作者の体や脳ミソも溶けそうです
では、今作もお楽しみください!
朝日が上り、鳥の囀り声が聞こえ始めた頃、荷物を『拡張領域』内にしまった龍也が手ぶらのままセシリアの部屋から出てくれば、そのまま玄関へと歩いていく。
「つい先程まで、随分とお楽しみでしたのにお嬢様と一緒に寝ないのですか?」
「セシリアが寝る前にまた学園で会おうって挨拶はしておいたよ」
どうやら玄関ホールで待機していたらしいチェルシーが歩いて来た龍也へと声をかける。
「そうでしたか。でしたら……いってらっしゃいませ、旦那様。と…お呼びした方がよろしいですか?」
「それは君の好きに呼べば良いさ……旦那様でも、黒瀬様でもね?」
昨日まであれだけ警戒心を露わにしていたチェルシーだが、少し悪戯っぽい笑みを浮かべながら旦那様と呼べばいいかと問いかける。
そんな問いかけに対して好きに呼べば良いと答えつつ玄関の扉を開き、外へ出ると自身のISを展開する。
「そういう事でしたら今は黒瀬様と…お嬢様と籍を入れた後からは旦那様と呼ばせていただきますね?」
「ああ、今後ともよろしくなチェルシー・ブランケット。あと、宇宙で眠っている君の妹にもよろしく言っておいてくれ」
「はい、よろしくお願っ!?貴方がお嬢様に近付いた目的はまさかっ!」
「無垢で病に侵された少女を贄とし
貴女の協力者にも言っておけ。長生きしたいなら余計な事はするなとな?」
龍也の口から一部の人間しか知らない筈の妹の事が出てくると驚きの表情を見せ、セシリアに近付いた本当の目的が妹の方だと警戒するも…
彼女の妹や『聖剣』に興味は無いと伝え、単一仕様能力の『
「次、会う時は敵では無い事を祈っているよ。じゃあな、チェルシー・ブランケット」
去り際にチェルシーへと一言残せば彼女からの言葉を聞かずに一気に上空へと上昇すると、『カスタム・ウィング』にエネルギーをチャージし『トランザム』も発動した瞬間、エネルギーを解放すれば宇宙へと向かって飛んでいく。
そして、ある程度の高度まで上昇したら『瞬時加速』で一気に最高速度まで上げ大気圏を突破し宇宙空間へと出るのだった。
「さてと、宇宙で活動する用のパッケージを使っていないのもあるからか残りの酸素量も少ないし、『グラトニー』を経由していないからエネルギーの残量も少ないんだよな。
よし、やる事をやってしまうか……『サウンドウェーブ』、『エクスカリバー』以外の全ての衛星にハッキングしたら機密度の高い情報とそれに関する情報を抜き取った後、システムチェックの際でもバレないバックドアを仕掛けろ。
この先、コソコソと常に上から監視されるのも面倒だ」
「了解しました。その他にご命令は?」
宇宙空間に出た龍也は『トランザム』を解除すれば近くにあった小型の人工衛星に取り付き、『Kシステム』内から『サウンドウェーブ』を指定して出現させると『エクスカリバー』以外の衛星全てにハッキング&何時でも簡単にシステム内に侵入が出来るバックドアも仕掛けておくよう命令をする。
その命令を了承した『サウンドウェーブ』は小型の人工衛星にケーブルを繋げ、ハッキングを開始すると小型の人工衛星周辺にある衛星の位置情報を取得し、更には『エクスカリバー』の位置を特定し近付かないように位置情報をマーキングするのだった。
「一応、明日迄には学園に帰るから全ての衛星にハッキングしてバックドアを仕掛け終えたなら、先に戻って学園付近で待機していろ。
ただし、学園の監視網には見つかるなよ?下手すればあの鬼教師が出てくるからな。今のお前ではスクラップにされるのは確実だろう」
「はい。我が主のご命令のままに……」
「じゃあ、後は頼んだ」
『エクスカリバー』以外の人工衛星への工作活動を終えた後の行動を指示していると、酸素量が限界値に近付き始めたと言う警告音が鳴り始めたので最後は短く済ませ、取り付いていた小型の人工衛星から離れると『アイギス』を展開し、シールドを張れば三角錐状になったのを確認するとスラスターからエネルギーを一気に放出させ、その勢いのまま大気圏へと突入していくのだった。
「とは言ったものの、どうやってシャルと合流しようか……一先ずは陸に上がって、待ち合わせ場所に向かうか…レーダーに引っ掛からないよう低空飛行で向かうべきか……」
なるべく空気抵抗の少ない状態での大気圏突入を終え、ビスケー湾へと真っ直ぐ向かって墜ちていけばそのまま水中に突っ込み、単一仕様能力の『
