翌日の朝、今日は土曜日で学校は休み。だが午前中はスクールアイドルクラブの練習があり、スリーズブーケの2人と百生さんは一緒に部室にいた。
どうやら何か打ち合わせをしているようだ。
吟子「ライブの予定……ですか?」
花帆「そう、ライブの予定!」
淳平「うん。百生さんは基礎はある程度できてたから、早めだけど実践の場に立っても大丈夫じゃないかって俺達で話し合ってさ」
梢「ええ。吟子さんも練習に慣れてきたでしょうし、それに次の目標があったほうが励みになるんじゃないかしら。ね、花帆」
花帆「はい、梢センパイ!」
梢「あなたが良ければ、このままスリーズブーケで一緒に……というのを、 花帆は望んでいるみたいだけれど」
花帆「一緒にやろうよ、吟子ちゃん!」
花帆はまた百生さんに「一緒にスクールアイドルやろう!」と誘う。
吟子「それは……まだちょっと、考えさせてもらっても、いいですか?」
花帆「なんでえ!? むぐっ」
花帆がしつこくなる前に俺が花帆の口を手で塞ぐ。
梢「ええ、もちろん。あなたの3年間がかかっているんだもの。慎重になりすぎても悪いということは、まったくないわ」
淳平「一応、ライブの日までにユニットを決めてもらえると助かるけど。でも、後から変更しても大丈夫だから。その辺りは、俺達でちゃんと配慮するからさ」
吟子「乙宗先輩、淳平先輩………」
梢「ふふっ、私も、梢でいいわよ?」
吟子「う………じゃあ、こ、梢先輩。すみません、お手数をおかけして」
すると、百生さんは花帆を見て少し申し訳無さそうに、
吟子「……………花帆先輩にも、こんなによくしてもらってるのに………」
花帆「いいんだよ、吟子ちゃん! 後輩の面倒を見るのが、二年生の!先輩の!あたしの!務めだからね!」
花帆が胸を張ってドンと叩く。
吟子「うわあ暑苦しい……」
百生さんも結構言うね……。
梢「ふふっ。それじゃあ、ライブの予定を組んでしまって構わないかしら?」
吟子「あっ、はい。ありがとうございます。ライブ自体は、その、緊張するけど………楽しみ、です。それは、ほんとに」
花帆「吟子ちゃんの初ライブ、だもんね!あたし、最前列でペンラ振るね!」
吟子「場合によってはあなたも出るんですが!」
花帆「え、ってことは、吟子ちゃん、やっぱりスリーズブーケに……!!」
吟子「ああ言えばこう言う!この人!」
でも、百生さん顔を見る限りではまんざらでも無さそうだな。
梢「ふふふっ。花帆はね、ライブが大好きなのよ。自分のライブだけじゃなくて、人のライブもね」
吟子「スクールアイドルになるために生まれてきたような人……………」
淳平「それは確かに」
梢「ええ、本当にね」
花帆「ついに吟子ちゃんのデビューライブかあ。そうと決まったら、スペシャルな演出を考えたいなあ」
淳平「おっ、良いな」
花帆「うん!そうだ、ステージをピカピカに飾って、金沢城を作っちゃうのはどうですか!?ドーンと!」
梢「そうね、ちょっと難しいかしらね」
花帆「演出考えて〜、あとは衣装も新しくしたいなぁ〜」
淳平「そうだな。こっちも色々と考えてみるよ」
花帆「ありがと淳兄ぃ!」
吟子「すみません。ありがとうございます淳平先輩」
淳平「いいって」
かわいい後輩のためだしな。
吟子「あの、衣装でしたら……」
花帆「お、吟子ちゃん、希望とかある!?」
吟子「いえ、なにもかも任せるのは、申し訳ありませんし………………。衣装づくりなら、もしかしたら……私も、お手伝いできるかも、と」
梢「あら」
花帆「そういえば吟子ちゃん、デザインもしてたもんね!」
吟子「はい」
吟子「実は、百生家の家業は――」
そして午後、練習もなく完全オフになり、百生さんはバスに乗って街の方へと向かっていた。……なぜか花帆も一緒に。
ちなみに俺はめぐにいい人材を見つけたと連絡をもらいそっちに行っている。
◇◆◇◆◇◆◇◆
花帆「吟子ちゃんの家って、
花帆「あっ、ていうかだから吟子ちゃんって普段着もそんなにかっこいいんだ!? すごいね、着物すっごく似合ってる!背がすっと伸びてて、きれいだよ吟子ちゃん!」
花帆のトークが止まらず、百生さんはついていけ無さそうにしていた。
だが、心のなかでは『今まで私にここまで仲良くなろうとしてくれた人はいなかった』と、嬉しかったのだが、素直になれない百生さんだった。
吟子「あの」
花帆「なになに?」
吟子「私、花帆先輩に、『外出届の書き方を教えてほしい』ってだけ、言いましたよね?」
花帆「? うん」
吟子「……………なんで一緒に来たんですか?」
花帆「街の方に向かうんでしょ?あははっ、だったらもちろん行くよー」
吟子「だからなんで!?」
花帆「なんで……………?おやすみの日に、友達とお出かけするのが、なんで……?」
花帆は考えるが、百生さんの言ってる意味が理解できなかった。
吟子「ぐっ…………と、友達…………。私とは違う理屈で動いてる人!」
百生さんは理解が追いつかないようだが、花帆の友達という言葉が心に刺さっていた。……本人は必死に隠しているが。
花帆「それとも、迷惑だった…………?」
吟子「ああもう! そんなことないよって言えば満足ですか!?」
花帆「えへへ、よかったぁ」
吟子「……………あなたって、誰にでもそんな風なんですか?」
百生さんは花帆に聞いてみるが、
花帆「そんな風って?」
花帆は質問の意味が理解できていない。百生さんからしたら、少なくとも無自覚なことはこの時点で確定だった。
すると、バスが目的地に到着し、
吟子「あ、ほら、つきましたよ!早く降りる降りる!」
花帆「そんな風ってなーにー!?」
花帆も急いでバスを降りながら百生さんに聞いていた。
ー つづく ー
名前
蓮ノ空学院スクールアイドル2年
所属ユニット:DOLLCHESTRA
蓮ノ空スクールアイドルクラブの2年生。
フィギュアスケートとスクールアイドルを両立する、生粋のアスリート気質。
綴理曰く、料理がプロ級に上手い。
1年生の4月頃、姉のフィギュアスケートの引退のときに綴理の楽しみにしていたイベントと被ってしまい、どうするべきか悩んでいたが綴理とすれ違いショックを受ける。
しかしスクールアイドルで頑張ってるさやかが好きだと声をかけ、決して見放さなかった淳平に心を撃ち抜かれてそれ以降これでもかとアタックしている淳平ガチ勢。
ヒロイン候補3人目である。
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