酒が入り、物思いに耽っていたらしい。横になりたい気分だが、ここのキャンプは寝る為のスペースがないらしいので困る。
俺は意識がはっきりするまで待ち、ポーチの中身を空にして再び採取の為にキャンプを後にする。さて、物資調達に必要なのは・・・と、そんな事を考えながら移動しようとして歩みを止めた。
微かだが、ロアルドロスの鳴き声が聞こえた気がしたからだ。聞こえた位置的に恐らくは近くにいるのだろう。俺はロアルドロスの鳴き声がした方へと駆け出す。
大型モンスターとの久しぶりの遭遇だ。此処で逃がす訳には行くまい。俺は走りながらロアルドロスを目視で確認出来るまで接近するとタバルジンを引き抜いて飛び掛かる。ロアルドロスも俺を敵と認識したのか、威嚇して来た。
先制は俺が貰った。だが、タバルジンは弾かれてしまう。この堅さから察するに恐らくはG級レベルなのだろうな。
大きく仰け反った俺にロアルドロスが再度、吠えたーー瞬間、吹っ飛ばされた。何が起こったのか理解するのに数拍は必要だった。
ロアルドロスは吠えたのではない。水のブレスを吐き出して来たのだ。あまりに透明に純化されて気付かないレベルの水のブレスである。こいつは少し厄介な状況になりそうだ。
俺はロアルドロスの出方を窺いつつ、タバルジンを持つ手を握り締め直す。デッドリィ・タバルジンでは火力不足なのは理解した。だが、決して通用しない訳ではない。
俺はタバルジンを手に再度、ロアルドロスに踏み込む。モンスターには必ず弱点である部位が存在する。先程は爪に当てたが為に弾かれたが、水を吸収する水綿のある首ならば、タバルジンでも通用するだろう。
実際、傷を与える事は出来たがそれでも浅い。踏み込みは完璧だった故にそれだけロアルドロスの首の水綿が分厚いと言う事なのだろう。
こうなれば、タバルジンの毒効果に期待するしかない。俺は呼吸を整えると瞳を金色に輝かせ、飛竜化状態になる。そして、地を蹴って回転斬りでロアルドロスの水綿を斬り裂く。地を蹴って回転斬りまでの動作に一秒くらいか・・・やはり、鈍っているな。
今度はチーズをカットするように水綿を刃を通す事が出来たが、タバルジンが刃零れしてしまった。デッドリィ・タバルジンの欠点は刃零れを起こしやすい事にある。手入れは念入りにしているが、元々刃先の切れ味が良い方ではない。
同時にデッドリィ・タバルジンの本領は此処からである。俺は防御を捨てて斬る事だけに集中する。確かにデッドリィ・タバルジンは刃先が弱い。だが、刃零れした状態だからこそ、刃で生成される猛毒がモンスターを侵食するのである。
実際に効果はあった。しかし、ロアルドロスがようやく、毒で苦しみ出した時には俺の方もかなりの重傷を負っていた。毒で苦しみ出したロアルドロスが逃げる頃には俺もロアルドロスの反撃を喰らいすぎて膝をついてしまう始末だ。おまけに久しぶりの飛竜化状態でスタミナを使いきってしまい、その反動で指一本すらまともに動かせそうにない。
「・・・こりゃあ、ヤバいか」
無理矢理にで肉を焼こうと身体をなんとか動かすが、力が入らずに途中で肉を落としてしまう。思っていたよりも身体に蓄積されたダメージがデカかったらしい。
「・・・ん?」
そんな事を考えている間に魚達が何故か集まって来る。そして、俺が落とした肉目掛けて物凄い勢いで飛び付いて来たのだった。
ーーこうして、G級レベルのロアルドロスとなんとか格闘して一命は取り止めるも俺は魚の群れに襲われて意識を失うのであった。
※【RISE小ネタ】※
水没林の水場で生肉置くと凄い勢いで魚の群れが飛び跳ねる。
この飛び跳ねる魚に触れるとダメージを受け、ノックバックする。
これを応用して罠代わりに仕掛けると大型モンスターでも少なからず、ダメージを与えられ、怯ませる事が出来る。