「陸路は面倒だし低空飛行で行くか……ここら辺の衛星もある程度はハッキングし終えているようだし…シャルを待たせる訳にはいかないからな」
時間的にも余裕はあるが彼女を待たせるつもりは無いらしく、しばらく水中を移動しながら移動方法を決めればスラスターを吹かし、水中から出ると地上レーダーの感知高度より下を飛行しつつ民家や建物が少ないルートを選択して目的地へと向かうのだった。
「さて、ここから先は陸路で移動しようか」
しばらく低空飛行+隠密重視で移動しつつ待ち合わせ場所が近くなると地上に降り、ISを黒のパガーニ・ウアイラへと『トランスフォーム』させてから乗り込むと待ち合わせ場所へと向かっていくのであった。
「シャルが来るまでしばらくかかるか……朝食を抜いてきたのは間違いだったな」
待ち合わせ場所の駅に1時間近くも早く到着してしまえば車から降りつつ、今更ながら朝食を食べなかった事を後悔しながら財布の中身を見ると全て日本円…何処の店で食べるにしても両替は必要なのでどうしようか考えていると、『拡張領域』内にラウラから貰ったサバイバルキットを入れていたのを思い出す。
それを取り出せば非常食の缶パンやエナジーバーを食べながらペットボトルの水を飲んだりしていた。
「ふむ…口の中の水気を根こそぎ持っていかれるが美味いな…ラウラがおすすめしていただけはあるか………」
「龍也ー!ごめんね、待たせちゃった?」
軽く朝食を食べ終えた後、歯磨き代わりにガムを噛みながらしばらく空を見上げて待っていると、普段よりも一段と気合を入れてお洒落をしたシャルロットがキャリーケースを引きながら近付いて来た。
「いや、待ってないよ。シャルこそ緊張してるんじゃないか?」
「そっか、それなら良かった。き、緊張なんかしてないよっ!龍也の方こそ…その……本当に今日、僕の両親へ挨拶をしに行かなきゃ…駄目?」
「どうした?ここまで来たのに戻るのか?」
「だって僕…両親には嫌われてるし……挨拶しに行ったとしても…」
「じゃあ、行くぞ。シャル、助手席に乗りなよ」
どうやらシャルロットは両親に会いに行く事を躊躇っているようだ。
まあ、シャルロットからの話を聞いた限りでは躊躇う理由も分からなくはないが俺はそんな事など知らん。だから、少々強引な手段で行かせてもらおう……だが、シャルの持っているキャリーケースが入らないな…仕方無いから別の車に変えるとしよう。
「えっ?た、龍也!?僕の話しを…聞いてたよね?なのに、なんで行く事になってるのっ!?」
「なんでって……卒業したら結婚して、すぐに子供を作りたいから?
それをするなら、事前に挨拶をしておいた方が良いだろ?」
「こっ、子供!?僕と龍也と……それを考えるのは流石には、早すぎじゃない…かな?」
シャルロットの目の前でランボルギーニ・アヴェンタドール LP 700-4 クーペに『トランスフォーム』させ、ノーズ部を開ければ目の前で変形する光景を見て驚くシャルロットが持っていたキャリーケースをサッと奪い取り、トランクスペース内に入れて閉じればもう行く以外の選択肢を選べない筈なのだが、まだ行こうとしない彼女に近付き腰に手を回して抱き寄せると、真っ直ぐ見つめながら龍也はシャルロットとの間に子供を作りたいとストレートにその思いを伝える。
その言葉を聞いたシャルロットは顔を真っ赤にしながらまだ早いと言うも、その先の事を想像しているのか満更じゃない顔をしていた。
「俺はシャルとなら、今すぐにでも良いんだぞ?でも、学生として過ごせる時間は貴重だから我慢してるだけなんだからな?」
「うぅ〜〜……龍也のえっち…」
他の人に聞こえないようシャルロットを抱き締めると更に密着してから耳元で囁くと、ボンッ!と頭から蒸気が出そうなくらい顔を更に赤くしていた。
「ほら、乗って?学園に戻ったら2人だけでデートするからさ?」
「ふぇっ?本当!?本当に僕と龍也の2人だけでデートしてくれるの?」
「本当だって。夏休み中なんだから、いくらでもデート出来る時間は取れるだろ?どうせなら、海にでも行こうか」
「じゃ、じゃあ…早く行こ?僕もなるべく早く戻るから…戻って来たら2人きりでデート、しようね?」
ポンポンと頭を軽く撫でてから離れると助手席のドアを開けて助手席に乗るよう促しつつ、2人だけでデートをする権利をチラつかせれば表情を明るくさせながら約束をすればスッと助手席に乗り込み、龍也に早く行こうと急かしていた。
