さやかちゃんと話し終えた俺達は、綴理を探して屋上にやってきた。すると、綴理が庭園スペースの芝生に寝っ転がって空を眺めていた。
綴理「…………………」
淳平「寒いだろ、こんなとこで」
綴理「そうかも。どこなの、ここは?」
梢「屋上よ。ていうか、この毛布はどこから持ってきたの?」
綴理は今気がついたのか毛布に視線をやる。
綴理「それは…この毛布に聞いてみないと」
花帆「たぶん、さやかちゃんですよ。綴理センパイが風邪を引かないようにって」
綴理「そっか。ありがと、さや…」
花帆「なんだか綴理センパイ、どよーんとしてますね……」
淳平「……そうだな」
すると梢がコホンと1つ咳払いして綴理に話しかける。
梢「それで、どうしたの? 私はさやかさんみたいに、優しくはないわよ?」
綴理「………よく、わからないんだ」
綴理は空を見上げたまま、心此処にあらずといった様子で話し始める。
綴理「ちゃんとさやに、どういう気持ちなのか伝えようって、がんばったんだけど……。喉を通った端から崩れていくんだ。ちょうど、今の雲みたいに……」
梢「……それをそのまま、伝えればよかったんじゃない? いつものように」
綴理「……ラブライブ!に出られて、幸せだったんだ」
淳平「そっか……」
綴理「さやが隣に立ってくれたんだ。ボクはもう、他になにもいらないと思ってた。なのに……」
俺も梢も、綴理の言葉に黙って耳を傾ける。
綴理「どうしてだろう。ボクは、ぜんぜん満足できてないんだ。これじゃあ、さやに嘘をついてたみたいじゃないか……。そんなの、だめだ。だから、さやにだけは、まだ……言えない」
淳平「うん…。満足なんか…できないよな……」
綴理「うん。こずは、わかる?」
梢「難しいわね。私は綴理じゃないから」
綴理「そうだよね。こずがつづだったら……。ふたりで雲を見上げてたかな」
梢「……去年のあなたは、このままラブライブ!本戦に出るわけにはいかないって言って、ふたりで出場を諦めた。けど……」
淳平「今みたいな顔はしてなかったよな」
梢「そうね。今年は、なにが違うのかしら?」
綴理は少し考える素振りをするが、思っていることをそのまま口に出す。
綴理「楽しいよ。去年が楽しくなかったわけじゃないけど、今年はもっと楽しい。かほとるりがいて、めぐとこずがいて。ボクの隣に、さやが立ってくれてる……」
ここで綴理は起き上がり、俺達の目を見つめる。
綴理「ボクも、スクールアイドルになれたんだ。だから……」
花帆「…………だから?」
綴理「だから、ボクは。………………あぁ、そっか。そうなんだね」
綴理は、なにかに気付いたようだ……。
綴理「蓮ノ空が、好きみたいだ」
梢「なにか、わかったみたいね?」
綴理「うん。ボクは……欲張りになっちゃったんだ…………」
花帆「えっ!? さっきより落ち込んじゃいましたよ!?」
綴理「蓮ノ空が好きだから、ボクにとって蓮ノ空がいちばんだから。みんなにも、そう思ってほしかったんだ」
綴理は気づけた自身の気持ちを俺達にぶつけてくる。
綴理「ボクが優勝できると思っていたのはきっと、蓮ノ空がいちばんだっていう気持ちがあったからで。それを届けられなかったから………ボクは、悔しかったんだ」
淳平「綴理……」
梢「自分の好きなものを、みんなにも好きになってほしい、ね。まさかあなたが、そんなことを口にするなんて」
綴理「おかしい?」
淳平「いいや、素敵だと思うよ……」
綴理「そっか。うん、よかった。ボクは、さやに嘘をついてたわけじゃなかった……」
だが、綴理は「あれ?」と言い、
綴理「でも、ボクは欲張りで……どうしよう。どっちが悪いんだろう」
ったく……、
淳平「大丈夫だよ綴理。その欲張りは
綴理「そうなんだ……。ありがとう。こず。ジュン。かほも、話を聞いてくれて」
花帆「いえ、そんな。あたしはなにも」
綴理「次はがんばろうね、こず」
そして、立ち直った綴理は寮に戻っていった。
花帆「綴理センパイも元気になってくれて、よかったです。さっすが梢センパイと淳兄ぃです! これでみんな、明日からまた練習がんばれますよね!!」
ふぅ……、
梢「ねえ、花帆さん。もうちょっとだけ、付き合ってくれる? まだ話したい人がいるの」
淳平「ああ。まだ話を聞いてないやつが居るからな」
花帆「えっ? いいですけど…………。ん? それって、あたしのことですか?」
俺と梢は笑うと……
淳平「さあ、部室に戻ろう……」
ー つづく ー
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