蓮ノ空スクールアイドル録   作:松兄

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第四章 わたしのスクールアイドル
第17話:さやかと綴理


花帆と梢の淳平とのデートが終わり今日からまた一週間が始まる。

だが、蓮ノ空はいまだにスリーズブーケのライブの余韻が冷めておらず、スクールアイドルクラブの話題一色だった。

 

綴理とさやかも例外ではなく、2人もそれぞれの練習をしながら梢と花帆の話題を話していた。

 

さやか「あのライブ、つい声が出てしまいましたね。胸がいっぱいで、吐き出さずにはいられないというか……。でも、本当にライブって凄い。私も、もっともっと頑張らないと……」

 

綴理「こず、きみは…なれたんだね。スクールアイドルに……」

 

さやか「夕霧先輩?」

 

『あなたのダンスは本当にキレイ。でもあなたは夕霧綴理であって、スクールアイドルじゃない』

 

綴理「………」

 

さやか「…………?私も早く、もっと上手くなりたい!頑張らないと!」

 

綴理「さやは、自信無くした?」

 

さやか「自信なんて、もともとあってないようなものですけど、負けるつもりは無いです!」

 

綴理「そっか……」

 

さやか「あっ、夕霧先輩、明日のお弁当は何がいいですか?」

 

綴理「…そうだなあ、さやはどう料理しても美味しいけど……」

 

さやか「まるで私が食材みたいに……」

 

綴理「でもさやは、ボクがなんでもいいって言うと……」

 

さやか「じゃあ明日は草です!」

 

綴理「草はやだなあ…、苦いし……じゃあ、おでん」

 

さやか「草食べたことあるみたいな言い方も気になりますが、し、汁物かぁ…材料が足りないので、それはまた今度に」

 

綴理「……なんか、いつもごめん」

 

さやか「いえいえ、なんでも良いと言ったのは私ですから」

 

綴理「じゃなくて、お弁当作ってくれて」

 

さやか「なんですか急に?初めて言われましたけど」

 

綴理「え、そっか、ボク、ありがとうも言えない子だったんだね……」

 

さやか「ゆ、夕霧先輩はちゃんと、お弁当を受け取るときにありがとうと言えるいい子ですよ!というか、だって、作ってるのも私の勝手ですし。だからまさか謝られるとは思わなかっただけで」

 

綴理「さやがいないと、ボクはお昼ごはん食べるの忘れがちだから……」

 

さやか「まあ、はい。だから作るようにしたんですけれども」

 

綴理「さやがいないと、ボクは起きるのも忘れがちだから」

 

さやか「まあ、はい。それは別名、お寝坊というんですけれども」

 

綴理「……さやがいないとき、どうしてたっけ?」

 

さやか「さあ、いないので分からないですけど……」

 

綴理「ボク、明日から頑張って自分で起きる!」

 

 

 

そしてその日の練習終わり、綴理は張り切って寮に戻っていったのだが、話を聞いた俺たちは……

 

淳平「無理だな」

 

梢「ムリね……」

 

さやか「そんなバッサリ?!」

 

梢「こんないきなり起きれるようになるくらいなら、去年私達は苦労してないから……」

 

淳平「そうそう」

 

さやか「はあ、夕霧先輩……いったい去年どうやって生活してたんですか……?」

 

そして翌日早朝、女子寮では

 

さやか「夕霧先輩!起きてください!」

 

梢「村野さん大変ね……」

 

さやか「あ、乙宗先輩、おはようございます。夕霧先輩、なんであんなに起きないんですか?」

 

梢「昨日あんなに張り切ってたはずなのにねえ……」

 

さやか「気持ちだけは、嬉しく思っておきます」

 

梢「綴理がごめんなさいね?やっぱりあの子の相手は大変?」

 

さやか「いえ、そんな……。私はただ、夕霧先輩の演技をもっとも見ていたくて、もっと勉強させてもらいたくて、そのためならやれることは何でもやろうって、そう思っているだけで。学ばせてもらってる立場ですから」

 

梢「そうねぇ。綴理の演技は魔性だわ……。努力だけでは到達できないと思わせる、見るもの全てを魅了するような………」

 

さやか「乙宗先輩……?」

 

梢「ああ、ごめんなさい。村野さん、頑張ってね。綴理が同じ舞台に招待したあなたのことを、私も心から応援しているから。もちろん、困ったことがあったらいつでも聞いて?」

 

さやか「は、はい。ありがとうございます……」

 

梢「これからも大変でしょうけど、私はあなたの苦労がわかると思うから」

 

さやか「あはは…大丈夫ですよ!好きでやってることですから」

 

梢「くじけないでね?村野さん」

 

 

そしてその日の授業が始まりあっという間に放課後。俺たちは部室で練習の準備をしていたのだが、綴理が一向にこなかった。

 

さやか「あ〜っもう!私、呼んで来ます!!」

 

そう言ってさやかちゃんは勢いよく部室を飛び出していった。

 

さやか「まったくもう。今度は教室でずっと寝てるんですか。補習で先生に捕まってるんですか。お弁当渡したのに食べるの忘れて倒れてるんですか。カワウソがお腹に乗っちゃって動けないんですか。2年生の廊下も慣れちゃいました!もう珍しいとも思われません!逆に恥ずかしい………ん?なんでしょう。……あ」

 

綴理「〜〜♪〜〜♪」

 

見ると、夕霧先輩が生徒たちに囲まれており、ゲリラライブをしていた。

 

綴理「……ふう。ありがとう。えっと、ボクはそろそろ……。……じゃあ、もう一回だけだよ。時間が……」

 

するとそこへ、

 

沙知「はいはい、通行の邪魔になってるよー。ゲリラライブは終わり終わり」

 

綴理「あ……」

 

沙知「ほら、行くとこあるんでしょー?行った行った」

 

綴理「あ、うん。ありがとう……」

 

沙知「良いってことよ。そらお前ら、悪者はあたし1人だ、かかってこーい!」

 

綴理「……あ、さや」

 

さやか「えっと、夕霧先輩、ステキなライブ?でした」

 

綴理「ありがとう。嬉しい。……ん?あれ?さや怒ってないな……?」

 

さやか「先輩のダンスは、本当にすごいですね。私もすっかり見入ってしまいました。ですが、練習時間が無くなるので、早く部室に行きますよ?」

 

綴理「うん。わかった……」

 

そして2人は部室に向かった。

 

さやか「戻りました」

 

淳平「おう、おかえり…」

 

花帆「おかえり〜」

 

さやか「あれ?お二人だけですか?乙宗先輩は?」

 

淳平「梢なら先生に呼ばれて行ってる。だから綴理、悪いんだけどさ…今日花帆も見てやってくれないか?」

 

綴理「ボクが?かほの?」

 

花帆「やっぱり、ダメですか?」

 

さやか「私からもお願いします。夕霧先輩。花帆さんを1人にするのは忍びないので……」

 

花帆「さやかちゃん!!」

 

すると、

 

綴理「ううん、寧ろこっちからお願いしたいかな?じゃあ、かほ、今日は一緒にやろう……」

 

花帆「はい!よろしくお願いします!綴理センパイ!」

 

そして、3人はレッスン室に向かっていった。

 

 

ー つづく ー




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