1つ1つの仕草が全部可愛いなぁ、もうっ!……このままホテル行って抱き潰しても良いんだが…我慢だ我慢。
「ああ、そうだな。2人きりのデートを楽しもうか」
「うんっ!楽しみだな〜、龍也とのデート」
龍也も運転席に乗り込みエンジンをかければ既にデートへと行く気満々な彼女の頬へと軽くキスをし、シャルロットの案内によって今日の目的地へと重厚感のあるエンジン音を鳴り響かせながら車を走らせていくのだった。
_________________
「……シャル、大丈夫か?」
「う、うん。大丈夫だよ」
シャルロットの案内によりデュノア社へと到着すれば車から降り、荷物をトランクルームから取り出した後は車の状態からISの状態へと戻してから解除すると…
「よく帰ってきたな………で、その男が噂の婚約者だな?」
「………はい…彼が僕の婚約者の黒瀬龍也です…」
デュノア社からシャルロットの父親でもあるアルベール・デュノア自ら娘の出迎えに社内から出てくるのだが、厳しさの一言にあふれている風貌と口調にシャルロットは萎縮しながらも答えていた。
「お初にお目にかかります…彼女の婚約者の黒瀬龍也と申します。
先ず、貴方の了承を得ず勝手に彼女と婚約をしてしまった事へお詫びします……ですが、俺は彼女を手放すつもりはありませんし、別れろと言うならば例え彼女の親であっても容赦しません」
「たっ、龍也!いきなり何を言っちゃってるの!?そんな事い、言っちゃったら僕と龍也の結婚を認めてくれなくなっちゃうよ!?」
龍也もシャルロットから紹介されれば軽く一礼してから挨拶をしつつ父親に対して了承を得ず婚約した事を謝るも、ニッコリと笑みを浮かべながらシャルロットを手放すつもりは無いと答えた。
更には別れろと言うならば自分は容赦しない宣言すると流石に父親を前にして萎縮していた彼女も慌てて龍也も止めようとするのだが……
「そうなったらシャルを連れて行くさ。ついでにシャルの命を狙うデュノア社の幹部や社員を家族諸共、消しておこうかな?」
「えっ?それ、どうい「黒瀬君、その話はシャルロットが居ない所で話してもらえないだろうか」待って、どういう事?」
結婚を認めてもらえないならば連れて行くとまで宣言する龍也だが、その後から続く言葉にシャルロットは狙われていた事など知らなかったらしい。
どう言う事なのか龍也に聞こうとするも、父親のアルベールに遮られてしまう。
「………では、奥様もご同席していただきましょうか…今回はただの、黒瀬龍也として婚約の挨拶以外にも『無骸』の黒瀬龍也としても少々、お話と商談があるので…」
「…わかった。どうやら君とは色々と話さなければいけないようだな」
「ええ、そのようで………ですが、その場にはシャルロットも参加してもらいます。
一応、俺の婚約者ですしシャルロットだけを除け者にするのは間違っていますからね」
「龍也、ありがとう……」
「駄目だ。それには関係の無い事だ」
ニッコリと浮かべた笑みのまま、『無骸』の1人として話があると言えば頷くアルベールと置いてけぼりなシャルロット。
そんな状態のシャルロットの腰に手を回し、抱き寄せる龍也が彼女もその話し合いに参加させると言えば不機嫌な表情へと変わったアルベールの口から、シャルロットがこの話し合いへ参加させるのは関係無いから駄目だと言うが彼はその言葉を口にした事をすぐに後悔した。
「ア゛ァ゛?関係有りまくりだから同席させんだろうが。
寝惚けてんなら俺がお前さんの目ェ、覚まさせてやろうか?」
「た、龍也っ!?僕は気にして無いから落ち着いて、ねっ?」
アルベールの言葉にキレた龍也の両目が『
シャルロットは龍也の態度からしてこのままだと父親が危ない目に遭うかもしれないと察し、龍也の腕を引っ張り落ち着くように言って問題を起こさせない為に龍也を止めようとしていた。
「…シャルがそう言うなら仕方無い………だが、シャルはこの話し合いには参加させる」
「あ、ああ…わかった。関係無いと言ってしまいすまなかった」
シャルロットから止められると少し考えた後、アルベールへと向けていた殺気と敵意を引っ込め両目とも通常の状態に戻るとシャルロットを片腕で抱きしめ見せつけるように密着し、額へとキスをした。
「ふぅ、よかった……ちょっ!?た、龍也!?皆が見てるからっ!は、恥ずかしいよ…」
「見せつけてんだよ……シャルは俺の嫁だから手を出すなって知らしめるためにな」
耳まで真っ赤にするシャルロットをよそに龍也は何度も額にキスをしたり、途中から頬や首筋にまでキスをし始めていた。
