蓮ノ空スクールアイドル録   作:松兄

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第99話:発令

あの後、3ユニットそれぞれで「どうすれば北陸地区大会を突破できるか?」を考えるために分かれていた。

 

 

 

ー DOLLCHESTRA ー

 

さやか「配信ならできて、会場だとできない演出って、どんなのがあるんでしょうか」

 

綴理「うーん……ロケーションとか、かな?」

 

さやか「なるほど。確かに、蓮ノ空の校庭でライブするのは、シチュエーションとしても気持ちよさそうですね!」

 

綴理「すごい雪に腰まで埋まって、動けるところだけで表現する。うん、会場じゃできない」

 

さやか「できませんけど! できないからなんなんですか!?」

 

綴理「そこで大爆発が起きて、全部の雪が水に、雫に変わって弾けるんだ。 一瞬で、燃え盛る熱いステージになって――」

 

さやか「お外でも危なくてできませんよ!」

 

本人はいたって真面目だが、綴理ワールド全開で平常運転だった……。

 

 

 

ー みらくらぱーく! ー

 

慈「スクコネでライブを配信するのって、実際メリットあると思うんだよね」

 

瑠璃乃「ってーとー?」

 

慈「だってほら、会場だと見に来れない人もいっぱいいるでしょ? めぐちゃん推しのみんなは世界各地にいるんだから! そんな、すべての人がリアルタイムで応援してくれるとか、これはぜったい盛り上がるってわけだよ!!」

 

瑠璃乃「おお、確かに! 会場の控え室までダンボールハウスもってくのはしんどみだけど、配信ライブなら開始1分前まで充電切れてていいんだもんね!」

 

慈「そうだね! それ、すっごく後ろ向きに前向きな意見だね!」

 

こちらも幼馴染たちで盛り上がっていた。

 

 

 

ー スリーズブーケ ー

 

花帆「………………」

 

花帆は、スマホ片手に過去の自身の配信を見返していた。

 

花帆『こんにちは! 蓮ノ空学院スクールアイドルクラブ、日野下花帆ですっ!』

 

すると……、

 

梢「そろそろ練習を再開しましょうか。花帆さん?」

 

花帆「あっ、ごめんなさい!」

 

梢「なにを見ていたの? スクコネ?」

 

花帆「あの、えっと、サボってるわけじゃなくて……」

 

梢「分かっているわ。………それにしても、花帆さんも、ずいぶん応援してくれる人が増えたわね。こまめに配信を続けてきたものね」

 

花帆「は、はい。そうです。そうなんです。いろんな人が、応援してくれて………。でも、〈ネット禁止令〉が校則になっちゃったら、 もうみんなに会えなくなるのかなあ……って」

 

梢「………そうね」 

 

花帆「ネット配信で北陸大会に出るぞ! って思ってから〈ネット禁止令〉について改めてよく考えてみたら……。あたし、今までなんとなく〈ネット禁止令〉ってどういうものかわかってなかったっていうか……。スクコネが使えなくなっちゃうなんて困るよ〜。ぐらいの気持ちだったんですけど………。でも、昔の動画を見てて、思ったんです」

 

そして花帆は、スクールアイドルクラブに入部したばかりの頃を思い返す。

 

花帆「スクコネには、あたしがスクールアイドルクラブに入ったばかりのつぼみだった頃から、ずっと見守ってくれてた人がたくさんいて……」

 

花帆「あたし、あんまり歌もダンスも、トークだって上手じゃなかったのに、 いっぱいコメントくれたり、応援してくれたりして………」

 

花帆「スクコネが使えなくなるってことは、そんな人たちとの繋がりが、ぜんぶ無くなっちゃうかもってことなんですよね」

 

梢「……ええ、そうよ。だからそんなことは、させない。大切な場所を守るために、がんばりましょう。みんなも、きっと同じ想いよ」

 

 

その日の晩……女子寮

 

綴理「スクールアイドルには、ひとりじゃなれないんだ。応援してくれる人のおかげで、 ボクはスクールアイドルだって、胸をを張って言える。 大好きなスクールアイドルになれたんだ」

 

さやか「わたしも……。最初は配信ってすごく苦手だったんですけど。でも、皆さんずっと優しくしてくださって。がんばっていることそのものを、見てくれている誰かがいるって、とっても幸せなことだと思うんです」

 

 

 

 

瑠璃乃「めぐちゃん言ってたけどさ。世界中に推しがいるって、その通りだと思うんだよね。だって、ルリはスクコネがなかったら、みんなのこと知らなかったんだよ。みんなでずっと一緒にいても楽しいだなんて、配信でみんなのことを知らなきゃわかんなかった」

 

慈「私にとっては、応援団かな。いっつも元気をくれるし、見られているんだからがんばらなくっちゃって気合入りまくるしさ。正直、蓮ノ空でやってこれたのって、ジュンが居たのもあるけど、あとの全部はスクコネがあったからだよ。だから、このまま繋がりがなくなっちゃうなんて、そんなのぜったいナシ!」

 

そして翌朝、生徒たちは女生徒も含めて男子寮の食堂に集められていた。何やら学校から話があるらしい。

 

 

花帆「朝からミーティングって、珍しいなあ……。どうしたんだろ……。ふぁぁ……」

 

梢「ほら、花帆さん。淳、どう思う?」

 

淳平「……嫌な予感がする」

 

瑠璃乃「ルリもだよ……」

 

寮母「と、なりましたので――」

 

花帆「むにゃむにゃ……」

 

さやか「花帆さん、起きてください!」

 

寮母「というわけで――本日から蓮ノ空学院では、ネットが禁止となりますので」

 

花帆「………ふぇ?」

 

さやか・瑠璃乃・梢・綴理・慈・淳平「「「「「「ッ!!!」」」」」」

 

寮母「みなさん、この機会に勉学に集中して、実り多き学園生活を謳歌してください――とのことです。以上――」

 

花帆「な、何でーー!?」

 

淳平「来年度からじゃ……なかったのか!?」

 

俺達の行く手に、大きな壁が不意打ちのように襲い掛かってきた。

 

ー つづく ー




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