モンスターハンター【夕闇の不協和音】   作:陰猫(改)

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考える前に即行動

 ある程度の違いを把握しながら俺は必要物資の採取などを続ける。

「素材玉無しで閃光玉を作れるのはデカいな。あとはペイントボールや煙玉とか作れりゃ良いんだがな」

「すまないが、どちらもエルガドの地では聞かないな」

「流石にこれだけ従来の常識だと思っていた事がぶっ壊されて今更、驚きはせんが、どうやって大型モンスターの行動を把握しているんだ?」

「フクズクを使う事で大体の事は事足りる。それに大型モンスター同士が鉢合わせしてくれれば、縄張り争いが始まる。そうなったら操竜も出来て追い込む事が出来る」

「・・・それもカムラの里の技術の応用か。ここまで違いを見せ付けられると俺はまだ新米と変わらんな」

「ベテランのハンターとしての経験があるだけ、貴殿は凄いのは認めるがーー」

「カムラの里のハンターには及ばない、か・・・やれやれ」

 俺は溜め息を漏らしながら立ち上がり、採取した物をポーチに入れる。ここまで技術的な差を見せ付けられるといっそ清々しささえ感じる。その分、俺もカムラの応用知識とやら取り入れて成長出来る要素がある訳だが、カムラの里で一から技術を教わり、成長していくカムラのハンターには遠く及ばないだろう。カムラの里のハンターを越える道のりは険しそうだ。

 そんな事を考えていると遠くで枝の折れる音を聞き、俺は警戒を強める。遅れてフィオレーネのガルクが耳を立てて一声吠える。

「・・・何かいるな?」

「私のガルクも反応している。しかし、ガルクより反応するとか凄いな?」

「伊達にこんな身体でハンターをして来た訳ではないからな・・・足音からするに気配を殺して移動しているらしい。この微かな足音から察するに人間のようだな?」

「人間、だと・・・こんな場所に・・・いや、心当たりがない訳ではないな」

 そんな話をしている間にそれとは別に複数の気配と音がする。恐らく、小型の肉食モンスターだろう。

「少し様子を見て来る」

「一人で大丈夫なのか?」

「まあ、肩慣らしも兼ねて軽く動くだけだ。蟲の扱いにも慣れておきたい」

「この短期間でもう常識とやらを捨てられたのか・・・」

「それも踏まえての準備運動って奴だ。何かあれば遠慮なく、助けを呼ばせて貰うさ」

 俺はそう言って蟲を使って最短距離でその場へと向かう。目にしたのは取り囲まれた竜人族とランポスのような小型肉食モンスターの群れが対峙していた。

 俺は自由落下しつつ、竜人族の男に飛び掛かろうとした小型モンスターにのし掛かり、腰からデッドリィ・タバルジンを素早く引き抜いてモンスターの首を斬り捨てる。

「・・・まずは一つ」

 そう呟きながら俺は驚く他の小型モンスターが行動する前に前転して近付き、袈裟斬りで二匹目を切り裂く。そして、盾を持つ手で殴り、その殴った小型モンスターを他の小型モンスターに叩き付けた。

 その先には木があり、もみくちゃになりながら二匹の小型モンスターがぶつかり、その怯んだ小型モンスター達に回転斬りを放って、一文字に斬り捨てて二匹同時に命を奪う。

 この程度ならば、飛竜の力は必要ないだろうが、まだ他の生きのある小型モンスター達が迷っている。

 

【GAAAAAAAA!!】

 

 俺がだめ押しにリオレウス独特の雄叫びを上げると小型モンスターはようやく、分が悪い事を察して逃げ出して行く。俺はそれを見送ってから軽くタバルジンに付着した血を払い、腰に戻しながら竜人族の男に振り返る。

