準備運動の柔軟を終えた花帆と百生さん。花帆は百生さんをコースを指定してランニングに行かせることにした。やはり体力は大事だしな。
吟子「それじゃあ、周りをぐるっと走ってきますね」
花帆「う、うん、いってらっしゃい!」
百生さんがランニングに行くと、さっそく花帆は考え込む。
花帆「ええと、梢センパイは、この後は……確か…………」
やれやれ……。
俺と梢は、花帆に声をかけた。
梢「ちょっといいかしら、花帆」
花帆「な、なにかしら!? 梢センパイ!」
梢「……あのね、ムリして私の真似をしなくてもいいのよ。あなたには、あなたのやり方があるんだから」
花帆「で、でも……。あたしは、これでスリーズブーケを好きになったのでぇ……………」
淳平「そうだな、花帆はそうだったな。けど、百生さんは花帆じゃないだろ?」
花帆「あっ……それは」
梢「そうね。だから、ちゃんと吟子さんを見て、なにが1番彼女の成長に役立つのかを、あなたがしっかり考えなきゃいけないの」
花帆「な、なるほど!瑠璃乃ちゃんのときの、応用……発展形………………! ……えっ。でもそれって、大変ですよね!?」
梢「そうね、大変だったんだから」
花帆「うっ……梢センパイでも大変だったのに、あたしにうまく、できるでしょうか」
花帆の顔に不安の色が浮かぶ。初めての経験だしな。俺達も、去年そうだった……。
梢「不安に思う気持ちもわかるわ。責任重大だものね。でもね、あなたがやらなきゃいけないのよ。吟子さんといちばん長い時間を一緒に過ごすのは、花帆。私ではなく、あなたなんだから」
淳平「そうだな。大切なのは、花帆と百生さん、ふたりの気持ち。2人だけのやり方。お互い話して完璧でなくとも、少しでもお互いを理解する事」
梢「だから、花帆の思うようにやってごらんなさい。もちろん、なにかあれば私がいつだって力を貸すわ。あなたの先輩として、ね」
花帆「センパイ…………。わかりました! まずは、仲良くなるところから、ですね!あたし、とにかくやってみます!」
ー 次の日 ー
花帆「よーし、放課後だ!それじゃあさやかちゃん、瑠璃乃ちゃん、また後でね!」
さやか「はい、いってらっしゃい」
花帆はさやかちゃんに声を掛けると、1年生の教室に向った。
瑠璃乃「おおー、花帆ちゃんメラメラしてんねえ」
さやか「ふふふっ。ですね!」
1年生の教室についた花帆は、百生さんの教室に顔をだし、中にいた生徒に百生さんがいないかを聞く。
花帆「あ、ねえねえ、百生吟子ちゃんいるかな? もうどこかに行っちゃった? そっか、ありがとー!」
花帆は百生さんを探しに向かった。
吟子「昨日までの練習メニューは……こう、だから……ちゃんとしっかり、復習、を……」
花帆「ぎーんこちゃんっ」
吟子「うわああああ!」
百生さんを見つけた花帆が声を掛けると、百生さんはびっくりして叫び声を上げる。
吟子「か、花帆先輩!? なにしとらん!?」
花帆「しとらん?」
吟子「な……なんでもない、です。…………ていうか、な、なに?部室には、今から行きます。けど」
花帆「それより!今の手帳すごかったね!あたしの言ったこと、ぜんぶメモってくれてたの!?」
吟子「〜〜っ! そ、それは!」
隠しておきたかったのか、百生さんは顔を真っ赤にして俯く。
吟子「そりゃ、スクールアイドルの先輩からの、お言葉、だし……………////」
花帆「吟子ちゃん……………かわいい!」
花帆が無自覚に追い打ちをかけた。
吟子「は、はあ!? て、ていうか! なんなの! なんなんですか! いっつも距離が近い、ですけど!」
花帆「ええー?そんなことないよ。ふつーだよー」
吟子「そういうの、困る……………」
花帆「えっ、嫌だった!?ごめんね!」
花帆は百生さんに嫌な思いをさせてしまっていたのかと思い即座に謝る。
が、実際そういう意味ではなかったようで。
吟子「〜〜っ、そうじゃなくて……。その………。私………。今まで、年の近い人と、あんまり仲良かったことなくて……」
花帆「そうなの?」
吟子「地元でも、じいじ、ばあば……年配の方とは、楽しくお喋りできるんだけど。同年代の友達とか、いないし……作り方も、わかんないし………」
花帆「そっかぁ。だったら……うん、決めた! あたしが吟子ちゃんのお友達になるよ!」
吟子「え? ……は?」
戸惑う百生さん。
吟子「それは、どういう……?」
花帆「友達みたいに接してもらえばいいからさ。そうしたら、吟子ちゃんとも、もっと仲良くなれるでしょ? あたし、吟子ちゃんのこともっと知りたいんだ!」
花帆「ほら、まずはやってみて!」
吟子「そう言われても……………」
花帆「じゃあじゃあ、試しに『花帆ちゃん』って呼んでみるのは? あ、敬語もなくて大丈夫だよ!」
