今回、強めの暴力やグロい表現が多くなっているので耐性が無い方はお気をつけください。
あの電話から暫くして空港に到着すればプライベートジェットに乗り込むために格納庫近くのゲートを通り、メールで送られて来た座標の格納庫へと向った。
「コイツは…高いだけじゃなくてかなり速いヤツだな……エステルの奴、両親にも内緒で買っていやがるな」
「黒瀬龍也様ですね?エステル様からご連絡をいただき、フライトの準備は既に整っております。そして、本日は私が機長を務めさせていただきます」
指定された座標内の格納庫に入れば航空機の搭乗口付近にパイロットの制服を着た女性と、CAの制服を着た女性が立っていた。
パイロットの方がビシッと敬礼をする中、CAの方は浅くお辞儀をしていた。
「ええ、よろしくお願いします。女性の機長とは珍しいですね…その雰囲気、軍出身ですか?」
「はい、よろしくお願いします。国と詳しい所属名は言えませんがそうですね」
「じゃあ、来て早々だけど日本へ向かってもらえるかな?俺の帰りを待っている可愛い可愛い子達が居るから」
「了解しました。では、安全かつ迅速丁寧に黒瀬様を日本へお送りします」
バイクから下りるフルフェイスヘルメットを脱ぐと同時に『拡張領域』に収納するとパイロットに近付き、握手を交わしつつ日本へと向かって欲しいとお願いしてから航空機へと乗り込むのだった。
「さてと、エステルに送るメールをある程度まで作っておかないとな…」
座席に座ってから少し経った頃にパイロットとCAの2人が乗込めばタラップが閉じ、機体が動き始めればしばらくじっとしつつ上空へと飛び上がり機体が安定してくると『拡張領域』からノートパソコンを取り出すと、作業を始めるのだった。
「黒瀬様、お飲み物は何になさいますか?」
「そろそろ寝たいのでカモミールティーを貰えますか?」
「わかりました。少々お待ちください」
作業を始めてから少ししてCAから飲み物は何にするかと問いかけられると、龍也も流石に疲れが出始めているらしく寝る前にカモミールティーを1杯貰えないかと聞けばCAは小さくお辞儀をしてから奥へと消えていった。
「ふぅ…残りは帰ってからにするかな」
「お待たせしました、カモミールティーになります」
「ありがとうございます。この後は到着まで起こさなくても大丈夫です」
「かしこまりました」
しばらくしてある程度まで完成させると内容を保存し、パソコンを閉じれば収納するとティーカップに注がれたカモミールティーが運ばる。
それがテーブルの上に置かれればお礼を言いつつ到着までは起こさないように頼むのだった。
「アチッ…アチッ……だが、美味いな………………んー…寝るか…」
そして、ティーカップの持ち手を掴みゆっくりと飲みつつ時間をかけて全て飲み干せば眠気がやってきたのか席を倒し、備え付けの毛布を取り出し包まれば目を閉じそのまま深い眠りへと落ちていくのだった。
______________________
「ん………なんだ?ここはよ…両手両足は…縄で縛られて動かせない……ベッドの脚に固定されてんのかぁ?エステルの野郎、嵌めやがったな!クソがっ!」
深い眠りから覚めればベッドの上に大の字で寝かされ、両方の手首と足首には縄が巻きつけ固く縛られ、伸びた縄の先はベッドの脚の方へと伸びていた。
この前、あの一家とひと悶着あったからその意趣返しで嵌められたと思い大声で怒鳴っていると、この部屋に一つしかない出入口から軍服を着た中年男性が入ってきた。
「やあやあ、ようやく起きてくれたようで安心したよ。お茶に混ぜさせた薬が少々効きすぎてしまったかと思ったからね」
「………エステルが嵌めた訳じゃねぇようだな…その服の特徴からしてドイツの秘密工作部隊だな?上の人間共は知ってんだろうなぁ?誰を攫って誰に喧嘩吹っ掛けたかはよぉ?」
「おや?直ぐに気付くとは2番目と言われている割には勘が鋭いようだね?君の言う通りだ。
直属の上官でさえも我々が何をしているかは知らないさ。ただの一般人で2番目だろ?それに…我々が作り出した兵器を勝手に自分の物にし、あの機体に埋め込ませておいたシステムも奪った被験体だろ?」
入ってきた男からは微かに医薬品の匂いがした…その時点でエステルが嵌めていない事はわかったが納得いかないな……
ん?サウンドウェーブから通信…ほぅ?俺が居るのはシェルターも兼ねた地下室で寝ていたのは大体5時間。
んで、敵さんの情報は………全員クズか…なら、殺っても問題は無いな。
外には雇われのIS操縦者が2人が居るだけで、それ以外は護衛も兼ねた歩兵……サウンドウェーブにここら辺一帯から外に向けての通信を全て妨害させるか…
「はぁ………なんだ。秘密工作部隊と言う割には何も知らない素人か…服の上からじゃわかりにくいが体型からして研究畑だな?
