第21話:招待状
その日、スクールアイドルクラブのメンバーはダンスの練習をメインに行っていた。
梢「ワン、ツー、スリー、フォー。 ワン、ツー、スリー、フォー」
梢が前でみんなの様子を見ながら拍を取り、みんなはそのリズムに合わせて踊る。
淳平「花帆少し早いぞ! 吟子ちゃんはそのリズムで!」
吟子「あっ、はい!」
花帆「うぐぐぐ! 負けない!」
吟子「なんの勝負なの?」
そして踊っている途中……、
慈「ここでとっても可愛いめぐちゃんのポーズっ!」
瑠璃乃「どわぁ!?」
めぐがアドリブで振りを入れる。すると周りに十分な意識を向けていなかったのかルリちゃんに接触してしまう。
淳平「ルリちゃん!? 大丈夫?」
瑠璃乃「う、うん……。平気」
慈「ご、ごめんルリちゃん……」
淳平「アドリブ入れるなとは言わないけど、よく、周り見ろよ……」
姫芽「ひぇ〜、みんなの笑顔を作るためには、自己犠牲も大事なんですね〜」
ん〜、ちょっと違うけどな……。
瑠璃乃「そういうことじゃないからね! めぐちゃんもアドリブのタイミングは選ぼうね!」
淳平「怪我がなくてよかったよ……」
慈「ごめんごめん。でも、ちょっとここの振りが気になっちゃってさ……」
フム………、
淳平「……少し動きが寂しいのは確かだな。梢、振りを調整できないか?」
梢「たしかに少し私も気になったわね。どうしましょうか……」
綴理「じゃあこういうのは?」
俺と梢が考えようとすると、綴理が案を出してくれた。その振りがまたすごく良い振りだった。
淳平「さすが綴理。けど、周りのバランスを考えるとここの振りをコンパクトにした方がよくないか?」
綴理「あっ、たしかに…」
梢「いいんじゃないかしら? それでやってみましょう」
姫芽「いいですね! それをめぐちゃんがやるっていうのがもっと良いです!」
綴理「ひめもやるんだけど……」
姫芽「なんと!」
姫芽ちゃん、ファン気質が中々抜けないなぁ……。
もう自分もみらくらぱーく!の一員なのに……。
すると、
小鈴「ふぇえ……」
吟子「どうしたの?」
小鈴「いちからじゅうまで、先輩方が何言ってるのか分からなかったや……」
吟子「……確かに、実際に踊りながら振り付けを詰めていくのは新鮮かも。それに早い」
小鈴「早いっていうのは?」
吟子「えーっと…………、気になるところに突然アドリブを入れた慈先輩。問題点にすぐ気づく梢先輩。そして、さっと案を作ってしまう綴理先輩。その案の問題点にいち早く気付いて、原型を保ちながらもその問題点を修正した案を直ぐに出す淳平先輩……。頭の回転が速いって言えばいいのか、慣れなのかは分からないけど……」
すると、百生さんの言葉を聞いた花帆が1年生に近づき、
花帆「そう、それがスクールアイドルクラブのセンパイたちなのです!」
吟子「どうして花帆先輩が自信満々なのよ……」
百生さんは花帆になんとも言えない視線を向ける。
小鈴「スクールアイドルクラブ……みんな、すごい…………」
すると、ここで俺の持っていたタイマーが鳴った。
淳平「あっ、交代だぞ?」
さやか「そうですね。梢先輩、全体を見る役代わりますよ」
梢「ありがとう。けっこう大変だけれど、頑張って」
淳平「人数、増えたからな……」
梢「そうね。改めて練習してみると、9人というのは壮観だわ……………」
さやか「……………そうですね。はい皆さん! 綴理先輩の案もありましたので、それでもう一度、合わせるところから再開しましょう!」
そして、さやかちゃんは1年生を見渡し、
さやか「鏡越しですが、一年生の皆さんも良い動きをされていましたから、気負わずいきましょうね!」
吟子・小鈴・姫芽「「「! はい!!」」」
その様子を、俺と梢は見ていた。
淳平「さやかちゃんも1年経って、頼もしくなったな」
梢「そうね。これなら問題なさそうかしら」
そして、その日の部活が終わったあと、部室でミーティングが開かれた。
梢「みんな、今日もお疲れ様」
