蓮ノ空スクールアイドル録   作:松兄

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第16話:受け継がれてきた歴史 今の名は……

大倉庫から60年分のスクールアイドルノートの一部を自室に持ってきた花帆は、それらのノートから『さかさまの歌』が、過ぎた年月の中で、形を変え、姿を変え、しかしたしかに今へと続き受け継がれている証拠。

 

『改変記録』を探していた。

 

花帆「これも違う……これも、違う。逆さまの歌じゃない……。だめかあ! また次のダンボール持ってこなくっちゃ!」

 

花帆は机に突っ伏すと、独り言のように言葉を発する。

 

花帆「ステージ制作して、練習して、衣装の続きも作って…………。先輩は、大変だあ………いいアイディアだと、思ったんだけどなあ」

 

しかし、花帆は身体を起こすと自身の頬をパチンと叩き気合を入れ直す。

 

花帆「ううん、だめだめ!諦めない!先輩は、諦めないんだから!」

 

すると、ここで花帆の部屋の扉が誰かにノックされた。

 

花帆「はいはーい?」

 

花帆が扉を開けると、そこには……。

 

花帆「あれ?どうしたの、さやかちゃん、瑠璃乃ちゃん、淳兄ぃ。それに……その、ダンボール」

 

さやか「淳平先輩から話は聞きましたよ、花帆さん。吟子さんのために、なにかしているんですよね?」

 

瑠璃乃「ルリたち、応援に来たよ!失礼っ」

 

淳平「1人じゃあ大変だろ? 手伝うよ」

 

そして淳平達3人は中に入る。

 

花帆「ええええ!? なんで!?」

 

花帆が混乱していると、さやかちゃんとルリちゃんは花帆の方に顔を向き、はっきりと言い切る。

 

さやか「友達が困っているんですから、当たり前です!」

 

瑠璃乃「理由なんて、いらないぜ。ルリ思う、ゆえにルリここにあり!」

 

淳平「花帆が1人で頑張ってるんだ。力になれることがあるなら、なるに決まってるさ!」

 

俺達の言葉に、花帆は感極まり抱き着いてきた。

 

花帆「3人とも……………もう、大好きっ!」

 

さやか「ちょっ、あの!」

 

瑠璃乃「せめて先にダンボール置かせて!」

 

淳平「花帆! 落としちゃうから!」

 

そして花帆をなだめて段ボールを置くと花帆に何をすれば良いかを聞く。

 

さやか「改変記録、ですか?」

 

花帆「うん。きっとノートのどこかにあるはずなんだ。逆さまの歌が形を変えて、名前を変えて、現代に受け継がれてるっていう証拠が。でもまだ、最初のひとつも見つからなくて……」

 

淳平たち3人は顔を見合わせる。

 

瑠璃乃「ほほう、ずいぶん確信をもって言ってるねえ、花帆ちゃん」

 

さやか「どうして受け継がれているって、わかるんですか?」

 

すると、花帆は真っ直ぐな瞳をこちらに向けて言い切った。

 

花帆「わかるよ! だって、今でもその歌を大好きな人がいるんだよ! スクールアイドルクラブが、あたしの大好きなスクールアイドルクラブなら、きっと受け継がれてるに決まってる!」

 

花帆は言葉をいったん切り、笑顔を浮かべて「だって……」と繋げる。

 

花帆「大好きなものを、大好きだから後輩に伝え続けたいって思うのが、伝統なんだから!」

 

淳平「……………ふふっ」

 

さやか「そうですね。笑顔の花帆さんが言うんだから、間違いなさそうですね」

 

瑠璃乃「ルリもそれで、納得かな!」

 

淳平「ああ。俺も!」

 

花帆「みんな……。じゃあさんにんとも、力をお借りします!」

 

さやか・瑠璃乃・淳平「「「任せてください(お任せあれ)(任せろ)!!」」」

 