それに、その口振りからして試験管ベビーやVTシステムにも関わってんな?束が関連施設を潰したとは聞いていたが打ち漏らしがあったようだな………………ああ、最悪の目覚めだ……昨日の馬鹿共よりも苛つく…心底、苛つく…お前達、神へのお祈りは済ませたか?死後の世界では酷い目に遭わないようにしてくださいってなぁ?」
「きっ!貴様!囚われの身のくせに随分と生意気な口をききおって!!それだけ生意気な口をきけるならば!さぞかしいい実験台になるだろうな!」
もういいや、クソ程どうでも良い。自分達の目的の為には手段を選ばないとか反吐が出る…亡国機業よりもクソだ。
この口振りからすると上官に内緒で非人道的な実験してやがるようだ………サウンドウェーブに研究所を探し出させるか。
「いいや?俺が実験台になる事はねぇな…………その代わりと言っては何だが、これから先はR18Gだから気を付けろよ?お前達に与える慈悲は無い。与えるのは惨たらしい死のみだ!!リードマン、その男をぶった切れ!」
「そんなに死ぬのが望みならば死なせてやる!死体になっても十分に利用でぎっ!?」
『サウンドウェーブ』から通信が来た際に『ラヴィッジ』を付近に待機させている事が伝えられていた。
地上へと繋がっていた通排気口から侵入し、ベッドの下に潜んでいた『マイクロコン』が気付かれないように移動する。
『マイクロコン』は男の後ろで合体し『リードマン』へと変わったその時、男が装備していた拳銃を抜き、銃口を龍也へと向けようとした瞬間…
その身体は綺麗な格子状の形に斬られ、支えを失った肉体はドチャドチャッと音をさせて落ちたあと、切り口から出た血で床は赤く染まっていく。
「リードマン、縄を切れ。その後は外に出て歩兵を切り刻め……俺は雇われのIS操縦者を消し飛ばす」
「了解しました。我らが主の仰せのままに…」
そんな光景を見ても龍也の瞳はまるで感情が無いかのように冷ややかな瞳をし、『リードマン』に縄を切らせつつ次の行動の命令を出すのだった。
命令を受けた『リードマン』は合体を解除し、『マイクロコン』へと変われば通気口やドアの隙間から外へと出て行った。
「さてと……パーティーの始まりだ」
縄を切らせた後にベッドから出れば真っ直ぐ扉へと歩いていき、血溜まりや切り刻まれた肉を踏んでも気にせず部屋から出れば地上へと上がる階段を一歩一歩、歩いていく。
「…リードマンは順調に始末しているようだな……………やあやあ、警備ご苦労さま」
「あ?何だおまっ?!ゴボッ…ガフッ……ガッ…」
扉を開けば扉の前に立っていた見張りは既に切り刻まれており、それを無視して隠れ家らしい場所から外へ出る。
『サウンドウェーブ』からの案内を受け、隠れ家の周囲を警戒していた2人のIS操縦者の1人にまるで、仲間かのように接近するが怪しまれてしまう。
だが、その操縦者が何か行動する前にその首には龍也の手が突き刺さっていた。
それに加え手をクルッ、と一捻りしてから何かを指に引っ掛けてから引き抜くと……太い血管を千切ったらしく傷口から血が勢い良く噴き出すのだった。
龍也は返り血をもろに浴びるも、そんな事などお構い無しに切り刻まれていた見張りから盗み取ったナイフで更に、追撃で心臓を一刺しすればグリッと手首を回し心臓を抉るのであった。
「…………先ずは一匹…もう一匹はっ?!」
「このクソ野郎が!よくも!よくもアタイの相棒を゛を゛!!」
全身返り血塗れになりながら心臓からナイフを引き抜くと同時に物言わぬ屍となった敵を蹴り飛ばす。
もう一人を始末しに向かおうとした矢先、後方から接近する高エネルギー反応を探知した『ペイルライダー』が強制的に起動する。
即座に『アイギス』を展開すると同時にエネルギーシールドを張り、龍也へと向けられて放たれたエネルギー弾を防ぐ。
