IS 荒ぶる黒龍は咆え、喰らう   作:黒色晩餐

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新年が開けてから、かなりの大遅刻となり遅くなりましたが皆様、今年もこの作品共々よろしくお願いします

では、今作もお楽しみいただけると嬉しいです


46話〜始動!機械仕掛けの巨人。黒兎は愛に溺れ、沈みゆく〜

 

「んー…やっぱりグラトニーを経由しないとエネルギーの減りがべらぼうに早い……エネルギーを吸収した矢先にガンガン減ってくぞこれ…

その代わりにイメージ通りに動くし、動かす時のタイムラグは無いが…エネルギー効率が最悪過ぎて長期戦じゃなくて短期決戦用だな…」

 

 ほんの数分で用意したエネルギータンクを4個も消費し空っぽにしてしまう中、機体の損傷具合等を確認しつつデータを取りながら記録し、視界の端では一昨日に更新された機体の情報を流し読みしていた。

 

「ふむ…レベルアップした事で色々と出来るようになった、と………やはり、命をかけない訓練よりも命をかけた戦いの方が取得する経験値は多いみたいだな。

そんじゃあ、レベルアップして新しく手に入れたコイツを早速、使ってみますかね……起動せよデバステーター!」

 

 『ナイアー』での動き方や詳細なデータを採取しつつ機体内に記録されたログを見終わる。

 だが、その間にも離れた場所に纏めて置いてあるエネルギータンクへと伸ばされた腕が更に追加で3個分のタンクを空にしていく。

 

 そして、とある名前を口にすればアリーナ内に複数の建設用車両が実体化し始める。

 実体化した車両がジェット機のエンジン音の様に大きく甲高い起動音をさせながら動き出し、変形し始めると同時に合体していけば30m超えの1つの巨大なロボットへとその姿を変えていく。

 

「ん……鼻血…予想よりも脳に負荷がかかっているか…流石に複数のコンストラクティコンズを同時に出現させ、直ぐに合体させても一瞬だが過負荷気味になるみたいだな…

 複数のロボが合体し、1つの巨大ロボになるのは様式美だが…戦闘では最初から合体済で出した方が脳への負荷は少なくて済むか…」

 

 変形し合体していく様子を静観する龍也だが、鼻から流れ出す液体が口の中に入ると血の味がすれば冷静に分析しつつ、脳への負荷も考えて実戦の場合は最初から合体済で出す事にするのだった。

 

「よし…デバステーター、命令だ。吸引装置は使わず、踏みつけだけで俺へ攻撃しろ。この機体の強度とパワーを見る」

 

 合体し終えた『デバステーター』が龍也からの命令を聞くと左前足を上げ、そのまま龍也を踏み潰す勢いで降ろし踏みつける。

 何度も、何度も、何度も、何度も。執拗と言わんばかりの踏みつけは地面を揺らし、龍也が立っている場所にクレーターを作っていった。

 並の機体ならば中の操縦者も確実にペシャンコとなり、スクラップと成り果てているだろう…だが、『ペイルライダー』は違った。

 

「ふむ…エネルギー消費は経由もしていないか減りは早いが、パワーや装甲値は通常時よりも強化されていると…シャルの灰色の鱗殻(グレー・スケール)が直撃しても耐えられそうだな…次、吸引装置は使わないまま踏みつけ以外も混ぜて攻撃してこい!

 次はコイツの耐久試験だ…チェンジ、ガードナー」

 

 目一杯の出力で踏みつけ、すり潰すように動かしていた『デバステーター』の足が持ち上がり、ほぼ無傷な『ペイルライダー』が姿を見せる。

 そうしてデータを確認した後、次の性能試験へと移るため、『ナイアー』から『ガードナー』へとモードを変えると、全身装甲+追加装甲+『龍皇ノ鱗(ドラグスケイル)』+『アイギス』を装備した防御力特化な姿へと変わる。

 

 尻尾を地面へと深く突き刺し、盾で正面と左右の攻撃から自身を守る様に構えれば『デバステーター』からの攻撃が始まる。

 最初は踏みつけから始まるが途中からは左右からの横薙ぎ、真っ正面から蹴り飛ばしも混ぜながらの攻撃が始まる。

 

「龍也!もう止めろ!それ以上は貴様が死んでしまうぞ!」

 

「待て、ボーデヴィッヒ。よく見てみろ…あの馬鹿者がダメージを受けている様に見えるか?」

 

