蓮ノ空スクールアイドル録   作:松兄

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第127話:〈かほめぐ♡じぇらーと〉の様子

シャッフルユニットで新たに組むメンバーが決まった日の翌日、瑠璃乃は慈に自分の考えを見せつけると意気込んでいた。……のだが

 

校舎脇の広場で……、

 

 

瑠璃乃「2週間後のお披露目ライブまでに、ルリが考えてることをまとめる。そして、ステージでそれをめぐちゃんに見せつける。それがうまく行くかは分かんないけど………そもそも前提。やることそのものはしっかり決めなきゃ、みんなまで巻き込んだ意味がない………なのに」

 

瑠璃乃は組むことになった相方を見つめる。

 

綴理「右がのどぐろ。左はのどしろ」

 

綴理は雲の形を見て魚の名前を呟いていた。ってかのどしろなんているの……?

 

瑠璃乃「ルリ、最初から崖っぷち!! でも、過ぎたことを言っても仕方ない!」

 

ルリちゃんは気を取り直して綴理とコミュニケーションを図る。

 

瑠璃乃「あ一、綴理先輩! へいへーい! 今回はめっちゃよろしくです!! 綴理先輩とルリで、超楽しいライブ作りましょー!」

 

綴理「ん。がんばろ一」

 

ルリちゃんが「オー!」と拳を掲げると綴理も拳を掲げる。

 

綴理・瑠璃乃「「………………」」

 

ま、間が持たない……。

 

瑠璃乃「やー、めぐちゃんとか、さやかちゃんに負けないように、盛り上げていかないとですね! いえー!」

 

綴理「…………いえー」

 

瑠璃乃「……やっべ。めちゃめちゃ気い使って合わせてくれてるじゃん……! 綴理先輩が楽しめる空気感、先にさやかちゃんに聞いておくんだった……!」

 

ルリちゃんが1人で唸っていると、

 

綴理「るり。いえー」

 

瑠璃乃「い、いえー!」

 

綴理・瑠璃乃「「……………」」

 

どこまでもマイペースな綴理。

このペア、相手に気を使いすぎるきらいがあるルリちゃんにはきついかもしれない。

 

だが、乗り越えられれば大きく成長できるだろう。

 

 

綴理「? ごめん」

 

瑠璃乃「いやいや謝られるようなことは何も!! ……やばい。このままじゃルリの充電がほんとにヤバい。ここで充電切れたら終わる、一生先輩に合わせる顔がねぇ…………!」

 

ルリちゃんはどうすれば綴理も楽しめるかを考える。

 

瑠璃乃「あ、ちょっと、他のみんなの……そう! てーさつ! ………綴理先輩! てーさつに行きましょー! 敵を知り己を知ればってやつです! さあ!」

 

綴理「?」

 

そして、二人はシャッフルユニットのペア1つ、花帆と慈の所に向かった。

 

その頃、慈の部屋で二人は一緒に配信をしていた。

 

花帆「それじゃあ!」

 

慈「バイめぐー!」

 

花帆「バイかほー! ぽちっ」

 

そして花帆がカメラのスイッチを切る。

 

花帆・慈「「だあああ……!」」

 

長時間配信の影響で疲れて机に倒れ込む2人。

 

だが、

 

花帆「や、やりきったー! 楽しー!」

 

慈「うわー……こんなにぶっ通しで配信したのいつぶりだろ………………。今、何時一?」

 

花帆「わ、もう6時ですよ? センパイ!」

 

慈「8時間配信! あはは、ぜんぜんやれちゃうねえ一」

 

花帆「はー…………このあとどーしますかー?」

 

慈「お風呂入るでしょー? ご飯食べるでしょー? 寝るでしょー?」

 

花帆「……起きてからはどうします?」

 

慈「また配信、しちゃう?」

 

花帆「いえーい! 慈センパイ最高!」

 

花帆「花帆後輩最高!」

 

花帆・慈「「あははっ」」

 

この2人、どうやら相性はかなり良いらしい。

 

慈「はぁ……お風呂は行くけど、ちょっと休もっか?」

 

花帆「ですねー…………。あの、慈センパイ」

 

慈「んー?」

 

花帆「その一。瑠璃乃ちゃんと、なにかありました?」

 

慈「べっつに、なんにもないけどー?」

 

花帆が聞いてみると、あからさまに不機嫌になる慈。

 

花帆「それはあった人の言い方だと思います!」

 

突っ込む花帆。すると、慈にルリちゃんから言われたことを話す、

 

花帆「瑠璃乃ちゃん、言ってましたよ。このままじゃなにを言っても聞いてもらえないから、見せつけなきゃー、って」

 

慈「はいはーい、花帆先生一」

 

花帆「はい、藤島さん」

 

慈「一方の言い分だけ聞くっていうのはどうかと思いまーす」

 

花帆「それはたいへんもっともなので、どうぞ証言台へ」

 

慈「…とはいっても、私にも同じ言い分があるってだけなんだけど。何にも聞いてくれないのはるりちゃんの方じゃんって」

 