吟子「先輩……それは、さすがに……………」
花帆「もう一声!」
吟子「……………か、花帆先輩」
花帆「うんうん」
吟子「もう、なんなんですかこれ!芸の世界において「上下関係は絶対」っていうのが、伝統なのに!」
花帆「あたし、そういうの知らないし! あ、でも、吟子ちゃんが嫌だったら、無理矢理とは言わないからね?吟子ちゃんの気に入るやり方でいこうね。あたし、吟子ちゃんのことをしっかり考えるから!」
吟子「あーもう! ぐいぐい来すぎ! わかった、わかりましたから! でも、花帆先輩呼びまで!それでいいですよね!?」
花帆「うん、わかった!ありがと!」
吟子「ヘンな人……なんでそっちがお礼言うんですか……」
百生さんは口ではそう言ってるが、内心はまんざらでもなさそうだった。
吟子「ほら、部活いきますよ!部活!」
花帆「えへへ」
吟子「…………今度は、なんですかー」
花帆「なんだか、吟子ちゃんとちょっと仲良くなれた気がして、嬉しいなーって」
吟子「む、むう……………」
花帆「これからも吟子ちゃんのこと、ずーっと見てるからね!」
吟子「だから! もーー!! あ………花帆先輩、聞こうと思ってたことがあるんですが」
花帆「なに? 吟子ちゃん!」
吟子「えっと、淳平先輩ってどんな方なんですか?」
花帆の眉がピクッと動く。
花帆「どうって?」
吟子「いや、仮にもアイドルの名を冠する部活でマネージャーとはいえ男子生徒がいるのが、少し違和感があるといいますか……」
花帆「あ~、なるほどねぇ。淳兄ぃは優しくていい人だから大丈夫だよ? 昔からそうなんだ」
吟子「そうなんですか?」
花帆「そうだねぇ……もしも思わせぶりなこと言っても多分本人はまったく気づいてないから気にするだけ無駄だと思う。去年あたしもセンパイたちも、さやかちゃんや瑠璃乃ちゃんもあまりの鈍感ぶりに何度も殴りそうになったし」
吟子「へぇ……ん? もしかして先輩方って」
花帆「うん。あたしたち上級生6人とも淳兄ぃが初恋で今も続いてるんだぁ。今はやっと気づいてくれて今度の蓮空祭に答えを出してくれるって言ってたから」
吟子「……アイドルなのに大丈夫なんですか?」
花帆「大丈夫だよ! スクールアイドルはプロのアイドルじゃなくてただの学生だもん!」
吟子(そういう物なんでしょうか……)
花帆「アタシたちが『明らかに分かるだろ!』ってくらいの好意をぶつけてもまったく気づかなかったからねぇ……。吟子ちゃんが恐れてるようなことは起こらないと思うよ」
吟子「そうなんですか…………(それって無自覚天然タラシってことじゃないですか?自覚があってやってる人は部活に置いておけないけど、無自覚でやってるのはある意味もっとタチが悪い気が………)」
◇◆◇◆◇◆
そして屋外練習を終えて次は室内で体幹トレーニング。まずはプランクのようだ。
花帆「それじゃあ、次はプランク!まずは20秒から、やってみよ!」
吟子「あの、前から思ってたんですけど……もう少し厳しくても大丈夫ですよ?」
花帆「えっ?」
吟子「初心者だから、手加減してくれるのは、わかりますけど……。筋トレは、ひとりでもそれなりにはしてましたから」
花帆「そ、そんな…………あたし、入部したばかりの頃は、なんにもできなかったのに!」
花帆の背後に『ガーン!』という擬音が文字になって見えた気がする。
吟子「………やっぱり20秒にしときます?」
花帆「いえ!だったら、あたしの限界値まで……!」
そして2人でプランクを始める。なのだが、
花帆「あ、あれ……………?」
花帆は1年生にプランクの持続時間で負けた。
花帆「あれあれ!?もしかして吟子ちゃん、あたしより体力ある!?」
吟子「花帆先輩……………だ、大丈夫ですよ。今回は、その、たまたまだから」
花帆「トレーニングにマグレはないんだよお! じゃあランニング!ランニングで勝負!」
吟子「どうして勝負になってるんですか!?」
花帆「ほらよーいどんー!」
吟子「なっ。こら! せこいー!」
梢「ふふっ……。さすが花帆。どうやら、もう大丈夫そうね」
淳平「だな」
ー つづく ー
名前
蓮ノ空学院スクールアイドルクラブ3年
所属ユニット:スリーズブーケ
蓮ノ空スクールアイドルクラブの部長の3年生。淳平や綴理、慈と同じクラスになった。
入学当初は男子でスクールアイドルクラブのマネージャーをやろうとする淳平を、立場を利用してスクールアイドルに近づく不届き者かと警戒していたが、しばらくするとアッサリと警戒心を解かれ今ではスッカリ心を許している。
今は淳平に対して熱い恋心をを抱いている淳平ガチ勢。
淳平に告白して返事を待っているヒロイン候補2人目
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