蓮ノ空スクールアイドル録   作:松兄

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第103話:Link! Like!

淳平も含めたスクールアイドルクラブの皆がステージを探しに街へ出た日の夜、学校に戻ってきた花帆は夜の練習をしていた。

 

……淳平にもキチンと相談し、オーバーワークにならないように監督してもらいながら。

 

花帆「はぁ、はぁ……はぁ、はぁ………」

 

淳平「よし、もうそろそろ止めておけ」

 

花帆「うん……」

 

花帆は無言になると夜空を見上げた。

 

淳平「花帆?」

 

花帆「去年も、夜遅くまで受験勉強がんばってたなぁ…… なんだか、すっごく前のことみたい。………あたし、この学校に来て、みんなと出会って、ちょっとは成長できたかな? あの頃とは、もう、違うよね……」

 

淳平「ああ。しっかりと成長してるよ。お前は……」

 

花帆は「エヘヘ…」と自嘲気味に笑い、

 

花帆「あ」

 

淳平「ん?」

 

花帆「ここに咲いてたサザンカのお花、散っちゃったんだ。こないだの、風かな……。や、やっぱり、もう1周してこよ!」

 

淳平「花帆!? ……あと一周だけだからな?」

 

花帆「うん!(大丈夫、あたしたちはちゃんと、花咲くんだから……だから、大丈夫…………!)」

 

そして、花帆は約束を守り一周だけ走ったら寮に戻ってその日は休んだ。

 

……翌日

 

 

 

◇◆

 

 

花帆は寝坊してしまい朝練に遅刻してしまった。

 

ガラッ!

 

花帆「ご、ごめんなさい! 朝練に遅刻しちゃって! 昨日、遅くまで自主トレしてて、そ、それで………」

 

さやか・瑠璃乃・梢・綴理・慈・淳平「「「「「「……………」」」」」」

 

花帆「あれ……? あの、どうかしました………?」

 

花帆が恐る恐る声を掛ける。

 

慈「もうさすがにガマンの限界! 堪忍袋の緒が切れたってやつ!」

 

花帆「ひっ!?」

 

梢「慈。落ち着いて」

 

慈「これが落ち着いていられるわけないじゃん! なんなの、今度は〈外出禁止令〉って!!」

 

花帆「えっ……?」

 

さやか「今朝、掲示板に貼ってありました。『蓮ノ空学院の生徒は有事以外の外出を禁ずる』と。生徒に対する締め付けが、さらに厳しくなったようです………」

 

瑠璃乃「で、でもさ! ラブライブ!北陸大会の配信は学校行事だし、ゆーじってやつだよね!? ね!?……ちがうの?」

 

梢「北陸大会への出場なら、きっと、大丈夫。……けれど、配信となると…どうかしらね……」

 

瑠璃乃「それじゃ意味ない! だってルリたちは、ネット禁止令を撤廃するために、配信しようとしているのに……」

 

慈「もう、ムリ! やっぱ校長室に殴り込んでくる!」

 

瑠璃乃「続くぜ、ルリも」

 

綴理「ボクもいくよ」

 

さやか「だ、だ、だめですよ! 待ってくださいー!」

 

淳平(くそっ!)

 

花帆「あの、センパイ……! あたしにもなにか、できること……」

 

梢「とりあえず私は、ラブライブ!の運営に連絡をするわ。万が一のことを考えて、会場でのライブに変更することはできないか、って」

 

花帆「それは…」

 

梢「ええ、本当に万が一のため。ラブライブ!に出場できないっていう、最悪の事態だけは避けられるように、ね。……もう、不戦敗なんて、まっぴらだから」

 

花帆「梢センパイ………」

 

淳平「……悪い。ちょっと行くとこあるから」

 

花帆「え? どこに……」

 

淳平「理事長室。なんか今理事たちが会議やってるらしい」

 

梢「な、何をする気……? その手に持ってる書類は……なに?」

 

淳平「すぐに分かるよ……」

 

そして俺は部屋を出ていこうとした。

 

花帆・梢「「っ!!」」

 

二人は本能的に「淳平を行かせたら取り返しのつかないことになる」と感じて止めようとする。

 

梢「ま、待って!! 待って……待ってよ…淳平!!」

 

淳平「っ! …………」

 

あの梢の言葉から、丁寧さが取れてしまっていた。

それでも、俺は理事長室に向かった。

 