花帆「瑠璃乃ちゃんがなにも聞いてくれないなんてことあるんですか!? 充電ある限り『いーよいーよ全然きく一』って、なんでも聞いてくれるの間違いじゃ!」

 

慈「るりちゃんのことなんだと思ってんだ……。…………まあ、頑固なるりちゃんはお外じゃあんま見せないかもね。普段はケンカとかも、世界一嫌いだろうし。スクールアイドルのこと好きになってくれたのは嬉しいけど、あとで嫌な思いするのはるりちゃんの方なのになー」

 

花帆「…………」

 

慈「みんなを楽しませようと思ったらさ、先にそういう盛り上がる場所を作って、「ついてこーい!!」ってやる方が良いに決まってるじゃん?」

 

花帆「瑠璃乃ちゃんは、違うことをしようとしてるんですか?」

 

慈「まだ仲良くない子たちに「良かったら来てほしいな」って、遠慮がちに言ってる感じ。それじゃせいぜい、みんなに「行けたら行くね」って言われておしまいだよ」

 

ふ〜む。………どっちが正しいんだろう。

 

花帆(瑠璃乃ちゃんは、ただ楽しいだけじゃあダメって言ってたけど……)

 

でも、

 

花帆「……経験あるんです?」

 

慈「ま、ね。失敗して初めてわかることがあるって、知ってるけどさ。それでも私は、るりちゃんに失敗してほしくない、だけ」

 

花帆「でも、瑠璃乃ちゃんは――」

 

するとそこへ、

 

瑠璃乃 ゴンゴン!『開けろ! 偵察だ!』

 

綴理『ていさつだ一』

 

花帆「警察!?」

 

慈「偵察っつったけどあの子。……花帆ちゃん、出るね」

 

花帆「あ………はい」

 

そして慈が部屋の扉を開けると、ルリちゃんと綴理が立っていた、

 

綴理「るり、手帳手帳」

 

瑠璃乃「おー! 手帳手帳! 偵察だー!」

 

慈「降参する気になった?」

 

瑠璃乃「誰がだ!」

 

慈「今花帆ちゃんと一緒に、見てくれるみんなをめぐ党さんにしてやってたとこだよ☆」

 

花帆「めぐ党だけにするつもりないんですけど!」

 

瑠璃乃「花帆ちゃん」

 

花帆「花帆ちゃんだよ」

 

綴理「綴理ちゃんだよ」

 

花帆「あ、綴理センパイもこんばんは。えっと……遊びのお誘い?」

 

瑠璃乃「ふたりがどんな感じなのか見に来ただけだよ。めぐちゃんが補習室に居ないから探し回るはめになった」

 

慈「真っ先に私の部屋でしょ普通!」

 

慈がイラッとして怒鳴る。

 

花帆「あたしたちはとりあえずたっくさん配信してたよ。明日は、配信でコメントしてくれた子の学校でライブやる予定。慈センパイが〈かほめぐ♡じぇら〜と〉ってユニット名まで考えてくれたんだ!」

 

瑠璃乃「そ、そっか。いいね、楽しそう!」

 

慈「るりちゃんがフッた、私のアイディアだけどね。るりちゃんがフッた」

 

瑠璃乃「べつにあの時も、楽しそうだねとは言ったじゃん」

 

慈「がるるるるるるるる」

 

威嚇するめぐ。しかし、

 

慈「そ・れ・で、るりちゃんは誰かを楽しませることは、できてるのかな?」

 

瑠璃乃「むぐっ」

 

綴理「今探してる。だから……そのための偵察?」

 

慈「探す……?」

 

瑠璃乃「いや、えっと、それはその。つ、理先輩…………」

 

慈「ヘーーー! 残念だけど、私たちは超楽しくこの先のイベントも、みんなと超盛り上がってくるから! こっちに合流するならいつでも考えてあげる!」

 

慈の勝利の高笑い。ルリちゃんは「ぐぐぐ…」と悔しそう。

 

瑠璃乃「ぐ、ううう! お、憶えてろー!」

 

ルリちゃんがアニメでよく見る雑魚キャラの捨て台詞を吐いて逃げていった。

 

慈「綴理、ごめんね。るりちゃんのこと、よろしくお願いします。って、これはまじすぎか一」

 

慈が「あはは……」と苦笑すると、

 

綴理「よくわかんないけど。るりは大丈夫だよ? めぐも頑張ってね」

 

そして、綴理はルリちゃんを追いかけた。

 

慈「大丈夫だよ、って………。なーんかなー。綴理にはなんか見えてるの……?」

 

花帆「えっと、慈センパイ?」

 

慈「なんでもないよ、花帆後輩。ま、綴理がいるし、そーゆー意味じゃ良かったかもね、シャッフルユニット。……やけどは最小限で済むといいな」

 

花帆「………明日のライブ、瑠璃乃ちゃんが悔しがるくらいのものにしましょうね!」

 

慈「ん! めぐ党さんのためにね!」

 

花帆「だけじゃなくてー!」

 

 

 

ー つづく ー




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