蓮ノ空スクールアイドル録   作:松兄

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第110話:大会後…。村野さやか

めぐを立ち直らせたあと、俺と梢、花帆はさやかちゃんの部屋に行ったのだが居らず、俺達は蓮ノ空の校門の前に来ていた……。

 

花帆「さやかちゃん、部屋にいませんでしたね……」

 

梢「そうね。綴理もいなかったわ。どこにいったのかしら、DOLLCHESTRAのふたりは」

 

淳平「心配だな……」

 

すると、

 

さやか「お疲れ様でーす」タッタッタッ

 

花帆「あ、お疲れ様一!」

 

梢「……………」

 

淳平「あれ?」

 

今走ってたのって……

 

花帆「はあ、さやかちゃん、心配だなあ……ひとりでメソメソしちゃってたりしたら……」

 

淳平「いや、今……」

 

梢「居たわよね……?」

 

花帆「え? あっ! さやかちゃんだー!?」

 

さやか「へ? どうかしましたか?」

 

花帆「どうしたもこうしたも……なんで落ち込んでないの!?」

 

さやか「あ、きょうは、その、確かに部活動はないという話でしたが、わたしはこれからフィギュアの練習があるので、少し体を温めてからいこうかと……」

 

花帆「そうなの!? えっ、すごいね!」

 

さやか「昨日は大会だけでしたので、オーバーワークにはなっていないと思うんですが………。 そういうことではなく……?」

 

梢「い、いえ……。ごめんなさい、少し驚いてしまって。さっきね、瑠璃乃さんと慈に会ってきたの。ふたりとも、ラブライブ!の敗退が堪えていたみたいだったから。あなたのことも心配していたのよ」

 

さやか「ああ、そういうことでしたか」

 

さやかちゃんはちょっと考えるような素振りをすると、

 

さやか「もちろん、負けたことは堪えましたよ。ましてや今回は、みなさんと共に、1年に一度しかない大会に挑んだのですしね。でも、試合というのは、やってきたことの積み重ねの結果。 やり直せるわけでもありません。だから、また粛々と練習の日々に戻るのです」

 

花帆「今まであたし、さやかちゃんのこと、誤解してたみたい…………。こんなのもう、村野さんだよ……」

 

淳平「凄いな……高校1年生でこんな成熟した心を持ってる女の子初めてみた。俺なんかよりもよっぽど大人だ……」

 

さやか「あれ!? どうしてお二人共心の距離が開いているんですか!?」

 

梢「きっと、あなたの言葉がとても前向きで、立派に聞こえたからじゃないかしら……。すごいのね、さやかさん」

 

さやか「立派ですか……? ああ、ああ、なるほど。ようやく今、ちゃんとわかりました!」

 

花帆「そうなの? 村野さん」

 

淳平「そうなんですかさやか先輩!」

 

さやか「やめてください! 特に淳平先輩は!!」

 

すると、さやかちゃんは苦笑して、

 

さやか「あのですね。わたしは前向きでも立派でもありません。わたし、お姉ちゃんに憧れて、小さい頃からフィギュアをやっているんです。でも、お姉ちゃんと違って……あんまり、才能はなくて……」

 

さやか「初めての大会は、3位でした。お姉ちゃんは、ずっと1位だったのに。それが悔しくて、たくさん練習したんです。負けたのは、練習が足りなかったせいだからって思って。初めて自分でも『努力』と思えることをしました。その次の大会は、どうなったと思いますか?」

 

花帆「……どうなったの?」

 

さやか「残念ながら、表彰台には上れませんでした。それ以降、勝ったり負けたり……って言うのは、ちょっと見栄を張りすぎですね。ほとんど、負けてばっかりなんです」

 

花帆「さやかちゃん……! ごめん、あたし、からかうつもりとかじゃなくて……!」

 

淳平「ゴメン……」

 

さやか「ふっ……いいんですよ。だからすっかり、慣れてしまいました」

 

梢「……それでもあなたは、努力することを諦めなかったのね」

 

さやか「はい。試合で結果を残せないことは、つらいし苦しいです。心が弱っているときは、それなりにちゃんと傷つきます。きょうは休んじゃおうかなって思う日も、あります」

 

さやかちゃんは「それでも」と、言葉を繋ぐ。

 

さやか「努力を怠って試合に臨めば、たとえ結果を得られたとしても、きっとわたしは満足できません。わたしが見てもらいたいのは、いつだって最前線に立つわたしなんです。部でいちばん努力をしている梢先輩と、ずっとわたしたちを見てた淳平先輩になら、わたしの気持ちが、わかってもらえると思いますが……どうでしょう?」

 

梢「そうね。さやかさんはやっぱり、立派だわ」

 

淳平「立派すぎるよ……」

 

さやか「えっ、そうですか?」

 

花帆「すごい、すごいよさやかちゃん! かっこいい! あたし、さやかちゃんのこともっと好きになっちゃった!」

 

さやか「そ、そうですか!? でも負け方が上手だと褒められるのは、なんだかとても複雑ですね!?」

 

ふふっ、さやかちゃんは…大丈夫そうだな。

 

梢「それじゃあさやかさん、練習の途中で呼び止めてごめんなさいね。私たちは、次は綴理の様子を見に行ってくるわ」

 

梢がそう言うと、さやかちゃんは梢を呼び止める。

 

さやか「あの、梢先輩、淳平先輩。ひとつ、お願いしてもいいでしょうか。 綴理先輩のことなんですけど……。綴理先輩は、わたしなんかよりずっとショックを受けているみたいなんです」

 

梢「綴理が?」

 

淳平「確かに、アイツはダメージデカそうだな……」

 

さやか「はい。けど、なにも話してくれなくて……。どうしようかと、考えがまとまらなかったのですが。この学校で、いちばん長い時間を共有した先輩方に……綴理先輩のことを、お願いしたいです」

 

梢「あらら、なんだか大げさな言い方ね」

 

淳平「わかった。ちゃんと綴理を元気な状態に戻して、さやかちゃんに返品できるよう、頑張るよ」

 

さやか「よろしくお願いします!」

 

そして、さやかちゃんはランニングを再開して走っていってしまった。

 

花帆「さやかちゃん、体を動かしていないと落ち着かなかったのかな…………」

 

淳平「そうかも…しれないな……」

 

花帆「そのきもち、なんだかわかるな……。だって、あたしも…………あれ? あたしも……?」

 

花帆の脳裏に、決勝のステージ前の円陣の時の光景がフラッシュバックした。

 

梢「さ、それじゃあ次は、綴理を探しに行きましょう」

 

花帆「あ、はい! 行きましょう!!」

 

淳平「さてと、綴理だったら見晴らしの良い場所で空でも見上げてる気がするな……」

 

梢「それには同感ね。屋上、行ってみましょうか?」

 

 

そして、俺達3人は屋上に向かった。

 

 

 

ー つづく ー




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