モンスターハンター【夕闇の不協和音】   作:陰猫(改)

3 / 24
カムラの里の団子にそのハンターも感激する

「・・・あの、先程はすみません」

「ん?ああ。いや、俺の方こそ、すまんな」

 

 俺とおひめさんは改めて、観測拠点エルガドで経営されているアイルーの団子屋の空いている席に腰を下ろす。ビールはなかったが、カムラの里で製造されている米酒なるものならあるそうだ。

 それにしても、エルガドの観測拠点だったかーー周りの食事する連中などを見た限り、団子と言ってもココット村やポッケ村のキッチンとも量がある訳ではないようだが、この程度の量でハンター達が満腹にする事が出来るのか?食が細そいとしても細すぎやしないか?

 

 まあ、良い。一応、アイルー達の腕は良いんだ。材料が傷んでいたりしない限りは失敗する事もあるまい・・・多分。

「この方にお団子をお願いしますね」

「かしこまりましたニャ~」

 おひめさんが看板娘ーーもとい、看板アイルーに注文するとそのアイルーはどこかに手を振る。その先に目を向けると遠くに鉄の馬車のような代物に乗ったアイルー達がいた。

「あれはなんだ?」

「蒸気機関車です。アイルーさん達の機関車によって様々な物が運ばれます。例えば、鉱石とか」

「成る程な。原理は解らんが、便利そうではあるな」

 そんな話をしているとアイルーが持つ木製の器に何かが三段重ねで乗せられる。

「あれがお団子の生地です。カムラの里から直接、船を使って輸入されています」

「船でか?なら、鮮度管理とかは大変なんじゃないのか?」

「そこは問題ありません。アイルーさん達は優秀ですから」

「・・・本当か?食ってみたら腹を壊す奴とかいないのか?」

「・・・むっ。逆に聞きますけれど、なんでそんなにアイルーさん達を疑うんですか?アイルーさん達に何か嫌な思い出でもあるんですか?」

「ああ。ココット村ではアイルーにキッチンを任せて阿鼻叫喚なのは日常茶飯事だったからな。アイルー達の作る飯を食ったら何かが傷んでいたなんて話はよく聞いていた。狩りに出る直前にアイルー達の作った食事を食ってトイレから出られなくなった奴なんかもいたくらいだ」

「・・・そ、そうなんですね。確かにそれは嫌ですね」

 そんな話をおひめさんと話しているとアイルー達を乗せた機関車が物凄いスピードで突っ込んで来て、緊急停止で団子屋の横に止まる。

「・・・本当に大丈夫なのか?」

「乾燥させたお団子の生地を蒸らして再度、柔らかい状態にし直すので鮮度を守る為らしいです。お団子の時以外ではこんなにスピードを出しません」

「一つ聞きたい事があるが構わんか?」

「なんでしょう?」

「原理までは知らんが、それなら乾燥させた団子の生地とやらを団子屋で蒸らしてみれば良かったんじゃないか?」

「・・・ああ。成る程。確かにそうですね?」

 俺の言葉におひめさんも盲点だったと納得したようだ。エルガドの食事事情までは知らんが、元々は観測する為の拠点となる場所だったんだ。そうであるのならば、団子一つの為に施設を改造する訳にもいかん筈だろう。そんな事を考えながら俺は団子作りを続けるアイルー達を観察する。

 蒸気機関車のアイルー達はやや不安だったが、団子の生地を受け取った団子屋のアイルー達の腕は本物だった。恐らく、一匹でもココット村のキッチンに居てくれれば、ココット村はアイルーキッチン問題は改善されていたのだろうーーそんな事を思いながら俺は看板アイルーが置いた串に刺さった三本の団子に視線を移す。

 アイルー達の腕は確かなのは解った。だが、今まで食って来た料理からするとかなり質素な方だ。これは正式にハンターになったら俺の分は多めにでも作って貰うか・・・そんな事を考えながら団子を一つ手に取ろうとして俺はその考えが間違いだと気付く。

 アイルー達の様々な料理を食って来たが、これは量ではなく、質を極めた一品だ。一見すると質素に見えるが、見た目とは裏腹に団子が想像より重い。俺は一口、串に刺さった団子に口に運んで、ゆっくりと味わって飲み込む。

 モチモチした団子の食感と素材の味わい、ほのかな甘味ーー成る程。確かにこれは美味い。しかも腹持ちが良いときている。

 団子は三本しかないと思ったが、三本もあるの間違いだ。

 この団子一本で並みの奴の腹を満たすくらいの満腹感を味わえる。

「・・・成る程な。おひめさんの言う通り、これはなかなかに美味いもんだ」

「カムラのハンターさん達は一口でお団子を食べてしまうんだとかと聞いています」

「この団子を一口でか?・・・なんとも豪快な食い方をするんだな?」

 俺はそう言って、その食べ方を早速実践したが危うく、喉を詰まらせかけた。

 おひめさんが慌てて置いてくれた熱い番茶なる物で喉を潤し、喉の団子を胃に流し込む。

「ぷはー!・・・いまのは流石にヤバかったな」

「ヒヤヒヤさせないで下さい。あれはお団子を食べ慣れているカムラの里のハンターさんだから出来る事なんですから」

「そうらしいな。次からは気を付けよう」

 俺はそう言って団子を自分のペースで食べる。団子と番茶が程好くマッチして、なんとも穏やかな気分になって来る。

 こんな状態で狩りに出掛けるカムラの里の人間とやらは人間が出来てそうだ。

 三本目も平らげ、腹も膨れた。普段の量による満腹感とは違うが、気分としては充実している。

「ふう。美味かった。おひめさんの言う通り、カムラの里とやらの本場の団子って物を食ってみたくなるもんだな?」

「そうでしょう?・・・ネロさんがお団子をお気に召されたなら何よりです」

 おひめさんはそう言って笑うと早速、紹介状作りと仮登録申請の書類作りを開始する。

「改めまして、ネロさんのハンター登録の為の書類を作ります。幾つか質問しますので正直に答えて下さいね?」

「わかった。宜しく頼む」

 俺はおひめさんに頷くとおひめさんのする質問に正直に答えた。

 

※【注意】※

 

昔のモンハンあるある。

組み合わせ次第で食材が傷んでいたりでライフゲージやスタミナのMAXゲージが減る為、キッチンのスキルで選ぶか、組み合わせで選ぶかを悩まされる。

キッチンアイルーを五匹雇う時は肉類と野菜類の組み合わせを選ぶのが、一番無難だと思われる。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。