蓮ノ空スクールアイドル録   作:松兄

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今回からお話は3年生が返ってくるまでの間さやかちゃん目線になります。

さやかちゃんの視点から、みんながどう見えているかをお楽しみください。


第25話:福井市での前日調整

金沢駅の北陸新幹線のホームで修学旅行に向かう3年生と別れたスクールアイドルクラブ一行。

新幹線に揺られ、福井県に足を踏み入れ敦賀の手前、福井駅で途中下車した。

 

花帆「んー! 来ました、福井の中心、福井駅!!新しい新幹線、乗り心地よすぎて寝ちゃうかと思ったよ〜!」

 

花帆さんが「ん〜!」と背伸びをして新幹線に乗った感想を述べる。すると吟子さんが、

 

吟子「いや、花帆先輩は誰よりも元気だったでしょ。ずっと窓に張り付いてたし」

 

姫芽「でも、良い景色でしたね〜。まったりできました〜」

 

姫芽さんがそう言うと、瑠璃乃さんが

 

瑠璃乃「いやいや、姫芽ちゃんは逆に誰よりも早く寝たじゃん……」

 

小鈴「新幹線を乗り過ごさないチャレンジ、成功しました!」

 

小鈴さんがそう言うと小さな笑いが起こる。

 

さやか「あはは、些細なことでも一歩一歩……というのなら全然良いのですが……小鈴さん、誰よりも降りる準備ができていなかったような………。さて、ともあれしっかりこの後のスケジュールを決めないとですね……と、あれ?」

 

私がスカートのポケットからスマホを出そうとすると、あるはずのスマホが無い。

 

さやか「まさか新幹線の中に……!?」

 

私の顔が「サァーッ」と真っ青になる。すると、

 

花帆「探し物は〜、これかなっ?」

 

花帆さんが取り出したのは探してた私のスマホだった。

 

さやか「あ、すみません助かりました。ありがとうございます!!」

 

良かった……本当に。

 

花帆「椅子の下に落ちてたよ。気を付けてね?」

 

さやか「お手数おかけしました。少しわたしもたるんでいたかもしれません……」

 

本当に気をつけないと………。

 

瑠璃乃「あはは、だいじょぶだいじょぶ。さやかちゃん最近大変だったし、少しくらい緩んでくれていーよー。完璧すぎない方が、後輩も安心するかも。なんて」

 

そう言う瑠璃乃さん。すると1年生たちが、

 

小鈴「そ、そんなことは思ってません!」

 

姫芽「確かに、さやかせんぱいって完璧なイメージはありますけどね〜」

 

吟子「むしろ花帆先輩がさやか先輩を支えることができるなんて、ほっとしました」

 

吟子さん、意外と毒を吐きますね……。

 

花帆「どういう意味!?」

 

憤慨する花帆さん。

 

さやか「あはは。花帆さんにはいつも助けられていますよ。瑠璃乃さんが入ってからは、瑠璃乃さんにも。わたしひとりで完璧に物事がこなせるとも、思っていません」

 

すると、ここで花帆さんが、

 

花帆「昔のさやかちゃんはとんがってたからね! 「この学校で人と仲良くする気はありません!」って」

 

!? 花帆さん余計なことを!!

 

瑠璃乃「誰だそのひと」

 

さやか「いつの話をしてるんですか! ほぼ最初じゃないですか!」

 

小鈴「え、ほんとうにさやか先輩がそんなことを!?」

 

小鈴さんにも衝撃的な目で見られてしまう。花帆さん〜!!

 

さやか「そ、そんなに見ないでください! 入学当初のわたしは、その。本当に余裕がなかったと言いますか!人と仲良くなるより、とにかく頑張らなきゃいけなかったといいますか!!」

 

必死に弁明する私。なんでこんなことを……。

 

花帆「初々しかったねえ」

 

ニヤニヤする花帆さん。誰のせいだと……!!