そのせいでか防いだエネルギー弾が飛散して地面に当たり、砂埃が舞い上がってしまうと周囲の視界が悪くなってしまう。
視界不良によって更なる奇襲を警戒して龍也自身もISを展開した途端、エネルギー弾を防いだ方角から1機のISが怒りに任せて特攻気味の速度で接近していた。
「これでもたらふく食らって死にやがれ!」
接近する敵機を前にしても龍也は動く気配も無く、ライフルタイプのエネルギー兵装からマシンガンタイプの実弾兵装に切り替えた敵機の接近を間近まで許してしまう。
間近に接近した敵はチャンスと思ったのか、銃口を胸部装甲の方向へ押し付けると引き金を引き、ゼロ距離からの射撃を行う。
周囲に響き渡る程の大量の銃声と、地面には殻の薬莢が小さい山が出来るくらいの銃弾が放たれ、舞い上がる硝煙と砂埃が晴れると…そこには装甲に傷1つない無傷の龍也が居た。
「弱い…弱い………所詮は三下以下のクソか…」
「誰が三下だっ!簡単に薬盛られたガキが!」
「そんなガキ相手にお前は負けるんだよ…お前達は俺様の逆鱗に触れた……お前達には惨たらしい死をプレゼントしてやる」
「何をボケた事を抜かしてやがぁ゛ぁ゛ぁ゛っ!?」
全身装甲により表情はわからない。声は冷ややかではあるも、奥底には静かな怒りと殺意が込められていた。
そんな声に危険を感じ後ろへと下がろうとした敵機だが龍也に右腕部を掴まれると同時に、操縦者へ危険を知らせるアラートが鳴り響く。
掴んできた手から逃れようとして掴まれていない方で握り拳を作り、ガンッ!ガンッ!と掴んできた手を殴るもビクともしない。
摑まれる手に力が込められると徐々に装甲が歪み、ひしゃげ、アラートは鳴り続ける。逃げる事さえも叶わず、装甲は保たなかったのか『絶対防御』を上回る力で装甲ごと腕を握り潰すのだった。
「うるさい…黙れ……『
「あ゛ぁ゛クソが!…なっ!なんだこれ!!出しやがれ!」
敵は握り潰された腕の痛みで今にも気を失いそうになるも直感が今、気を失えば終わってしまうとその身に告げる。
歯が割れそうなくらい食いしばり、握り拳を作ったままの左手で殴ろうとした矢先、龍也が身に纏うISの装甲の隙間と言う隙間から黒いスライムのような粘液が大量に溢れ出す。
それは握り潰した腕を掴んでいた手を経由して敵機に侵食するかの様に取り付いていく。
敵機からは操縦者に危険を知らせるアラートが鳴っていたが途中からピタリと止まり、敵操縦者の視界一面が真っ黒に変わった瞬間……その視界一面に金色の眼球に爬虫類のように縦長の瞳孔を埋め尽くすのだった。
「モード変更…『グラトニー』……」
「何しやがるんだ!このっ!化け物が!あぁ?!ぁぁぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ!!!!!」
そして、取り付いた粘液が敵機全体に広がるのを確認してから手を離すと『
その言葉に反応した粘液が『禍津ノ剣』を取り込むとその体積を増やしながら球体の形へと変わり、粘液の中に取り込まれている機体と生きたままの操縦者をまるで、雑巾を絞るかのように捻じり、更にはトドメと言わんばかりに圧縮していく。
粘液の中からは全身の骨が折れていく生々しい音と操縦者の断末魔が聞こえていた。
「…それも喰らうか」
しばらくすると操縦者が息絶えたのか断末魔が消え、球体の中から血と一緒に、サッカーボールサイズの大きさにまで圧縮された機体の装甲が球体から吐き出される。
そして、 既に息絶えたもう一人の操縦者の方へと近付き、右手の中指に指輪の形で待機状態で着けられているISに意識を向けると…球体の一部が龍の頭部に変われば右手ごと喰い千切り、ISからエネルギーを全て取り込めば喰い千切られた右手のみ吐き出される。
