蓮ノ空スクールアイドル録   作:松兄

167 / 339
第10話:ゲームストリーマー、ツマヨウ寺

ライブ後、ルリちゃんは配信のコメント欄を読み返していた。

 

瑠璃乃「いちおう、あんな突然のことがあっても、みんな楽しそうにしてくれてて、そこはほんとによかったかなあ。配信の方でも、コメント盛り上がってくれてたっぽいし………ん?」

 

すると、1つ気になるコメントを見つけた。

 

『ツマヨウ寺: みらくらぱーく!のことはいつも心からすっごく応援しているんですけどもだからといって入りたいかと言われておー!と素直に言えるかというと難しい問題でありますのでめぐちゃ んのコールに即座に反応できなかった次第です消えてなくなりたい』

 

いつも配信にコメントをくれているハンドルネーム『ツマヨウ寺』さんの濃いコメントに、ルリちゃんは苦笑い。

 

瑠璃乃「あ、相変わらずコメント濃いなぁこの子……」

 

慈「うーん、次の作戦な〜」

 

淳平「もう真っ当にチラシとか作る方が良いんじゃないか?」

 

慈「チラシ、チラシかあ。メンバー募集!って?」

 

俺とルリちゃんは「うん」と頷く。

 

慈「何ていうか……もっとこう、みらくらぱーく!に入りたいです!!って、 初日から100人くらい突っ込んでくればいいのに。こーんなに可愛いるりちゃんとめぐちゃんと、一緒に活動できるんだからさ!」

 

淳平「それはそうかもしれないけど、難しいんじゃないか?」

 

慈「?」

 

淳平「たまにみらくらぱーく!のコメント見るんだけどさ、みらくらぱーく!はめぐとルリちゃんのユニット!っていう固定概念がもうできちゃってるみたいなんだよな。だから、入りたい人がいても「自分は求められてない」って思うんじゃないかなって。そういうところに突っ込むのって凄い勇気要るからさ」

 

瑠璃乃「そうだよね……」

 

慈「? なんでハードル高いのかは、よくわかんないけど。るりちゃんとジュンの思いやり、好きだよ私」

 

瑠璃乃「な、なにさ、突然」

 

慈「……………後輩入れるの、やっぱり乗り気じゃないんでしょ?」

 

めぐはやはりルリちゃんの気持ちは見抜いていた。

 

瑠璃乃「まあそれは、言った通りでありまして?」

 

慈「でも入ってくる子のことは考えてあげる、それがるりちゃんの良いところだと思うからさ」

 

瑠璃乃「…………………」

 

慈「私もさ、ちゃんと考えたんだよ。前にるりちゃんが言ってくれたこと。私だけじゃ届かない人がいるんだ、って」

 

瑠璃乃「ああ、うん。あったね、そんなことも」

 

慈「だから、やっぱり、メンバー増やしたいんだ」

 

瑠璃乃「それは……。めぐちゃんはずるいなあ。そんなこと言われたら反対できないじゃん」

 

慈「やだ、めぐちゃんったら罪な女の子♪いよっし、るりちゃん。やっぱり、チラシはやめとこ!」

 

瑠璃乃「えっ?」

 

慈「今話して、改めて思ったんだよ。私たちに必要なのは、私たちの手の届かないところに届いてくれるような子なんだって!一緒にやりたいって言ってくれる子は、そりゃあ嬉しいけど………私たちは、私たちに必要な子を捕まえなきゃ!」

 

やりたい子ではなく、自分たちに必要な子。他のユニットとは違うベクトルで勧誘対象を考えるめぐ。

 

まあ、めぐの野望にはそれが最適解かもな。

 

淳平「じゃあ、どうするんだ?めぐ」

 

慈「まずは配信だよ!求む、楽しい子!」

 

瑠璃乃「そんな朝のどうぶつコーナーみたいな募集で……ん、配信?」

 

慈「るりちゃん?」

 

淳平「どうした?」

 

瑠璃乃「そーじゃん!思い出した!めぐちゃん、ジュン兄ぃ、今朝の子!あの子ツマヨウ寺だ!!」

 

慈「あの子つまようじ、って人生で言うことある???」

 

淳平「つまようじ……?」

 

するとルリちゃんはスマホのyoutubeで目的のチャンネルを開いて俺とめぐに見せてくる。

 

そこには、今朝のめぐの鳩を捕まえる罠にかかった女の子が映っていた。

 