 

さやか「もういいじゃないですかその話は!ともかく!花帆さんのおかげで助かりました。予定を詰めていきましょう。ここからしばらく自由行動になります。まず、花帆さんと吟子さんは駅前観光でしたね」

 

花帆「うん!大都会福井を見てくるよ!」

 

吟子「お店の雰囲気も、新しいものと古いものが混在していて、気になるものが多いんです」

 

吟子さんが入り、古き伝統と未来への新しさが融合したようなユニットになったスリーズブーケらしい観光の仕方ですね。えーと、みらくらぱーく!のおふたりは……

 

さやか「瑠璃乃さんと姫芽さんは……ゲームセンター?」

 

瑠璃乃「そう、ゲーセン! クレーンゲームのプライズとか色々見たくって。姫芽ちゃんも乗り気でさ!」

 

姫芽「ゲーセンでおめめきらきらなるりちゃんせんぱいを、いっぱい撮りたいんです〜」

 

瑠璃乃「そーゆ一目的!?」

 

あはは……、慈先輩と瑠璃乃さんのことが大好きな姫芽さんらしいですね……。

 

小鈴「クレーンゲーム……!」

 

小鈴さんが興味有りげな声を上げると、瑠璃乃さんが小鈴さんに声を掛ける。

 

瑠璃乃「お、好きなの!?いいよねえ、プライズとか、見てるだけでも楽しくなってくるよね!」

 

姫芽「じゃあ小鈴ちゃんも来る〜?全然大歓迎だよ〜。ふたりが並んでるとことか、絶対可愛いし〜」

 

小鈴さんを誘うおふたり。小鈴さんの返事は、

 

小鈴「あ、で、でも……!徒町、我慢します!」

 

小鈴さん、よく言えました。

 

花帆「ん?小鈴ちゃんも、もしかしてさやかちゃんとどこか行ったり?」

 

さやか「いえ。わたしたちは、特訓の続きです。…………で、良いんですよね、小鈴さん」

 

小鈴「はい! 頑張りが優先です!お世話になりますっ!」

 

さやか「なにせゴールが敦賀ライブフェスタですから。前日の今日に最終調整をしないで何をするんだという話です」

 

瑠璃乃「おー、すといっくー」

 

姫芽「でもそうしたら〜、小鈴ちゃんは何をするんですか〜?」

 

さやか「今日まで頑張ってきた総仕上げ……どうやって、ご家族に気持ちを伝えるか……それを見つけるんです。本当は、去年わたしがやったように、近江町市場に行こうとも思っていたんですが、時間がなくて」

 

そう出来れば一番早かったと思うんですけどね……。

 

花帆「そっか、来てくれる人に気持ちを伝える……さやかちゃんがやってたことだし、あの時のさやかちゃんすごく楽しそうだったもんね!」

 

さやか「こほん。……………でもその分、小鈴さんはしっかり最後まで、会場の皆さんを見てパフォーマンスができるようになりました。それこそ、去年のわたしなんかよりずっとです」

 

小鈴さんは、本当に頑張りましたからね。

 

さやか「だから、あとは気持ちの伝え方。なのでわたしが考えたのは、色んな場所で今日の福井駅でのライブの宣伝をすることなんです」

 

私と小鈴さんは、福井駅前を借りてスクールアイドルクラブでするライブの宣伝をすることで、小鈴さんに気持ちの伝え方について学んでもらおうと思っている。これが、ついでに小鈴さんの対人度胸を高めることにも繋がればいいと思っている。

 

小鈴「徒町、まだよく分からないですけど、頑張って宣伝します!」

 

さやか「それで小鈴さんなりの想いの伝え方を掴んでいけたらと。目指すべきは、自分の想いをきちんと伝えられるスクールアイドルですから」

 

小鈴「が、がんばります!」

 

すると、

 

瑠璃乃「…………んー、あのさ、姫芽ちゃん。ルリ、ちょっとさやかちゃんたちと一緒に頑張りたいかも。ルリたちだって、ライブはあるんだしね」

 

さやか「えっ?」

 

姫芽「さっすがるりちゃんせんぱい!ますます惚れ直しました!! いや〜、アタシとしても小鈴ちゃんの特訓は 最後まで見届けたい気持ちはあるものでして〜」

 

吟子「…………いちおう、私も」

 

花帆「むふふーー。これがスクールアイドルクラブの絆だよ、さやかちゃん!」

 

みなさんが私と小鈴さんに笑いかけてくる。ああ、私の目頭が熱くなってきます……。

 

さやか「……本当にいいんですか?皆さん、行きたいところなどたくさんあったはずなのに」

 

瑠璃乃「みなまで言うなみなまで言うな。それに、さやかちゃんたちも色んなところ回るつもりなら、みんなで回った方がきっと楽しいよ!」

 

瑠璃乃さん!!