そして、その日は徹夜をして、4人で改変記録を探した。

翌日の朝になって俺が女子寮に居たことを寮母さんに怒られたが、4人でやっていたこと、証人が3人いたので怒られるだけで済んだが厳重注意を貰った。

 

 

 

そしてスクールアイドルクラブの朝のミーティングの時間。花帆、さやかちゃん、ルリちゃん、俺は眠くてウトウトしていた。

 

花帆「……すう…」

 

淳平「zzz……」

 

慈「こーら」

 

花帆・淳平「「わっ(はっ)!」」

 

慈「次回のライブのためのミーティング中に居眠りとは、花帆ちゃんもジュンもいい度胸じゃん。綴理がうつったかー? えー?」

 

花帆「ご、ごめんなさい!あの、えと」

 

淳平「悪い……」

 

小鈴「さ、さやか先輩も。起きてください!起きてください!」

 

さやか「へっ? あ、お、起きてましたよ!? 大丈夫です、起きてました!」

 

姫芽「るりちゃんせんぱ〜い。朝ですよ〜」

 

瑠璃乃「むにゃむにゃ…………。もう食べられません……たすけて……………」

 

眠気と必死に戦っている俺達に、めぐは注意する。

 

慈「もー。一年生!じゃない、二年生!と、ジュン! たるんでるんじゃないの? 新一年生が見てるんだぞ!」

 

だが、事情を知っている梢がフォローしてくれる。

 

梢「慈、あんまり厳しく言うのは……」

 

慈「ヘー? かばうなんて珍しいじゃん、梢。おまけにジュンは花帆ちゃんの部屋で一夜を明かしたって話が立ってるのになんで冷静なのかな〜?」

 

 

梢「それは……」

 

慈「まぁそれはさておき、だめ。ライブに真剣じゃないやつは、私が許さないから」

 

花帆「うっ……ごめんなさい」

 

淳平「返す言葉もない……」

 

するとめぐは……、

 

慈「罰として、スクールアイドルノートを読むなら、三年生の力も借りること!」

 

花帆・淳平「「へ………?」」

 

花帆「えっ、あっ、瑠璃乃ちゃんが教えたの!?」

 

瑠璃乃「ジュン兄ぃとさやかちゃんと花帆ちゃんと1夜を共にしたってことでめぐちゃんと姫芽ちゃんに問い詰められて……」

 

姫芽「淳平先輩はそんな人なのかと、少し軽蔑しましたけど、理由を聞いたらそれならいいかと逆に見直しましたので……。めぐちゃん先輩とルリちゃん先輩の幼馴染って言うからにはそのくらいできる人じゃなきゃ認めたくないので。むしろ感心しました。もちろん良い意味で」

 

慈「そ!キミたちが新一年生のためにコソコソがんばってることは、もうバレてるんだよ!」

 

綴理「そうだったんだ、さや、ジュン。後ろめたくないなら、堂々と言ってくれればよかったのに」

 

さやか「う……それは、でも……………」

 

淳平「誤解を招くこともしちゃったしな……」

 

すると、

 

花帆「で、でも、もうさやかちゃんと瑠璃乃ちゃんと淳兄ぃにも手伝ってもらってて。ただでさえ淳兄ぃは三年生で、他の三年生も、いろいろと忙しいですよね?」

 

綴理「いそがしくないよ?」

 

姫芽「はいは〜い。したら、アタシたちがやりますよ〜」

 

ここで、新一年生の安養寺さんが助け船を出してくれた。

 

瑠璃乃「えっ、いいの? 姫芽ちゃん」

 

姫芽「はい〜。百生さんとは、少し話して仲良くなれましたし、これから同じチームになるなら、フレンドのためにがんばるのは、トーゼンってもんですよ〜」

 

小鈴「徒町もやります! 人手が必要なら、どうぞ徒町を何人でもお使いください!」

 

徒町さんも手伝うと言ってくれた。本当に……なんでみんなこんなに良い子なんだろう。涙出そう……。

 

さやか「ありがとうございます。では小鈴さんおひとり、貸してくださいね」

 