 金属同士がぶつかり合う音はアリーナ中に響き渡るくらい大きく、どちらかの装甲が破壊されているのか周囲へと飛び散る。

 そんな光景を見させられるだけのラウラが我慢出来る訳もなく、止めに行こうとするがそれを織斑先生が静止させ、よく見ろと言う。

 

「ですがっ!流石にあの質量による攻撃では例えISでも耐えきれる訳が…」

 

「あの馬鹿者を好いていると公言しているのに貴様は何もわかっていないようだな。

入学試験時、奴は半分だが本気を出した私を相手にしエネルギー切れになるまで20分も逃げながら戦った男だぞ?」

 

 苦虫を噛み潰した様な顔をしながら流石にISでも耐えきれないと反論し、龍也が一方的に攻撃される光景を見ていると…

 飛び散った装甲の破片が離れて見ているラウラ達の方へも飛んでいき、手前の地面に落下し、突き刺さる装甲の色は黒で無く黄色だったのだ。

 

「まさか!………そんな…馬鹿な…」

 

 ガキンッ!と音がすれば『ペイルライダー』を叩き潰そうとした『デバステーター』の右前足が動きを止める。

 ギギギッと重苦しい音と共に30m超えの巨体が地面から浮かび上がり、逆さ吊りとなる。

 

「防御力、パワー共に問題無し。だが、やはりエネルギー効率はグラトニーを経由していないと最悪の部類か…よし、これでガードナーの耐久値実験を終了する」

 

 砂埃が晴れると無傷なままの『ペイルライダー』の姿があり、右前足は4本の副腕のみで持ち上げられていた。

 受けたダメージや装甲値を確認しながら収集したデータを纏め、実験を終了する言葉と共に『デバステーター』が光の粒子へと変化し、その姿を消すのであった。

 

「あの馬鹿者をよく見て、その心に刻んでおけ。お前が旦那と呼ぶ男は…あの程度の攻撃でお前達を残して簡単に死ぬ男では無いと言う事を」

 

「はい…」

 

 残りのエネルギータンクを全て空にしてから単一仕様能力を解除し、元の姿に戻るのを見届ける二人だったが…納得していないラウラの表情は何処か不満気であった。

 

「ラウラ、終わったから片付けしたら帰ろっか」

 

「ああ、そうだな。だがな龍也……私が何故、不機嫌なのかわかるか?」

 

「…………心配かけてすまん」

 

 『ペイルライダー』の姿で戻って来た龍也がISを解除しラウラに近付くのだが…腕を組み、不機嫌そうだが今にも泣きそうな目で睨み付けてくる彼女からの視線に耐えきれず、頭を下げ謝罪の言葉を口にするのだった。

 

「ふんっ!!…龍也、もうあんな事をするな。約束するならば退けてやろう」

 

 頭を下げ、謝罪する龍也の鳩尾へ渾身の力を込めたボディーブローを一発かましたラウラ。

 龍也は予想以上の激痛に鳩尾を押さえながら、バランスを崩してしまったのか仰向けに倒れる。

 そんな状態の龍也の腹の上にラウラは跨るようにして体重をかけて乗り、追撃を加えていた。

 

「ごふっ…お゛っ゛ぇ゛……ぐえっ……や…約束は出来ぃっ!?」

 

「私は怒っているのだ。貴様が自分の身体が壊れてしまいそうな無茶ばかりする事に対してな」

 

 約束は出来ないと言いかけた龍也の喉元に部分展開した右腕から出したプラズマ手刀の切っ先が向けられる。

 

「無理、無茶、無謀はISを手に入れた時から覚悟の上だ……それにこの先、俺には今以上の力が必要なのがわかっちまったからな」

 

 下手すればこのまま喉元にプラズマ手刀を突き刺されるかもしれない。

 そんな考えが脳裏を過ぎる龍也だったが、これだけは譲れないのかラウラを真っ直ぐに見つめ答えていた。

 

「だがっ!………だが…それで貴様が壊れてしまっては元も子もないだろっ」

 

「……そこから先の話しは寮の部屋でな?」

 

「誤魔化しや嘘は言わないな?」

 

 ラウラもこのまま引けば龍也を失うかもしれない。ならば、脅してでも止めるしかない。そんな思いが思考を支配しているのか引く気も無く、プラズマ手刀の切っ先を喉元に向けたままでいたのだが…

 

 喉元にプラズマ手刀の切っ先が食い込む事も構わず、龍也の手がラウラの頬に触れ、撫でながら微笑みかけられるとラウラはプラズマ手刀を収納し、部分展開を解除した。

 

「言わない。言わない。ラウラに言っても誤魔化したり嘘ついたらすぐにバレるし、ね?」

 