 

花帆「それにあたしは先輩ですから!きっと、小鈴ちゃんの参考になることとかも出来ると思うよ!」

 

花帆さん!!

 

ああ、なんてできすぎた仲間なんでしょうか……。

 

小鈴「わわわ……みなさん、徒町などのために、本当にありがとうございます!」

 

吟子「まあ、友達だし」

 

姫芽「ひたむきに頑張るって、そうそうできることじゃないからね〜。そゆとこ、ほんとに尊敬してるよ〜」

 

さやか「ありがとうございます、皆さん。小鈴さん、最後まで頑張りましょうね。これができればきっと、敦賀ライブフェスタでご家族にも気持ちが届くと思いますから」

 

小鈴「はい!」

 

さやか「それでは皆さん……何卒宜しくお願いいたします!」

 

 

そして、スリーズブーケ、みらくらぱーく、そして私に別れて別の場所で宣伝を行う。小鈴さんは最初スリーズブーケのやり方を見て、その後みらくらぱーく!、そして最後に私のやり方を見て参考にしてもらい、自分に合った方法を考えてもらう。

 

 

ー スリーズブーケの場合 ー

 

花帆「あたしの場合はね!やっぱり、全力かな!」

 

小鈴「全力!」

 

吟子「もうちょっと……具体的にならない?」

 

花帆「ぐ、具体的に。んー、とぉ………………こ、こういうのは実践だよ吟子ちゃん!小鈴ちゃんも、見ててね!」

 

花帆「フーラワー!蓮ノ空学院スクールアイドルクラブ、日野下花帆です!今日はなんと!福井駅前であたしたち、蓮ノ空のライブが開催されるので!たーくさんの人たちと、素敵な時間を過ごしたいなーって思ってます!来てねー!!!」

 

小鈴「おお……これが全力………。ふ、ふーらわー!」

 

吟子「そこじゃないと思うな……。練習するとしても…………」

 

 

 

ー みらくらぱーく!の場合 ー

 

瑠璃乃「ルリは……そんなに特徴ないとルリ思う。強いて言うなら、そうだなあ。ひとりひとりに、かな」

 

姫芽「るりちゃんせんぱいのあったかい魅力が引き立ちますよね〜」

 

瑠璃乃「プレッシャーで漏電するからハードル上げるのやめようね。えっと……」

 

すると、瑠璃乃先輩は通行人の中学生くらいの女の子に声をかける。

 

瑠璃乃「ねね。もしよければなんだけど、今夜福井駅でライブがあるんだ。ルリたちは蓮ノ空学院スクールアイドルクラブって言うんだけど……。知ってる?ふへへ、ありがと。じゃあ、楽しみにしてて。すっげーライブにするからさ」

 

小鈴「おお……あったかい魅力………。ひとりひとりに話しかけに行くの……が、がんばるぞー!ちぇすとー!」

 

姫芽「あはは……ちぇすとで突っ込んだらみんなビビるんじゃないかな〜」

 

 

 

 

ー さやかの場合 ー

 

小鈴「さやか先輩!さやか先輩のやり方も教えてください!」

 

さやか「わたしのやり方、ですか。そうですね、分かりました。サンプルのひとつになれば良いですが……心堅石穿(しんけんせきせん)、真摯に向き合うのがわたしのやり方になります」

 

さやか「御通行中の皆さん。蓮ノ空学院スクールアイドルクラブの、村野さやかという者です。 本日、この場所でわたしたちのライブが行われますので、 どうかお時間をいただけますと幸いです」

 

小鈴「ふわあ……」

 

キラキラした目で私を見る小鈴さんに声をかける。

 

さやか「スクールアイドルの魅力は人それぞれ。小鈴さん自身が持つひたむきな想いを、どうしたら伝えられるか……………わたしを含めメンバーのやり方が、小鈴さんの参考になればと思います」

 

小鈴「はい!すっごく参考になりました!」

 

さやか「それなら、よかったです。皆さんにも、お礼を言わないといけませんね」

 

小鈴「はい!」

 

さやか「それでは――福井でのライブ、頑張りましょう!」

 

 

ー つづく ー




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