モンスターハンター【夕闇の不協和音】   作:陰猫(改)

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能あるアイルーは爪を隠す

 俺はカムラの里のメインとなる狩り場ーー大社跡を再び訪れ、モンスターの臭いをかぎ分ける。微かだが、獣タイプのモンスターがエリアに残す独特な臭みがある。相手はいままで戦った事のないオサイズチと云うモンスターだ。下位とは言え、この独特の緊張感は幾つになっても興奮する。

「・・・よし。行くか」

 俺は気合いを入れ、エリアを移動する。その後方からレオがついて来て、タマが慎重に辺りを探りながら進む。

 相手の位置は把握済みだが、油断は出来ないだろう。此方の連携不足も考えると速攻撃破よりも連携重視で行動すべきであろうか・・・そんな事を考えつつ、オサイズチと呼ばれるモンスターへと迫る。

 オサイズチは他の小型肉食モンスターより二回り程でかく、常に二匹の同種の小型モンスターを引き連れていた。

 攻め方は出来ているが、タマが連携について来れるだろうか・・・それを見る為にもオサイズチを牽制する必要がある。

 俺は腰のポーチからカムラの里のクナイを取り出すとオサイズチ達の後方を狙って投げ付ける。そして、音に振り返ったオサイズチへと駆け出す。レオもそれを理解したのか、俺と共にオサイズチが引き連れていた二体の小型モンスターへと奇襲する。

 戦法としては此方が奇襲を仕掛ける事でオサイズチ達の連携を妨害し、メインであるオサイズチを仕留めると言うものである。何の説明もしなかったが、場数慣れしているレオは理解してくれたらしい。

 タマの方は相変わらず、戸惑っているが、レオと連携する事を選んだらしいな。俺は小型モンスターを斬り捨てるとオサイズチを見据える。

 そんなオサイズチは多少、混乱しているとは言えども状況をすぐに理解する程、冷静だったらしい。数で攻めて来る同様のモンスターであるドスランポスなんかをイメージしていたが、オサイズチはドスランポスよりも賢いようだ。

 すぐさま、雄叫びを上げ、二匹の代わりになる新しい小型モンスターをすぐに呼び寄せる。

 ・・・成る程。確かにいままでにない相手だ。

 

 俺は小型モンスターを相手にするのを止め、オサイズチだけを狙う。だが、オサイズチが狙っていたのは俺ではなく、タマであった。

「ーーちっ!」

 連携の為に踏み込みが甘かったのが仇になった。俺は突進して来るオサイズチを盾で妨害するが、引き連れていた小型モンスター二体が俺の横をすり抜けて行く。そんな小型モンスターに気付いてレオがタマの前に立ち塞がる。

「赤夜叉さん!?」

 自分が狙われて戸惑うタマを背にレオが小型モンスターを牽制する為に飛び掛かって行く。

 俺もまたオサイズチの突進の力を受け流しながらレオ達の方へと下がる。オサイズチが再び吠え、小型モンスター二体も下がって行く。その手口はなかなかに利口だ。

 様子からするに此方が攻め込む前にオサイズチ達が間合いを見直したようだ。俺とレオはタマを守るように身構える。

 それを見て、オサイズチは左右に控える小型モンスターに頷く。これは非常にまずい。

「タマ」

「は、はいニャ!」

「お前だけでも逃がしてやりたいところだが、奴らの狙いはお前だ。お前が逃げたとしてもあいつらは追い掛けて行くだろう」

「な、なんで、そう思うんですかニャ?」

「オサイズチは俺が思うより利口らしい。ドスランポスという同じ鳥竜種だと認識していたが、それが裏目に出てしまった。それにこのオサイズチの小型モンスターとの連携・・・場数慣れしている証拠だ。何よりオサイズチ達はもう俺やレオを見ていない。連携の綻びが出るのを待っている。つまり、タマが逃げ出すのを待っているって訳だ」

「そ、そんニャ~」

「ああ。だから、無理を承知で言っておく」

 俺はこの状況の中で笑うとジリジリと前へとにじり寄りながらタマに次の言葉を放つ。

「お前の思う通りに動け。俺もレオもそれに合わせる」

 俺の言葉にタマは何を思ったのか土を掘って逃げ出すーーいや、気配からするに逃げたとは違うな。

「成る程・・・そういう事なんだな、レオ?」

「ガウッ!」

 タマの行動を理解するとレオが一声鳴く。レオがタマを選んだ理由は単に此方を試す為に未熟なルーラーを選んだ訳ではなさそうだ。タマには他のオトモにはないタイプ故にレオが選んだと見るべきか。

「旦那さん!」

「ああ。たったいま、お前を何故、レオが指名したのかを理解した。"指示は任せるぞ?"」

 俺は頭上から聞こえるタマの言葉に頷くとタマの指示通りにレオと動く。恐らく、タマの生まれながら持った才能なのだろう。レオはそれを見抜いたのだ。タマの他のオトモにないスキルーーいや、個性というべきか。

 名を付けるとするのならば、即ち『軍師』と言ったところだろう。レオがいつ、その個性に気付いたかは解らんが、考えるより動く俺やレオには必須の存在だ。

「旦那さん、次の攻撃は時間差攻撃ニャ。小型モンスターの連携攻撃にも注意だニャ」

「了解した」

「オサイズチ達の時間差攻撃のあとは隙が出来るニャ。その時こそがーー」

 

「「反撃のチャンス」」

 

 俺はオサイズチの振り下ろされる尻尾の攻撃を左に避け、続く小型モンスターの追撃を盾で防ぐとようやく、隙を見せたオサイズチに斬り掛かって行く。

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