「ならば良い…どうやら、教官も貴様に聞きたい事があるようだしな」

 

 どちらにせよ後で誤魔化したり、嘘をついた事がバレてしまえば酷い目に遭うのは確実なのだ。

 それならば正直に話すしかないだろう……俺が転生者だと言う事は隠し、そこには触れないようにしながら話すってのは前提条件だがな。

 

「それで、何を聞きたいんですか?」

 

「んんっ!その前にその体勢をどうにかしろ馬鹿ップルが」

 

「…っ!?す、すみません教官っ」

 

 地面に仰向けで倒れた龍也の上に跨がるラウラ。そんな状態のまま織斑先生から話しを聞こうとする龍也。

 だが、咳払いをしその体勢をやめるように言う織斑先生の冷ややかな視線に冷静になったラウラは、自分が何をしてどんな体勢になっているのか気付いたらしく顔を赤くしてサッと素早く龍也から離れ、龍也はゆっくり起き上がると背中についた砂を手で払い落としていた。

 

「ボーデヴィッヒ、織斑先生と言えと何度も言っているだろう」

 

「は、はいっ」

 

「んで、聞きたい事ってなんです?知っている事で答えられる範囲でしか何も言えませんぜ?」

 

「……黒瀬、お前の機体は束が自ら作り出した機体では無いな?」

 

「ええ、もちろん。補足するなら、何処かの企業、軍、テロリスト、ついで言えば一族からの提供って線もないですね」

 

「ならば、誰がお前にそのISを渡した」

 

「さぁ?家に帰ったら俺宛の荷物が来ていてその中に入ってましたけどねぇ…」

 

「お前はこの学園の生徒や教師の味方か?それとも、敵か?」

 

「今の所は、味方ですかね?まあ、学園側が先に敵対してこない限り、俺からは一切、敵対はしませんよ。

俺自身、専守防衛を基本としますが敵に対してのみ先手必勝が基本なんで」

 

「あのデカブツはなんだ…それに、お前のISは他にどれだけの姿を持っている」

 

「さっきのデカいのはデバステーターって言うロボット?ですかねぇ…

どれだけの姿を持っている………のかは、俺もどんくらいあるの?って聞きたいくらいっす」

 

「…お前自身の暴走、もしくはお前の意思に関係なくあのデカブツや他の機体が出現する事は?」

 

「前みたいに死にかけた結果、俺が暴走するって可能性はありますけど…アレ等が俺の命令無しに勝手に出現したり、暴れたりは確実にしないですね」

 

 そして始まる織斑先生からの質問と言う名の尋問。ラウラでさえも龍也の後ろに隠れてしまうくらいの覇気を放ちながら質問をする織斑先生に対し龍也はと言えば、まるで織斑先生から放たれる覇気を無視しているかのような態度で答えていた。

 

「………はぁ…それならば良い。黒瀬、お前は自分が使うISに関する機能を書ける範囲のみ、書いて提出しろ。

あと、使ったエネルギータンクと壊れた地面はお前が片付けろ。私はお前の件を報告しに先に戻る」

 

「了解しました。書ける範囲のみ、ですね…それなら後でレポート形式で提出しますわ」

 

 幾つかの質問の後、眉間を押さえながら大きな溜め息を吐く織斑先生。どうやらこれ以上は質問したとしても有力な情報は手に入れられないと察したらしい。

 書ける範囲でレポート形式の提出をするようにと期限を決めずに言えばついでにと、エネルギータンクの片付けとクレーターが出来た地面を修復しておくように伝え、その場から離れるのであった。

 

「さてと、片付けますかね」

 

「龍也、私も手伝うぞ」

 

「あー……大丈夫。大丈夫。この程度ならすぐに終わるから待ってて?」

 

「っ!?…それはズルいぞ龍也」

 

 織斑先生の姿が見えなくなれば龍也はゆっくりと伸びをし、ラウラは後片付けを手伝うと言うのだが…すぐに終わるから大丈夫だと言う龍也の言葉と、いきなり唇への口付けに顔を真っ赤にさせる。

 

「んじゃあ…埋め立て作業は彼等に任せましょうか」

 

 『ペイルライダー』を展開させた龍也が空になったエネルギータンクを片付ける傍ら、3体の『コンストラクティコンズ』がクレーターを埋めていれば1時間もしない内に後片付けを全て済ませるのであった。

 

__________________

 