花帆「みんなを呼んできた方が…良いですよね?」

 

梢「ええ。急ぎましょう!!」

 

そして、花帆と梢は校長室に向かった4人を呼びに行った。

 

 

 

◇◆

 

 

ー 理事長室 ー

 

理事長室では、規制派の理事と容認派の理事がバチバチに対立しながら話していた。

 

容認派理事「こんなの、いくらなんでも生徒たちが可愛そうだと思わないんですか!?」

 

嫌味原「何を言ってるんですか……勉学に励む時間が取れていいじゃないですか」

 

規制派理事「そうですよ。これで蓮ノ空の学業成績は上がり、偏差値も上がって評判も……「じゃあ、その偏差値を上げてる原因が辞めるって言ったらどうですか?」っ!?」

 

淳平「どうも」

 

俺は、挨拶もせずに部屋に入った。

 

容認派理事「何だねキミは?」

 

嫌味原「おお、日野下くんか。君からも言ってやってくれないか?」

 

よくそんなことが言えるなコイツ!!

 

淳平「お言葉ですが、俺が来たのはコレを出すためです。あなた達規制派は、今の蓮ノ空の皆の成績の上昇の起因が俺にある事は知ってますよね?」

 

規制派理事「知ってるよ? 君がテスト前に教えてるんだろ? そのおかげで我が校の生徒は過去最高の好成績だ」

 

淳平「じゃあこれ、受け取ってください」

 

 

◇◆

 

その頃――

 

さやか「淳平先輩……何を出す気何でしょうか?」ハァハァ

 

瑠璃乃「絶対なんか変なものだよ!! ルリとめぐちゃんには分かるもん!!」

 

慈「間違いなくね! 私達になんの相談も無しに!!」

 

綴理「! 見えてきた!!」

 

 

◇◆

 

 

 

規制派理事たち「「「ん? !!」」」

 

花帆・さやか・瑠璃乃・梢・綴理・慈「「「「「「淳兄ぃ(ジュン)(淳平先輩)!!」」」」」」

 

バアンッ!!

 

規制派理事「た、…退学届!?」

 

花帆「なっ!?」

 

淳平「取り引きだ。ここまで強行するのを辞めないなら、俺は今ここで蓮ノ空を辞める。そうだな……ライバル校の金沢城北にでも行こうかね?」

 

規制派理事「「「なっ!?」」」

 

それを聞いた皆は……

 

さやか「じゅ、淳平先輩辞めるなんて!!」

 

容認派理事「あ、あなた達は……」

 

梢「す、すみません……でも!」

 

慈「辞めるなんて許さないよ!?」

 

規制派理事「そ、そうだ! よりによって我が蓮ノ空のライバル校に君ほどの人材が流れるなど許容できん!!」

 

嫌味原「それに、ネットが使えることで何か我が校にとってのメリットがあるのかね?」

 

淳平「メリットですか……じゃあ、今度のラブライブ!北陸地区予選、コイツらが生配信ライブで出場して優勝して全国大会に進んだら、蓮ノ空にとってもネットにしかないメリットがあることになりますよね?」

 

嫌味原「それは……」

 

俺は「ふぅ」と一呼吸おき、

 

淳平「理事長、ひとまず、コレを預かっておいてください」

 

俺は理事長……沙知先輩のお祖母さんに退学届を預けた

 

理事長「キミは沙知が言ってた……仲間のためにここまでする…いや、できる子なのかい。分かった、ただし、一度決定してしまった以上その日までは取り下げるのは難しい。悪いが、ステージとネットに関しては学校は手を貸してやれない……。だが、実績を作れたら……ちゃんと撤廃させる。それでいいかい?」

 

淳平「はい! 失礼しました!」

 

俺はそう言って会議を行っていた理事長室を出た。

 

すると、皆にすごい剣幕で詰め寄られた。

 

花帆「どういう事!? あんな方法で!!」

 

梢「そんな方法で……仮に何とかできても、淳平の人生が犠牲になるかもしれないのよ!! バカッ!!」

 

さやか「今すぐ撤回してください!!」

 

皆が俺に次々と訴えかけてくる。

 

淳平「ま、まあ良いじゃん。結果さえ出せばなんとかなる確定まで持って行けたんだから……」

 

バアンっ!!

