モンスターハンター【夕闇の不協和音】   作:陰猫(改)

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カムラのハンターとしてのおさらい

 鳥の鳴き声を聞き、俺はムクリと起床する。和式の布団と言うのも悪くはない。

 俺が装備を整え、外へ出ると里は既に活気に満ち溢れていた。だいぶ、早く起きた気がするが、カムラの里の住人の生活は更に早いらしい。

「おはようなのニャ、ネロさん!新鮮な魚が入ったから見てって欲しいニャ!」

「それだったら、うちのおにぎりも見て行きな。いまなら沢庵も付けるよ!」

 本当に朝から凄いもんだ。俺は魚屋であるアイルーと米屋の人妻から魚とおにぎりとやらを買い、一旦、住み処に戻って軽い朝食を済ませる。

 カムラの里から作られた米を炊いたおにぎりと言うのは確かに米虫よりも美味い。こんな美味いもんを食っているのか、カムラの里は?

 

 魚も脂が染みでて更に身も引き締まっている。他の村と同じ種類の魚とはとても思えない程に美味い。

 他の村に比べれば、量的に質素に感じるが味は他の追従を許さない程、かなり上位の美味さである。

 小腹も満たしたし、俺は改めて外へと出掛けヒノエに軽く挨拶を交わして里のクエストとやらを受ける。里に依頼されるクエストも気になったが、まずは狩り場を把握する必要がある。

 俺は里のクエストではなく、探索ツアーを選んで、それをヒノエに渡す。

「探索ツアーですか?・・・てっきり、里に依頼されるクエストだと思ってましたのに」

「場所が違えば、狩り場の勝手も違うだろうからな?」

「あなたは見た目の割になかなか、慎重な方なのですね?・・・それなら、もっと良いクエストをご紹介しますわ」

 そう言ってヒノエが差し出して来たクエストの依頼書を見て、俺も「成る程」と頷く。それはクエストの依頼と言うよりは基礎訓練のおさらいのような内容のクエストであった。

 ココット村では実戦経験で学ぶ事が暗黙の了解だったが、カムラの里では違うらしい。

 俺は「これを頼む」とヒノエに言って依頼書に承認の判子を押して貰う。

「承認しました。頑張って下さいね?」

「ああ。因みに狩り場へはどう向かえば良い?」

「里から狩り場へ向かう場合はオトモ広場と逆にある船着き場を使います。ネロも今後、使う機会が多くなるでしょうから覚えておくと良いでしょう」

「オトモ広場と反対側か・・・解った。覚えておくとしよう」

 俺は早速、狩り場へと向かう。そして、船着き場へと到着すると船を出して貰い、ウツシの指定した狩り場へと移動する。

「やあ、愛弟子よ!狩り場の基礎を学び直したいのかい!」

「ああ。まあ、そんなところだ」

 狩り場に移動した俺は待っていたウツシに頷くとウツシも満足そうに頷き返す。

「良い心掛けだ!よし!早速、おさらいしよう!

 まずは俺が待つポイントまで移動してみてくれ!・・・因みに地図の見方は解るかい?」

「一応、エルガドである程度の此方での常識は教わったが、まだ学ぶ事が多いだろう」

「実際に狩り場で経験した事こそが宝だろうが、それだけでは不安だろう。何かあれば、俺が色々教えよう」

 ウツシはそう言って蟲を使って移動する。このまま、ただウツシの元へと向かうのも有りだが、少しでも狩り場を覚えておきたい。俺はウツシの元へと向かいながら採取可能ポイントを押さえておく。

「お~い!こっちだよ!」

 見えないところからウツシの声が聞こえる。流石に焦らしてしまったらしいが、ウツシはどうやってか此方の行動を把握しているらしい。

 エルガドでフィオレーネに教わった簡易的な回復薬を作って大事に備えて準備してからウツシの元へと向かう。

「やあ、随分と遅かったね?」

「すまない。いまの内に押さえておくべき、採取ポイントを押さえておこうと思ってな」

「ふむ。流石はベテランのハンターだっただけある」

「まあ、待たせた事については悪かった。つい、昔のクセで色々探索してしまった。ココット村と違って移動も制限されてないし、色々出来てしまうので面白くて、夢中になってしまったな。ココット村だと初心者の為だけに大岩で通路を塞がれたりして特定のエリアまでしか移動出来なかったからな」

「・・・また随分と無駄に手間を掛けた事をしているんだね?」

「飛竜の卵を運ぶ時は特に苦労した。安全な通路が塞がれた状態で飛竜から逃げるなんてのもさせられるなんて事もココット村じゃあ、当たり前のようにさせられていたな」

「そうなんだね。でも、わざと通路を塞いだ状態で卵を運ぶか・・・クエストに取り入れてみようかな?」

「勘弁してくれ。あんな思いはこりごりだ」

 俺とウツシはそんな事を語って笑い合う。

「さて、翔蟲のおさらいもしておこう。俺の立っている岩場まで飛んで来れるかい?」

「蟲は数回使った程度だが、なんとかな」

 俺はそう言って蟲を飛ばしてウツシの佇む大岩の上と飛翔する。

「基本的な蟲の使い方は大丈夫そうだね。応用すれば、大型モンスターの攻撃を受けた時の受け身や回避にも使えるだろう」

「そんな使い方もあるのか・・・それもカムラの里の知識か?」

「まあ、そんなところだ。さて、次のおさらいへと進もう」

 ウツシは口笛を吹くと地面からアイルーとガルクが出て来る。

「俺のオトモだ。今回、愛弟子をサポートしてくれるオトモでもある。アイルーとガルクについては大丈夫かい?」

「オトモアイルーは知識があるがガルクは知識がないな」

「それならガルクについて教えよう。ガルクはカムラのハンターの移動手段の一つだ。まずはガルクに騎乗してくれ」

「ガルクに乗るのか?・・・大丈夫なのか?」

「カムラのオトモガルクは鍛練されたガルクだからね。人が乗った程度なら大丈夫だよ」

「人が乗った程度・・・ならの話だろ?」

 そう言って俺はそっとガルクの上に乗ってみる。案の定、ウツシのガルクがペシャリと潰れた。

「・・・そうか。愛弟子は改造人間だったな」

「ああ。だから、通常の人間より重いだろうと思ってはいたが、やはり普通のガルクでは俺の重さは辛いらしいな」

 俺はガルクから降りると申し訳なさそうに「クゥン」と鳴くガルクの頭を撫でた。

「・・・お前のせいではない。俺が特殊過ぎるだけだ。気にするな」

「バフッ」

 そんな俺とガルクのやり取りを見て、ウツシが考え込む。

「通常のガルクがダメ・・・となるとアイツならば、愛弟子に相応しいかもな」

「アイツ?」

「いや、通常の個体より大型のガルクがいるんだが、あまりにも凶暴でね。けれども、愛弟子ならば使いこなせるんじゃないかと・・・」

 ウツシはそう言って何やら考え込んでから頭を振る。

「いや。この話は帰ってからにしよう。まずはおさらいの続きだ。また、俺がいるポイントまで来てくれーー出来れば、寄り道をせずに頼むよ」

 ウツシは翔蟲を使って移動し、俺はそれを見送ってからウツシのオトモ達へ振り返る。

「よし。それじゃあ、俺達も行くとしよう」

「ニャ~」

「バフッ」

 俺とウツシのオトモ達はウツシが待つポイントまで駆け足で向かう。

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