IS 荒ぶる黒龍は咆え、喰らう   作:黒色晩餐

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皆様、お久しぶりでございます

年末の色々で忙しく執筆の手が止まっていた作者です。
では、今年最後の投稿をお楽しみください


45話〜黒兎は微睡みに沈む龍へと己が痕を残す〜

 

 陽は完全に落ち、月明かりが周囲を照らす時間帯に目を覚ました龍也はまだ寝ていたラウラを起こすと夕飯を食べに食堂へと向かい、軽く食事を済ませれば一緒に龍也の部屋へと戻り、寝る支度をしてから同じベッドで眠りにつくのだった。

 

「ん………おはよう、ラウラ」

 

「おはよう龍也。私がイタズラしても起きないくらい熟睡していたな」

 

「イタズラって…何したの?」

 

 闇夜を照らしていた月が顔を隠し、その代わりに太陽が昇って周囲を朝日で照らし、カーテンの隙間から陽が室内をさす頃に目を覚ますと…先に起き、龍也の寝顔を観察していたらしいラウラと視線が合う。

 龍也は寝惚け眼のまま優しい笑みを浮かべ、ラウラの頬を撫でながら挨拶をすればラウラも何時ものように撫でる手へと頬を擦り付けるように甘えていると、彼女の口からイタズラをしたと聞いた龍也は嫌な予感がする中でどんなイタズラをしたのか問いかける。

 

「鏡を見ればすぐにわかるぞ」

 

「なーんか、嫌な予感しかしないなぁ……確認しに行って良いの?」

 

「うむ。好きなだけ確認してこい」

 

「………はぁ…」

 

 ラウラがイタズラが大成功した子供みたいに自慢気と言うか、満足そうと言うか…ちょっと首の辺りがむず痒いし甚平も少しはだけてるしさ…ちょっと洗面所で確認すっか…………ってなんだこりゃ!!

 

「ちょっと、ラウラさーん!?なんで首周り全体にキスマークを残してんのかなー!?」

 

「龍也が私のモノだと言うマーキングだっ!セシリア達以外になら丁度良い虫除けにもなるとこの前、クラリッサから教えてもらったのだ。どうだ?嬉しいだろ?」

 

 そこは自慢気にする所じゃないのよ…朝飯食べに行ったらまた騒がしくなるじゃん…

 マフラーとか巻く以外で隠せない場所にまでキスマーク残してさ…いや、そもそもさ…なんちゅう知識を仕込んどんじゃい…あの自称、日本通のクソボケ副隊長はよっ!

 

「マーキングって…ラウラさんや…ぼかぁねぇ、惚れた相手以外が言い寄っても相手にしないの。例えナイスボディで男100人中、漏れなく全員が惚れるって言われる女性が言い寄ってもガン無視よ?ガン無視。

そもそも、嫁さん以外からのベッドへのお誘いなんざね?無視じゃなくて無言でお相手さんの顔面にドデカイ風穴ブチ開けてやるっての」

 

「だが……そうだとしてもだな、私達以外の女から言い寄られるのを想像するだけで胸の辺りがチクリと痛むのだ…こんな私は嫌いになるか?」

 

 マーキングしたと自慢気な彼女の態度に軽く溜め息を吐きつつ、他の女からのお誘いなんざ無視すると宣言するがそれでも納得がいかない彼女は両手を自身の胸の上に重ね、ギュッと握りしめてしょんぼりとした顔を見せていた。

 ああ、もうっ!そんな、しょんぼりした顔しながら胸を押さえられると何も言えないじゃないか!押し倒して赤面するまで撫で回して、甘やかして、キスしまくりたいぞこんちくしょうめ!

 

「嫌いになんかならないよ…むしろ、可愛いって思うくらいだ。ラウラをこうやって押し倒してさ………そんな考えが起きないくらい愛してあげるつもりだったのに」

 

「っ!?…貴様はどうしてそう言う事を突拍子も無く、恥ずかしがらずにサラッと言うのだ……私を…んっ…こんなにもっ、ドキドキさせて…楽しぃっ…のか?」

 

 ベッドの上で座っているラウラへと近付き、押し倒した後で頬に触れれば優しく撫で、頬を少し赤らめるラウラを見つめながらもう少し近付ければキスが出来るくらいまで顔を近づける。

 キスされるかと思ったのかラウラは目をギュッと瞑り、受け入れる準備をしていたのだが…キスはされず耳元で囁かれる声と、その後に耳を唇で優しく甘噛みされる感触に耳の先まで真っ赤にしながらも抵抗せず受け入れていた。

 