「ああ、わかった。研究所内の詳しい構造マップを送ってくれ………実験台になっている子供や試験管ベビーはドイツの一族に連絡して回収をさせるんだ…数名、何かしら知っていそうな人間のみを生かして拘束させるから実働部隊も連れてこさせろ…サウンドウェーブ」
「主様、ゴミの始末を終えました」
「わかった。よく殺ってくれたな、感謝する。ラヴィッジと共に日本へ戻りサウンドウェーブと合流するんだ。合流地点はヤツから聞け」
「了解しました。では、失礼します」
2機ともシールドエネルギーはほぼ満タンだったらしく稼働時間もかなり増えたのを確認してから『拡張領域』に待機状態のISを回収すると、『サウンドウェーブ』から連絡が来たのでそれに出れば一先ず、調べた結果の報告を聞くのだった。
どうやら今回、龍也を攫った組織の残りが居る研究所を見つけたとのこと。
その施設には残りの部隊、幹部や研究員だけで無く、実験台にされた子供や試験管ベビーも居ると聞けば即座に命令を出していた。
どうやら他の兵士の片付けも終わったのか『リードマン』が近付き、片付けが完了したとの報告を受ければ労いの言葉を伝えつつ『ラヴィッジ』と一緒に日本へと戻るように命令を出すのだった。
「さてと……モード変更『ソニック』」
余計な時間を消費するつもりは無いのか『グラトニー』から『ソニック』へとモードを変更すれば機体の形が変わり、その場から姿が消えると同時に周囲の木々や地面に転がっている屍が吹き飛ばされるくらいの衝撃波が発生する。
雲よりも上の高度まで上昇すれば『サウンドウェーブ』から送られた、研究所の方角へ向かって『トランザム』も使用し全速力で向かうのであった。
____________
「どうりで束が打ち漏らすはずだ……ネットワークを完全に遮断して緊急時の無線による連絡以外は直に会って報告をするだけ…
しかも研究所は畑のはるか深い地下に作っているときたもんだ…出入りの方法は基本、民家の地下室の隠し部屋に設置してあるエレベーターのみで必要な電力は自家発電等で賄っている…随分と手が込んでいやがるな……それに、機器類の搬入の為に奥の納屋が搬入用エレベーターになっていると…」
上空を飛行していれば『サウンドウェーブ』から追加の情報が送られたのを確認しつつ、目的地の真上で静止すれば送られて来たデータを見ながら他の施設や研究所と違い、一部を除いた外部とネットワークの接続を完全に遮断したスタンドアローンが前提の運用方法に気付く。
ここまで徹底的に隠されただけでなく、データとして残された資料も紙以外だと他の衛生とのリンクが完全に切れ、書類上は廃棄済みとなっている衛生に仕掛けた専用回線から侵入し、バックアップ用として保存したデータしか存在していないらしい。
そりゃあ、束も見逃すわな。電力の使用量だって他の農家と変わらずで周囲に監視カメラなんか無い田舎…報告だって昔からあるアナログなやり方だ。
衛生をハッキングしようにも他の衛生とはリンクが完全に切れているし、通信だって周回している衛生が真上に来た時に短時間の一方向からの通信のみだ……見つけるにしても研究所に直接侵入するか、衛生へ直に取り付いて直接アクセスするしかないようだからな。
「後から回収に来る奴等の事も考えて納屋の方から侵入するか……モード変更『ナイアー』」
この後、子供達や情報を引き出す為に確保した組織の人間を連れ出す為にも民家側のエレベーターを破壊して侵入するのはナシにし、納屋側から侵入する事にすれば『ナイアー』へとモードを変えれば納屋の前に降り立ち、先端が『グリムロック』の頭部に変わった尻尾で扉を噛み砕き中に侵入すると警備担当なのだろう…悲鳴にも近い声で叫びながらマシンガンやら拳銃やらを遠慮なしに撃ってきやがった。
まあ、生かすのも面倒だから一匹だけ残して他は噛み砕くけどな?
