蓮ノ空スクールアイドル録   作:松兄

114 / 339
第111話:大会後…。夕霧綴理

さやかちゃんと話し終えた俺達は、綴理を探して屋上にやってきた。すると、綴理が庭園スペースの芝生に寝っ転がって空を眺めていた。

 

綴理「…………………」

 

淳平「寒いだろ、こんなとこで」

 

綴理「そうかも。どこなの、ここは?」

 

梢「屋上よ。ていうか、この毛布はどこから持ってきたの?」

 

綴理は今気がついたのか毛布に視線をやる。

 

綴理「それは…この毛布に聞いてみないと」

 

花帆「たぶん、さやかちゃんですよ。綴理センパイが風邪を引かないようにって」

 

綴理「そっか。ありがと、さや…」

 

花帆「なんだか綴理センパイ、どよーんとしてますね……」

 

淳平「……そうだな」

 

すると梢がコホンと1つ咳払いして綴理に話しかける。

 

梢「それで、どうしたの? 私はさやかさんみたいに、優しくはないわよ?」

 

綴理「………よく、わからないんだ」

 

綴理は空を見上げたまま、心此処にあらずといった様子で話し始める。

 

綴理「ちゃんとさやに、どういう気持ちなのか伝えようって、がんばったんだけど……。喉を通った端から崩れていくんだ。ちょうど、今の雲みたいに……」

 

梢「……それをそのまま、伝えればよかったんじゃない? いつものように」

 

綴理「……ラブライブ!に出られて、幸せだったんだ」

 

淳平「そっか……」

 

綴理「さやが隣に立ってくれたんだ。ボクはもう、他になにもいらないと思ってた。なのに……」

 

俺も梢も、綴理の言葉に黙って耳を傾ける。

 

綴理「どうしてだろう。ボクは、ぜんぜん満足できてないんだ。これじゃあ、さやに嘘をついてたみたいじゃないか……。そんなの、だめだ。だから、さやにだけは、まだ……言えない」

 

淳平「うん…。満足なんか…できないよな……」

 

綴理「うん。こずは、わかる?」

 

梢「難しいわね。私は綴理じゃないから」

 

綴理「そうだよね。こずがつづだったら……。ふたりで雲を見上げてたかな」

 

梢「……去年のあなたは、このままラブライブ!本戦に出るわけにはいかないって言って、ふたりで出場を諦めた。けど……」

 

淳平「今みたいな顔はしてなかったよな」

 

梢「そうね。今年は、なにが違うのかしら?」

 

綴理は少し考える素振りをするが、思っていることをそのまま口に出す。

 

綴理「楽しいよ。去年が楽しくなかったわけじゃないけど、今年はもっと楽しい。かほとるりがいて、めぐとこずがいて。ボクの隣に、さやが立ってくれてる……」

 

ここで綴理は起き上がり、俺達の目を見つめる。

 

綴理「ボクも、スクールアイドルになれたんだ。だから……」

 

花帆「…………だから?」

 

綴理「だから、ボクは。………………あぁ、そっか。そうなんだね」

 

綴理は、なにかに気付いたようだ……。

 

綴理「蓮ノ空が、好きみたいだ」

 

梢「なにか、わかったみたいね?」

 

綴理「うん。ボクは……欲張りになっちゃったんだ…………」

 

花帆「えっ!? さっきより落ち込んじゃいましたよ!?」

 

綴理「蓮ノ空が好きだから、ボクにとって蓮ノ空がいちばんだから。みんなにも、そう思ってほしかったんだ」

 

綴理は気づけた自身の気持ちを俺達にぶつけてくる。

 

綴理「ボクが優勝できると思っていたのはきっと、蓮ノ空がいちばんだっていう気持ちがあったからで。それを届けられなかったから………ボクは、悔しかったんだ」

 

淳平「綴理……」

 

梢「自分の好きなものを、みんなにも好きになってほしい、ね。まさかあなたが、そんなことを口にするなんて」

 

綴理「おかしい?」

 

淳平「いいや、素敵だと思うよ……」

 

綴理「そっか。うん、よかった。ボクは、さやに嘘をついてたわけじゃなかった……」

 

だが、綴理は「あれ?」と言い、

 

綴理「でも、ボクは欲張りで……どうしよう。どっちが悪いんだろう」

 

ったく……、

 

淳平「大丈夫だよ綴理。その欲張りは良い欲張り(・・・・・)だから。むしろ諦めたらダメだからな?」

 

綴理「そうなんだ……。ありがとう。こず。ジュン。かほも、話を聞いてくれて」

 

花帆「いえ、そんな。あたしはなにも」

 

綴理「次はがんばろうね、こず」

 

そして、立ち直った綴理は寮に戻っていった。

 

花帆「綴理センパイも元気になってくれて、よかったです。さっすが梢センパイと淳兄ぃです! これでみんな、明日からまた練習がんばれますよね!!」

 

ふぅ……、

 

梢「ねえ、花帆さん。もうちょっとだけ、付き合ってくれる? まだ話したい人がいるの」

 

淳平「ああ。まだ話を聞いてないやつが居るからな」

 

花帆「えっ? いいですけど…………。ん? それって、あたしのことですか?」

 

俺と梢は笑うと……

 

淳平「さあ、部室に戻ろう……」

 

 

ー つづく ー




感想・評価よろしくお願いします!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。