 アリーナから寮の部屋へ戻るとサクッと昼食を済ませ、ラウラの要望も聞きながら夕飯を事前に作り終えてしまえばまた、一緒にシャワーを浴びに行く。

 先にラウラが浴び終わったのか浴室から出てしまうのだが少し経ってから龍也も浴室から出るも、用意した着替えが無くなっていたので新しいバスタオルで水滴を軽く拭き取ってから、使ったタオルを腰に巻いた状態で洗面所から出ると…カーテンを締め切り、電気も消して薄暗くした部屋にバスローブを着て眼帯を外したラウラがベッドの上で正座をして待っていた。

 

「ど、どうだ?龍也……その…クラリッサから男はこう言う格好が好みだと聞いて取り寄せたのだが…せ、世間ではしょ、勝負下着と言うらしいなっ」

 

 洗面所から出て来た龍也がベッドの縁に腰掛けたのを見たラウラは恥ずかしいのか少し躊躇うようにしてからバスローブを脱ぎ、肌の色が透けて見えるくらい薄い生地に、白色の生地を使ったフリルと同色の薄いレースの刺繍が入ったランジェリー姿が露わとなる。

 

「…そうだな。ラウラ、可愛いよ」

 

  そんな姿に見惚れる龍也だがゆっくり近づき、頬に触れると優しく微笑みかけながら頬や首筋へと触れる程度の口付けをし始める。

 

「んっ……この姿は…龍也好みだったか?」

 

「物凄く好み。ラウラは無理とかしてないか?」

 

 普段の触れ合い以上に優しく、ゆっくりとラウラを愛でながら胸元付近まで軽く触れる程度の口付けを行いつつ、チラッとラウラの表情を見るとカーテンの隙間から入ってくる日光で彼女の顔が羞恥によってなのか耳の先まで真っ赤に染まっていた。

 

「だ、大丈夫だっ!だが、龍也の好みだと言うなら恥ずかしいのを我慢してクラリッサに頼んで取り寄せたかいもあるな

それにだな…龍也が求めるなら毎日着てや、やらん事もないぞっ!」

 

 龍也からの行為にラウラは小さく反応しながら受け入れつつ、待ちに待った運命の時なのだ。

 この時間を無駄にしてしまわないよう羞恥で今にも茹で上がりそうになるのを彼女は必死に耐えつつ、彼からの言葉に内心では大喜びしていたのか何をどうしたらそんな問いかけが出るのかわからないが、勝負下着を毎日着ようかと言う問いかけをしてしまう。

 

「んー………勝負下着だし、毎日は…いいかな?俺とラウラの2人だけで外に泊りでデートする時とか、ラウラがこうやって誘ってくれる日の夜とか…他だと特別な日に着てくれるだけで十分だよ」

 

「そ、そうか………龍也、私が勝負下着を着ていなくても愛して…くれるか?」

 

 いきなりの問いかけにどう答えれば良いかと悩む龍也。この場面でハッキリ言うのも彼女を傷付けかねないと考えつつ、少し言葉を濁すように言いながらも勝負下着なのだから特別な時に来て欲しいのだと伝える。

 毎日はいいと言われたラウラはシュンとしてあからさまに落ち込み、何か不安に思ってしまったのか更なる問いかけをする。

 

「ああ、もちろんさ。仮にだが今、ラウラが勝負下着を着ていなくても変わらず愛していたぞ」

 

「な、ならいいのだっ!龍也、私を本当の意味で貴様の女に……旦那の最愛の妻の1人にしてくれるな?」

 

 どうやら、これまた随分と不安にさせていたようだな…いや、無意識にだが前より依存している、のか?そこら辺は要注意って事になるな…

 

「言われなくてもラウラは既に俺にとって最愛の妻だぞ。だが、そこまで言うならば仕方無い…ラウラの心と身体にしっかり、教えてやらないとな」

 

「そうしてくれ…私が旦那だけのモノであると、私の中にしっかり刻み込んでくれ」

 

 頬に触れ、髪で隠れていた金色の瞳が見えるようにしてからソっと、優しくベッドに押し倒し覆い被さるように抱きしめれば耳元で低めにした声色で囁やくとラウラも龍也の首に腕を回し、お互いに見つめ合うと唇を深く、深く重ね合わせていくのであった。

 




ようやく、婚約者全員と結ばれる事となりました。

これからは覚悟がキマって色々なやる気に満ちた彼と、幸せの真っ只中で大人の階段を登った彼女達との本格的なイチャラブやら、嫉妬に駆られてだったり、彼の大怪我により鎮まり始めていた独占欲の発生やヤンデレ化が加速したり等々、色々と楽しんで読んでいただけたらと思います

龍也の嫁、増えたら嬉しいか

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