「おい、搬入用のエレベーターを動かせ。そうすれば命だけは奪わん事もない」
「ひっ!ほ、本当だろうな!嘘じゃねぇんだなっ!?」
「ああ、”俺は”約束を守るさ…………俺はな」
銃声が止んだあとは阿鼻叫喚の地獄絵図となった。背部から生えた状態の腕が伸びれば銃火器類を持っている者を捕まえ、握り潰したり、胴と脚を掴んで引き千切ったり等々……
他には逃げようとする者達を追いかける様に尻尾が伸び、『グリムロック』の頭部が口を開けば勢い良く口を閉じ、鋭い牙の餌食となり千切られ血や内臓をぶちまけたり、硬い頭部で叩き潰され血や肉片だけで無く骨までも飛び散らせたりするのだった。
そして、一人だけ物陰に潜んで息を殺し、蹲っている男以外の全てを処理すればゆっくり近付き話しかける。
話しかけるその声は様々な声とノイズが混ざり合い、男なのか、女なのか、幼子なのか、若者なのか、中年なのか、老人なのか、判別出来ないような声だった。
「わ、わかった!だから俺だけは生かせよ!」
「早くしろ…じゃないと約束は守らんぞ」
「ま、待てよ!もうすぐ来るから!ほ、ほら!来た…ち、違う!俺じゃ!?」
その声に怯えながらも自分だけでもこの化け物から助かる為に震える手で端末を操作し、地下の研究所へと繋がっているエレベーターを起動させる。
鈍い起動音と共に床がせり上がると大型トラックが乗り込める程度のスペースがある貨物用エレベーターがその姿を表す。
起動させた男と共に四方を鉄で囲まれたエレベーターの扉前に立ち、扉を開くコードを男が入力し部分が開くと…一機の『ラファール・リヴァイヴ』が『クアッド・ファランクス』の銃口を向けて待ち構えており、25mm7連砲身ガトリング砲4門が同時に高速回転すると銃口から火を吹くのだった。
「はぁ、はぁ、はぁ………ふふっ、アハハハっ!流石にこんだけ撃てばあんな図体がデカイだけの化け物でも死に…や……ははっ…嘘、だろ………」
樽型弾倉に装填されていた弾も含めて全弾撃ち尽くすと周囲は硝煙と砂煙で見えなくなり、これだけ撃てば敵も死んだと思っていると…蜂の巣になった納屋に風が吹き、煙が晴れるとそこには無傷の『ペイルライダー』が立っていた。
『ラファール・リヴァイヴ』の操縦者は絶望に染まった顔をしながら最後に見て感じたのは目を焼くほどの眩い光とその身を焦がす程の高熱だった。
「………言っただろ?”俺は”約束を守るってな…」
味方を売ってでも生き残ろうとした男は『ラファール・リヴァイヴ』が撃ち放った銃弾の嵐の巻き添えにより木っ端微塵となる。
そして、無傷の『ペイルライダー』を見て絶望している敵に『
フルチャージの一発によってエレベーターの上半分は高エネルギーにより発せられた熱により溶解し、納屋とその奥の畑や森も熱により溶かされていた。
なによりも恐ろしいのは…エレベーターの床に固定していた『ラファール・リヴァイヴ』の脚部と操縦者の下半身から上が跡形も無くなっていた。
そう、桁違いの高威力によって『絶対防御』ごと消し飛ばしていたのだ。
「ふむ、ちとやり過ぎたか……だが、コアまで破壊する程の威力では無いのは幸いしたな…」
センサーで周囲を散策しながら半壊したエレベーターをどうするか考えていると、エレベーターの床にISのコアが落ちているのを見つければそれを拾い上げ、残りエネルギーを吸い取れば『ラファール・リヴァイヴ』は強制的に待機状態となり床に残った下半身が転がる。