 

梢「そういう問題じゃない!!」

 

淳平「ひぃっ!?」

 

慈「第一、配信なんか出来る通信量が無いんだよ!?」

 

まあ、確かにな。けど………、

 

淳平「……俺が無策で挑むと思うか? ライブ1回分くらいなら、何とかできるかもしれない」

 

瑠璃乃「えっ?」

 

淳平「学校でライブ配信が出来る方法が1つある。ルリちゃん、複数の端末のデータ通信量を1箇所に集めることってできたよね?」

 

瑠璃乃「っ! テザリングってこと? いや……ちょっと違うか……でも、確かできるって聞いたことある!」

 

淳平「1人10秒として、1分で6人。それを30分だから180人の通信量を1箇所に集めれば30分の配信ができるはずだ」

 

花帆・さやか・瑠璃乃・梢・綴理・慈「「「「「「!!」」」」」」

 

思いもよらぬやり方に、みんな目を丸くする。

 

瑠璃乃「180人って、全校生徒の半分だよね? できるよ!!」

 

綴理「でも待って? 動画だと、まだ足りないと思う……」

 

花帆「あっ! だったら、みんなの知り合いや、日本中、世界の人達から分けてもらうってどうでしょう!!」

 

さやか「そんな事できるんですか!?」

 

慈「うん。確か理論上は可能だったはず!」

 

淳平「電話とかの連絡はできるんだよな? なら、それを利用して協力者に片っ端から電話してこの作戦を拡散してもらって、集めた通信量で配信ライブしてやろうぜ! 後は……悪いけどお前ら次第だ。俺が餌になるか、無傷で何とかなるか……」

 

梢「途方もない話になっちゃったわね……けど、任せて! あなたが信じてくれるなら、私達はあなたを犠牲にさせる様なヘマなんかしないわ!」

 

慈「でもこれで、3ユニットのひとつでも北陸大会を制覇することができれば!」

 

綴理「うん。スクールアイドルクラブの未来と、ジュンを守れる」

 

瑠璃乃「…………ただ、その場合ってやっぱり、あれだよね?」

 

さやか「スリーズブーケ、DOLLCHESTRA、みらくらぱーく!のうちふたつは、北陸大会で敗退となります」

 

瑠璃乃「そんなはっきり………! さやかちゃんは、いいの?」

 

ルリちゃんがさやかちゃんに問う。

 

さやか「……本番というのは、練習の成果を発揮する場だと思っています。わたしは、ユニットとして磨き上げた実力を試してみたい。綴理先輩と一緒に」

 

綴理「ボクはさやと出る。今はDOLLCHESTRAが、ボクの芸術だから」

 

瑠璃乃「めぐちゃぁん………」

 

ルリちゃんが泣きそうな顔でめぐに訴えかける。

 

慈「そんな顔しないの、るりちゃん! 私そういう顔に弱いんだから! ていうか、るりちゃんだって、ほんとはみらくらぱーく!でやりたいんでしょ? 優しいから、誰かが負けるのが嫌なだけで……。その気持ちは私だってわかるよ。わかるけど……今回は譲りたくない。私もみらくらぱーく!が好きだもん。他のみんなが自分のユニットを好きな気持ちと、同じようにさ」

 

瑠璃乃「好きだよ! めぐちゃんとの楽しいおもちゃ箱が、ルリはとびっきり大好きだけど……」

 

梢「……目指せ、ラブライブ!優勝………!」

 

花帆「ああ、そっか……繋がる力……そう、繋がる力だったんだ! みんながユニットで出場して! でも、みんなで北陸大会を通過するための方法! 繋がる力――!」

 

淳平「か、花帆?」

 

慈「えっ、なになに?」

 

花帆「テザリングでのライブで、繋がる力………! そして、その集まった力を、あたしたちでも一っと響かせるんです! 大丈夫です。あたしたちならできます! みんなが大満足して、誰も悲しい気持ちになんてなりません! そんな、夢のようなライブが!」

 

瑠璃乃「花帆ちゃん。それって……!?」

 

綴理「夢のような、ライブ……」

 

花帆「できます! その名も――」

 

花帆の考えついたアイディア。その名は―――

 

花帆「蓮ノ空学院スクールアイドルクラブ!〈Link! Like! メドレー!〉です!!」

 

さやか・瑠璃乃・梢・綴理・慈・淳平「「「「「「〈Link! Like ! メドレー!〉!?」」」」」」

 

花帆「ぜったいにこれで! みんなを花咲かせちゃいますよ!」

 

ー つづく ー




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