蓮ノ空スクールアイドル録   作:松兄

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第143話:大賀美沙知②

翌日早朝、俺と綴理、梢、慈の4人は学校のレッスン室で沙知先輩に贈る曲を合わせていた。

 

なのだが……、

 

綴理「〜♪ ふぅ」

 

綴理が試しに曲を歌い、踊り終えると、

 

淳平「これは……」

 

慈「えっ……とりあえず合わせてみただけだよね」

 

梢「そうね、そのはずよ。みんなで集めたものを、合わせただけ。もちろんある程度、歌詞に合わせてテンポを取ったけれど……」

 

綴理「みんなすごい」

 

そう、歌詞、曲、振り付け、全てがとてつもなくマッチしていて、最高の曲に一発で仕上がっていたのだ。

 

慈「すっごい! 私たち最強じゃん!できすぎ!!」

 

綴理「できすぎじゃないよ。みんなすごい」

 

慈「あ、綴理が全肯定マシーンに……」

 

淳平「でも、それぞれの持ち寄ったものの完成度が高かったからこそ、できた物だし。綴理の言う通り、誇っていいのかもしれないな。……成長の証として、披露できるものだと思うぞ」

 

慈「やっぱり、私たち成長したよね!」

 

梢「そうね。ただ…………」

 

綴理「ただ?」

 

梢「いえ…………。私は、花帆に手伝ってもらったから。私ひとりの全力と言うには」

 

綴理「? それが全力でしょ。ボクもさやにお願いしたよ。めぐは?」

 

慈「私も当然るりちゃんを巻き込みました! それも私の力!」

 

自信満々に胸を張る2人。

 

梢「…………そうね。あなたたちが正しいわね。私も、全力を尽くしたのよ」

 

綴理「今のボクたちの全力が詰まった曲になった。きっと、さちもすごく喜ぶはずだ。今日はぐっすり寝られる。昨日ちょっと寝付けなかった」

 

梢「ぜひ寝不足は回避してほしいところではあるのだけれど。うーん……」

 

淳平「まだ、なんか足したいとことかある感じか?」

 

綴理「ボク、今日も寝れない……………?」

 

梢「なんというか……。いえ、言うだけ言うわね。少し冷静になって、思ったのだけれど。この曲、少し沙知先輩に寄りすぎていないかしら……」

 

綴理・慈・淳平「「「…………」」」

 

確かに。

 

綴理「?」

 

慈「言われて、みると……先輩に貰った気持ち、優しさ……先輩に与えられたものに、嬉しかったって伝えたい……………大好きだった……。もしかして、これラブレターみたいになってない!?」

 

梢「そう! そうなのよ!」

 

慈「うわー、なんか恥ずかしくなってきた!」

 

二人が悶絶し恥ずかしがり始める。しかし綴理は、

 

綴理「…………えっと、ごめん。何がダメなの? すごくいいよ、これ」

 

慈「え〜〜っとねえ? 確かに私たちは120点……いや、沙知先輩に対して言えば、150点のものを作れたと思う! それはとてもいいことなの!」

 

綴理「うん」

 

梢「でも私たちが作るべきは、蓮華祭で発表する曲なの。沙知先輩への感謝の気持ちは、もちろんそうなのだけれど……」

 

淳平「沙知先輩にしか届かなくて、周り全員ぽかーんとしてたら、それはそれで先輩が安心して卒業できないよな?ってこと」

 

綴理「そう、なんだ。ごめん、よく分からなくて。じゃあ、どうすればいいの?」

 

慈「分からん!」

 

梢「……………少し、手立てを考えましょうか」

 

綴理「さちにしか届かない曲、か」

 

そして朝のホームルームの時間が近づき、合わせを切り上げて教室に向かう俺達。

蓮華祭の準備を各クラスや各部活で進め、クラスの出し物の準備は終わったので俺達は部室にいた。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

梢「蓮華祭の準備は、これで大丈夫かしらね」

 

花帆「はい!準備万端ですね! あとは、その。先輩たちが作っていた曲なんですけど」

 

梢「そうね……もういっそ、あれとは別に蓮華祭用の新しい曲を作ろうかしら」

 