?「は〜いツマヨウ寺で〜す今日もよろしくね〜。じゃ〜今日は〜、フレンドの試合でも見てこ〜。気になるとこあったら止めて話してくね〜」

 

淳平「あれ、この子……………朝の」

 

瑠璃乃「いや〜……今朝、なーんか見覚えあると思ってたんだよなー。ルリ、ちょいちょいこの子の配信見てるの」

 

慈「ふ〜〜ん……………確かに可愛いね???」

 

ルリちゃんが取られると思ったのか、あからさまに不機嫌になるめぐ

 

瑠璃乃「え、可愛いは可愛いけど。ルリのやってるゲームの配信者なんだよ」

 

淳平「まあ、顔はかわいいな」

 

俺がそう言うと、

 

慈「ジュン?(^言^)」

 

瑠璃乃「ジュン兄ぃ?(°言°)」

 

淳平「怖いって! お前らだって言ったじゃないかよ!!」

 

慈「そうだけど……」

 

瑠璃乃「はぁ……」

 

これもだめなの?

 

慈「で?ゲーム配信……上手なの?」

 

瑠璃乃「去年、学生の部で優勝してる。ハンドルネームはツマヨウ寺」

 

慈「とんがった名前だね」

 

瑠璃乃「強いだけじゃなくて、お喋りもけっこう面白くって」

 

ほう。

 

慈「ふーーん。るりちゃんがそこまで言うなら、配信者として成立してるかどうか、確かめてやろう!」

 

淳平「すごい上から目線だな……」

 

そして、ツマヨウ寺さんの配信を見始める俺とめぐとルリちゃん。

 

ツマヨウ寺『お、昨日の試合も見に来てくれてたんだ〜。いつもありがとね〜。あはは〜。あれはちょっと焦ったかも〜って思ってたんだけど〜〜…………… みんなに言ったもんね、行くときは行くってさ〜』

 

慈「ね、るりちゃん。この子、私たちのこと知ってるんだよね?」

 

瑠璃乃「ん? そうだね、めぐちゃんのアクスタ拾ってふへへって言ってたし」

 

慈「…………私さ、いつだったかな、配信で質問されたことあるんだよね。配信で大事にしてることはなんですか?って」

 

淳平「それでなんて答えたんだ?」

 

慈「『画面の向こう側に、ひとりひとりがいるって意識して話すこと』みたいに答えたんだ。配信って慣れてくると数字ばっかり見ちゃいそうになるけど、それだけは忘れないようにしないとね、って」

 

へぇ~。

 

淳平「的確なアドバイスだな」

 

慈「でしょ?この子、私の配信とか、研究してるのかな。……………あれ?そういえば、あのとき質問してきたのって」

 

淳平「言われてみれば、 コメントに話しかけるときとか、ちょっとめぐっぽいかも」

 

ツマヨウ寺『さて、フレンドの試合の続きだけど。今の危なかったよ〜。最後ちょっと甘えたかな〜? ワンチャン追うほどのリスクとリターンが見合ってるかは、常に頭に入れておかないと〜』

 

瑠璃乃「まあ内容はめぐちゃんとは全然違うけど。にしても異次元だなーツマヨウ寺。ルリにはこのフレンドさんとやらも、すっごい上手い人にしか見えん」

 

慈「コメントも『すごい』『気づかなかった』みたいなのが多いね。なるほど……可愛いうえに、強い……」

 

淳平「めぐ?」

 

慈「可愛い×強いって……イコール最強じゃない?」

 

瑠璃乃「もしかして」

 

慈「配信の基礎はばっちりできてるみたいだし……この子がいれば、もっともっと世界が広がる気がする!」

 

瑠璃乃「待って待ってめぐちゃん。今日たまたまコメント目に入ったけど、めぐちゃんのあのコールすら恐れ多いとか言ってたよ!?」

 

慈「じゃあやっぱりこっちから行ってあげないと!」

 

瑠璃乃「コールすら恐れ多い子に突撃すんの!? まぁじ!?」

 

淳平「諦めろルリちゃん。こうなっためぐは俺でも止められないよ……」

 

瑠璃乃「知ってる……」

 

めぐがこの子の部屋に向かう後ろで、俺とルリちゃんは盛大にため息を吐いていた。

 

 

 

ー つづく ー




感想・評価よろしくお願いします!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。