蓮ノ空スクールアイドル録   作:松兄

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第13話:友達

翌日早朝、スクールアイドルクラブは朝練のために早めに学校に来ていた。

 

花帆「…………………」

 

花帆は、昨日の百生さんの様子を思い出していた。

 

すると、

 

吟子「おはようございます」

 

花帆「あっ、吟子ちゃん!?」

 

何事も無かったかのように、練習に来た百生さん。

 

吟子「…………な、なんですか? そんな、顔色を変えて」

 

花帆「だって、吟子ちゃん、昨日…………。あたし、具合悪いのかな、って」

 

吟子「あ……………いえ。すみません。先に帰っちゃって。でも、大丈夫。きょうはちゃんと、練習するから」

 

花帆「う、うん! そうだね、がんばろうね! じゃあまずは、いつもの基礎練から!」

 

そして2人でいつも通り基礎トレーニングを始める。だが、

 

花帆「わんつ一、さんしー。にいに、さんしー!」

 

吟子「……………………」

 

百生さんは口ではああ言っていたが、浮かない表情をして黙っていた。

 

花帆は、当然それに気づき…、

 

花帆「そ、そうだ、吟子ちゃん! そういえば、ライブでやる曲のことなんだけど!」

 

吟子「……………………」

 

花帆「吟子ちゃん?」

 

吟子「え? あ、すみません。なにか、言いましたか?」

 

花帆「えっと……………。う、ううん!続けよっか!」

 

吟子「……………………」

 

そして、その日の放課後も練習したのだが、百生さんはまったく練習に身が入っていなかった。

 

吟子「おつかれさまでした。それじゃあ、また明日」

 

そして、百生さんの去り際、

 

吟子「っ……………」

 

思い詰めたような、悲しそうな顔をしていたのを、花帆は見逃さなかった。

 

花帆「あ…………吟子、ちゃん…………」

 

吟子「……………」

 

しかし、百生さんの顔を見ていたら、花帆は声を掛けることができなかった。

 

花帆「……なんでだろ。声、かけられなかった………」

 

 

 

 

 

その日の夜、女子寮では2年女子のお風呂の時間になり、花帆、ルリちゃん、さやかちゃんは3人一緒にお風呂に入っていた。

 

瑠璃乃「はぁ〜。ごぞーろっぴーしみわたるぅ〜……」

 

さやか「五臓六腑でしょうか………。でもそうですね、この時間は二年生になっても変わらず、いいものです」

 

花帆「うん」

 

しかし、花帆は百生さんのことで浮かない表情をしている。

 

さやか「……………花帆さん、なにかあったんですか?」

 

瑠璃乃「吟子ちゃんの話〜?」

 

花帆「あ、うん。ご、ごめんね、気を遣わせちゃって。あたし、もう二年生なのに」

 

瑠璃乃「そんな急に進化したりするもんじゃないっしょー。花帆ちゃんは花帆ちゃんだよー」

 

さやか「そうですよ。二年生になった瞬間、花帆さんの考え方や話し方が変わったらびっくりします。ええ、びっくりしました」

 

花帆「あはは……だよね。あのね、吟子ちゃんの話なんだけど……」

 

花帆は苦笑すると、胸の内を吐露する。

 

花帆「なんだか、最近元気がなくて。練習には来てくれるんだけど、きもちが入ってないっていうか……。でも、普段はなんでもないように振る舞ってて。……もしかしたら、あたしがなにかしちゃったのかな」

 

さやか「心当たりが?」

 

花帆「それが、よくわかんなくて。梢センパイに言われて、あたしのやり方で仲良くなろうってがんばってたつもりなんだけど…………。でも、あたしってほら、空気読めなかったり、喋り過ぎちゃったりするから……知らないうちに、嫌なことしちゃってたのかな?って」

 

瑠璃乃「…………それ、その吟子ちゃんが、言ってたの?」

 

花帆は首を横に振り、言葉を漏らす。

 

花帆「わかんない…………吟子ちゃんがなにを考えてるのか、ぜんぜんわかんなくて。あたし、先輩なのに……」

 

瑠璃乃「花帆ちゃんはできることを一生懸命がんばってるって、ルリは思うよ」

 

花帆「でも、梢センパイのときは、あたしのことをなんでもわかってくれて……。あたしがどうすればいいのか、ちゃんと正解を教えてくれて…………」

 

瑠璃乃「ん」

 

さやか「ねえ。花帆さん。花帆さんには花帆さんの、いいところがありますよ。梢先輩にはない、花帆さんだけのいいところが」

 

花帆「…………そんなの、あるのかな」

 

瑠璃乃「あるよ」

 

ルリちゃんは、しっかりと断言した。

 

瑠璃乃「今の花帆ちゃんはさ、こずパイセンの良いとこと、花帆ちゃんのダメなとこで勝負してるようなもんだよ」

 

さやか「花帆さんは明るくて、お話するだけで元気をくれる。それはきっと、あなたにしかない魅力ですよ」

 

瑠璃乃「花帆ちゃんなんだからさ、しっかり踏み込んだ方が良いよ。ルリもそれで、ようやく仲間になれたんじゃん?「」

 

花帆「瑠璃乃ちゃん……うん」

 

ルリちゃんの言葉に、花帆の顔に少し明るさが戻る。

 

さやか「わたしは少なくとも、理想の"センパイ" より、ありのままの"花帆さん"の方が好きですよ。わたしたちも晴れて、先輩として一年生なんです。一歩一歩、ともに頑張りましょう」

 

瑠璃乃「だいじょーぶ。ジッサイ、さやかちゃんが言った通り、花帆ちゃんは話すだけで魅力的なんだしさ!」

 

花帆「瑠璃乃ちゃん、さやかちゃん……ありがとう!」

 

花帆は顔を上げると、

 

花帆「あたし、話してみようと思う。拒絶されるんじゃないかって、怖かったけど……でも、今のままよりは、そっちのほうがいい。だってあたしも、梢センパイとスリーズブーケになれたのは、しっかり自分の気持ちを伝えられたからだもん!」

 

そして花帆の目に決意が宿る。

 

花帆「いってみるね!」

 

さやか「あっ、花帆さん!」

 

瑠璃乃「うわわわっ…………!あ、いっちゃった」

 

さやか「……うまく、いくといいですね」

 

 

ー つづく ー




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