待機状態になったISを『拡張領域』に回収をしつつ生えた腕を伸ばし、半壊したエレベーターを引っぺがせば下の研究所へと一気に降下していく。
「ここが入口だな……さあ、蹂躙と言う名の殺戮ショーの始まりだ」
しばらく降下して最下層に到着すると、目の前に出入口の扉があるのを確認すれば両手を扉に突き刺し、ギッ…ギギギッと音をさせながらこじ開けると同時に、生えた腕を全て伸ばして研究所内へと侵入させる。
扉から少し離れた場所で武器を構えていた兵士や残りの操縦者も扉が開き始めたと同時に、銃火器で応戦するのだが扉が全開になった途端、それはまるでこの世の全ての怨嗟を煮詰めた塊のような真っ黒い濁流の如く研究所内へとなだれ込んでいく。
圧倒的な物量に抵抗も虚しく飲み込まれ、兵士達は悲鳴を上げながら視界は赤と黒の2色に塗り潰され、更には感情が感じられない無数の『龍の眼』で見られながら擦り潰され、引き千切られ、圧殺されていく。
IS操縦者は無数に張り付いた腕が『龍の眼』で自分を見ながらジワジワとシールドエネルギーを吸い取り、浸食していく様を見ているしか出来ない。
自らの死が迫ってくるのに耐えられず、恐怖に染まった顔でどうにかして黒い濁流の中から脱出しようとする。
だが、そんな考えなど虚しく機体は大量の腕による圧倒的な質量で身動きが取れず、シールドエネルギーを全て吸い取られた瞬間、他の兵士達と同じ最後を迎えていた。
「違う…違う………ここも違…見つけた」
黒い濁流は研究所内全域を飲み込みつつも、その中でも明らかに偉そうな人物や何か知っていそうな人物は捕まえ、ロープや拘束具を使って拘束しながら子供達を探していた。
そして、ようやく見つければ残りの処理を終わらせてから子供達が閉じ込められていた扉もこじ開けると、部屋の隅でお互いの身を寄せ合って震えている子供達が居た。
「もう、君達に酷い事をする大人は居ない……この後、やってくる大人達は君達に温かい食事とベッドに綺麗な衣服、そして何より……酷い事はしない。家族の元に帰りたい者が居るならば帰すと約束しよう」
「て、テメエみたいな化け物の言う事なんか信じるわけ無いだろ!失せやがれ化け物!」
「………信じるも信じないも好きにしろ…此処の馬鹿共は俺の逆鱗に触れたからこうなっただけだ………この後でやって来る大人達には酷い事をされないのは『無骸』の『次期当主』、黒瀬龍也が保証する…だから、しばらくこの馬鹿共と待っていろ」
「は?『無骸』だあ?何言っ…「な、なあ!何でも話す!だから命だけは!俺の命だけは助けてくれ!アンタが『無骸』の『次期当主』だったなんて知らなかったんだ!!知っていたらこんな事なんてしていない!」オッサン!いったい何訳の分かんないことを言ってんだよ!」
声が変わったまま、子供達へと話しかける。今の容姿と声で怯えきっているのか小さい悲鳴や泣き声が聞こえる中、子供達のリーダー格であろう子が噛み付いてくる。
なんか、ラウラに似ている子だな…髪や目の色は同じようだが……実験体にされた試験管ベビーの子か?見た感じは他の子も頼っているし、このグループのリーダー的存在みたいだな。
「知らなかったで済むなら俺は来てないんだよ……お前達はお終いだ…我々が全ての情報を手に入れた後、情報はドイツ側と共有。その後で貴様等を差し出し、”処理”をしてもらう…その際にドイツ側が助けてくれると思うなよ?
