あれから数日後、さやかちゃんと綴理は部室で話していた。その日はたまたま俺も部室にいた。
さやか「そう言えば、知っていますか? 綴理先輩」
綴理「なに?」
さやか「花帆さんが、スリーズブーケの後輩を見つけたと言って、勧誘を頑張っているんです。淳平先輩、名前なんて言いましたっけ?」
淳平「百生吟子さんって言う子だよ」
綴理「お一」
さやか「みらくらぱーく!も、勧誘には精力的だということですから、今年のスクールアイドルクラブは賑やかになるかもしれませんね」
綴理「スクールアイドルクラブは、賑やかな方がいい」
淳平「ふふ、そうだな……」
綴理「…………そういえば、あの子はどうしてるんだろうね。探しても全然見つからないんだけど」
さやか「あの子、というと……………ああ」
綴理「そう、ぱちぱち」
さやか「たぶん拍手ではなかったと思います」
淳平「この間言ってた湖横断の子? 無茶するなぁと思ったけど、凄いよな。1人でやりきったんだろ?」
綴理「うん。2文字ならすぐ覚えられるんだけどな……でも、ボクはあの子は明るい黄色だったと思うんだ」
さやか「……そうかもしれませんね。もしも彼女がスクールアイドルを、チャレンジだと思ってくれたなら……そういう未来も、いいかもしれません。そうしたらきっとここは、彼女の舞台になれると思いますから」
淳平「なんて言ったっけ、その子……」
さやか「ああ、名前は……」
すると、部室の扉が開いた。
さやか「?」
綴理「あ」
淳平「あれ、あの子……」
小鈴「やっと……やっと見つけた………!」
さやか「あなたは」
綴理「お、来てくれた」
淳平「あ、この間の!」
俺も今思い出した。
小鈴「あ、あなたは! いや、それより……村野さやか先輩!! 夕露綴理先輩!! 徒町を……徒町小鈴を、スクールアイドルクラブに入れてください!!」
小鈴「徒町は今まで、居るだけでお荷物みたいな子でした! 何を頑張っても全然だめで、居ない方がマシみたいな感じで! でも……ここでなら……先輩たちの居る場所なら………徒町も、何者かになれる気がしたんです! 何かを、何かを掴める気がしたんです! お願いします!」
さやか・綴理「「……………」」
淳平「どうするんだ? 今回は2人に任せるぞ?」
2人はクスッと笑い、
綴理「きみを迎えるのは、DOLLCHESTRA」
さやか「ここは、あなたの居場所になるはずです」
小鈴「あ。はい!! 徒町は、ここで――何かを成し遂げたいです!!」
淳平「良かったね。徒町さん」
小鈴「はい! 日野下先輩! えっと、ちなみに先輩はなぜここに?」
淳平「ああ、俺この部のマネージャーだから」
小鈴「そうなんですか!? ということは、先輩とも毎日顔を合わせることに……」
淳平「そうだね。嫌だった?」
小鈴「嫌じゃないです! 先輩はいい人だってなんとなく分かりますので!」
淳平「それなら嬉しいけど……」
綴理「…………それにしても、探しに行ったのにどこにも居なかったから森に住んでるのかと思った」
小鈴「徒町を探しに来てくれてたんですか? 入れ違いになってたのかもしれませんね。それと、寮の外で野営するのは禁止されてました。去年もひとりでキャンプしようとした人がいるみたいで」
さやか「その充電切れソロキャンパー知ってる気がする……」
淳平「どう聞いてもルリちゃんだな……」
さやか「………徒町小鈴さん」
小鈴「はい!」
さやか「頑張ったあなたに、これをあげようと思いまして」
さやかちゃんは、自分で作った缶バッジを徒町さんに渡した。
そのバッジには、『湖横断』と書かれていた。
小鈴「『湖横断』あの、これは」
さやか「あなた以外にとって、湖の横断はどうでもいい挑戦だと言ってましたよね。確かに、誰に表彰されることでもないかもしれません」
まあ、むしろ怒られる事だろうな……。
さやか「でも確かに成し遂げたこと。少なくともわたしは、ひとつ何かを成し遂げた、あなたの頑張りを認めたい」
小鈴「あ…………」
さやか「…………なんて、少し押し付けでしょうか」
小鈴「………先輩たちに、聴いてほしいことがあります! 徒町は欲張りだったみたいで、横断だけで胸を張って実家に帰るのは止めたんです!これからも、もっともっとみっしょんを増やしたいと思ってて……なので!」
小鈴「このかばんいっぱいに、徒町の3年間の証を刻みます!さやか先輩から貰ったこれが、最初の最初です!」
さやか「!」
淳平「良かったね、さやかちゃん。めちゃくちゃ喜んでもらえて」
小鈴「はい、めちゃくちゃ喜びました!」
さやか「ふふっ。これからの小鈴さんに、期待させてくださいね」
小鈴「はい! ちぇすとー!!」
こうして、スクールアイドルクラブに2人めの新入生が加わった。
ー つづく ー
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