狩り場にやって来た俺は支給品をボックスから取り出し、レオとタマと共に進む。レオは俺を乗せる気がないらしく、タマはついてくるので手一杯なようだ。
「それで旦那さん、今回はどんな依頼を受けたのニャ?」
「全部だ」
「・・・へ?」
俺はキョトンとした顔で此方を見るタマに複数の契約書を見せる。
「里のクエスト☆一つのクエストを全て請け負った。終わるまで帰れんと思ってくれ」
「ニャんで!?普通、クエストって一人一つじゃないんですかニャ!?」
「悪いが時間が惜しくてな。完遂自体は俺の計算ではギリギリになるだろうが、問題はない筈だろう」
俺の言葉にレオが「ガウッ!」と鳴き、タマが頭を抱える。
「ひょっとして、とんでもない人がボクの旦那さんになったのかニャ?赤夜叉さん、うらみまーーあ、ごめんなさいですニャ。なんでもないですニャ」
そんなやり取りをしながら俺達は依頼品を採取しつつ、討伐対象を退けていく。
討伐については基本的に俺とレオが前線に立ち、タマが後方で右往左往して戸惑っている間に終わると言うのが、この面子でのお約束となった。
「旦那さん、プロのハンターみたいですニャ。赤夜叉さんも凄いですニャ~」
「いまは構わんが、いずれはお前にもフォローして貰う事があるかも知れん。いまは俺とレオの動きを覚えるだけで良い」
「・・・うっ。責任重大なのニャ」
「それが仲間に背中を預けると言う事だ。いまはまだ、お互いに距離感があるだろうが、その内、お前でも見極められるだろう」
俺はそう告げると砥石で切れ味の落ちた里守の片手剣を研ぐ。
「それで?お前とレオーー赤夜叉とはどう言う関係なんだ?」
「それはボクにもわからないですニャ。赤夜叉さん、どうしてボクを選んだのニャ?」
そんな会話をする気がないのか、レオはさっさと前を歩き出す。そんなレオの様子にタマは「なんニャのな、あの態度!」と憤慨するが、俺が思うにレオはそこまで言及する程の距離感ではないのだろうと思う事にした。いずれはレオから何かしら言って来るかも知れないが、まだその時ではないのだろう。
もう少しレオとタマを知ってから改めて、レオに聞いてみるのもアリかも知れん。そんな事を考えながら俺は狩り場での依頼をこなして行く。
もっとも簡単なクエストであった事もあり、時間ギリギリにはなんとかクエスト目標を達成した。
「・・・ゼエ・・・ゼエ・・・やっと終わったのニャ」
「ご苦労だったな。帰ったら緊急クエストに受けるつもりだから、いまの内にゆっくり休んでおけ」
「・・・し、死んじゃうニャ~」
タマにはあまり余裕がなさそうだったが、レオはまだ大丈夫そうだ。まあ、相手は恐らくはアオアシラだろうし、大丈夫だろう。
帰ってから俺は早速、ランクアップの為の緊急クエストを受けるが、ヒノエは少し心配そうであった。
「本当に大丈夫ですか、ネロ?」
「問題ないと思うが、何か気になる事でめあるのか?」
「相手はオサイズチです。イズチと言う小型モンスターを従えるモンスターですが、私の目から見てもネロ・・・と言うよりも、そちらの子には荷が重いかと・・・」
そう言ってヒノエはチラリとタマに視線を落とす。確かにタマには荷が重い内容かも知れんな・・・一旦、タマだけ置いてから出発するか?
そんな事を考えているとレオと視線が合う。レオは「ガウッ!」と一声吠えてタマを背中に乗せる。
「・・・フォローするから連れて行けと言う事で合っているか?」
俺の質問にレオは一声吠えてから頷く。レオの意図はまだ解らんが何かしらの理由があるのだろう。ならば、此方が配慮してやるか・・・。
「オサイズチだったか・・・クエストは受ける。一応、この面子でな」
「かしこまりました。お気をつけて」
俺はヒノエから緊急クエストの契約書を受けるとレオとタマと共に再び狩り場へと移動する。
「・・・本当に休む暇がないのニャ。旦那さんはなんで、そんなに急いでいるのニャ?」
「カムラの里にマスターランククラスのロアルドロスが来るからだ。そいつとは少し訳ありでな。俺のわがままなのは解っているが、どうしてもロアルドロスとケリを着けておきたい」
「ニャ・・・マスターランクのロアルドロスですかニャ?」
「要は里の上位モンスターより強いモンスターだ」
「ニャニャ!?そんな奴と戦うつもりですかニャ!?」
「ああ・・・まあ、そのロアルドロスがカムラに来る原因は俺にもあるようだしな」
そんな会話をするとタマが頭を抱えて、うずくまる。
そんなタマとのやり取りをしている最中、俺の視線はレオに向けられていた。レオの方は此方を見るでなく、タマをジッと見ている。その様子はベテランのハンターが新米ハンターを気遣うそれに似ている。
これは俺の勘だが、レオとタマには何か因縁めいた何かがあるのだろう。それが何なのかは狩りを続けながら知っていくとしよう。