「朝からラウラが可愛すぎるからいけないんだよ?こんなに可愛い反応ばかり見せてくるから……どんな反応するのか、もっと見たくなるじゃないか」

 

「だったらっ……ん、んっ…このまま、愛してくれっ…ても、いいっ…のだぞっ」

 

「それは後でね?先ずは朝食を食べに行こうじゃないか」

 

「……また私だけお預けか…」

 

「これ以上は俺が我慢出来なくなっちゃうから、ね?始めちゃったら、朝食の時間に間に合わなくなっちゃうし」

 

 何度も何度も、耳へと甘噛みし続けながら頬や頭を触ったり髪を梳くように触っていたが途中で甘噛みをやめ、離れてしまうとあからさまに不満そうな顔をするラウラ。

 そんな彼女に自分が我慢出来なくなってしまうからと伝えつつ、朝食を食べに行こうと誘うのだった。

 

「朝食を食べたら…愛してくれるのか?」

 

「それは、昼過ぎかな?」

 

「…何故、昼過ぎなのだ」

 

「夕飯と次の日の朝食を部屋で食べるとするなら、冷蔵庫内の備蓄が無いに等しいし…ラウラを昨日の分まで可愛がるつもりだから昼過ぎからは部屋に籠もるし?

先ずは、明日の昼過ぎまでラウラを可愛がっても問題無いくらいの食料を買い込んで、その後は無茶させた機体の調子をアリーナで確認、かな?」

 

 朝食を食べ終えた後は彼が昨日、宣言した通りになるかと思いきや、昼過ぎまでお預けと言う発言にムッとした表情になりながら龍也の服の袖を引っ張る。

 そんなラウラの隣に座れば肩に手を回して抱き寄せ、昼過ぎになる理由を説明しつつも彼女の機嫌を取るように額や頬へと軽く触れる程度の口付けを始めていく。

 

「んっ…なら、私も一緒にその買い物に行くからな」

 

「じゃあ、夕飯はラウラの食べたい物にしよっか?」

 

「うむっ!だが……龍也の手料理は何でも美味いから何を作ってもらうか悩むな …」

 

「買い物をしながら食べたい物を決めば良いんじゃないか?」

 

「それもそうだな。今日は久々に2人きりになれるのだから、楽しまなければなっ」

 

 そうして、今日の予定をある程度まで決めた2人は制服に着替え朝食を食べに行くのだが…案の定、龍也の首周りに残されたキスマークを見た生徒達が騒ぎ出し、龍也が帰っていた事を知らずに同じクラスの友達と一緒に食堂へと先に来て美味しそうに朝食を食べていた本音からは嫉妬と怒りが混じり合った視線を向けられていた。

 その後だって?学園に帰っていたのを伝えてなかった事を謝ったり、後日だが一緒に出かける約束とか色々な条件を呑む事になったさ…あと、別件でだがシャルとセシリアが戻って来たら皆でプールに行く約束もしたな。

 

__________________

 

 朝食を食べ終え、身支度を整えてから職員室へと向かうとアリーナの使用申請をしに行けば夏休みが始まったばかりと言う事もあってらしく、使用者が少ないらしい。

 すんなりと申請が通れば追加でエネルギータンクを12個も申請してはその理由を説明し、職員室から出ると待っていたラウラが龍也の右腕に抱きついた状態で歩き始める。

 

 その後、寮へと戻ればラウラは今晩の為に、龍也は出かけるから私服へと着替える為に、お互いに準備をするからと一旦別れると、彼が私服へと着替え終わった頃にラウラが荷物を持って部屋に戻って来れば、寮から出て駅へと向かって移動し、モノレールに乗ってショッピングモールに買い物へと向かうのだった。

 

「龍也、随分と買い込むのだな?」

 

「この後、沢山動くし…ね?」

 

「そ、そうだな…や、やっと…やっと私も龍也と…」

 

「……じゃあ、帰ろっか」

 

 2人の両手には食料品と清涼飲料水が詰め込まれているレジ袋を持っているのだが、言わずもがな重い物は龍也が持っており、ラウラはお菓子等の比較的軽いのが詰め込まれたレジ袋を持っていた。

 尚、その他にも箱単位でスポーツドリンクや缶コーラやカップ麺を買っているのだがその他にも持てない分は全て龍也のIS内に収納していた。

 

 そのまま寄り道をせずに真っ直ぐ帰ると持っていた荷物をベッドの上に置いたり、IS内に収納していた荷物を床や机の上に出せば置き場所を確保しつつ軽く整理したり、冷蔵庫内に生鮮食品やその他にも調味料や清涼飲料水等をしまっていく。

