採取に熱中し過ぎて日が傾きはじめてしまった。素材もかなり集まったし、バハリの様子を見に行くとしよう。俺はまたバハリの臭いをかぎ分け、最短ルートでバハリの元へと向かう。移動手段が従来と変わって大分、楽になったな。
バハリは未だに草むらでモンスターの痕跡を探していた。
「一旦、飯にしないか、バハリ?」
「ん?もう、そんな時間か・・・そうだな。携帯食も少なくなって来たし、一旦、キャンプに戻って補充しよう」
俺達はキャンプに戻る。原理は解らんがデカい蟲を使って一瞬でキャンプに戻れるのも便利だな。俺とバハリは一晩明けるまでキャンプを共にし、その間、あれこれと会話をする。
「・・・ほう。これがカムラの砥石か」
「ああ。キミの持っている使い捨ての砥石とは異なり、カムラの里の砥石は丈夫で何度でも利用出来る。キミも片手剣を使うんだから一つくらい持っていると良いだろう。
それは記念に上げるよ。そもそも、俺は研究するのが仕事だからね。それにしても、このデッドリィ・タバルジン・・・だったか?使い古されているが凄い切れ味なのが一目で解るよ」
「色々な片手剣を使って来たが、やはりココット村にいた頃から使っていたこのデッドリィ・タバルジンが一番、手に馴染むんでな。他の村だと、このタバルジンをより強力にした片手剣があるそうなのだが、俺はいまでもココット村で愛用していたこのタバルジンを使い続けている。飛竜も殺す猛毒を生成しているから扱いには気を付けろよ?」
俺達は他愛もない話をしながら、団子を手に夜通し語り合う。
従来のキャンプとは違い、ここは人が一人座れるスペースがあるかないかくらいだ。その代わりに癒し効果のある煙が焚かれて程好く、緊張が癒されて行く。
「それでガランゴルムの調査はどうだった?」
「まだ、これからって感じだね。痕跡らしい痕跡はあるんだけれども暴れたとか、そんな感じではないかな」
「だが、それならば、それで何故、ガランゴルムは自らの縄張りから外に出たか、だな?」
「そう言う事さ。まだまだ調べる事は多そうだ」
バハリは物思いに耽るような顔をしてから俺の空になった器に酒を注ぐ。集会所などで酒を飲む事はあれど、狩り場で飲酒する事自体は禁止されている事なのだが、研究員であるバハリは特に気にしている訳でもなさそうだし、俺も折角の酒なので一杯貰う。
「そっちの進捗はどうなんだい?」
「まずまずだな。なんとか、1ページ目の物資調達がもう少しで終わるところなのだが・・・あとは気になっている事があってな」
「気になっている事?」
「大型モンスターとの遭遇率だ。そもそも、いまの狩り場のモンスターが通常の狩り場より少なく感じる。もしかしたら、ガランゴルムとも何か関係あるのかもな」
「つまり、他にもガランゴルムやルナガロンみたいにモンスターが縄張りを離れている可能性があると?」
「確証はない。あくまでも可能性だけの話だ。それに俺はフクズクとやらを使って把握している訳ではないからな」
そう言って俺はバハリが注いでくれた酒をグイッと飲む。そんなバハリは俺の言葉に何かを考え込む。
「悪いけれど、また意見が欲しいんだ。今回のエルガド内で起きている異変とカムラの里の百竜夜行・・・何処か似ていると思わないかい?」
「モンスターの大移動による災厄か・・・確かに若干、似ているな。だが、エルガドとカムラの里では違うと思うぞ。カムラの里は総出で百竜夜行を退ける力があるらしいが見た限り、エルガドは観測拠点である王国騎士の戦力として分断されているのだろう。
カムラの里の災厄がどんなものかまでは知らないが仮にエルガドでもしも同じ事が起これば、致命的な打撃を受けるだろう」
「やはり、そうなるか・・・」
バハリは腕を組んで考え込んでポツリポツリと語り始める。
「いまから50年前にとある異変がエルガドで起こった。いまは使われていない狩り場に大穴が空いたんだ。その中は大空洞になっているそうだ。
そして、最近になってカムラの里で古龍であるイブシマキヒコを撃退した時に似たような大穴が観測されたらしい。つまり、エルガドとカムラの里で古龍が何かしら働きかけ、モンスターが大移動を開始したと俺は考えている」
「・・・成る程な。あんたは今回の事例はカムラと酷似しているが故に大穴を根城にする古龍か何かが元凶ではないかと睨んでいるのか」
「まあ、そう言う事なんだが王国騎士団の調査が難航していてね。実際に訪れる事が出来ないから可能性の枠を出ないから、まだこれはあくまでも俺の仮説さ」
バハリはそう言って酒を飲み干すと手を叩いて「よし!」と叫ぶ。
「身体も休まったし、俺はもう一仕事させて貰うよ」
「ん?ああ。わかった。俺ももう少ししたら再開しよう」
そう言ってバハリはキャンプから出て行き、それを見送った俺は軽く自分の手を見詰める。気にしないようにしていたが、バハリが言っていた【アルタード・プロジェクト】が風化した都市伝説と断言した事を思い出す。俺と言う成功例を作るのにあの人体実験で多くの孤児仲間達から死人が出たが、現役ハンター達が多く活躍していた時代だ。あの頃のハンター達の多くは何も知らず、ココット村の英雄伝説に憧れたりして集まっただけなのだろう。
だが、俺はーー俺達は違う。幼少期からモンスターとの実戦に参加させられ、人体実験で一人一人とまた失う中で死に抗う為に死に物狂いで生にしがみつき、今日まで生きてきた。そる故に今更、俺に他の生き方など出来る訳もない。
そして、俺達みたいな奴が未だに産み出され続けている可能性もまた、あるのだと知った。あの施設みたいな場所があるとは思いたくないが必要ならば、ギルドナイトがなんとかするだろう。
そもそも、俺に出来るのはモンスターを狩る事だけだ。それ以外の関係ない事は他の奴に任せれば良い。元々、俺は生き抜く為にハンターになっただけだ。いまのところ、老いる事も死ぬ事もないが、俺にも限界と言うものが訪れるのだろう。
それまではひたすら、ハンターとして狩り続けるのみだ。それこそが俺に与えられた運命なのだから。
※【注意】※
昔のモンハンのキャンプは仮眠して体力回復する場所でワールドの段階でアイテムを補充し直したり、武器を変えたり、食事し直したりが出来るようになっているようです。
因みにRISEやサンブレイクだとやはりと言うか、食事は団子。