仮にだが…ドイツ側が貴様等を”処理”しなければ…今回の件が明るみになり、政府の顔が全て変わるだけなのだからな」
「あ…あぁ……終わった…何もかも全て終わった……」
必死に命乞いをしていた男の願いも虚しく、叶う事はない。
この先、自分の未来は死への一方通行しか無いのを理解してしまったのか絶望した顔へと変わり、男達はうなだれて静かになっていく。
「君達、この施設から出たあとは各々で決めた人生を歩む事になる…もちろん、我々が無償で支援するし好きなだけ失敗して学べ。
親兄弟姉妹、親戚の居ない者は我々の元で成人するまで生活をしてもらう事にはなるが、自ら希望するなら養子先を斡旋する…もちろん、その場合も成人するまで支援は続けよう」
「そんな夢物語みたいな上手い話をアタシ達に信用しろって言うのか……笑わせるな!お前もソイツ等と同じ様にアタシ達を実験台にするんだろ!」
「…………信用しろとしか言えない。この先、俺が言った事が本当かどうかをお前が見極め、その子達を導け…」
「もし、アタシ達を騙してたらテメエが地獄に行っても殺しに行ってやるからな」
「それは楽しみだ……どうやら…来たようだな」
やる事を全てやり終え、この施設から出た後の事を子供達へと話す中、それでも信用されていないらしくリーダー格の子に噛みつかれてしまう。
だが、この子達の悪夢の終わりも近付いてきた。遠くからエレベーターの到着した事を知らせる音が鳴り、多数の足音と銃器が擦れる音が近付いてくるのに気付けば『ナイアー』を解除し、『ソニック』の姿に戻って対応し始める。
「────最後に、生き残りは子供達とコイツ等だ。他は全て俺が潰した。後片付けと研究データや誰が支援していたか、全て集めろ…」
「わかりました。この施設の調査を全て完了後は設備を回収し破棄し、埋め立てて再利用不可の状態にします。私達の代わりに施設の制圧、ありがとうございました」
今回の経緯や何をどうなったのか、現場を仕切っている班長へと伝えつつ後片付け以外にも情報を集めるように命令を下す。
「いいさ…ただ、気に入らなかったのと八つ当たりしたかっただけだから………後、俺が拘束されていた隠れ家付近の何処かにエステルが個人で購入したプライベートジェットがあるから返しておいてくれ。座標は送っておいた」
「はい。では、他の方々には内密でエステル様へ返却しておきます」
「俺はそろそろ帰ることにする…頼んだぞ」
「はい。情報は全て引き出させ次第、纏めて送ります。皆、未来のある子供達を実験台にする様な者達に対する慈悲は持ち合わせていないので…直ぐに引き出せるかと思います」
「わかった……ドイツ側に渡す前に壊すな」
「それに関しては心得ていますよ…」
最後にこの場から去る前にと自分が拘束されていた隠れ家の位置情報を送り、その付近にあるエステルが個人所有しているプライベートジェットの回収も頼みつつ壊さないように釘を刺し、最初に侵入した搬入エレベーターへと向かっていくのだった。
「血の匂い……ラウラにバレないよう帰らなければ…」
搬入エレベーターの中を通り外へと出れば上空8万フィートまで上昇すると日本へと帰るため、『トランザム』も使用し通常時の最高速度で飛んでいくのだった。
________________
「サウンドウェーブは…帰還していると言う事はエクスカリバー以外のハッキングは完了しているようだな」
大体1時間を切る速度で飛翔しながら日本領空内へと侵入。そして一気に上昇し大気圏を超え、余計な武装を解除し身軽にしてからシールドエネルギーを円錐状に形成する。
大気圏への侵入角度を調節し、IS学園から少し離れた海に突っ込む形で『瞬時加速』すればシールドエネルギーは空気との摩擦熱で赤く染まる。
更には近くの基地から緊急発進して接近していた戦闘機や軍のISを置いてけぼりにして一直線に海へと突っ込むのだった。
海へ突っ込む道中、『
「一先ず、帰れたな」
海上では正体不明機を見失った事で大慌てなのに、黒い煙に触れればセンサー類がまともに機能しない事で現場は混沌としていた。
そんな事など知ってか知らずか海中深く潜りIS学園付近まで水中を移動し、『ソニック』を解除し『ペイルライダー』に戻せば待機していた『サウンドウェーブ』と合流し、ハッキングして入手したデータの移動も終えてから陸へと上がるとISを解除するのだった。
「返り血まみれ……見つかった場合、なんて言い訳をするべきか…」
日は沈み、外は既に暗くなってはいるが先程の戦闘によりたっぷりと返り血を浴びた龍也。
