていた泡立て器とステンレス製のボウルの底が溶けて、大理石の床が溶けたってレベルだ。アレはセシリアの上位ば……………うん、この話はしないでおこうか、俺も命が惜しい。

 

「その方が良いだろうな。じゃあな、可愛い甥っ子ちゃんにその婚約者ちゃん」

 

「じゃあな、アーサー兄」

 

龍也の言葉に頷くアーサーも腕時計をチラッと見れば話を切り上げると手に持っていたグラスを返却し、軽く手を振ってからその場を後にするのだった。

 

「さてと…セシリアの今後の為にも、もう少し頑張りますかね」

 

「でしたら、わたくしに悪い虫が寄って来ないよう守ってくださいましね?」

 

「わかってるよ………セシリアは俺の大事な大事な人なんだから」

 

アーサーが居なくなってからは他の客人達が次々に龍也への自己紹介も兼ねて挨拶をしに来たり、2人目の男性操縦者である龍也の側室狙いの女性達や歳の近い少女達が誘惑してきたりもしたのだが、セシリアの独占欲と嫉妬心が全開となり寄り付く島も無かったとか……俺、今夜は生きて朝を迎えられるかな?

 

それからしばらく客人の対応をしていればいつの間にかにこのパーティーも終わりの時間となると、客人達も帰る前に一言挨拶をしてから帰っていくのを見送り一応、無事?に婚約披露のパーティーは終わるのだった。

 そして、片付けはチェルシーを中心にアーサーが派遣したらしいメイド達が手際良く片付けをし、その間に龍也とセシリアは着替えやらを済ませると先に終わらせた龍也は案内された部屋の電気も点けず、ベッドに寝転がっていた。

 

「今日は色々とあったな……亡国機業が俺を狙ったり、毒殺されそうになったりとか…このパターンだと日本に戻るまでに何回襲撃されんのやら……

貰ったスキルのレベルアップとか『Kシステム』でロックされている機体の解放もさせないと…」

 

ベッドに寝転がり、今回の件で今後の対応に悩まされながらも主人公補正など皆無かつ、転生者特典とブラフでなんとか綱渡りしている状態なのだ。

 下手すれば前回の福音戦の時のように死ぬ可能性もある。あの時は二次移行した際になんとか助かりはしたが、あんな奇跡は頻繁に起きないだろう。

 ならばどうするか…使えるモノは全て使い、死ぬ気でやって生きる事に貪欲にならなければいけないのだ……泥を啜って木の根を齧ってでも生き残る程、貪欲に………なんて事を考えていたら部屋のドアが開いた。

 

「ふぅ……今日は流石に疲れまし…た……えっ…えっ?龍也さんっ!?ど、どうしてわたくしの部屋にっ!?」

 

どうやらセシリアは風呂から上がったばかりりらしい。身体が温まり、ほんのり赤く染まった頬や若干だが濡れている髪が月明かりに照らされ何時もより綺麗だった。

 何よりだ、何時も着ているネグリジェよりも着ていて意味があるのか?って思うくらい薄くて胸周りも開いているタイプのだし、見えている下着も黒系で攻めている感じのタイプだ……高校生でその下着は攻め過ぎでは?

 

「いやー……この部屋で今日は寝てくださいってチェルシーさんに案内されたんだが?」

 

「チェルシーがですのっ!?…ま、まだ心の準備が出来ていませんのに…気を利かせ過ぎですわっ…」

 

「あの〜…セシリア?この部屋から出た方が良いなら出て行くけ「出て行かなくてもいいですわ!」ぐえっ…」

 

まさかとは思ったがセシリアも俺も彼女にハメられたみたいだな……

 俺も少々居辛くなったから起き上がってベッドの縁に腰掛けて若干パニックになっているらしいセシリアを見ていたが突然、セシリアが早歩きで俺の所に近づいて来たから立ち上がろうとしたんだが…セシリアが早歩きのまま近付くと俺を突き飛ばせばベッドへと押し倒されるも、それだけでは終わらず気付くと彼女が俺の腹の上で馬乗りになっていた。

 

「えっと…セシリア?」

 

「そのっ…あのっ…………食べちゃいますわよ?」

 

「逆に、食べられても知らないぞ?」

 

馬乗りになった彼女はどうやらこの先の行動を考えていなかったらしい……先程よりも頬を真っ赤に染め上げる彼女が恥ずかしそうにしながら俺が起き上がれなくする為、両肩を押さえ込むように体重と力を込めながら言った台詞がとても愛らしかった。

 肩は動かせないが肘から先ならば動かせる。耳まで真っ赤になってしまった彼女の太ももに触れれば優しく撫でる様に手を動かし、届く範囲を触り始める。

 

「んっ…龍っ、也、さんっ…優しく…優しくっ、んっ……してくださいまし…」

 

「それは約束出来ないな……この日を待っていたのはセシリアだけじゃないんだから」

 

太ももやその周囲を撫でる様に触っていれば何時もより敏感に反応するセシリア。それに加えて肩を押す力が段々と弱まってくればゆっくりとその身体を預ける様に俺の方へと倒れ込んできた。

 何時もより息遣いが荒いセシリアを優しく抱き締めれば耳元で囁き、耳へと甘噛みを始める。

 

「ひゃんっ!だ、めっ…や、んっ…」

 

「今まで待たせたし、本音やシャルロットの時よりも深く、ドロドロになるくらい愛してやるからな」

 

甘噛みは続けながらも普段から低い声を更に低くした声で囁やけばお互いの位置を上下逆転させ、そのまま朝日が上がるまで部屋からセシリアの声が聞こえたとか…




久々の戦闘回だから加減の仕方やら戦闘シーンの割り当て方が下手くそになってしまいました、すみません。
また彼女達と戦う際はもう少し加減はせずに行こうかと思います

今回でようやく、セシリアともなりましたので残り1人ですね〜………おや?何やら不穏な影が…
ではまた次回、お会いしましょう

龍也の嫁、増えたら嬉しいか

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