「んっ…駄目だよ龍也……よっ!?嫁だなんて…まだ許可も貰ってないし、指輪も買ってないのに気が早いよ…」
「さてと、シャルロットの緊張もいい感じに解れてきたみたいだし…そろそろ案内をしてもらっても?」
「そうだな。では、ついてきてくれ」
駄目だと言うシャルロットだが抵抗したり嫌がる気配も無いのを察した龍也。
だが、それより先をするつもりは無いらしくキスをするのをやめ、アルベールに向かって営業スマイルを作って案内をして欲しいと言うのだった。
二人の前を歩き、話し合いをする場所へと連れて行くアルベールも表情に出しはしないが内心はかなり複雑だった…愛する娘の命を守るため、IS学園へと送り出したにも関わらずいつの間にかに婚約者を作ってきた上、その相手は『無骸』の次期当主ときたものだ。
ただでさえ組織内で裏切り者が居て頭を悩ませているのに自身の前では愛する娘と、その娘の婚約者と名乗る男が人目をはばからず、周囲の人々へ見せつけるように娘に対してスキンシップを取っている男の行動はまるで、龍が財宝を狙う敵から己の身をていして守っているようにも見えた。
「なぁシャル、これから話し合いをするけど何を聞いても口を挟んだら駄目だからな?我慢出来たら後で沢山可愛がってあげるから」
「う、うん……龍也がそう言うなら我慢するよ………でも、僕にだって譲れないラインがあるからそこを越えたら我慢しないからね?」
「はいはい…わかったよ。怒ったシャルはセシリアやラウラよりも怖いからなぁ…」
「ねぇ、龍也?日本のことわざに口は災いの元って言うのがあったよね?」
「………ごめんなさい。調子に乗りました」
「じゃあ、僕と2人きりのデートをする時は近場じゃなくて一泊出来る所でデートしようね?」
「っす……」
「んんっ!2人とも、この部屋で妻が来るまで少し座って待っていてくれ」
アルベールは自身のついて後ろを歩く2人の会話に聞き耳をたてていると初めは、男の方が娘に話し合いに口を挟まないよう言っていたのだがポロッと口から出た失言に後ろを振り向かなくてもわかる程に娘が怒っていた。
そんな娘の怒りに触れた男の声は先程までと違いか細くなり、娘からの要求を素直に受け入れるその声にざまあみろと思うと少しだが胸がスカッとしていた。
そして、話し合いをするため防音性が高い部屋の前に到着すれば咳払いをしてから扉を開け、妻が来るまで少し時間があるから来客用のソファに座って待っているように言うのだった。
「わかりました。シャル、座ろっか?」
「う、うん」
案内された部屋に入れば2人ともソファに座るのを確認したアルベールは部屋から出て行った。
ロゼンタの到着を待っている間にまた緊張し始めているシャルロットの肩にソッと手を回し、優しく抱き寄せるのだった。
「そんなに緊張しなくても大丈夫……俺が一緒に居るんだから」
「うん…そうだね。でも、ちょっと怖いな………それに、また…叩かれるのは嫌かな…」
「そん時は俺が守ってやるよ。『アイギス』もあるし、核兵器でも無い限りはシャルに傷1つ、付けさせないよ」
抱き寄せたシャルロットがカタカタと小さく震えているのに気付くと、グッと更に抱き寄せてお互いの心音が聞こえるくらい密着していた。
しばらくは抱き寄せたまま頭を撫でたりしてシャルロットを安心させていると部屋の扉が開き、父親のアルベールが正妻のロゼンタと共に入ってきた。
「はじめまして、ロゼンタ・デュノアさん…俺はシャルの婚約者の黒瀬龍也と申します」
「夫から貴方の事は聞きました。はじめまして、黒瀬龍也さん」
2人が部屋に入って来ればシャルの肩から手を離し、見せつけるように首筋と頬にキスをしてから立ち上がれば男でも一瞬だが見惚れてしまう動作で挨拶をする龍也。
ロゼンタは彼の無駄の無い動作や立ち方からして、たかが子供だと甘く見れば一瞬で骨まで喰われると察したらしく、そんな龍也に対して失礼の無いように挨拶をし返すのであった。
「では、デュノア家のすれ違いとデュノア社を愚か者達の手から救う話をしましょうか」
お互いに挨拶をし終えればアルベールとロゼンタが向かいのソファに座った後に龍也もソファに座ると、営業スマイルを作り話し合いを始めるのであった。
ここにて登場しましたシャルロットのご両親!
この後、龍也はどんな爆弾を投下するのかっ!
それはまた次回となります
龍也の嫁、増えたら嬉しいか
-
YES
-
NO