モンスターハンター【夕闇の不協和音】   作:陰猫(改)

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野郎二人の楽しい文通

 俺はウツシを追って駆け出し、追走するようにオトモ達がついて来る。ポッケ村のオトモ達などは放っておくとサボり出すのだが、カムラのオトモ達は確かに優秀だ。採取も率先して協力してくれる。

 これはだいぶ、楽が出来そうだ。そんなこんなで待っていたウツシの元までやって来る。

「ここには様々な動物がいる。狩りで上手く使えば、より有利に立ち回れるだろう。

 俺達はこんな動物達を狩猟動物と呼んでいる。愛弟子の事も色々と手助けしてくれるだろう」

 そう説明してウツシは再び翔蟲を使って移動する。モンスターの骨塚やキノコもあるので少し採取して再びウツシを探して奥へと進む。

「ストップだ、愛弟子」

 そう言われてウツシが制した先には小型の肉食モンスター達がいた。

「経験のあるキミが苦戦する相手ではないが、狩りでの動きを見ておきたい」

「わかった。一日でマスターしたとは思えんがやるだけ、やってみよう」

 俺は地を蹴ると此方に気付いた先頭の小型の肉食モンスターに刃を振り下ろす。悲鳴を上げて仰け反る小型モンスターに追い討ちを掛けて命を奪い、他の小型モンスターを警戒するが、俺が何かするよりも早くウツシのオトモ達が連携して討伐してくれる。本当にカムラのオトモ達は優秀だ。

「見事だ。あとは・・・わかっているね?」

「ああ。剥ぎ取りだろ?」

 俺はそう言って剥ぎ取り用のナイフを取り出し、必要な分だけ剥ぎ取ってからあとは土を掛けてやる。

「なかなか、見事な手際だね。流石は愛弟子だ。さて、今回はファストトラベルでおさらいはおしまいにしよう」

「それはバハリに教わったな。大型の蟲を使ってキャンプに戻るのだろう?」

「正解だ。教わっているのなら話は早い。一緒に移動しよう」

 俺とウツシは最初のキャンプに戻るとウツシは満足そうに頷く。

「これがカムラの里で最も基本的な事だ。また解らないところがあったら声を掛けてくれ」

 ウツシはそう言って狩りが終了した事を告げる照明弾を空に放つ。

「経験がある分、愛弟子は飲み込みが早いね。他の訓練クエストも用意したから良かったら試してみてくれ」

「ああ。そうさせて貰おう」

 こうして、基本的な事のおさらいは終わった。あとは応用である。

 ウツシの事だ。その辺りも抜かりがないのだろう。案の定、戻ってヒノエにその他の訓練クエストを確認したら基本的な事から応用的な事まで揃っていた。まさに至れり尽くせりだ。

「ネロ」

 次のクエストをどれにしようかと悩んでいるとロンディーネが話し掛けて来た。

「ロンディーネか・・・何かあったか?」

「姉上から手紙を預かっている。読んだら至急、返事を頼むとの事だ」

 俺はその内容に目を通し、苦笑してしまう。これはフィオレーネと言うよりはバハリからの手紙だろう。内容はこうである。

『元気か、ネロ。キミがカムラに修行の旅で出て行ったと聞いた時は驚いたが、それがキミの選んだ道なのだろう。それは良い。それはそれとしてキミには研究員としての素養があると俺は思っている。そこはまだ、俺の中でも諦めきれてない事だ。しかし、そんな研究員としてもハンターとしても素養のあるキミだからこそ、相談したい事がある。

 あれから少し経ってガランゴルムの暴れた痕跡を発見した。ある程度のガランゴルムの異変調査を打ち切り、これからエルガドにやって来たハンターとフィオレーネにガランゴルムの狩猟を要請したいのだが俺の勘が正しければ、ガランゴルムは何かと縄張りを争ってたと見ている。地面に水溜まりがあったのを考えると水棲タイプの大型モンスターだろう。そいつはなんらかの手負いの状態でガランゴルムと縄張りを争っていたのだろう。そこで思い出したのがキミが以前、死闘を繰り広げたロアルドロスの存在だ。俺の見立てに間違いがなければ、キミのデッドリィ・タバルジンの猛毒で衰弱しているロアルドロスと狂暴になったガランゴルムが争ったと睨んでいる。

 そのロアルドロスがキミが戦ったロアルドロスか別の個体なのかまでは確証はないが、俺の予想では十中八九、キミと対峙したロアルドロスだと思って良いだろう。ガランゴルムと縄張りを争ったこの衰弱したロアルドロスは縄張りを追い出され、カムラの里へと向かっただろうと俺は見ている。衰弱したとは言え、マスターランククラスのロアルドロスだ。一からハンターをし直しているキミには悪いが、カムラの狩り場にその個体が出たら細かな詳細を教えて欲しい。力尽きたりしなければ、衰弱したロアルドロスは半月程だろう。此方も新しい情報が入り次第、キミに手紙を送る。改めて、宜しく頼む。

 

 ーー追伸。研究員への推薦状が欲しくなったら、いつでも言ってくれ。

 モンスターの研究や生態を調べる面白さをキミとも共有したいと言うのが、いまの俺の気持ちだ。カムラの猛き炎もハンターとしては悪くはないんだが、専門的な意見を言い合えると言う点ではキミとの方が良い関係を作れるだろうと思っている。改めて、研究員の件を考えておいてくれ』

 

 ーーやれやれ。物好きな奴に好かれたもんだ。まあ、悪い気分ではない。

 だが、俺が研究員か・・・ハンターを辞めた時の就職先にでも考えておくか。もっとも、それはいまではないがな。

 俺は手紙を読み終えるとロンディーネに「すぐに返事を書く」と言って仮暮らしの住み処へと向かう。

 自室に戻り、慣れない手紙のやり取りに苦戦しながら返事を書く。

『バハリへ。手紙を読ませて貰った。ロアルドロスの件については感謝する。そいつについては此方でなんとかしよう。

 それと研究員への推薦状についてはいまのところ、保留にさせてくれ。

 他にも何かあれば、宜しく頼む。

 

       ーーネロより』

 

 俺は端的に要点となる部分のみを軽くまとめて書くとロンディーネに渡す。

「もう書き終わったのか?」

「ああ。必要な要点だけを最低限にまとめたからな。火急なのだろう?ーー頼んだぞ」

 俺はそう言ってロンディーネに手紙を渡し、必要そうなクエストのみを選んで最短で上位モンスターと戦える方法を考える。デッドリィ・タバルジンの毒とガランゴルムの縄張り争いで衰弱しているとは言え、マスターランククラスの大型モンスターが迫っているのだ。

 最悪、カムラにいる他のハンターの助力も借りる事になるだろう。それまでに俺は俺で出来る事をするのみだ。

 バハリの予想を元に俺も最低限のランクまで駆け足で登りつめなくてはな。

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