モンスターハンター【夕闇の不協和音】   作:陰猫(改)

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そのハンター、オトモを雇う

 カムラやエルガドにはゲリョスと言う大型モンスターである鳥竜種の個体が存在しない。そう考えるとあのロアルドロスは免疫が機能せず、デッドリィ・タバルジンの猛毒の効果が未だに持続しているのだろう。バハリの予想がはずれ、それでロアルドロスが途中で力尽きたとしても不思議ではないが、念には念を入れておいても問題はないだろう。

 ーーであるのならば、連続して狩猟するのが一番手っ取り早い筈だ。俺はヒノエが提示する契約書を厳選し、同じエリア内で出来る複数の狩りや採取などを選ぶ。

 そんな俺に対してヒノエは「そう焦らなくともなんとかなりますよ」と穏やかな口調でそう言ってくれる。それは猛き炎の存在があるからか、それとも同等のハンターの存在があるからかは俺には解らない。確かに猛き炎を生み出したカムラは優秀だ。

 だが、これは俺自身のケジメの問題だ。同時にベテランのハンターとして胡座を掻いていて知識を取り入れるのをやめてしまった自分自身の戒めでもある。故にあのロアルドロスは俺の手で仕留める。それが勝手に決めた俺の次の目標だ。

 半月と言う短い期間で俺はどれだけ成長出来るのだろうか?

 

 ーー俺はいま一度、それを確かめたくて狩り場へと向かおうとする。

「待ちたまえ、愛弟子よ」

 そんな俺をひき止めるかの如く、ウツシが船着き場の前で仁王立ちして待っていた。

「いまの愛弟子からは焦りの色を感じる。悪いが、いまの愛弟子を狩りへ行かせられないな。こんな時だからこそ、俺達を信じてくれ」

「・・・悪いが、これだけは譲れそうもない。これは俺自身のケジメでもある」

「気持ちは解るが愛弟子よ。いまのキミはココットと言う村のハンターではない。カムラのハンターであり、家族だ。だからこそ、協力し合おう」

 無理矢理にでも強引に行っても仕方がないのは頭では理解しているつもりだ。俺は少し悩んだが、渋々ながらウツシに頷く。そんな俺に安堵するように笑うと俺の肩を叩く。

「事情を教えてくれ、愛弟子よ。一人では限界があるだろう。それにキミのオトモに関する件もある。まだまだ、やることは多いんだ。ゆっくりとやっていけば良いさ」

 ウツシとそんな会話をしながら、俺はオトモ広場へと向かう。

 そこで待っていたのは大型のガルクであった。幾戦もの修羅場を越えただろう無数の傷を持つ紅蓮の毛並みのガルクだ。

「こいつの名前は赤夜叉だ。普通のガルクではなく、野生化したガルクの個体だ。とても獰猛だが、力は他のガルクと比べ物にならない程に強い」

 ウツシがそう言って説明する間、俺はその赤夜叉を観察しながら近付く。赤夜叉も此方の気配に気付いたのか唸りを上げる。

「・・・お前の名を考えた。今日からお前はレオだ」

 俺がそう名付けると赤夜叉ことレオは此方にすり寄って来る。

「・・・もうなついたのかい?」

「とりあえず、獣同士で認めあっただけだ。なつくかどうかはこれからだな」

 俺はそう告げるとレオの頭を撫でる。

「早速だが、レオよ。お前の相方にふさわしいと思う奴を連れて来てくれ」

 レオはしばし、考え込んでから穴を掘って潜る。

「時になんでレオなんだい?」

「幼少期からハンター稼業を一緒にしていたギルドナイトの親友にレオンと言う奴がいてな。

 アルタード化した紅蓮の姿があんな感じだったから名前を借りた」

「・・・時に愛弟子よ。一つ確認するがキミは男付き合いが良いと言われたりしないか?」

「?・・・なんで解ったんだ?」

「・・・そうか。いや、なんでもない。そんな気がしただけだよ」

 ウツシは何かに納得するが、何に納得したんだろうか?

 まあ、良い。俺はレオが再び戻って来るのを待つ。しばらくするとレオは口にアイルーを咥えて戻って来る。

「ニャ~!ボクなんか食べても美味しくないのニャ~!」

 暴れるアイルーを見せつけながらレオは此方を見据える。そんなレオの咥えていたアイルーを見て、ウツシは「ふむ」と何かに納得する。

「赤夜叉はよく解っているらしいね?・・・この子はヒーラータイプのオトモアイルーだ。ただ、オトモとしては日が浅いように見えるが・・・」

「レオが俺を試しているのか・・・それとも、訳ありなのかだろうな」

 俺はウツシと話し込むとそのアイルーを観察する。確かにウツシの言う通り、歴戦のオトモとは異なるが、それ故にレオが連れて来た理由に興味があった。

「お前、名は?」

「ボクですかニャ?ボクはタマですニャ~!」

「タマか。お前は俺のオトモに雇いたい」

「えっ!?で、でも、ボクはオトモとして、まだまだ半人前ですニャ」

「構わん。レオがーー赤夜叉が認めたアイルーだ。丁重に扱わせて貰う」

「そ、そうなんですかニャ?・・・それなら宜しくお願いしますニャ」

 タマがレオに咥えられながら一礼するとレオもそれを見届けてからタマを咥えていた口を開く。レオはレオなりに何か考えがあるのだろう。

「よし。早速だが、この面子で狩りへ行く。宜しくな、タマにレオ」

 俺はそう言ってウツシに顔を向けるとウツシも頷く。これで狩り場への準備は最低限は整った。これでやっと狩り場へと向かう事が出来るだろう。

「おっと、出掛ける前にロアルドロスについて里長とゴコク殿には報告を忘れるなよ、愛弟子よ。マスターランククラスのロアルドロスが出現したとなれば、一般のハンターでは歯が立たないだろうしね。きちんと報告だけはしておくべきだろう」

 出掛けようとした矢先にこれだ。まあ、確かにウツシの言う事はもっともだ。何より報告を忘れてマスターランククラスのロアルドロスが他のハンターを襲ったとあれば、大事になるのは確かだしな。

 俺は「やれやれ」と思いながら里長であるフゲンとゴコクに説明してから狩り場へと出掛ける。

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