蓮ノ空スクールアイドル録   作:松兄

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第132話:どうにもできない感情

慈を探し回る瑠璃乃は、校内でえなとびわこに遭遇した。

 

えな「あ」

 

びわこ「瑠璃乃ちゃん」

 

瑠璃乃「やほ。ねえねえ、めぐちゃん見なかった?「」

 

えな・びわこ「「えっと…………」」

 

えな「慈先輩なら、さっき屋上に……」

 

瑠璃乃「お、ありがとー」

 

有力な情報を手に入れ、屋上に向かおうとする瑠璃乃、だが……

 

びわこ「でも。なんか、すごく怖い顔してたよ……?」

 

瑠璃乃「怖い顔……?」

 

そして、瑠璃乃は屋上に向かった。

 

 

ー 屋上 ー

 

屋上では、慈が1人でダンス練習をしていた。

 

慈「足は動く。違和感もない。でも……」

 

瑠璃乃「……めぐちゃん?」

 

慈「つ。……ごめ、るりちゃん。ちょっとさ、休憩がてら景色が見たく――」

 

瑠璃乃「さすがに、苦しくない?」

 

瑠璃乃に言われて、俯く慈。

 

慈「………………」

 

瑠璃乃「ねえ、めぐちゃん。ひとりで悩まないでよ、めぐちゃん。こう言っちゃなんだけど、ルリ頑張ったと思う。スクールアイドルのことだって、前よりめぐちゃんと色々話せると思う。だから――」

 

慈「分かってるよ。るりちゃんは頑張ったよ。すごかったよ」

 

瑠璃乃「……じゃあ、なんでルリがいないとこで練習してるのさ。合わない理由とかならルリも……ルリも一緒にちゃんと考えるから!」

 

すると、慈は顔を俯かせたまま震え、

 

慈「………るさいなあ。

 

瑠璃乃「え?」

 

慈「うるさいなあって言ったの!」

 

慈が瑠璃乃に怒鳴る。

 

瑠璃乃「っ!」

 

慈「見て分かんない? 私が出来てないの! 私がるりちゃんに遅れてんの! もう見せたくないの!」

 

瑠璃乃「めぐ、ちゃん……!?」

 

慈の剣幕に圧される瑠璃乃。

 

慈「るりちゃんは私よりずっと、スクールアイドルのこと分かってたよ! 私の負け! ぎゃふん! るりちゃんの作戦大成功!」

 

瑠璃乃「!! 〜〜〜っ!!そこまで言うことないじゃん!!」

 

慈「私がやんなきゃ!るりちゃんが考えたって意味ないの!わざわざ離れたんだから分かってよ!るりちゃんならもうちょっと気を遣ってくれると思ってた!」

 

瑠璃乃「なんだよ、それ!! めぐちゃんのばーか!! 勝手にしろ! なんでっ……なんで、こうなるんだよ!!」

 

瑠璃乃は、瞳に涙を浮かべながら走り去っていった。

 

慈「ばかじゃないし! 勝手にするし!」

 

慈はそう反発するが……、

 

慈「ああもう……! なんでこうなっちゃったかなんて、私が知りたいよ……」

 

慈は、精神的に相当追い込まれてしまっていた。

 

 

ー 中庭 ー

 

綴理「あそこで……るり(しお)れてない?」

 

花帆「わ、ほんとだ! 瑠璃乃ちゃーん!」

 

花帆と綴理が声を掛ける。

 

瑠璃乃「あっ……花帆ちゃんに、綴理先輩。不思議セット……」

 

綴理「チーム自由」

 

花帆「わ、いいですねそれ!」

 

瑠璃乃「あはは………ごめ、ちょっち充電切れ気味だから……」

 

花帆「うっ……………じゃあお邪魔だったよね……」

 

綴理「チーム自由は屈しない。みらくらぱーく!だけ、おかしい」

 

花帆「えっ?」

 

その言葉を聞いた瑠璃乃は、俯きながら話し始める。

 

瑠璃乃「まあ、うん。スリーズブーケもDOLLCHESTRAも、うまく行ってるんですよねー」

 

綴理・花帆「「うん…………」

 

瑠璃乃「ルリだって、思ってたことをまとめてさ。ちゃんと、めぐちゃんにもルリの気持ちを伝えられたはずなのに………どうしてこうなっちゃったんだろう」

 

綴理「めぐは、なんて言ってた?」

 

瑠璃乃「「出来てないのは私」って。でもそれ、ルリにはあまりピンと来なかった……」

 

花帆「淳兄ぃなら、分かったのかな……」

 

瑠璃乃「どうだろうね……」ハァ

 

綴理「…かほは、分かる?」

 

花帆「え!? 慈センパイのことですか?」

 

綴理「そう。今のめぐのことは、今のかほが知ってる」

 

瑠璃乃「えっ?」

 

花帆「えぇっと? えっと、そうだなあ。慈センパイができてない…………? でも、あたしとライブやってたときのセンパイは、相変わらず凄かったですし。改めて瑠璃乃ちゃんと組み直したって、センパイが見劣りするってことは……ないと思う、んですけど……」

 

綴理「だったら、気持ちの問題?」

 

花帆「ただ単に息が合わなくなったのを、センパイが自分のせいだって思ってる……ってことですか? でも、それって………」

 

瑠璃乃「じゃあやっぱり、ルリが勝手だったのかな…」

 

瑠璃乃は余計に落ち込んでしまう。

 

綴理「……るり。ボクはめぐと組んでないから、めぐのことは分かんないけど。るりのことはちょっと分かるよ。きっと、今のるりだから出来ることがあると思うんだ」

 

瑠璃乃「今の、ルリだから?」

 

綴理の言葉に、瑠璃乃は顔を上げる。

 

綴理「ステージの上から、るりがみんなにお願いしたこと。すごく綺麗だったよ。あのときのるりは、明るい桃色に、きらきらしてた。みんなに元気を分けてあげて。そして、元気がなくて、るりが知らない子には―みんなから気持ちを届けてあげてとお願いして」

 

瑠璃乃「……………」

 

綴理「るりは、目の前に元気のない子がいたら――それが誰であっても、元気にしてくれる。ねえ、るり。きみはめぐと……ジュンの幼馴染だけど、もうそれだけじゃない」

 

綴理「きみはひとりの――スクールアイドルだ」

 

綴理の言葉に、もう一度瑠璃乃は俯くと、

 

瑠璃乃「そっか。そりゃ……そうだ。綴理先輩」

 

瑠璃乃は、勢い良く顔を上げる。

 

瑠璃乃「花帆ちゃんも、ありがとね」

 

花帆「えっと……力に、なれたかな?」

 

瑠璃乃「言葉にできなかったこと、今なら伝えられる気がするんだ。ルリは――スクールアイドルだから!!」

 

 

ー つづく ー




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