小鈴「ハイです!」

 

慈「ていうか、忙しくても関係ないのだよ! なぜなら、私たちは最高のスクールアイドルクラブだからね!スクールアイドルの新しい芽を摘むなんて、ありえないんだよ!」

 

淳平「めぐ………!!」

 

めぐの言葉に、俺は感動で目頭が熱くなる。

 

瑠璃乃「めぐちゃんならそう言うと思った! さすが!」

 

綴理「ほんとにいそがしくないよ」

 

慈「ね?梢!」

 

めぐの呼びかけに、みんなが梢に視線を向ける。

 

梢「もう、あなたたち………………こうなってしまったからには、どうかしら、花帆。あなたがやりたいという気持ちもわかるけれど……せめて私にも、少しぐらいは手伝わせてくれる?」

 

花帆「センパイ……みんな…………。それじゃあ、改めて…………。あたしからもお願いします! どうか、力を貸してください!」

 

綴理・慈・小鈴・姫芽「「「「おー!!!」」」」

 

そして、部員全員で過去のノートを広げて目を通していく俺達。しばらくすると、突如梢が……。

 

梢「もしかしたら、これじゃないかしら………? 逆さまの歌」

 

瑠璃乃「あっ、ほんとだ! 待って待って待って。ここでタイトルが変わったんだったら、もしかしてこないだルリが見たやつが………!」

 

綴理「うん。ほら、20年ぐらい前の竜胆祭でやってる曲。またちょっと名前が変わってるけど、これもそうだ」

 

慈「やるじゃん綴理! ってことは、必要なのはこれ以降のノートだね」

 

数の力は偉大なもので、もっと時間が掛かりそうだったものが、ほんの数十分で、手がかりが見つかった。

 

小鈴「あ、だったら徒町が大倉庫までひとっ走りしてきますよ! こういう仕事は任せてください!ちぇすと〜!」

 

徒町さんは走って大倉庫に向かって行く。

 

姫芽「アタシもアタシも。意外とカラダも動けるほ〜なんで〜。無限に往復してダンボールでいっぱい持ってきま〜す。反復は得意〜」

 

安養寺さんも歩いて大倉庫に向かおうとする。

 

さやか「あっ。新一年生だけで行ったら、迷って戻って来れなくなってしまいますよ!? 皆さんで、皆さんで行きましょう!」

 

そして、部員全員で大倉庫に向かい、目的の段ボールを持ってきて中のノートを広げる。

 

すると、すぐに改変の記録。花帆の知りたかった答えが見つかった。

 

『さかさまの歌』が、今にどんな曲となって伝わっているのかが。

 

花帆「逆さまの歌………。そっか、そうだったんだ……!」

 

俺達も、その答えを見て言葉を失う。コレも、運命ってやつなのかな。

 

花帆「メロディが変わって、歌詞が変わって、それでも、今に続いてた…! スクールアイドルクラブみたいに! これが、逆さまの歌だったんだ!」

 

慈「いえーい! さっすが私たち!」

 

答えを見つけた事に、めぐが喜びの声を上げる。

 

瑠璃乃「やったねめぐちゃん!ジュン兄ぃ!」

 

淳平「ああ!!」

 

小鈴「お力に、なれたみたいで。ふへへっ」

 

姫芽「いや〜、良かったねぇ、徒町さん〜」

 

綴理「楽しかった。ボクたち、ステージの上じゃなくても、スクールアイドルだったね」

 

さやか「そうですね。ほんとに、よかったです」

 

梢「花帆。後は……」

 

花帆「はい、大丈夫です!あたしに任せてください! 将来有望な新入部員を、勧誘してきますね!!」

 

材料は揃った。いざ、花帆の百生さんを勧誘するための決戦へ!

 

 

ー つづく ー




1stシーズンの第三章、13話「雨と、風と、太陽と!」の最後のライブが始まるという所を少し書き足しました。
これからの展開に必要なので。

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