「見事なもんだ・・・キミがカムラの里の助っ人さん?」

「いや、俺はネロ。ココット村の出身のハンターだ」

「ああ。提督が調べて欲しいって言っていた都市伝説の人の方ね?」

 そう言うとそいつは何かを思い出したように再び背を向け、周囲を探りながら言葉を続ける。

「確かに【アルタード・プロジェクト】は魅力的だ。とは言え、モンスターを研究するエキスパートとしての意見としては、ハッキリ言ってやっている事はナンセンスだね。飛竜種の力を人間が使えるのは確かに浪漫があるのは認める。それは解らなくもない。けれど、その為に情報の少ない大型モンスターを倒せるハンターは複数人は必須だろうし、当時の臓器移植への加工や手間のエキスパートが何人いたかーー何よりも被験者が拒否反応を起こして、普通は使い物にならない。それに飛竜種も常に変化している。一時期に飛竜種の力を得たとしてもモンスターの生態が変われば結局は宝の持ち腐れになるだろう。

 それだったら環境に適応したハンターを育成してモンスターを研究した方がコスト面や人件費を考えるとよっぽどマシだね。だから、都市伝説として風化した。それが専門家としての俺の意見だ」

 その竜人族の男はそう言うと何かを考え込む。その痕跡を観察して見て俺も考え込んだ。

「こいつは大型モンスターか何かの痕跡か。木々に残った爪跡からするに身のこなしの素早い奴だな・・・痕跡から察するに狼か何かに似たモンスターとかか?」

 俺がそう分析すると竜人族の男は感心するように頷きながら此方に向き直ってニヤニヤと笑う。

「ネロだっけ?キミ、ハンターより研究する方が向いているんじゃない?」

 そう言ってから竜人族の男はもう一度、痕跡に顔を戻して此方に近付きながら説明してくれる。

「・・・確かにこいつはエルガドに生息するルナガロンと言うモンスターのものだ。お察しの通り、狼に似た大型モンスターだが、ジンオウガよりも素早い」

「そのモンスターが突発的にか何かで他の何かに狙いを定めた。ここからだと丁度、下に海面か何かが見えるな・・・恐らく、水棲型の大型モンスターを獲物と捉えた。船はないだろうな。それだったら、既に大事になっているだろう」

「俺も同意見だ。そして、そいつを追い掛ける為にルナガロンは本来は出ないエルガドの狩り場から出て行った」

 俺とその竜人族の男は痕跡を観察しながら更にその視線を奥へと向けた。

「この先には何がある?」

「人間にとっては未開の地だ。そして、更にその遠方にはカムラの里がある」

「モンスターの足にもよるがそいつは恐らくだが、十中八九でカムラの里の狩り場で一悶着を起こすと考えた方が良いだろう。仮にルナガロンとやらが陸路を使って獲物であるモンスターを追って行ったとしたら、カムラの里の狩り場に到着するのは、どれくらいだと思う?」

「一週間から十日くらいか・・・下手すりゃあ、もう少し早いかも知れないな」

「そうなると察するに此方が追い付くにはーー」

「海を渡ってギリギリ間に合うか・・・だな」

 俺と竜人族の男はそう分析し合い、答えを出すとお互いに何も言わす、最善を尽くす為に動く。俺は男に背を向け、フィオレーネの元へと駆け出す。結局、男については解らずに終わったが、事態はそれどころではないらしい。

「ネロ?・・・どうした、そんなに慌てて?」

「緊急事態だ。狩りに付き合って貰っていたのに悪いが、お前は今すぐにでも船出を出来る準備をしておけ」

「船出?それはどう言うーー」

「帰る道中で話す。事態は一刻の猶予もなさそうだからな」

 俺はそう告げるとクエスト終了を告げる為の照明弾を放つのであった。

 

 ーーそれからしばらくして俺と竜人族の男の予想通りにカムラの里で本来では見られる事がない筈のダイミョウザザミが目撃されたと言う。

 

※【注意】※

 

ペイントボールなどはRISEでは削除され、代わりにフクズクが空から監視してくれるので予想進路や他の大型モンスターを観察してくれています。

また、ゲーム上、特定のモンスター同士による縄張り争いと言うモーションもあります。

尚、この竜人族の男についてはサンブレイクを進めた方ならば、お察しの通りでバハリです。

二人共も行動が研究、ハンターのプロフェッショナル過ぎてイメージ的に挨拶より先に行動を優先するでしょうから、この結果に・・・挨拶くらいは普通に書かせてくれorz

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