花帆・さやか・瑠璃乃・綴理・慈・吟子・小鈴・姫芽『はーい!』
淳平「今日のミーティングでは、報告というか、連絡がひとつ。今年行われる敦賀スクールアイドルライブフェスタから、蓮ノ空学院スクールアイドルクラブ宛に招待状が届きました」
そして俺は招待状の入った封筒を机の上に出す。
小鈴「!」
花帆「招待状ですか! すごい、あたしたちお呼ばれしちゃったよさやかちゃん!」
さやか「どういう催しなんですか?」
梢「北陸中で活躍するスクールアイドルたちが集まって、大きなライブフェスをやるの。北陸代表の蓮ノ空学院スクールアイドルクラブは、そのトリを飾ってもらいたい………………そういう、光栄なオファーなのよ」
瑠璃乃「うおー、めちゃめちゃ期待されてね!?」
淳平「その通り。こういう頼みをするってことは、向こうは蓮ノ空にかなりの期待をしてるはず。下手なライブはできない」
吟子「そうですね……」
慈「今年だけなんだよねー?」
梢「北陸新幹線が新しく開業したでしょう。その記念、という意味合いもあるみたいね」
綴理「だから終わりと始まりの駅、敦賀」
淳平「終着駅ってことだな」
梢「というわけで私たち蓮ノ空学院スクールアイドルクラブは、北陸代表として招待を受けることになりました。頑張ってね?」
吟子「私たちもその一員、っていうことになるんですね」
花帆「北陸中のスクールアイドルが集まるイベントかぁ! なんだかすっごくやる気が出てきたーーあれ?……………"がんばってね"?」
気づいたか……。
慈「その日ちょうど、私たち3年は修学旅行なの!くっそー、1日だけ抜けられたりしないかなあ」
姫芽「え、めぐちゃんせんぱい不在……!? キーボード縛りみたいなものでは……!?」
瑠璃乃「それもしかしてルリがマウスなのかな。え、修学旅行ってどこ行くんです?」
淳平「東京」
瑠璃乃「おぅ、じゃぱにーずと一きょー。いえー……」
ルリちゃんなにそれ……。
花帆「そんな……え、敦賀って東京の隣だったりしない!?」
淳平「北陸新幹線のルートで言えば県を5つは確実に跨いでるよ!」
さやか「今年ちょうど、上りと下りの終点になりましたね……」
花帆「こ、梢センパ〜イ!」
絶望する花帆。そんな花帆に梢は……
梢「そんなに心配しないでも大丈夫よ、花帆。あなたたちなら、絶対うまくやれるわ」
慈「くっ………………私だって敦賀も行きたいのに……!もう、修学旅行抜け出すか……!」
淳平「不吉なこと言うなよめぐ……」
慈「だってぇ〜!」
梢「まったく……さやかさん」
さやか「あ、はい」
梢「みんなのまとめ役、お願いね。けっこう大変だけれど、頑張って」
淳平「うん。さやかちゃんなら絶対にできるよ」
さやか「……はい、分かりました。やってみせます!」
そうして、ミーティングは終了した。
ー つづく ー
蓮ノ空学院スクールアイドルクラブ1年
所属ユニット:スリーズブーケ
実家が金沢の伝統工芸、加賀繍の工房を経営している生粋の金沢人。祖母が蓮ノ空スクールアイドルクラブの前身となる芸学部のOB。
そのため、祖母のやっていた学校でのアイドル活動に幼少期から憧れており蓮ノ空学院スクールアイドルクラブの門を叩く。
現在のスクールアイドルクラブには、祖母が愛した伝統が残っていないと思い、入部を止めようとしたが、花帆が必死に証拠を探し、たしかに今に芸学部の伝統は続いていたのだと理解。それから花帆の勧誘に乗り本当の意味でスクールアイドルクラブに加入。
花帆に対しては中々素直になれず思ったことよりもキツく言ってしまうところがあるが、本当は花帆に対して恩義を感じており、心のなかでは自慢の先輩だと思っている。(人には言わないが……)
淳平のことはしっかりしてる先輩と思っているが、花帆がデレデレになってると面白くない。
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