花帆「何度だってお手伝いしますよ!」

 

花帆と梢が話している脇で、綴理とさやかは振り付けの打ち合わせをしていた。

 

綴理「これだと、どうかな?さちのことは、それなりに好き……みたいな」

 

さやか「た、たぶん、変えない方が良いと思います。せっかく完璧に作れた振り付けですし……」

 

綴理……、それなりに好きは無いだろ……………。

 

慈「るりちゃん、こっちきて」

 

瑠璃乃「またー? はいはい、どーぞ」

 

するとめぐはルリちゃんに抱きついた。

 

慈「ぎゅー。もう1個絞り出さなきゃー」

 

瑠璃乃「がんばれー」

 

すると、

 

コンコン!

 

扉がノックされて扉が開いた。

 

沙知「やー諸君、元気に…………」

 

花帆「あ、沙知センパイ。こんにちは」

 

沙知「あ、ああああ。こんちゃー」

 

淳平「どうしたんですか?」

 

沙知「いや、なんでもない。一年生も、だいぶ部室に馴染んだなーって思ってさ」

 

慈「あ一分かった。卒業前でセンチになってるんだ、沙知先輩はカワイイなー」

 

綴理「そうなの、さち?」

 

沙知「こほん……去年あれだけ自慢してた大好きな幼馴染に、ぴったりくっついてる慈後輩もなかなか可愛いぞ」

 

慈「ま・ね♡ おかげさまで、一緒だよ」

 

瑠璃乃「へいめぐ、ルリなんも知らね一話出てきた」

 

慈「知らなくていいよ☆」

 

すると、さやかちゃんがおずおずと手を上げて質問した。

 

さやか「あの、沙知先輩はお仕事で来たんじゃ……………」

 

沙知「あはは。いやすまない。お仕事じゃないんだ。というか、もう生徒会長としての業務は全て終えている。卒業式の前に、部室を見納めに来たんだ」

 

花帆・さやか・瑠璃乃・梢・綴理・慈・淳平「「「「「「「……………………」」」」」」」

 

黙りこくる俺達。すると、

 

綴理「留年すれば?」

 

慈「確かに」

 

サラッととんでもない事をいう2人。

 

沙知「さらっととんでもないこと言うんじゃないよ!」

 

綴理「でもさち、寂しそう」

 

沙知「…………やれやれ。綴理というやつは相変わらず」

 

梢「沙知先輩。蓮華祭は出席されますよね?」

 

沙知「ああもちろん。蓮ノ空の卒業は、卒業式よりも蓮華祭みたいな所あるからね。キミたちのパフォーマンスにも、心から期待しているよ」

 

梢「ええ、任せてください。スクールアイドルクラブとして、これまでの先輩方に恥じないライブをお届けします。私たちが沙知先輩以外の先輩を知らない以上、あなたに判断していただく他ありませんから」

 

沙知「……そうだね。キミたちは、あたし以外の先輩を知らない。……………思えば、蓮華祭も未経験だったよねい」

 

淳平「沙知先輩?」

 

沙知「…………………」

 

沙知先輩は少し沈黙すると、「よし!」と意を決したような声を上げ、

 

沙知「生徒会長としての仕事は終わったとはいえ、蓮華祭でもあたしのやりたいことはあるんだ! あたしも一曲一緒に踊るとはいえ、キミたちには最高のステージを用意するよ!」

 

瑠璃乃「最高の、ステージ……!?」

 

さやか「最高とは……期待させていただきますね、沙知先輩!」

 

花帆「じゃあ、あたしたちも最っ高のライブでお返ししますね!」

 

沙知「ふっ…………ああ、頼んだよ、キミたち! いよし! それじゃあ、また明日とか!」

 

さやか「もう、見納めは良いんですか? よろしければ部室の鍵をお渡しするので、いつでも――」

 

沙知「見納めは、キミたちスクールアイドルがいることが大事だったからね。べつに、まだ3月中は校舎中どこにでも生息してるから、また会う時もあるさ!」

 

瑠璃乃「生息」

 

沙知「それじゃ」

 

そして、沙知先輩は部屋を出ていった。

 

梢・綴理・慈・淳平「「「「……………」」」」

 

ー つづく ー




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