 

「っし…行くか」

 

「うむ、そうだな」

 

 時計を確認した龍也は私服から制服へと再度着替え、部屋から出ればアリーナへと向かう。

 ISスーツへと着替えを済ませピット内でISを展開するとアリーナ内へ飛び立ち、アリーナ中央に用意されていたエネルギータンクへと近付けば腕を組んで仁王立ちしている1人の鬼教師が待ち構えていた。

 

「あれ?なんで織斑先生が居るんですか?」

 

「貴様がこんな数を申請するから私が監視役として名指しで指名されたのだ、馬鹿者が」

 

「あちゃー……念の為に多めに申請したのが仇になりましたかねぇ…ま、ラウラと雑談でもしながら監視をしていてくださいよ」

 

「……ボーデヴィッヒも来ているのか」

 

「買い物中も暴走しないか見張るって言っていたんで…ほら、来ましたよ」

 

「龍也、すまない待たせ…きょ、教官!?な、何故!この場にっ」

 

 どうやら、この場で織斑先生が待ち構えていた原因は龍也らしい。

 少し遅れてラウラも来れば機体に隠れて織斑先生が見えなかったらしく、近くまで来てようやくその姿を視認すると驚きを隠せずにいた。

 

「ボーデヴィッヒ、織斑先生と呼べと何度も言っているだろ」

 

「す、すみません……で、ですが何故、織斑先生がこの場に?」

 

「この馬鹿者が何かしらやらかさないかを監視する為にと名指しで指名されたのだ」

 

「そう言う理由でしたか…龍也、いいな?暴走するんじゃないぞ」

 

「はいはい…わかってるよ……暴走は、しないよ…」

 

「……やはり信じられん」

 

 驚きの余り教官呼びをしたラウラは注意されてしょんぼりとして肩を落とすのだが、何故この場に居るのかと理由を聞けば龍也が原因だとの事だ。

 その理由を聞いたラウラはと言えば、龍也の方を向くと年を押す様に暴走するなと言い、それに対して龍也も了承するが今までの行いからしてどうやら、こう言った件に関してはラウラからは信用されていないらしい。

 

「そう言われてもねぇ……んじゃあ、やりますかね…『禍津龍(まがつりゅう)』 発動かーらーの、モード変更『ナイアー』」

 

 申請していたエネルギータンクの1つを持って2人からある程度まで距離を取り、即座に『禍津龍』を起動させると『グラトニー』を経由せずに『ナイアー』へとモードを変更する。

 装甲の隙間と言う隙間から黒いスライムのような粘液が大量に溢れ出し、機体を覆い隠すとその体積をどんどんと増やし、『ナイアー』時の状態を形作り始めると全てが二周り程度か、それ以上に巨大化していく。

 

 大量の粘液を纏った脚部は朧気ながらも『武御雷』の脚の形へと変わり、腰辺りから同じ『武御雷』半身と脚部が形作られると脚部は馬の脚を想像させる様な形へと変わり、粘液の表面が装甲の形に変化すれば硬化し始める。

 上半身の粘液は硬化せず右腕部は『ハングドマン』、左腕部は『ナインボール=セラフ』、胴体は『ショックウェーブ』へと変わり、胸と背に『龍の瞳』の様な大きなモノアイが浮かび上がると下半身と同様に装甲の形に変化し硬化するのだが本来あるはずの頭部は無く、その姿を例えるならば鎧を纏った首無しのケンタウロスとも言える姿へと変わる。

 更には本体背部と『武御雷』半身の背部に本体を形成する際に使われなかった機体の"左腕のみ"が歪な向きや位置で生えた状態で形作られ、全身から余剰分のエネルギーが漏れ出しているかの様に小さな黒い雷を発し、その姿はまるで全身に黒い雷を纏っているかのようだった。

 

「じゃあ、実験を始めようか」

 

 背部から生えている手が伸びると複雑に絡み合い、1つの巨大な左腕に変わったり、そこから更に腕が生えてきたりなどをして動作確認や何処まで自由に動かせるかの確認をしていく。

 そうしている間にもシールドエネルギーが少なくなればエネルギータンクに生えている左腕が勝手に纏わりつき、タンク内のエネルギーを一気に吸収していくのだった。





これにて今年最後の投稿となりますがインフルエンザが流行る中、皆様どうお過ごしですか?
作者の職場でもインフルエンザにかかる人が多くなってきているので、かかるかもしれないと内心ヒヤヒヤしております。

では皆様、良いお年をお過ごしください

龍也の嫁、増えたら嬉しいか

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