夏休みで生徒は少ないと言っても0ではない以上、見つかる危険もあるしかなり血生臭い…仕方無いがこの場で予備の服に着替えるしかないだろう。
「血まみれになった衣服は処分確定だな」
近くの木陰に入り全ての衣服と靴を脱ぎ、ゴミ袋に入れて口を縛ってから『拡張領域』に収納しつつ水が入ったペットボトルを数本出せば口を開け、頭から水を被る。
衣服以外に付着した血を水で洗い流してからタオルで拭き、新しい衣服に着換えサンダルを履けば寮へと向って歩いていくのだった。
_______________
「…織斑先生には見つからなかったのは運が良いが………流石に疲れた…」
人の気配を気にしながら歩き、寮の開いている窓から侵入すれば廊下を歩きつつ自分の部屋に戻れば電気も点けず着替えたばかりの服を脱ぎ捨て、シャワールームへと入ればお湯を出し、土埃や乾き始めていた返り血を念入りに洗い流していく……
「…ソ……ク…………ソが…クソが…クソが!クソが!クソが!クソが!クソが!クソがっ!!!!何やってんだよ馬鹿野郎が…何で…何であんなこと……」
全身の汚れをキレイさっぱり洗い流し、しばらくお湯のシャワーをボーッとしながら浴びていると……ガンッ!と、いきなり壁に何度も、何度も、何度も、頭突きをすれば額が切れたのか血が出ると壁に額を押し付けたまま、声を震わせながら涙を流していた。
「…痛ぇ……が、もう傷口が塞がってんのか…」
しばらくして浴室から出てくれば洗面台の鏡で傷口を見ると、既に傷口は塞がり傷痕も消えかけ、ほんの少し赤く腫れている程度にまで回復していた。
シャワーを浴び全身水浸しのまま洗面所から出るとクローゼットを開け、バスタオルを取り出し、全身の水気を拭き取っていく。
新しい下着に着替え、先程まで着ていた衣服も全てゴミ袋に入れて口を縛り、『拡張領域』へと収納した。
「疲れた…色々な意味で疲れた………」
日が落ちて真っ暗な部屋の中、下着姿のままベッドにダイブすれば目を閉じると死んだように深い眠りへと落ちていくのであった。
________________
【マスターの経験値、上限突破を確認。スキルの熟練度が上昇、条件達成によりレベルアップします。
『同時並列思考』Lv.1→Lv.4
通常の思考+4つを同時に並列で思考可能になります。
処理速度が上昇、情報処理時の脳への負担が軽減します。
思考の並列・高速処理による未来予知の制度が上昇します。
『オートマトン』Lv.1→Lv.5
AIによる情報処理能力が向上します。人形を召喚する際、サイズ変更が任意で可能となります。
『
複数の機体を組み合わせ、新しい機体を作ることが可能となります。それにより、マスターの記憶内にある機体が作成可能となり、『Kシステム』内に登録する事が可能になります。
マスターの精神が崩壊する程の重度の精神的負荷を確認。精神・思考部分に齟齬が発生・・・・・・・・原因は2つの魂の融合率が著しく低い事による不具合、倫理観のズレにより2つの魂が擦れあった結果、お互いの魂が疲弊。緊急措置として2つの魂の融合率の上昇を試みます・・・・・・・・・ERROR・・・・・・・・ERROR・・・失敗しました。魂の強度低下により強制的に融合率を上昇させた場合、2つの魂が同時に崩壊し存在そのものが消滅する可能性が出現しました。
魂の保護と強度上昇を最優先。低下した魂の強度を安全圏まで上昇させ、マスターの消滅を回避します・・・・・・・・成功しました。
完全に安全圏へ入るまで魂の保護と強度上昇を最優先とします・・・・システム終了。マスター・・・この先、貴方に幸運があらん事を・・・死線を乗り越え、その先の未来へ進む為の力を手に入れられる事を切に願います・・・・・】
死んだように眠る龍也の首元が赤く光り始め、情報や経験値の処理を始めた『ペイルライダー』。
色々な処理を数時間ほどかけて終わらせると光りは徐々に弱まり、部屋はカーテンの隙間から差し込む月光以外は暗闇に包まれるのだった。
さてさて、今話はどうでしたか?
今回は血の気が多かったので次回は多分、箸休め回となる予定です。
それでは皆様、また次回お会いしましょう
龍也の嫁、増えたら嬉しいか
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YES
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NO